夜、21時半ごろ、私は中庭のベンチで座っていた。
一通り全員に話を聞いてみたがわからなかった。今日は外に出ていない。なので牢屋敷内の自分がいた場所や自分が刀を起きそうな場所を見て回ったが見つからない。
「誰かが持ち出したのかな…… 起こるのかな…… 殺人事件…… 」
流石に武器持ち出されたら素手の私じゃ厳しい。ナイフならまだしも刀は不味い。っと言うか刀なんて持ち出したら一目で分かる筈なのに見つからない。
「はぁ…… 」
誰かが死んだ時、私は涙を流せるのだろうか……。
【あの時】みたいに涙を流せなかったどうしよう…。
嫌な思い出が頭を過ぎるが頭を振って振り払う。
「チサト殿、ここにいたのか。刀は見つかったのか?」
「いや、見つからなくて休憩、あとちょっと考え事」
「そうか…… 隣いいか?」
「うん、大丈夫」
クロノちゃんが私の隣に座った。
夜のひんやりした空気が肌を伝う。空を見ると星が綺麗だ。
「チサト殿は、ここに来る前はどういう感じだったんだ?」
「え?」
「ちょっと気になってな…… 」
「どういう感じって……
アニメと漫画、剣道とレイア様の事しか興味無かったし、私は友達が居なかったからなぁ……。勉強は正直出来ない方だ。」
理科と歴史はマシだが、数学、国語、英語が分からない。まぁ、マシと言ってもボロボロなのだが……。
「そう言えば、クロノちゃんは?」
「我?我は…… 至って普通だったな。それ故に叔父が心配だな……。」
「叔父?」
「中学から叔父と暮らしていたのだが…… 色々と迷惑や心配かけたからな…… 大丈夫だろうか…… 」
「優しいね…… 私とは大違いだ」
私のお母さんもお父さんも心配してるのかな? 夢もなりたい職業もない私を…… 私はニート一直線だしな多分。
「思ったんだが…… なんでそんな自虐しているのだ? 我から見たらチサト殿はしっかりしてると思うのだが…。」
「はぁ…… まぁ、話してもいいか。さっき思い出した嫌な思い出だけど。」
「嫌な思い出?」
私はその嫌な思い出を語り始める。誰かに話したら少しは楽になるだろうか。と思ったからだ。今でも後悔している事……。
自分をひとでなしで人の心がないと実感させられた日だ。
ある日、親戚のよく家に来る叔父さんが死んだ。
私も親戚の叔父さんには良くお世話になっていた。
だから、とても悲しかった。
でも…… 私は…… その人の葬式で涙を流す事が出来なかった。
最後の最後まで泣こうとしたが一粒も涙も出ない。
なんでだよ…… なんで私は泣けない?
ひとでなしの社会不適合者だからか?
それとも、人の心なんて持ち合わせてない化物だからか?
泣きたい…… なんで、泣けないんだよ!泣かせてくれよ…!
人が死んだ、なのに泣けないなんて人じゃない。
そんな私は……
さっさと死んだ方がいい化物だ。
「私は今でも後悔してるし、こんな自分なんてさっさと死ねばいいと思ってはいるが…… だが案外生きたいって思ってしまう…… 死ぬのは怖いのは当たり前だからな…… 」
「チサト殿…… 」
「暗い話をしてしまったな…… 本当に悪いなこんな私で……。
おっと、こんな時間だ。早く牢屋に戻ろう。」
私はベンチから立ち上がり牢屋に駆け足で戻ろうとした。
その時、大きな声でクロノちゃんが呼び止めた。
「チサト殿!我は充分優しくて勇気のある人だと思うぞ!だってこんな我に付き合ってくれたり、ミオ度のを助けてくれたりしたじゃないか…!だから、だから!
そんなに自分を卑下するな!馬鹿者!」
「ありがとう… そんな風に言ってくれて……」
クロノちゃん、いい人だよアンタは……
こう言ってくれる人なんて…… 居なかったかぞ……。
「あれ…… おかしいな…… 室内なのに雨降ってる…… はは…… 」
私は急いで牢屋へ戻る。後ろからクロノちゃんの足音が聞こえる。
久しぶりに出た涙を隠しながら。