第一回戦、障害物競走。
レースは早くも終盤に差しかかった。
先頭では、かっちゃん達が激しく競り合ってる。
追い抜かすのなら、此処しかない。
「対人地雷なんて深くても14cm~15cmくらいだこれですぐ掘り出せる……!よし……よし!!」
「何してんだ緑谷……」
僕は此処まで、身体
【フルカウル】を一度も使っていない。
理由は単純に、制御がまだ未熟。
長時間の使用が出来ないからだ。
練習中も、何度か途中で解けてしまった。
多少マシになっても、弱点は変わってない。
最初から使い続けるだなんて無理だ。
(でも、この距離だったら行けるはず)
目算として、ゴールまでの距離は500m。
地雷原の先の道を合わせてもその程度。
これぐらいなら、使ってもガス欠はまずない。
無論、個性を制御しつつ、地雷を避けるのは困難だ。
だったら、いっそ、それを利用する。
(借りるぞ……かっちゃん!!)
僕は先程、掘り起こした対人地雷の山。
そこへ、ロボの装甲板に乗ったまま、飛び込んだ。
すると次の瞬間、下の地雷原が一斉に爆ぜる。
さながら人間大砲のように、僕は打ち出された。
背後で、物凄い爆音が響いてる。
風を切って、かっちゃんと轟君をそのまま抜く。
(やっぱ……勢いすごい!!)
「デクぁ!!!俺の前を行くんじゃねえ!!!」
「後ろ気にしてる場合じゃねぇ……!!」
当然、先程まで争ってた2人は追い掛けて来た。
個性を用いた加速力は流石としか言えない。
もう既に目前まで迫っていた。
このままだと余裕で抜かれる。
それ程まで、勝ちに飢えているのだろう。
(けど、それは、僕だって同じだ!!)
僕は装甲板を、思い切り地面に叩きつけた。
それとほぼ同時に、フルカウルを起動。
叩きつけた装甲板を足場にして、一気に跳躍。
地雷原の爆破を背にして、更に加速した。
この使い方なら、解除を恐れる必要もない。
それ加え、2人の足止めも多少出来た。
今ので100mは引き離せたと思う。
『緑谷、追い越した上で間髪入れず後続を妨害!!ついでとばかりに、妨害の爆風を利用して更に跳ぶ!!飛ぶ鳥を落とすどころか、自分が飛ぶ鳥になっちまった!!地雷原ゾーンを抜け、王手まっしぐら!!すげぇなイレイザー!!どういう教育してんだ!?』
『俺は何もしてねぇ。奴が勝手にやったんだろ。……彼奴、いつの間に個性の制御を。それはそうと、飛ぶ鳥になるってなんだ?』
とはいえ、まだ気を抜く事は出来ない。
ぼさっとしてたら2人は直ぐ来る。
此処まで来れば、ゴールは目と鼻の先。
僕はフルカウルを起動して、直ぐ跳んだ。
このまま、勝ち上がる為に。
……けど、その直後だった。
僕の背後で、更なる爆破が起きたのは。
しかも、その爆発は一度では終わらない。
何度も、何度も、立て続けに響いてる。
地雷原を抜けた僕には、幸い影響はないけど。
「危険ですので、どうか動かないで下さい」
そんな声が、遥か後方から聞こえてきた。
その直後、またしても爆発が連続して起こる。
悲鳴のような、抗議の声と一緒に。
……なんかもう、大方察した気がする。
良くも悪くも、僕は散々怒られて来た。
そのせいか、妙な直感まで成長したらしい。
よく考えずとも、彼女はそうするだろう。
実際、あの地雷原は危険そのものだ。
怪我や病の元凶があるなら、彼女は絶対やる。
周囲とか体育祭とか、お構いなしに。
「ざぁけんなっ!!ピンク髪コラァ!!」
僕は全力で、ゴールで向かった。
かっちゃんの声も全力でスルーした。
これ以上、此処に居たら本当に危ない。
なんかもう、兎に角、色んな意味で。
僕の言葉なんて、聞く訳がないだろうし。
……後ろの皆には、心から同情する。
あらゆる医療行為の基礎たる感染予防。
その柱たる鉄則は全部で3つ。
一つは、感染源の排除。
一つは、宿主の抵抗力向上。
一つは、感染経路の遮断。
ヒーローの活動にこれ等を当てはめるのであれば、主に
街の人々への貢献やファンサービス、被害者へのカウンセリングなどが、主に宿主の抵抗力の向上。
