治療狂人のヒーローアカデミア   作:熊田ラナムカ27

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6 医者でヒーローであるが故に

 

 俺は完全にデクに負けた。

 

 彼奴は、俺よりもっと先を見てた。

 

 自分が一番だと、そう思ってた。

 

 皆、俺より凄くないって、本気で思ってた。

 

 でも、現実はそうじゃなかった。

 

 入試の時から、ずっとそうだった。

 

『おめでとう、爆豪少年!合格だ!(ヴィラン)Pが全体トップの77点で2()()!素晴らしいタフネスだった!』

 

 今思えばあそこから全て狂った。

 

 俺の将来設計は何もかもズタボロになった。

 

 井の中の蛙と思い知るには十分だった。

 

『今直ぐ誓いなさい。二度と、机の上に、足を置かないと。でなければ私は貴方に、治療を施します』

 

(そうか……此奴が……ッ!!)

 

 確証なんてこれっぽちも無かった。

 

 それでも本能が、確かに告げていた。

 

 この女が、俺から一番を奪ったって。

 

 でも、女は、俺に興味なんて示さなかった。

 

 彼奴はあくまで衛生環境しか興味なかった。

 

 体力測定で1位になっても憂さは晴れなかった。

 

 どんどん自分が惨めになっていくだけだった。

 

「そろそろ開始の時間だ。見ものだな」

 

「相性的には、ヒーロー側が不利だけど」

 

「でも、私的にはヒーロー側に勝って欲しいな!上着貸して貰ってるし!」

 

 あと少しで第3試合目が始まる。

 

 ピンク髪がヒーロー側の試合だ。

 

 モニターに準備中の彼奴が映る。

  

「切島ちゃんと芦戸ちゃんは癒月ちゃんと同じ学校だったわよね?2人はどんな試合になると思う?」

 

 そんな中で蛙顔はそう尋ねた。

 

 試合直前という事で気になったのだろう。

 

 クソ髪と黒目に視線を向けている。

 

「そりゃあ多分、癒月のワンサイドゲームじゃね?」

 

(ヴィラン)サイドの2人には……少し同情するかな」

 

 そんな蛙顔の質問に2人はあっさり答えた。

 

 揃って遠い目と渋い顔をしている。

 

 まるで先の展開が既に見えているかのように。

 

 彼奴が勝つと疑ってない様子だ。

 

 だが、その返答に対する周囲も反応は渋い。

 

「確かに、癒月ちゃんは実力者だけど」

 

「流石にワンサイドゲームは言い過ぎではないか?同学だからと、贔屓したくなる気持ちは分かるが」

 

「相手は拘束力と時間稼ぎに長けた瀬呂さんに、電気系個性の上鳴さん。個性の相性差が悪過ぎます。ペアの耳郎さんについても同様です。しかも、あの2人が割り振られたのはヒーロー側。情報的有利があるとはいえ……正直、勝つのも厳しいかと」

 

 全部ご尤もな意見ばかりだった。

 

 俺だってポニーテールの意見通りだと思ってる。

 

 そもそもピンク髪の個性は治癒系。

 

 数ある個性の中で回復に特化した希少なもの。

 

 本来なら、前線で殴り合うようなものじゃない。

 

 彼奴の強さはほぼ100%フィジカル由来だ。

 

 おそらく戦闘スタイルは近接主体。

 

 遠距離系の個性相手じゃ超絶不利だ。

 

 しょうゆ顔はともかくアホ面で詰む。

 

 ペアの耳たぶにしたって同じだ。

 

 索敵が出来ても、倒せなきゃ意味がない。

 

「そういう話じゃねぇんだよ。癒月の場合は」

 

「そうそう。あの子に相性とか殆ど関係ないし」

 

「ある意味、オールマイトみたいな理不尽だしな」 

 

「ある意味、あっちの方が……超絶怖いけど」

 

 なのに、クソ髪と黒目は食い下がらなかった。

 

 その言葉には異様なほど説得力があった。

 

 全員の目が2人と同様、遠い目になる。

 

