HOUNDS Archive   作:ナガネギ

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戦闘シーンは難しいです。しかし、書かせていただきます。書きたいので。



第3話 仕事の時間だ

シャーレの先生。全ての生徒の味方という傭兵支援システムか何かと疑うような何とも胡散臭い人が現れ、保証人の欄を埋めてくれた。学生証をもらえて安堵したと思ったら、爆発音が外で響いた。ACのバズーカのような爆発音だ。

 

「"…皆、早速依頼しても良いかな?"」

 

「もちろんです。」

 

去ろうとしていた先生が申し訳なさそうに告げる。先生は銃弾一発が致命傷になるらしい。触れたら潰れて死ぬACと生身ほどではないが、ここキヴォトスは危険な環境と言わざるを得ない。

初仕事。呆気にとられそうになるが、仕事だ。気持ちを切り替えなければならない。

 

──メインシステム、戦闘モード起動

 

心の中でそう呟いて、気持ちを切り替えた。マイクロガンと盾を握り締めると、ACに乗っている時のように、やれる気がしてくる。

 

3人と先生と共に外に出ると、不良と思わしきマスクを着けた人達子が10人ほどと戦車一台が戦車砲を構えて進軍していた。

 

「狐の野郎はいなくなっちまったが、いなくたって十分だ!」

 

「私達にはまだ巡行戦車があるんだ!生徒会の建物数棟占拠すれば、泣いて詫びるだろうよ!」

 

士気は高いようだが、私達をACとすれば、MTと大差ないだろう。

連邦生徒会に恨みを抱いているらしく、真正面から道路に沿って進軍してきている。この前外郭地区を占拠したらしい犯罪者たちの残党だろうか。だとすれば、寄せ集めというほかない。

 

私が前に出て、後ろでイチハとニオがリニアライフルと二丁拳銃を構え、後ろの先生の近くでイチクが迫撃砲を構える。幾度となくやったハウンズの陣形だ。イチハだっている。

 

「何だ?生徒会の走狗かぁ?」

 

「私たちが屈することは無い!鉄の棺桶で送り返してやる!」

 

進軍する戦車と生徒たちの相手の前に立つ。

 

──仕事の時間だ

 

頭の中の声を皮切りに、COMの代わりに声を上げ、作戦行動を開始した。

 

「ハウンズ、作戦行動開始!」

 

「イチク、射撃開始!」

 

会誌と同時に発射したイチクの迫撃砲の号令に合わせ、後ろから飛んでくる迫撃砲と共に走って接近する。

左手で盾を構え、右手でマイクロガンを掃射する。

 

「ミニガンだと!?」

 

「ぐああっ!」

 

何発か当たった敵が倒れ、弾幕で注意を寄せ付ける。向こうのアサルトライフルの弾丸が何発か盾を打つが、構えていれば良いのは楽だ。

弾幕を避けるために何人かが戦車の影に隠れたが、それは悪手だ。

 

迫撃砲と合わせてこちらに目を向かせ、迫撃砲への注意をそらす。

イチクの迫撃砲が音を立てて戦車に接近する。

 

ドォオン!

 

「どわぁあああ!?」

 

「迫撃命中!」

 

「イチハ!ニオ!」

 

迫撃砲が戦車とそこに隠れた奴らをまとめて吹き飛ばした。文字通り何人かが吹き飛び、戦車が煙を上げ始める。

熱くなったマイクロガンの掃射を止め、イチハが横に展開して遮蔽に隠れている敵を撃ち抜いて牽制し、ニオが素早く二丁拳銃を連射して圧力をかけつつ前に出て遮蔽に隠れ、前線を押し上げる。

押し上げた前線に合わせ、私も走って前に出る。獲物を追うのが猟犬だ。

 

「くそ!あのライフルが!」

 

「臆するな!」

 

「クルセイダーの後ろに退却しろ!」

 

「逃がさない。」

 

イチハのリニアライフルがニオと私に気を取られた何人かを刈り取り、電磁加速された弾丸で戦車を揺らす。私も冷えたマイクロガンを再び回し、後ろの奴らより先に戦車に弾丸の雨を叩き込む。

 

「砲塔を動かせ!砲撃しろ!」

 

その声に合わせて戦車が動き出し、砲身がイチハの方を向く。

 

ドォン!