であれば、これは差し詰め、排除と経路遮断だろう。
どちらも予防対策において、非常に重要な事だ。
故に、手を抜く事など当然、許されない。
やはり、予防対策は徹底せねば。
「……なぁ、癒月。お前、何やってんの?」
「見ての通り、治療です。必要ですので」
「へー、そうか。ちなみに方法は?」
「投擲による地雷の爆破処理です。合理的ですから」
「じゃねぇよ!!アホか!!狂ってんのか!?」
「私は心身ともに、正常そのものです」
拳藤さんは、何故か悲鳴にも似た声を上げた。
私はというと、掘り起こした岩を掴み、握り砕く。
そして手にした石を、一直線に裂くように投擲した。
まるで、水切りをするかのように。
石は数十回程跳ねて、反対側まで跳ぶ。
その軌道上で、幾つもの地雷が連続して爆ぜた。
派手な爆発音が、立て続けに響き渡る。
「これぞ病原は消毒というやつですね」
「いや、それ、多分悪役の台詞だし」
『ひっでぇ絵面だ!!その光景はさながらボン○ーマン!!癒月、レースそっちのけでまたも暴走!!地雷原を一直線に爆破処理!!しかも爆発がエグくて、誰もゴールに向かえない!!防御で手一杯の有様!!何でもありとは言ったが限度あるだろ!!限度が!!』
『何でもありなんて言うからだろ』
「畜生!!A組のヤロウは嫌な奴ばっかだ!!」
「今回ばっかりは本当に擁護出来ねぇ!!」
「地雷を踏んで怪我するよりはマシです」
そう言いつつ、私は治療を黙々と進めた。
切島君とパクリの人は騒ぎつつ、急いで硬化する。
やはりあの2人、親戚ではないだろうか?
どちらにせよ、足を止めてくれるのはありがたい。
治療がやりやすくて、実に助かる。
巻き込まないよう、爆破させるのは結構疲れるのだ。
何より、地雷の数が尋常ではない。
緊急とはいえ、中々にハードな治療だ。
腕や手も、流石に痛くなってきた。
本職の人が居れば、だいぶ楽なのだが。
「てめぇ……ピンク髪、殺す!!」
「ちょうど良い所に専門家の方が。協力して下さい」
「爆豪……わざわざ戻って来たのか」
「んなもん誰がするか!!クソがァ!!」
「随分と機嫌が悪いですね」
よって勧誘すると、爆豪君が何故か襲って来た。
此処まで来たのだから、手伝いに来たと思ったのに。
よく分からないが、物過く怒ってる。
何処でこれ程のストレスを溜めたのやら。
仕方ないので、石を手放し、攻撃を躱す。
確か此処は、元々地雷があった場所だ。
少なくとも、この辺りはもう安全らしい。
「てめぇ、ちっとは真面目にやれ!!これはレースだ!!競争だ!!体育祭だ!!他人を蹴落としてでもやるもんだろ!!やる気がねぇのなら帰りやがれ!!」
「失礼ですね。私は至極真面目に職務を遂行しています。ヒーローや医者が、怪我を未然に防ぐのは当然。寧ろ、私に言わせれば、怪我人を生む体育祭こそが、大変不真面目。目立とうとして、人助けの本質を見失っては元も子もないでしょう。偶には初心に戻りなさい」
「それ以前に、てめぇは常識ってもんを身に付けろ。この体育祭が無駄に金掛けて、雑魚共にとって無駄にリスク高けぇってのは納得だが、それはそれ、これはこれだ。治療やるにしても、場所とタイミングを考えろ!!そんでもってお前の治療は力技しか能がねぇのか!?」
「そんな訳ないでしょう。私はただ合理的な治療をしているだけです。貴方を締め落とした事も、今回の爆破処理も。それが最速で症状に対処出来る療法だと考えたからしただけです。人を蛮族のように言わないで下さい」
「ほぼ事実だろ!!自覚しろや!!」
「インテリヤンキーに言われましても」
私は襲い来る爆豪君から、ひたすら逃げた。
戦ってもいいが、純粋に体力の無駄だ。
余計な労力を割く理由はない。
それに、治療が突然始まるのは常識だろう。
病とは、何時来るか分からないからこそ病。
それに抗い、患者を癒すからこそ医者。
今回だって、急な地雷に私も驚いた。
それに対処する事の何が悪い?