 オールマイトに至っては露骨に顔を青くしている。

 

 さっきの正座事件が思い浮かんだのだろう。

 

 客観的に見て、癒月という女は狂ってる。

 

 後にも先にも、あんな真似をする奴は他に居ない。

 

「俺達、雄英を受けるって決めてからの1年間。癒月に稽古つけて貰ってたんだけど、1回も彼奴に勝てた事ないんだ。2人掛かりで相手になっても」

 

「なな!!?2人掛かりで!?」

 

「個性自体の攻撃力はゼロだし、純粋にフィジカルが強いだけなんだけど、何か凄いんだよね。何があっても倒れないというか、勝てる気がしないというか」

 

「彼奴は正真正銘、漢の中の漢だぜ」

 

「癒月ちゃん、女の子だけどね」

 

 さも当然のように2人はそう語った。

  

 あのピンク髪の勝利を、半ば確信しながら。

 

 そして間も無く、第3試合が始まった。

 

 しょう油顔は階段にトラップを仕掛けている。

 

 下手に触れればまともに動けなくなるだろう。

 

 彼奴のテープは見た目以上に固く、粘着力もある。

 

 正面突破は無理と、普通なら判断するだろう。

 

 しかし、ピンク髪は、迷わずそれを選択する。

 

「………クソがぁ」

 

 その姿は正に、ヒーローそのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

♦♦♦

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、瀬呂。お前、トラップ仕掛けたよな?」

 

「はい。仕掛けてました。突破しましたが」

 

「大量のテープを……張ったのに?」

 

「テープはテープでしょ。全て引きちぎりました」

 

「「普通全部引きちぎれねぇよ!?化物か!!」」

 

 瀬呂君と上鳴君は一緒になって叫んだ。

 

 建物中央階段に張り巡らせたトラップを、こんなにも早く突破されるとは思っていなかったらしい。

 

 テープのトラップは、確かに面倒だった。

 

 瀬呂君の個性由来のものだからか、人一人を持上げれる強度があったし、テープ自体に粘着性があって、一度くっつくと中々剥がれないから厄介そのもの。

 

 下手に飛び込めば容易に身動きが取れなくなる。

 

 しかも、それが階段を封鎖するように、何重にも張り巡らせられ、潜り抜ける事も出来ないなら尚更だ。

 

 だが、そんなもの、私の前では無力。

 

「どんな強力な武器も、使い手がいなければ所詮置き物。そして置き物は、全力の拳か手刀で壊せる。そして私の治療は、誰にも止める事は出来ない。それが世界の常識です。大人しく入院(こうふく)する事をお勧めします」

 

「いや、何その……無茶苦茶な常識」

 

「入院と書いて降伏とは……ならねぇだろ。もうヤダ……彼奴怖ぇ。こっちの常識が全く通じねぇ……」

 

 私は2人に対し入院(こうふく)勧告を行った。

 

 あくまで設定上、彼等は立て籠もりの実行犯。

 

 最低限の手順は踏んでおくべきだろう。

 

 一方2人は、揃って遠い目をしていた。

 

 演技にしてはやけに迫真の表情だ。

 

 罪の意識でも抱えているのかもしれない。

 

 何とも凝った芝居をする2人である。

 

 ヒーローに慄く(ヴィラン)をここまで再現するだなんて。

 

 まぁどの道、訓練なので、治療は行うが。

 

「あー、くっそ、このままだと彼奴のペースになる!こうなりゃ直接捕まえるのは諦めて時間稼ぎだ!」

 

「おうよ!わかった!じゃあこっちは任せた!俺は一緒に来てない耳郎を警戒して……一度部屋に戻る!」

 

「任された!せめて骨は……拾ってくれよ!」

 

 私が返答を待っていると2人は動いた。

 

 上鳴君は私に背を向け廊下を走る。

 

 一方、瀬呂君は私に向かってテープを飛ばした。

 

 2本のテープが私を拘束しようと迫る。

 

 私は咄嗟にステップでそれを躱した。

  

