現代に帰還したら、災厄級の従魔たちまで付いてきた~俺を溺愛するヤンデレ従魔たちの無双が晒された結果、魔王だと勘違いされて大バズりしています~ 作:むらくも航@書籍&コミカライズ発売中
「その疑問には、ここを乗り越えたら最後にお答えしましょう」
「「「ギャオオオオッ!!」」」
魔人が両手を広げると、周囲から魔物が
彼は奥で待つつもりのようだ。
だが、カナタはそれを許さなかった。
「最後に答えるだと?」
「……!?」
カナタは【空間断絶】で壁を破壊。
逃げ道を
「最初の間違いだろ」
「……っ!」
カナタは珍しく真面目な顔付きだ。
魔人が異世界で行った、数々の非道な事を知っているからだろう。
対して、魔人は少し
「い、いけお前ら!」
「「「グオオオオオオッ!」」」
魔物たちは一斉に動き出した。
やはり魔人が操っているようだ。
すると、素早いウルフの一匹がカナタに迫る。
「ギャオッ!」
「──燃えなさい」
「ギャイ~ンッ!」
しかし、ウルフはカナタの目前で燃え尽きた。
信頼していたのか、カナタは一歩も動いていない。
「カナタ君を怒らせるなんて、ほーんと悪い奴ね」
すっとカナタに並んだのは、ルーゼリア。
すでに炎を
「お姉さんがお仕置きしてあげるっ」
それには他二人の従魔も続く。
「主様。周りはココネ達が」
「どれだけ血が流れるのかしら」
「ああ、任せた」
氷で身を包むココネ。
赤い
大量の魔物たちは、従魔三人が相手をするようだ。
《うおおおおおお!》
《本気の従魔大集合!!》
《盛り上がってきたあ!》
《なんか分からんけどやったれ!》
《魔王の幹部(従魔)たち!》
《配下として応援します!》
《こう見ると鮮やかだなあ》
《画面映えエグい!!》
《みんな色違って綺麗~!》
敵の軍勢は、C級下層の凶悪な魔物たちで構成される。
数からしても、ほとんどイレギュラーと言っていい。
しかし──従魔たちには関係なかった。
「【静止世界】」
「「「……ッ!」」」
「この世界にはココネと主様だけで十分です」
ココネは、一帯を“
白銀に包まれたこの空間内では、魔物は動くことさえ許されない。
魔物自身すら気づかぬ間に、勝負は決したのだ。
また、逆サイドでは──。
「【
「「「ギャアアアアアアアッ!」」」
「うふふふっ。お姉さんの舞、美しいでしょう?」
ルーゼリアは、赤い羽根を広げて“炎の海”を創り出した。
その中央上空で舞う姿は、誰よりも美しい。
強く派手に、業火の炎で魔物を焼き尽くす。
さらに、その奥では──。
「【血染めの夜】」
「「「グアアアアアアアアッ!」」」
「あはははっ。血がた~くさんっ!」
エルヴィは、魔物を切り刻み“血の雨”を降らした。
血から生成した棘は、血が出る度に鋭さを増す。
余裕で
どの区画も、もはや戦いになっていない。
《こいつらつえええええ!!》
《まじでお話にならなくて草》
《蹂躙の再来きたあ!》
《ここってC級の下層だよな……?》
《どこまで強いんだwww》
《従魔の本気見れて嬉しいぜ!》
これには一部の熱狂的ファンも大興奮。
《ココネちゃん!ココネちゃん!》
《お姉さんお美しい~!!》
《エルヴィちゃんえっぐ……!》
《ココーネに告白しようと思ってる》
《ユニバーサル大回転お姉さんの舞》
《体温冷めちゃった》
従魔たちの方は全く問題なさそうだ。
ならば、次に視線が集まるのはカナタ。
「お前は逃がさない!」
「くっ……!」
カナタの剣と、魔人の手刀が重なり合う。
スキルなのか、魔人は腕を装甲で固めているようだ。
攻防からも、A級以上には
何度か対等に打ち合うと、魔人はニヤリとした。
「どうした、お前ほどの者が。衰えたんじゃないか?」
「……」
魔人は“勇者カナタ”の姿を知っているのだろう。
対して、カナタはそれに答えず、攻防を続ける。
だが、やがて魔人の腕を弾いた。
「ぐっ!」
「弱くなったって、そりゃそうだろ」
すると、カナタは真顔で言い放つ。
「この剣、レンタル品なんだもん」
「……は?」
先程、下層に移動する際、カナタの愛剣は折れている。
魔物の貴重素材でできた中々の品だった。
しかし、それがなくなった今、レンタルの粗悪品しか残っていない。
勇者時代と力量差があるのも当然だろう。
「あとさ」
ついでに、カナタはずっと言いたいことがあった。
「お前、誰?」
「なっ……!」
カナタはうーんと目を細める。
見た目から魔人とは判断できるが、本人を知っているわけではなかった。
対して、魔人はギリっと歯を食いしばる。
(剣を交えたというのに、覚えていないだと……!)