あんな危険物、早々に失くすべきだろう。
レースなど、治療の後に決まっている。
あと私は、別に脳筋ではない。
そっちの方が、大抵早いだけだけで。
「人助け……まぁ確かに、その通りではあるか」
「やり方はだいぶ……アレではあるけど」
「原点回帰……初心忘るべからず」
「これは止めなかった……私が悪いのか?」
「俺はまたとしても……同じ間違いを!!」
「飯田君!?大丈夫!?具合でも悪いん!?」
「あんま気にしない方がいいと思うよ、多分」
周囲はというと、何とも言えない空気になっていた。
私達の方を見て、何とも言えない顔をしている。
拳藤さんは、私が悪いのかと言いたげだ。
飯田君に至っては、何故か膝を附いていた。
隣の芦戸さんは、慣れたように呆れているけど。
過去に何かしらがあったらしい。
まぁ、とりあえず、レースの雰囲気ではない。
『なんつーか……すっげー、耳が痛い。実際問題、その通り過ぎて……何も言えねぇ。いや、マジで。というかもう、何もかもグダグダだな。余裕で放送事故だろ』
『おい、そこの2人。それぐらいにしねぇと除籍処分にするぞ。とりあえず両方、後で反省文。そこで突っ立ってるお前等だ。いい加減、レースに戻れ。あの馬鹿の暴走で、地雷もある程度は片付いてるだろ。それにこのレースは、一応ではあるが時間制限付き。このままだと緑谷と轟以外、まとめて敗退だ。残り時間3分』
流石にこれは、色々と不味かったのだろう。
プレゼント・マイクはさておき、相澤先生はキレた。
スピーカー越しに、その表情がよく分かる。
多くのA組生徒が背筋を、思わず震わせた。
轟君は、喧嘩の間にゴールしたらしい。
1位の緑谷君にも、悪い事をした気がする。
予選とはいえ、せっかくの1位だというのに。
私とした事が、頭に血が上り過ぎていた。
「……という事で、今回はいいですね?」
「……ちっ。背に腹は代えられねぇ」
「治療もある程度は終わりましたしね」
私と爆豪君は、それぞれ走り出した。
他の生徒達も、それにやや遅れて続く。
これで敗退は誰だって嫌だろう。
とはいえ、最早、障害物競走とは名ばかり。
地雷の大半は、既に処置済み。
第1種目最後は、純粋な速さ勝負だった。
当然、先に走り出した私達に分がある。
しかし、その以上となると流石に厳しい。
「速さ勝負で、てめぇにまで負けるか。くそがっ」
「悔しいですが、確かにその通りかと」
何せ私は、全力以外で身体強化が出来ない。
対して、爆豪君は、加速に個性を使える。
純粋な走力のみで挑むのは無謀そのものだ。
そうなってくると、とても勝て目はない。
『とんでもアクシデント!!というか、とんでも放送事故がありつつ、1人目の問題児、爆豪が3位!!2人目の問題児、癒月が4位でゴール!!後続も続々とゴールしていく!!つっても順位、今更気にしてる奴、ほぼ居なさそうだけどな!!運営泣かせ共め!!』
「あっ、皆……本当にお疲れ」
「「「いや、マジで」」」
「まぁ確かに、疲れましたね」
「9割方てめぇのせいだろ」
「「「残り1割はお前のせい」」」
そんな訳で、私は結局4位で予選を通過。
他のA組メンバーも、全員無事に通過。
幸いな事に、重症者もゼロ。
トラブルはあったものの、第一種目は無事終わった。
峰田君が、女子全員に詰められる事件はあったけど。
それはさておき、上位42名が揃った。
続くは、ようやく第二種目。
『第一種目で色々あり過ぎたけど、次からいよいよ本番!!此処からは取材陣も白熱してくるわよ!!キバりなさい!!さーて、第二種目はコレ!!騎馬戦!!!』
「「騎馬戦……!」」
「個人競技じゃないけど、どうやるのかしら」
「やっとまともな種目ですね。プラス10点」
「癒月評価、プラス評価もあったのか」
「つーかー、それ、何時まで続くんだ」
「はい、そこ。お喋りしない」
第二回戦の種目は、騎馬戦。
第一回戦と打って変わって、協力制の競技だ。
その内容は、個性ありのハチマキの取り合い。
これなら負傷者の数も、おそらく少ないだろう。