 2人掛かりで掛かって来る気はないらしい。

 

(おそらく、上鳴君の個性で電気を自由自在に操る事は出来ない。あくまで彼に出来るのは体内の電気の放出。一瞬でも迎撃を選択肢に入れなかった事がその証拠だ。不意な感電を気にせず済むのはありがたい)

 

 私は思考を続けながらも構えを取った。

 

 不意な感電がないなら近づくのは容易い。

 

 そんな私に瀬呂君は一瞬たじろいだ。

 

 だが、もう、回避するには遅い。

 

「まずは、目の前の貴方の治療です」

 

 私は再度迫るテープを躱して攻撃をした。

 

 瀬呂君の腹部に拳が直撃し、体を大きく揺らす。

 

 数メートルほど飛んで、彼は膝をついた。

 

 けれど、芯にまで拳は入っていない。

 

「咄嗟に後ろに飛び、威力を殺しましたか」

 

 瀬呂君はどうにか立ち上がり腕を上げた。

 

 足は震えているが、まだ戦うつもりらしい。

 

 その一瞬で、上鳴君の背中は更に遠ざかる。

 

 『核』のある部屋に戻るのも時間の問題だ。

 

「そして貴方。さては捨て駒ですね?」

 

「ああ、そうだよ。とんだ貧乏くじだ。でも、生憎、簡単に負けるつもりはねぇ。格好は悪いが、『核』のある部屋で上鳴が引き籠もれば、ヒーロー側はそれだけで詰む。相性有利な上に状況設定と噛み合い過ぎなんだよな。彼奴の個性。時間制限だってあるし」

 

「まぁ正直、遠距離個性ゲーのガバ訓練ですから」

 

「仮にも女子がそういうこと言うなよ……」

 

 瀬呂君は吐きそうになりながらそうぼやいた。

 

 この試合が始まってから既に8分が経過。

 

 制限時間は15分。残り7分を切ってる。

 

 トラップの突破に時間を取られ過ぎた。

 

「まぁ確かに、私の勝ち目はもうありませんね」

 

 私はあっさり自分の負けを認めつつ頷いた。

 

 だからこその、別行動であり正面突破だ。

 

 最初からまともな勝ち筋などありはしない。

 

 この訓練におけるヒーロー側の勝利条件は2つ。

 

 時間内の『核』の確保か、(ヴィラン)全員の確保。

 

 一見すると、非常に単純明快なルールだ。

 

 だが、これには大きな落とし穴がある。

 

 それは確保対象が『()』であること。

 

 そもそも『核』は、極めて危険な代物だ。

 

 純粋な爆発力と余波で街一帯を吹き飛ばし、放射線物質を10年単位で撒き散らす、正真正銘悪魔の兵器。

 

 そんな危険物がケースにも入れられず、剥き出しで存在する以上、()()()()()()()()()、誘爆のリスクを考慮し、ヒーロー側は()()()()()()()()戦闘を行わなければらず、『核』付近での戦闘は()()()()()()

 

 初訓練とは思えない、重過ぎる枷だ。

 

 一方、(ヴィラン)側はそんな制限一切ない。

 

 彼等の目的自体が何せ『核』の爆破。

 

 寧ろ『核』を攻撃する事は称賛に値する。

 

 何なら『核』を攻撃しまくっても良い。

 

 つまり、(ヴィラン)側は『核』のある部屋を封鎖し、それを盾に引き籠れば、極論それだけで勝てるのだ。

 

 表立って戦闘する必要は一切ない。

 

 今回のようにトラップで時間稼ぎし、上鳴君のような見方を巻き込むレベルの広範囲、高火力の遠距離個性を『核』付近に置けば、一層勝ちは盤石になる。

 

 圧倒的どころか、致命的な構造の欠陥だ。

 

 これが俗に言うクソゲーである。

 

 ただし、緑谷君のような反則勝ちと、轟君のような建物ごとの凍結などについては、例外中の例外だが。

  

(やっぱりあの人……教師としては3流ですね)

 

 私はオールマイトに文句を言いたくなった。

 

 あの人は初回の授業で、何をやらせている?