かつて魔人は、異世界でカナタに敗れている。
だが、カナタにとっては有象無象の一人に過ぎなかった。
何百何千と魔人を倒した末、魔王を討伐したのだから。
すると、魔人は悔しさを爆発させてカナタに迫る。
「ふざけやがってええええ!」
「──丸見えだよ」
「……っ!」
だが、冷静さを欠いた単調な攻撃だ。
【超感覚】で五感が研ぎ澄まされたカナタに、並の攻撃は当たらない。
カナタは回避と同時に、魔人の
「お前には断絶も必要ない」
「がはぁっ……!」
そのままカナタは、剣の持ち手でぶん殴った。
【超感覚】で
魔人は耐えられず、ぶっ飛んだ先で起き上がれない。
「さあ観念するか?」
「だ、誰が!」
「えー、周りも終わったのに?」
「……!?」
カナタの視線を追うよう、魔人も改めて周りを見渡す。
そこには、
立っているのは三人のみだ。
「主様、ココネが一番活躍しました!」
「さすがにお姉さんが一番倒したでしょ?」
「んもぅ、みんな芸術性が無いなぁ」
ココネ、ルーゼリア、エルヴィ。
三人は競うように魔物を倒していた。
結果、ほんの数分にして全滅。
「……っ!!」
残ったのは、地獄絵図のみだった。
《恒例の地獄絵図きたあwww》
《倒した数で競ってんじゃねえよww》
《もう相手として見てなくて草》
《負ける気がしない……笑》
《これでこそ魔王の従魔だな!》
《こいつらに日々付け回されるの怖すぎだろ》
《カナタ君はようやっとる》
《最恐のストーカー達》
《これも愛の重さゆえってか?》
その上で、カナタは再度魔人に目を向ける。
「じゃ、洗いざらい吐いてもらおうか」
「……ぐっ」
そんな時、従魔たちが隣に並んだ。
主のカナタを巻き込んだからか、目には光が灯ってない。
「主様、甘いですよ」
「カナタ君は優しいんだからっ」
「ここはわたしに任せてねぇ」
「え、あの、君たち……?」
カナタが困惑する中、従魔たちはせっせと準備をする。
すぐさま出来たのは、
「氷で吊るしましたよー」
「お姉さんは
「わたしは少しずつ
「た、助けてええええ!」
魔人は、氷で上から吊るされ、下からは火炙り。
身動きが取れない中、エルヴィに体をいじられる。
三つの拷問を同時に受けていた。
《だからこええよwww》
《やりすぎやりすぎ笑》
《まあ主様に攻撃したもんなあ》
《重い愛が攻撃に転じるとこうなる……》
《ヤンデレを敵に回した末路》
《恐ろしすぎて草》
これには耐えられなかったのか、魔人はすぐ声を上げた。
「そ、そのゴウマとやらは私が力を与えました! でも、他の魔人は知りましぇん!!」
「「「本当?」」」
「ほ、ほほ、ほんとですぅぅぅ!」
ジロリと
「本当みたいだ。嘘はついていない」
【超感覚】の恩恵で分かったのだろう。
これ以上聞くことはないと、カナタは魔人の拘束を解いてあげる。
すると、ちらりと目を合わせて一言。
「あとは分かるな?」
「はい……」
魔人は前に倒れると、サラサラとダンジョンに取り込まれていった。
「あ、あざっしたぁ……」
「それでいい」
《最後は自分でやらせるw》
《結局は魔物みたいだからな》
《カナタ君もこええよww》
《魔人くん諦めちゃった》
《やっぱこいつ魔王だろww》
《魔王の所業》
そうして、魔人の終わりを見届けたカナタ。
(魔人までこっちの世界に来たか……)
