原罪 諦囚者 【アキラメニトラワレタモノ】 作:oldsnake
図書室での探索はある程度の成果は得られたが、重要そうな情報は見つからなかった。砂時計が表紙の本と騎士が表紙の古い絵本と何かの古い書類が見つかったぐらいだ。字が読めないから内容は分からないが。
無駄ではなかったが……。もうちょっと何か見つけたかった。無いものはしかたなが無いのだが……。
午後の自由時間になり、私はまた湖方面の森へ来ていた。野草とか取りながら黒部ナノカが残したメッセージを探す為だ。他にメッセージがあるとしたら見つかりにくい場所の筈だ。
「ワラビにニラ、松ぼっくりって食べられるのか?まぁ、死にはしないだろう。」
特にラインナップは変わらない。松ぼっくりが手に入ったけど食べられるか不安だ。食べ物に関しては確定して死ぬモノしか【危険予知】の魔法は発動しない。下剤とか睡眠薬盛られたら分からない。
缶詰はあるが探索ついでだ。食べられそうなモノを片っ端から集める。キノコは判別出来ないので流石に拾わない。
「そういけば図書室で見つけた本捨てるの忘れてたな。」
未だ見るだけで【危険予知】が激しく反応する本。血文字が書いてるのを一瞬見たが見てはダメな気がしてこれ以上は読まない様にしてる。
もしかして牢屋敷の不思議な現象は人を殺してしまうモノもあるのか? だとしたら気を付けないとないな。
「……にしてもこの石の壁。デカいな。もしかして魔法石を持ち上げてあの高さまで積んだのか……。よく風化したりして倒れないな、壁っていうより城壁だなここまでの規模になると。」
石の壁を見つつ改めて本を懐にしまい私は探索を進める。草木を掻き分けて歩き出す。たまに石畳の道に出て自分の位置と時間を確認する。しばらくして何か話し声が聞こえて私は声のする方へ近寄った。
古井戸の穴の近くには【雫石ミオ】と……。誰だっけ。魔女図鑑で……。空色と白を基調としなドレスと茶髪の人は【笠井アリス】か。エマとメルルのグループにいた人だったかな?
人に興味無くて魔女図鑑もロクに見てないが多分そうだと思う。多分絶対そうだ。うん。自信はないが……。聞き耳立てて聞いておこう。何の話してるか気になるし。
「ミオさん、私の腕時計返してよ。シャワー入ってる時にとったんでしょ?お願い。」
「知らないわよ。貴方が勝手に無くしたんでしょ?
昨日から言ってるじゃない、私は知らないって。いい加減にして。そもそもの話、あんなボロボロの汚い安物の腕時計を盗もうなんて誰も考えないわよ。じゃ、いくわよ。
全く、何なのよ…-。」
「待ってよ!」
「勝手にしてなさい!私はアイツを探しに来たの。余計な時間取らせないで。」
「返してよ!」
「知らないわよ!何度言ったら分かるの?
もし後から私じゃなかったら土下座でもして欲しいわね。」
「……」
「あぁ〜…、やる気無くなっちゃった。
チサトちゃんを探してたけど、夜にでも話し掛ければいいわよね……。じゃ、さよなら。」
「……」
【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】
【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】
【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】【危険】
【危険予知】が鳴り響く。あの時と同じ様にサイレンみたいに鳴っている。アリスが下を向き拳を握り締めている。
ミオは構わずに牢屋敷に戻ろうと後ろを向いた。そのアリスは瞬間後ろから掴み掛かかる。
まて…。ミオの振り回して落とそうとしている…!?