 

 こんなものはレベル1の勇者が、四天王相手に自らデバフを掛けた上、初期装備で挑むようなものだ。

 

 檜の棒で、どうやって勝てと?

 

 自分が出来るからと人にやらせるな。

 

 誰もこの欠陥に気づいてないだけ奇跡である。

 

 そうでなかったら既に訓練として破綻している。

 

「ですが、私はヒーロー。個人として戦略的に負ける事があっても、(ヴィラン)に負ける事は決して許されない。何があっても、ヒーロー(わたしたち)の勝ちは譲りません」

 

 私は走る上鳴君に狙いを定めた。

 

 彼が向かおうとしている曲がり角。

 

 そこを曲がれば『核』のある部屋だ。

 

 ならば、それを全力をもって邪魔する。

 

「あの、ちょっと。なんで俺を持ち上げてんの?」

 

「今は立場上、(ヴィラン)役を演じてこそいますが、貴方も歴としたヒーロー志望。協力してもらいます」

 

「嫌な予感しかしないから全力でパ───」

 

「これぞ合体必殺!瀬呂ミサイル!!」

 

「人の話を少しは聞けぇぇ!!」

 

 私は瀬呂君を、上鳴君目掛けて勢いよく投げた。

 

 瀬呂君は悲鳴を上げながら、真っ直ぐ飛んでいく。

 

 残酷だが時に犠牲も、正義には付き物だ。

 

「うわっ!?えっ?!な、何っ!??!せ、瀬呂!?何で急に吹っ飛んで来た!?何があった!?」

 

 瀬呂ミサイルは上鳴君に当たらなかった。

 

 僅かに横を通り過ぎ、壁に激突する。

 

 瀬呂君はそのまま白目を剥いて気絶した。

 

 だが、お陰で上鳴君の足が止まった。

 

 私はすかさず近くの壁を拳で破壊する。

 

 彼の尊い犠牲は、決して無駄にしない。

 

「瀬呂がこんなに早くやられるとは想定外だったが、癒月お前は俺に勝てない!殴られる前に電撃を喰らわせられるからな!さぁ、こ──あ、危っねぇ!?そこは近づいて来る流れだろ!石を投げる奴がいる!?」

 

「はい、居ます。今此処に。というか、前提として近距離戦が無理だと分かってる相手に、わざわざ突っ込むような真似する訳ないでしょ。常識的に考えて」

 

「そりゃそうだ!!ご尤も!!」

 

 私は続けざまに手元の瓦礫を粉々に砕いて、幾つもの礫を作り、それを上鳴君目掛けて投擲した。

 

 幾つものの礫が音を立て飛ぶ。

 

 一つ一つが当たれば、確実に気絶する弾丸だ。

 

 まともに受ける事など出来ない。

 

「くっそ!!逃げるしかねぇ!!」

 

 それを前に血相を変えた上鳴君は、未だ気絶している瀬呂君を背負い、必死で近くの部屋に飛び込んだ。

 

 幾つもの礫が体を掠め、壁に激突する。

 

 間一髪で彼は私の投擲を躱した。

 

 これで仕留めるのは流石に無理そうだ。 

 

「しかし、攻守はこれで逆転しましたね」

 

 私は絶え間なく、礫の弾幕を張り続けた。

 

 上鳴君が攻撃に出れないよう部屋に閉じ込める。

 

 さながら銃で敵を釘付けにしているような感覚だ。

 

 FPSのゲームなんてやった事ないけど。

 

 これで彼は『核』のある部屋に辿り着けない。

 

『癒月!あと1分!あと1分だけ持ち堪えて!もう少しで『核』のある部屋に着くから!遅れてごめん!』

 

 その直後、インカム越しに耳郎さんの声がした。

 

 どうやら、トラップに足を取られていたらしい。

 

 だが、それも此処まで来れば問題ない。

 

 残りの制限時間もまだ十二分にある。

 

 最早、彼女を阻むものは何もない。

 

