原罪 諦囚者   作:oldsnake

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脱出しようと動く人

 

 

 目覚めると私は懲罰房の中にいた。

 あの後疲労のあまり爆睡していたらしい。寝過ぎて身体も気分も気怠いい。私は磔刑台にロープで縛り付けられ手首や腕にはロープの跡が付いてる。

 

 うわぁ… せめて帯みたいな幅の広い物で縛って欲しかった。

 跡が付くのは普通に嫌だぞ私は。あとお腹すいたな。腹痛いと感じるくらい空腹だ。でも嫌だな。結構限界な空腹状態で最初に食べる物があのゲロみたいな奴なのは……

 

 あと、いま何時なんだ? 懲罰房は地下にあり時間が一切分からない。あの戦いの後だ。疲れに疲れて朝食すっ飛ばし昼食もせずに寝ていたかもしれない。感覚が狂に狂って分からない。

 

 暫くすると足音が聞こえてきた。

 扉の前で立ち止まると覗き窓から顔を覗かせて話し掛けてきた。

 

「剣士殿、目が覚めてるか?………まだ意識が戻ってないのか?」

 

「クロノちゃん、おはよう? こんにちは?」

 

「起きたか!剣士殿!」

 

 顔を覗かせていたのはクロノちゃんだった。元気のない表情でだったが。私が声をかけた途端バワァっと明るくなった。

 

「ミオ殿を呼ぶぞ。起きたら声をかけて。と言われてるからな。」

 

「セラとララは?」

 

 その名前を口にした途端にクロノちゃんの表情は暗くなった。

 嫌な予感がする。

 

「剣士殿、落ち着いて聞いてくれ。」

 

「何?」

 

「剣士殿は二日間意識が戻らなかった。その間にセラ殿は殺された。」

 

「え?」

 

「魔女裁判になりララ殿が犯人と分かり処刑された…。」

 

「冗談かドッキリじゃ………。……分かった……現実味が湧かないな……。

 

 覗き穴から見えるクロノちゃんの表情から冗談じゃない事が分かった。本当に私は二日意識が戻らなかったのか? それにララがセラちゃんを殺した?

 

 

 だとしたら… だとしたら。私が……

 

 幾ら後悔しようと過去は変えられない。後悔に意味などないし現実は受け入れるしかない。未来に希望的観測はいらない。現実しか意味はない。

 

 何千回、何万回も見た筈だ。私の………。

 

…

 

…

 

 私は何を考えていた?

 アレは違う。アレは否定しないといけn……。

 

…

 

…

 

 今は思考に耽るべきではない。

 

「こんな事になっているのに私は二日意識が無かったのか。」

 

「剣士殿が時間外に外に出ていて懲罰房で拘束されてるって聞いて見に行ったら意識ないから心配したのだぞ。それに殺人事件も起きて……。」

 

「ごめん……。」

 

「仕方ないだろう。とはいえ身勝手な行動さ困る。皆んな心配していたのだぞ?」

 

「ごめん。と、すまない。としか言えない……。」

 

 クロノちゃんと話をしていると聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「あら、クロノじゃない。どうしたの?

 チサト目覚ましたの?」

 

「ミオ殿、ちょうどいい所に来た!剣士殿が目を覚ましたぞ!」

 

「心配してたんだから。懲罰房に入れてから目を覚さないから。」

 

 ミオの顔を見ると本当に心配してたんだろうなって事が伝わる。それはそれとして聞きたい事があった。二人ぐらいの方が私は話しやすいから今話す事にした。

 

「思った事があるんだが……。ララがセラを殺したって聞いたが……。

 ララの内心や本性を暴露したからセラは殺された。もしかして……。そんな感じの動機だったりしないか……。」

 

 二人とも表情が固まった。

 

「チサト、貴方知ってたの?」

 

「私の魔法の影響とセラの暴露とか暴言からなんとなく察していた。

 そうならない様にしていたけど出来なかった。本当にごめん。」

 

「そう…。分かったわ……。仕方ないわよ。セラの魔法は【読心】、しかも彼女は暴言暴露は当たり前に言う人だったから……。」

 

 思い当たる節がかなりある。

 

「そう言えば、貴方の魔法。改めて教えて貰えるかしら。もう4人が死んだのよ。余裕かましている場合じゃなさそうだし何がなんでもここを抜け出さないと。じゃないと皆んな死ぬかもしれない。」

 

「誰にも言わない?」

 

「言わないわ。どうしても言わないといけない時には言うけども。」

 

 嫌な奴かと思ったら意外と常識人だった。最初会った時のアレはなんだったんだ?まぁ、もう黒幕はわかっている教えてもいいだろう。小細工はするが。

 

「もしかしたら私の魔法は【危険予知】なのかもしれない。不思議と危険な時とか危ない所が分かるから多分それが私の魔法だと思う。」

 

 私は魔法がなんなのか知らなかった。という流れに違和感がない様に説明する。

 

「だから殺人事件を防げたのだな……。」

 

「脱出には…… 流石に無理よね…。」

 

「あと、脱出って何かいい方法でも思いたの?」

 

「まだ手掛かりはなんとも。エマ達や私のグループの人達も探してるけどもなんとも言えないわね。」

 

 脱出する手段を見つけたとしても嫌な予感しかしない。それに絶対に失敗に終わるだろう。でもちょっと気になる事があった。

 

「ミオちゃんってエマの魔法なんなのか分かってる?」

 

「え?……エマは確か……。触れた物の過去が見えるって話してたわ。

 …でも今まで数回しか見えてないから気のせいだと思ってたらしいの。【過去視】とか【幻視】と言った方がいいのかしら。…でもまだ判別ついてないし詳しく分からないわね。」

 

「私と同じ感じか。」

 

「そんな感じね。」

 

 絶対嘘だし違う魔法だろうな。黒幕が魔法をほのめかす様な情報を言う訳がない。【過去視】とか【幻視】は証明しょうがない。私の【危険予知】と同じ様に証明は難しい。

 

「所でミオ殿の魔法はなんなのだ?」

 

「え?私の魔法?……… そうね。私の魔法は【煽動】

 私の考えや感情・行動そのものを周囲に同調させられる。」

 

「強くね?」

 

「ミオ殿… お主、魔女裁判の最中に魔法使ってたな?」

 

「使ったわ。前科もあるし犯人は確定してたでしょ?こんな胸糞悪い裁判なんて早く終わらせるに越した事はないし。

 あと私の魔法は弱いわ。疑問に思われたり嫌がられたりすると効かないのよ。だから、さりげなくその場の空気とか流れを変えたりするぐらい…。ワープとか瞬間移動とかの魔法が使いたかったわ。」

 

 ちょっと前の朝飯の時の変な感覚は魔法か。精神に干渉する魔法か…… 改めて考えると恐ろしいが【危険予知】の魔法は反応していない。おそらく大丈夫だろう。

 

 それにしても嫌な予感しかしない。脱出なんて出来るのだろうか?

 捕まった時点で詰みの気がしてならないが。それより牢屋敷掃除して色々と工夫して住みやすい様にした方がいい気がするのは私だけか?

 

 ……でも良く考えたら……。家の自室のレイア様のグッズを捨てられてたら嫌だし、CD捨てられてたら嫌だしな…… 流石にそんな事はないと思うが心配でならない。

 

 ここから確実に脱出できそうな方法が見つかったら手伝おうか。

 

 

 

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