 

轟音を上げて戦車砲がイチハの方へ発射された。盾を前にしてイチハの方を見ると、イチハは潮時と見て一旦下がり、壁に隠れたようだ。

しかし、展開したイチハに砲を向けたのは良いが、頼みの戦車の狙いを私達から話すのは感心しない。

 

「おい、開けるぞ。」

 

「は?」

 

ニオが戦車のハッチに取りつき、ハッチのロックを破壊してハッチを開ける。

 

ダダダダダダ!

 

「ぐああ!」

 

二丁の拳銃を戦車の中に連続で掃射し、乗務員を片付ける。これで戦車は無力化というわけだ。

 

「戦車がやられた!」

 

「クソ…ここは引く…!?」

 

イチクの迫撃砲が不良たちの退路を塞ぐように着弾した。

この隙に私が戦車の横を通り抜け、迫撃砲で立ち往生する不良達に一斉掃射する。

 

ダダダダダダダダダダダダ!

 

「生徒会…どもめ……」

 

「アケミさん…申し訳…も……。」

 

不良達の捕縛が完了した。数分くらいだっただろうか。

やはりMTの群れとほぼ同じだ。脅威ではあるが、苦労はしない。

 

「"すごいね、傭兵って。"」

 

「"ヴァルキューレには私から連絡しておくよ。"」

 

「それほどでも。」

 

イチクの隣にいたで先生が近づいてきた。迫撃砲を撃ったのだが耳は大丈夫そうでよかった。

持っているタブレットを操作し、警察に連絡してくれるようだ。

操作し終えた先生が恐る恐ると言った表情でこちらを向く。

 

「"それでなんだけど……。"」

 

「"報酬っていくら?"」

 

報酬…。正直なところ、質問されるとは思っていなかった。…これならかなり楽だったし、COAMにして5万くらいだろうか。だが、COAMはキヴォトスの通貨ではない。

正直なところCOAMとクレジットで良い落としどころが浮かばないので、何とかできそうなニオに目を向け、耳打ちする。

 

(ACなら多分4、5万COAMくらいだと思うんだけど、いくらって言えば良いかな?)

 

(銃ぶっ放すこと自体はここじゃ普通っぽいから、戦車を加味して多分20万くらいだ。)

 

(それで行こう、頼む。)

 

(了解。)

 

「20万円くらいですかね。安くしときます。」

 

20万円。このばらまき依頼にも満たない程度で一人5万円。ハウンズは小隊な分、一人当たりの実入りは普通の傭兵より少ない。ルビコン星系にいた時も実入り自体はあまり良くはなかった。COAMの残高もあまり多くはなかった気がする。

 

「"あれ、思ったより安いんだね。"」

 

「"どこに振り込めば良いかな?"」

 

シャーレの予算はいくらあるのだろうか。先生は安堵したような顔だ。

 

(もう少し足元見れば良かったんじゃない?)

 

(まあ、初仕事だし)

 

(あんたがそう言うならいいけど。)

 

イチハがもう少し高く請求できそうだったので耳打ちしてくる。仕事の頻度によるが、楽な仕事だったしひとまずこのくらいで悪くはないと思う。

 

「この口座で。」

 

いつの間に作ったのだろう。ニオがウインクしてくる。相変わらず抜け目ない。

 

ニオと先生で報酬の話を進めたあと、アビドスに戻る準備をする。

ひとまずヴァルキューレが来る前にここを離れた方が良いだろう。

 

「それじゃ、先生。また連絡ください。」

 

「"あ、ちょっと待って。"」

 

去ろうとした私たちを先生が思いついたように引き留める。

 

「"皆って、明日時間ある?"」

 

 

***

 

 

「あ、社長。ハウンズの4人、今日は帰ってこないってさ。」

 

「え、何かあったの!?」

 