「殺す気かしら!? やめなさい…!」
「アンタなんか…… アンタなんか…… 死んじゃえ!!」
私は走り出した。いじめっ子で性悪な奴とはいえ見過ごして死なせる訳にはいかない。そう思ったからだ。
私は振り回されてるミオを身体で抱きしめて受け止めた。突然の出来事にアリスは手を離してしまう。
「死にたくなかったら逃げろ。狙いはお前だから。」
「あ………。は、はい……///」
ミオは牢屋敷に方向へと走って逃げていったが……。
なんで顔が赤くなってたんだ? まぁいいか。私はそこら辺に落ちていた枝を手に取って構えた。
「邪魔しないでよ……。もしかしてミオとのチサトさんはグルなの?」
「アリス……? だったか? ミオとの会話聞いてたけど疑い過ぎじゃないか?一回落ち着こうな……。」
アリスはポケットからフォークを取り出して構えた。話を全く聞いていない。
え? マジでヤる気?
まぁ、いいけども……。構えも何もかも素人だが殺そうとしているには変わりない。急所は外して悶え苦しむくらいには手加減しないと……。
「なんで…… なんで…… なんで……!大切な物を…… 奪わないでよ!!」
フォークを逆手に持って私に向かって振り下ろしてくる。
フォークを持ってる手を木の枝でガード、一気に半身になりながら懐に入り、勢いで溝内に肘打ち。アリスは肘打ちが決まった瞬間に痛みで悶え苦しみフォークを手放し地面にのたうち回っている。
我ながらに綺麗に決まった。呆気なく終わってしまった。
「許さない…… 許さない…… 許さない…… 」
「エ……。」
素人がくらったら数分は動けない筈の溝内。10秒足らずで立ち上がって此方を睨んでいる。
オイオイ… 嘘だろ……。私でもくらったら2〜3分はまともに動けないぞ? 綺麗に決まって動ける状態じゃない筈なのに何故?
手をよく見てみると黒ずんで爪が伸びていた。顔に黒いヒビのようなアザが走っている。全体的にドス黒くなり明らかに異形と化しており嫌な予感が止まらない。……と言うか【危険予知】の魔法が今まで聞いたことないくらい危険を知らせている。
私は刀を抜いて霞崩れの構えをとった。
「落ち着いて、ね?何もしなければ何もs…ッ!?」
爪が凄まじい速さで伸びて胸を突き刺そうとする。【危険予知】の魔法が発動し致命傷になる攻撃をゲームの攻撃予告の様に見えた。私は躱して爪を斬り落とす。だがアリスはなんともない
やっべぇ。攻撃を貰ってたら死んでた。……でも殺そうとしてきたのだから反撃するのならいいよね?
確か、魔女と化した少女は不死身って事は…… 斬ってもいいって事だよな?
「なんだろうな……。斬ってもいいよね……。攻撃して殺そうとして来たし、アンタは不死身だから斬ってもいいよね?」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」
「あぁ… これ話聞いてないしマトモじゃないな。」
純粋に血が湧き立っていた。死ぬのは怖いが。なんだろう。なんでこんな状況を楽しんでいるんだろう……。まぁ、いいか。
今はその事を考える事を諦めよう。
私は距離を詰める。顔面へ向けて爪が伸びる。その致命的な少し先の挙動が攻撃が【危険予知】で見える。そして躱す。
魔女の腕が振り下ろされる。受けたら死ぬと致命的な少し先の挙動が攻撃が【危険予知】で見える。刀で受け流して軸をずらして隙を晒させる。
力と速さは凄いが素人だ。挙動が見えれば合わせて斬ればいいだけだ。
両腕を斬り落とし、そして……。
私はアリスの首を斬り落とした。
胴体から【危険予知】の魔法が発動したから未だ立っている身体を古井戸に蹴り飛ばした。
「はぁ…… はぁ…… 」
気持ちが昂っていたと言うか血が湧き立っていたというか……。
「かえして…… かえし……て……。ゆるさない……。ゆるさな… い。」
喋る生首が目の前にあった。
「ウッ… ウロロロロロロロ…………。」
アドレナリンがガンガン出て興奮していたのが収まったのか。冷静になり私はゲロを吐いた。
人を斬った感覚。なんだろう……。考えたくも無い考えを少ししてしまった。
でも……。なんで…。私は楽しいと思った……?