「やっぱ耳郎が最初から本命か!!」

 

 上鳴君は部屋の扉越しにそう叫んだ。

 

 今更気づいても、もう遅い。

 

 あくまで私は囮役。敵を止めるのが役目。

 

 正面突破も敵を引き寄せる為のものだ。

 

 一人で勝つ気など最初から無い。

 

 上鳴君が部屋に戻りさえすれば勝てるように、こっちも耳郎さんが部屋に辿り着けさえすれば勝てる。

 

 全てそういう状況に持って行く為の布石だ。

 

 私は私の役割を全うするのみ。

 

「こうなったら……ヤケクソだ!!」

 

 上鳴君は部屋から飛び出し電気を放った。

 

 その電気は此処まで届かず感電する事は無い。

 

 でも、一瞬、視界を奪うには十分だった。

 

 私は咄嗟に投擲の手を止めてしまう。

 

 その隙を突き、上鳴君は勢いよく私に抱きついた。

 

 視界を奪われたせいで、上手く引き剥がせない。

 

「よっし!!役得!!からの……100万ボルト!!」

 

 上鳴君の体を伝って電撃が流れた。

 

 スタンガンレベルの電流が全身を襲う。

 

 呼吸が止まり、視界が白く弾けた。

 

 意識を瞬く間に奪われそうになる。

 

(だが、此処で気絶したら、確実に負ける。周囲一帯が吹き飛び、大勢の人間が死ぬ。多くの人間が長い時間、病に苦しみ続ける。例えこれがただの訓練であろうと、それだけは……決して許されない)

 

 私は意識を集中させ、筋肉を動かした。

 

 全身の張り詰めた筋肉が、電流を拡散させる。

 

 私の体は常人よりも筋肉の密度が高い。

 

 訓練の過程で、ミオスタチン関連筋肉肥大と近しい特殊体質になり、それを可能な限り鍛えたからだ。

 

 そして私はヒーロー志望であり、医者志望。

 

 人間の人体構造は誰よりも把握している。

 

 守るべき神経の位置ぐらい分かってる。

 

「マジかよ……これで意識飛ばねぇのか………」 

 

 私はどうにかギリギリで意識を保った。

 

 流れたのが対人用の低い電流で助かった。

 

 多少痺れるが拳を振るうのに問題はない。

 

「ヒーローとして、医者として……倒れる理由がありませんので。それとこれは……個人的な一発です」

 

「……治療とは、全然関係ないやつ?」

 

「いきなり抱きつくのは……少しばかり」

 

「……ああ、うん。それは……俺が悪かった」

 

 私は上鳴君の顎にアッパーをかました。

 

 治療とは関係のない、個人的な一撃だ。

 

 あくまで事故だが何となく腹立つ。

 

 とにかく、(ヴィラン)側はこれで全滅した。

 

「癒月、お疲れ。お陰で『核』確保できたよ。どうにか勝ったね。そっちの方は……両方倒しちゃったんだ。流石だわ。……なんで、此奴、満足そうな顔で気絶してるの?やり遂げた……みたいな顔してるし」

 

「どうか気にせず。治療中の事故です」

 

「まぁとりあえず、自業自得なのは分かったわ」

 

『ヒーローチーム!!WIIN!!!』

 

 オールマイトの声がインカムから響いた。

 

 私は自身の体に個性を使って傷を癒す。

 

 半透明なエネルギーが体全体を包み込んだ。

 

 少し経つと疲れとともに、軽い火傷が自然と治る。

 

 今日ばかりは、この特殊体質に尚更感謝だ。

 

 お陰で怪我も軽度のもので済んだ。

 

 次は倒れた2人を治療する番である。

 

「プロになるのも……大変ですね」

 

 私はそんな事をふと呟いた。

 

 だいぶガバかったが、これが実戦だ。

 

 こういう事件も稀だが実際に起きる。

 

 まぁ、とにかく、一先ず勝てて良かった。

 

 いくら設定でも、大量死なんて、起こらなくて。

 

 

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