「仕事だってさ。」

 

「仕事?いきなり!?」

 

スマホのモモトークに届いたメッセージによると、シャーレから明日の仕事を受けたらしい。学生証を取りに行ったはずだが、何があったのだろう。何にしても、学生証は取れたということだろう。

 

「くふふ~。アルちゃんよりしっかりしてるんじゃな~い?」

 

「ぐっ……。もうすぐ前回の依頼主が次の動きを決めるはずよ……!私達だってこの後大きな依頼が来るんだから!」

 

「ま、社長の言う通り今は依頼主の指示待ちだし。」

 

今、私達はイチハを拾う前に受けたある調査依頼の結果を依頼主に渡して、依頼主の動向を待っている。何も好き好んで砂だらけで過疎化しているアビドス自治区の中に事務所を構えているわけではない。

家賃が安くて風紀委員会も来ない、という点では悪くないと思うが。

 

「そ、そういえばあの人達傭兵って言ってましたね……。」

 

「んー。アルちゃん。アビドスを襲う時、手伝ってもらっても良いんじゃない?」

 

 

***

 

 

『ミッションは完了だ。よくやった。』

 

掃討した大豊のMT部隊が目の前に広がる中、向こうからハンドラーが背を向けたまま私に言った。この声を聞くと、嬉しくなる。

 

「ウォルター!」

 

「…イチナ。」

 

振り返ったウォルターの顔は、ウォルターではなかった。ウォルターのような服を着て杖を突いた、先生がそこにいた。

 

「!?」

 

ベッドから飛び起きた。夢だったらしい。先生には感謝しているが、ハウンズのハンドラーはただ一人だと、思う。

 

保証人の欄に書かれたウォルターの文字に先生が何気なく二重線を引いた時、言いようのない喪失感に襲われた。大切なものが無くなっていることに気付いたような、そんな感覚。

…ウォルターはキヴォトスにはいない。慣れなければいけないが、とても、直ぐにはうまくいきそうにない。

 

「貴方もうなされてたわけ?」

 

隣からイチハの声が聞こえた。イチハの方を見ると、イチハの顔にも汗がたれている。

 

「イチハも?」

 

「…うん。」

 

「ウォルターがいないのは、慣れないね。」

 

寝ていたこの場所はシャーレの仮眠室だ。

あの後、シャーレで先生の書類の整理を4人で手伝った後、ここで寝たのだ。ウォルターの手伝いをやったこともいくらかあった分、多少は慣れていたのだが、量が多くて時間がかかったので、先生に甘えてここで寝ることにした。先生の書類の整理は4人でやったから終わったものの、先生一人では到底片付かない量だったように思う。シャーレは活動開始直後と聞く。しばらくしたら落ち着くのだろうか。ずっとこれというのはさすがに寿命を縮めてしまうと思う。

 

「二人とも起きた?レーション…っぽいの買ってきたよ。」

 

イチクとニオが先に起きて朝ごはんを買ってきてくれたらしい。箱の形は見慣れないが、形と箱に書いてあることはエナジーバーに似ている。

 

「なんか色々あったんだけど、よく分からなかったからエナジーバーっぽいのを買ってきた。」

 

「どうせ任務前だしな。」

 

「じゃあ次は私を連れて行って。便利屋の皆と何回かスーパーには行ったから。」

 

少し甘い。味があるのでルビコン星系で任務前に食べたレーションよりおいしい。

イチク達の買ってきてくれたエナジーバーをかじっていると、仮眠室のドアが開く。

 

「"おはよう。"」

 

「"…なんでエナジーバー?"」

 

「おはようございます、先生。」

 

先生が仮眠室に入ってきた。エナジーバーを見て不思議そうにしているが、何かおかしいだろうか?任務前だから当然だと思うが。

 

「"まあいいか。"」

 

「"皆の方の準備は良い?"」

 

先生が続ける。

 

「"それじゃ行こうか。アビドスへ。"」

 

 




これでアビドス本編と合流できます。
…え?対策委員会とハウンズと先生合わせると10人いるんですか?(熱暴走)
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