朝の6時、看守が懲罰房の扉を開けて私の拘束を解いた。
やっと終わったと歩こうとした瞬間足にあまり力が入らない。三日拘束されて棒立ち状態だったから仕方がないか。暫くはリハビリして動ける様にしないと。
不思議なことに刀は没収されなかった。私が黒幕側なら没収するがなんでだろうか? まぁ考えても仕方ない、あるに越したことはないし。
それよりも…… 私は息を殺してシャワー室へ向かう。
こんなのバレたら恥ずかしくて死にそうだ。自分の着替えを確認するとちゃんとカゴの中に入っていた。安心して私はシャワー室に入り服を畳んで纏めて焼却炉に投げ捨てた。地雷処理は完璧だ。
この事は墓場まで持っていく。
自分しか知らず他者に知られていない。そして証拠も何もない事は【何も無かった】ことと同義なのだなら。シュレディンガーの猫みたいな物だ。
冷たいシャワーを私は浴びる。とにかく身体は綺麗にしようと冷たい水を我慢しながらシャワーを浴びる。
身体が震える。…でも自分の中で論理立てて耐える。
身体が震えという生理現象は効率的ではない。…なら身震いする必要はない。その行為する必要はない。だから諦めよう。
その水が冷たい事実は変えられないし、知っていて入ったのだから受け入れて耐えて慣れるしかない。
「…… …… 慣れてきた。…… 風邪ひきそうだから暖炉で暖まろ…。」
タオルで体を拭き着替える。ふと身体を見る。あれだけ拘束されたにも関わらず軽いアザで済んでいた。
もしかして…、メルルの治癒魔法が少し掛かった影響でアザが治ったのか? それなら納得する。
新しい服に着替え、ラウンジの暖炉のそばのソファーに腰をかける。時計を見ると6時半ぐらい。目を擦りながら少女達が食堂の方へ歩いていくのが見え始める。
あぁ… まだ身体が冷えるからあと10分は暖炉で暖まろう。
「チサト殿、おはよう。身体の方は大丈夫か?」
「おはよう。全く何してんだ……。心配したんだぞ?」
話しかけてくれたのはクロノちゃんとショウコちゃんだ。
暖炉で身体を暖めてから食堂へ行くと全員が食堂で朝食をとっていた。私が遅れて入ると私に視線が集まる。
見渡すとセラとララがいない事に気付き、本当に居なくなったんだな。と実感が少し湧いてくる。
もっと早く看守を斬って動けなくさせて、勝ったと認めさせていたらセラとララは死なずに済んだ。と考えると後悔してならない。
…でも後悔して思い詰める事に意味はない。思い詰めるだけで解決するならこんな所に捕まってはないし初日に脱獄してる。だから後悔に意味はない。反省と対策に意味がある。私はそう思っている。
私はグロテスクな料理を皿に盛り、クロノとショウコの近くの席に座った。するとミオとそのグループの子たちが話しかけてきた。
「無事に出れて良かったわねチサト……
ま、まずはその…… え〜っと…… 助けてくれてありがとう……//」
「凄いですね、ゴクチョーさんから聞きましたよ。魔女化したアリスさんを食い止めたって。本当ひ凄い。こんなに強いなら私の仲間になって守ってほしいな〜 お願い〜♪」
「……… 」
「あのミオとヨウナの後ろにいてじっとしてるのはミナミって名前だ。あまり目立つのが嫌な子だから放っといてやってくれ。」
私は魔女図鑑を見る。
囚人名簿をあまり見ていないから名前を覚えられてないからだ。
ピンク髪のツインテールで人懐っこく声を掛けて擦り寄ってきてる子が【朝霧ヨウナ】
茶髪で髪が肩まで掛かるストレート、メガネを掛けて地味な子が【深浦ミナミ】
【雫石ミオ】【谷塚ショウコ】【朝霧ヨウナ】【深浦ミナミ】の四人
【桜羽エマ】【氷上メルル】【結城アイリ】の三人
【藤宮チサト】【綾部クロノ】の二人
【信濃カイ】【笠井アリス】【瀬戸内セラ】【星見ララ】が死んでしまい9人になって。だいたいグループはこんな感じ。
ついでにエマとメルルに挟まれて会話してる子は【結城アイリ】っていう黒髪ロングの大人びて賢そうな子だ。15才なのに大人びてて大和撫子って感じのちょっと母性のある優しそうな子だ。
それはともかく話に戻ろう。
「皆んなに話があるのだけど、話を聞いてもらってもいいかしら…!」
ミオが大きな声で皆んなに呼びかける。それと同時に前に魔法が使われた時みたいに【変な感覚的】が襲ってくる。この人の話を聞きたくなってくる。【煽動】の魔法を使ってるなコレ。
「ここに居たら絶対良くない事が起こり続けると思うの。
…でも、脱出する方法を探して入るけども見つからない。
例え脱出したとしても、ここは島。海を越える手段が見つからない。気球を作ろうって案も出たけども燃料がないから無理だし……。」
ミオの言う通り、壁を越えて脱出したとしても海を越えられなければ飢え死か溺死だ。気球も彼女の言う通り燃料の問題で無理だ。
「脱出する方法が見つかるまでは、せめて自分の身は自分で守れる様にしないといけない。そこで…… 貴方の出番よチサト…!」
「ゑ?」
「貴方、二回も殺人事件を防いでるし、武術とか護身術とか知ってるでしょ?
だから… 私達でも出来る様なモノを教えてくれないかしら?」
「そうそう、教えて欲しいな〜」
【煽動】の魔法が発動している。皆んながその気になって期待の眼差しを向けている。身を守る何かや方法は確かに欲しいのは分かるが勝手に期待はしないでくれ。そういうのは嫌なんだ。
「せめて身を守るr「いや無理だろ」……なんて?」
「ここに柔道とか経験ある人か、格闘技系の部活に入ってた人はいる?
体育の授業で習ったとかはノーカンだ。居たら手を上げて欲しい。」
誰も手を上げない。何となく察してた。
もしかしてと思っていたが……。1人もいないの? マジ?
「第一に、今から一から教えた所で付け焼き刃にしかならない。
それよりだったら近くにある物を投げたり、大声上げながら逃げた方がいい。あと、常にバラバラにならないで3人組で行動したり。
とにかく、素人が下手に反撃しようとしたり取り押さえようとするのは絶対に良くない。」
「確かにそうだね〜…… 」
「下手な武器持って扱いきれずに死ぬのはアニメや漫画の定番だからなチサト殿…… 」
「そ、そうね…… 今からは無理だしそうさせてもらう。
…でも、貴方には協力してもらうわよ。…と言っても牢屋敷の探索と図書館での役に立ちそうな何がかを探したりだけどね。」
「うん、分かった。」
私はミオのグループの近くに座り直した座る。クロノも一緒に私の隣に座り直した。エマとメルルとは距離を離したい。近くに寄りたくない。
この日から私とクロノはミオのグループと一緒に行動する様になった。