初めからこうして欲しい。
『基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが……先程の結果にしたがい各自にPが振りあてられること!誰も興味が無かった順位が此処で活きるわ!』
「事実だけど、あんまハッキリ言うなよ」
「入試みてえなP稼ぎ方式。シンプルだな」
「つまり組み合わせによって、騎馬の合計Pが違ってくると。意外にもよく考えられてますね。追加で10点」
『あんたら、私が喋ってんのにすぐ言うね!!!あと、その評価は本当に喜んでいいの!?ついさっきから思ってたけど、辛口だし上からだし!!結構、効いてるのよ!!少しは運営の気持ちにもなりなさい!!』
「だって、事実ですし」
そして、与えられるPは下から5ずつ。
最下位は0Pで42位から5P。
ざっと、41位は10Pという具合らしい。
しかし、此処は雄英で基本、何でもあり。
上位のPが、そのまま上がる訳もなく。
『1位に与えられるPは1000万!!そう、これは、上位の奴ほど狙われちゃう……下剋上サバイバル!!上を行く者には更なる受難を。雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞ
生徒達の視線が、一斉に緑谷君へ向く。
現に、渦中の当人の汗の量は物凄い。
プレッシャーを感じるには十分だった。
今回ばかりは、彼に少し同情する。
否定はしないが、雄英のとんでも具合は健在だ。
『制限時間は15分、振り当てられたPの合計が騎馬のPとなり、騎手はそのP数が表示されたハチマキを装着! 終了までにハチマキを奪い合い保持Pを競うのよ。取ったハチマキは首から上に巻くこと、とりまくればとりまくる程管理が大変になるわよ!』
これは思った以上に、頭脳戦の面もありそうだ。
如何にPを守り、誇示し続けるか。
もしくは、細かいをPを取りに行くか。
さもなくば終盤に、賭けに出るか。
自分と味方の個性次第で、動きが変わる。
単純なようで、かなり奥深い。
『そして重要なのは、ハチマキを取られても、また騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!』
「てことは……」
「43名からなる騎馬10~12組がずっとフィールドにいる訳だよね……?」
「シンド☆」
「いったんP取られて身軽になっちゃうのもアリだね」
「それは全体のPの分かれ方見ないと、判断しかねるわ、三奈ちゃん」
とはいえ、最低限必要なのは矛と盾。
ハチマキの奪いに行ける人材。
そして、ハチマキを守れる人材。
足があれば尚良しだが、これはマスト。
況して、私の個性は器用貧乏の部類。
攻めは腕力頼りだし、15分間も守れない。
治癒の方も、消耗の面から連発は不能。
この2つをどう確保するか。
『個性発動アリの残虐ファイト!!でも……あくまで騎馬戦!!悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード!!ついさっきの問題児2人みたいな行為は一発退場とします!!絶対にやるんじゃないわよ!!』
「無論、ルールは厳守します」
「どの口が言ってんだ、ピンク髪」
「お前だけは言うな。お前だけは」
「念の為に言うけどフリじゃないから」
これは、中々に厳しい戦いになりそうだ。
『それじゃ、これより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!』
「15分!!??短っ!!」
斯くして、第2種目の第1段階。
チーム決めがこうして始まった。
そういう事で、早速勧誘したのだが。
「悪りぃ!!今回は他を当たってくれ!!」
「ごめん!私の方も今回は無理!」
「……なんと。これは由々しき事態です」
想定外にも、切島君と芦戸さん両方に断られた。
旧知の仲であるし、連携も取れると思ったのに。
あと2人とも、こういう時は大抵頷いてくれるし。