考えるべきことはある。
だが今は、一旦忘れて倒された魔物の方へと向かった。
「さーて、素材回収回収っと」
《しっかりしてるなあw》
《抜かりない魔王》
《小遣い稼ぎ魔王》
《バイト魔王》
《言うて高校生ぐらいだもんなw》
《俺からも貢げたらなあ……》
《¥240 あれ送れるぞ?》
「え、あれ!」
そんな時、“スーパーチャット”と呼ばれるコメントが流れる。
視聴者がお金を払い、配信者へ収益が届けられるシステムだ。
カナタは配信設定を確認すると、少し前に通知が届いていた。
『あなたのチャンネルは収益化されました』
とにかく配信者の入口を広げるべく、国も収益化を迅速に行っているようだ。
「なんか、収益化が通ったみたいです!」
《まじか!》
《うおおおきたあ!》
《そんなに早いのか!!》
《収益化条件は余裕でクリアしてるもんな!》
《ついに魔王様が!》
《おめでとおおお!!》
収益化が通れば、配信で収入が得られる。
スーパーチャット(スパチャ)や、広告収入が得られるようになるのだ。
結果、配下がスパチャを投げまくる。
《¥5000 魔王様おめでとうございます!》
《¥1000 現金な魔王様へ》
《¥10000 収益化記念でございます!》
《¥780 やっと投げれるぞおおおお!》
《¥8500 この時を待ってたぜ!》
《¥50000 ココネちゃんLOVE^^》
「ぎょ、ぎょえええええ! そんな、皆さんに申し訳ないですよ!」
いきなりの大金が流れ込み、カナタは慌てふためく。
稼ぎたいとは思っていたが、ここまではさすがに申し訳なくなる。
そんな中で、従魔たちはボソッと口にした。
「ココネは良いお肉食べたいです」
「お姉さんも毎日コンビニは飽きちゃった」
「あ、君たちそれを言っちゃ……!」
《¥25000 そいつはいけねえ!》
《¥3000 早く言ってくださいよ!》
《¥15000 これで良いもの食べて!》
《¥24000 お姉さんに捧げます》
《¥30000 エルヴィちゃん合流記念》
《¥50000 実質ココネちゃんへの奢りだね^^》
「やっぱり……」
送られ続けるスパチャに、カナタはさーっと冷や汗を流す。
そんな中、あるコメントに反応した。
《でも嬉しいんでしょ?》
「そ、それはまあ……へへっ」
《かわいいじゃねえか》
《¥500 魔王かわいい》
《¥1000 ったく、あざといぜ》
《¥5500 面白い配信のお礼だよ!》
《¥6000 おねだりが上手だなあ》
《¥50000 ココネちゃんはおじさんが支えてあげるよ~^^》
「うわわっ、そんなつもりじゃなかったのに!」
だが、嬉しいのは本心だ。
ここまでくれば、カナタは素直に感謝することにした。
「あ、ありがとうございますぅぅっ!! 本当にぃぃ!」
《魔王泣いちゃった》
《配下として一生ついていきます!》
《やっぱり子どもでかわいいw》
《情に弱い魔王》
《金に弱い魔王だろw》
《素直でよろしい》
こうして、カナタ達は三人目の従魔エルヴィと合流。
魔人など、いくつか疑問は浮かぶも、最後は彼ららしい締め方となる。
ちなみに、配信終盤にもかかわらず、この日のスパチャ額は100万円を突破。
また新たな伝説を作ることとなったのであった。
現代魔王カナタ。
彼の覇道は続く──。