原罪 諦囚者 【アキラメニトラワレタモノ】 作:oldsnake
あの後、シャワー室でセラちゃんから話を聞いた。
簡潔に言うとセラちゃんとララは最初二人で行動していた。それで仲良くなって【読心】で暴いた事をそのまま言って軽くからかった。そしたら【読心】の発動しなくなってシャワー室に呼ばれて身の危険を感じたらしい。
「所で……。読心の発動条件ってなんなの?」
「言わなきゃダメか?」
「私は口が硬い方だ。状況にはよるけども。」
「分かったよ。でもよ。初めて会った時から発動してるアンタがメチャ怖いが……。
【読心】の発動条件は【一定の信頼】。だから突然【読心】の魔法が発動しなくなるとマジで怖い。この事件で思い知らされたよ。」
「それで気付いたのか…。」
「ついでに私がエマとメルルを嫌う理由はソレだ。【信頼】だの【絆】だの【仲間】だの言っておきながら【読心】が発動しない。マジでキモくね?だからアイツらは上っ面だけのカスだ。ペテン師とか偽善者って言った方がいいか?まぁ私からすると気持ち悪いゴミカス野郎だよ。」
「もしかして……。漫画やアニメみたいに黒幕が混ざってるデスゲームってあるのかな?」
「何いってんだ?」
私はセラに近づきスマホに撮っておいた【囚人記録 黒部ナノカのメッセージ】を見せた。この人は黒幕や運営じゃないだろうし信用はできから。
「これがなんn………。お前、コレ皆んなに見せたのか?」
セラちゃんは目を見開いて驚いた。
「見せれる訳ないだろ…。下手したら私殺される。それかどころか全員死ぬぞ。」
「これ知ってどうする?」
「まぁ、コレで私達二人【共犯者】って訳だ。
【運営】と【黒幕】把握してるデスゲームの始まりだ。」
「それどころか、詰みじゃね?
ゴミカス二人は黒幕だけど皆んなの精神的な支えになってる。それにもし【運営側】なら殺すも生かすも捏造も小細工もやりたい放題。詰みだコレ……。クソゲだコレ…。」
コレが問題なんだよな。あの二人は私とセラちゃんの間で敵と確定した。でも私にもセラちゃんにも信頼はない状態でこの画像を出しても【無駄な感情論】で逆に疑われてしまう。
「私に言われても困るぞ? 私はあの二人は内心がゲロ以下の腹黒野郎としか思ってなかったが、まさかここまでとは……。ひとまず勘付かれないように情報を集める?…と言っても何から手付けていいか分からないけど…。」
午前中、この事についてセラと話し合ったが特に何か決まる事はなかった。ただ現状の詳細な把握ができた。
私達は魔女因子が高いとか何とかの理由で囚われていて殺人を犯すかもしれない。
ゲロマズな飯や牢屋敷の環境はワザとで殺人を起こさせる事が目的?
桜羽エマと氷上メルルは【運営側】。事情は分からないが信じない方がいい。
政府が関与していたら私殺されるみたいな子供に逃げる余地なんてない。
【読心】と【危険予知】の魔法で得た情報と集めた情報を整理してみると絶望しかない現実と考察。正直これを正直に話してもタチの悪い冗談か悪夢のようにしか聞こえない。
…だがまだ考察の段階でだ。まだ半信半疑でいた方がいい。
午後、隠していた缶詰を食べたあと私は空になった缶詰捨てに湖方面へ向かった。相変わらずいじめっ子のミオは4人のグループで一緒にご馳走様を独占して順番に回していた。エマとメルルのグループは4人でご飯を食べていた。
人数が多いとやっぱダメだ。何も頭に入って来ない。多分それも私のせいなのだが……。
「……っで?なんで着いてきたの?」
「いいじゃん。いいじゃん。なんとなくじゃダメなの?ね〜いいでしょ〜?」
「なんでコイツも着いてきたのさ? まぁ、いいけど変な気はおこすなよ?」
「剣士殿は剣を先程から触って気に掛けていたから素振りとかの鍛錬をするのだろう? …なら見物してもよいか?」
「そうだけど……。いいよ。」
着いてきたのは【瀬戸川セト】【綾部クロノ】【星見ララ】の3人。いいけどざ…。いいけども……。
なんか恥ずかしいな。いいんだけども……。
「……一応離れて見てて。実際に刃のついた刀でやるから。もしすっぽ抜けたら危ない。」
「確かにな。離れて見てようか。」
「剣士殿の実力がやっと見れるのか。楽しみだな。」
湖の近くの開けた場所。
私は離れるように三人に再び言いうと私は刀を抜いた。改めてみると波紋は波打つ波の様に綺麗だ。鍔も過度な装飾が無い。武器としての機能美としてとて私は美しいと思った。
私の得意な霞崩れの構えを取る。そこから右手の掌を刀の頭に押し当て突きを放とうとする構えを取る。
近くに細い木があったので突きを放つ。突きを放った瞬間に体全体を使って退いて斬る。
「嘘だろ……。何したんだ?今の?」
「えぇ…?」
「突きで斬れた?どう言う理屈なんだソレ?魔法?」
細い木の上部は地面に落ち地面へ突き刺る。霞の構えを取り整えな瞬間に水平斬りからの袈裟斬り。袈裟斬りからの燕返しを放つ。細い木を細切れにしていく。
手首ぐらいある木に目がいく。いけるか?
…いや、いくか。
「フンッッ!」
上から下へ切り降ろす。更に三連高速に。切り口も鮮やかで綺麗に決まった。
技が綺麗に決まった。これだけは自信がある。これだけは諦めたくない私の【最後の誇り】だ。
「家が500年ぐらい続く剣道の道場なんだ。だから、小さい頃から叩き込まれた。男とか女とか関係無し叩き込まれた。だから、これぐらいは朝飯前だよ。」
「お、おう…。
かなり凄すぎて驚いて言葉が出ないな……。とにかく凄いってのは分かったよ。」
「話に聞いてた以上に剣士殿は凄いのだな!」
「ねぇ、ねぇ?なんかナントカ流とか名前ないの?教えて教えて!」
「【藤宮流和洋剣術】。500年前に難破した船から助けた西洋人の女性と当時の藤宮家の当主が駆け落ちして道場開いた。ってのは聞いてる。私の背が高い理由は外国の人の血が入ってるかららしいって。」
私にはこれしかできない。役に立たない時代錯誤の棒振りも、今は役に立てれる。そう思うと心が少し熱くなる。
……だが、これは自分で決めた事だ。自分で選択した事だ。期待される覚えはない。自分がしたい、…だからやるだけだ。
こんな身体と棒振りしか取り柄のない自分が役に立たる事ができるのなら、私は出来る限り頑張ろうと思った。
「アンタさぁ、色々と考え過ぎじゃね?」
「頭の中とネットの中しか自分の居場所がなかったから…。多分そのせいだよ。」
私は今こんな状況だが、幸せなのかもしれない。