信頼していただけに、純粋にショックだ。
これはあくまで、チーム決めであるが。
「……癒月ちゃんが誘ってくれたのは、普通に嬉しいよ。何時もながら、大っぴらに信頼してくれたっぽいし。でも、やっぱり無理。今回ばっかりは」
固まっていた私に、芦戸さんはそう言った。
その瞳に宿る決意は、鉄のように固い。
何も言おうとしないが、切島君も同様だ。
だいぶ前から、決めていたようにも見える。
「開会式の前に、轟が言ってたじゃん。USJの一件じゃ後手に回ったけど、優勝は俺が貰うって。ぶっちゃけ全部、あれって私が言いたかった事なんだよね。丸ごとそっくり、先に言われちゃったけどさ」
「……USJの事なら、気にしなくても」
「うん。分かってる。でも、悔しかった」
その刹那で、USJの事をふと思い出した。
私が2度目の気絶をする、直前の事だ。
あの時、私の名前を皆が呼んでいた。
その中には、芦戸の声もあった。
何処か泣きそうな声だった気がする。
朦朧としていたから、よく覚えてないけど。
それに彼女は、脳無との戦いに居なかった。
無論、それは間違ってないし、正しい判断だ。
でも、それが、心に引っかかってたのかもしれない。
人の心までは、どうやっても分からないけど。
「だから今回は、一緒には戦えない。寧ろ今回は戦って、勝ちたいからさ。癒月ちゃんのライバルは轟達だけじゃないって訳。今回こそは、絶対に勝つ。……そういう事だから、ごめん!お互い勝って次に行こうね!」
「おう、悪いな。芦戸には気持ちで負けてるかもしれねぇけど、俺も大体同じだ。どうせなら競い合って、決勝まで行った方が漢だし!俺等はお前に、挑戦するって訳だ!つーことで、他の奴等を当たってくれ」
それならば、私も強くは言えない。
後ろを向き去る2人を、ただ見送るしかなかった。
今思うと、2人を鍛えてから既に1年。
雄英に入学して、数ヶ月の時が過ぎた。
人間が成長するには十分なのかもしれない。
「少し……寂しい気もしますけど」
ともあれ、嘆いても仕方がない。
今は兎に角、チーム決めが優先だ。
幸いにも私のPなら、人は比較的集めやすい。
右往左往している、
思考を回し、気持ちを切り替えなければ。
「おう、爆豪!!俺と組もう!!おめェどうせ騎手やるだろ!?それならおめェの爆破は耐えれる前騎馬は誰だ!!?そう!!硬化の俺だ!!なんてったって、ぜってーブレねぇ馬だ!!奪るんだろ!?
「あっ、ズルい!私も!私も!」
「クソ髪に黒目。てめぇ等、ピンク髪に誘われたんじゃなかったのかよ」
なんか既に……凄く負けた気がするが。
「おい、アンタ。ちょっといいか?」
それから、あっという間に15分が経過。
第2種目における、チーム決めが終わった。
各チームの騎手、騎馬が一斉に並ぶ。
『さぁ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに11組の騎馬が並び立った!!』
『……なかなか、面白ぇ組が揃ったな』
騎手には私。前騎馬にB組の拳藤さん。
後騎馬には、同じくA組の尾白君。
そして、もう一人。
「……一応聞くが、本当にいいんだな?」
「当然です。勝ちに行きます」
「此奴がこう言い出したら無駄だ」
「第1種目よりはマシだから……多分」
「もう既に不安しかねぇ」
2週間前、宣戦布告しに来た人。
普通科の心操人使君。
この3人と一緒に、私は戦っていく。
『さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!』
必ず勝ち上がって、優勝する為。
切島君や芦戸さんと戦う為。
そして目の前の病を、治療する為。
『よォーし、組み終わったな!!??準備はいいかなんて聞かねぇぞ!!いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!3!!2!!1……!!』
「では、皆さん。治療開始です」
『START!!』
何としてでも、勝たせて貰う。