現代に帰還したら、災厄級の従魔たちまで付いてきた~俺を溺愛するヤンデレ従魔たちの無双が晒された結果、魔王だと勘違いされて大バズりしています~ 作:むらくも航@書籍&コミカライズ発売中
「えー皆さん、世間をお騒がせしてすみません。魔王カナタです」
俺は恒例の謝罪風
でも、最近では一番
《ガチっぽい謝罪来たw》
《久しぶりのガチ謝罪きたあ!》
《本当に世間を騒がせているタイプの挨拶》
「本日は、B級の『
ガチ謝罪なのは、話題になっている事があるから。
昨日、上級探索者のパーティーがここで全滅。
命の危険は無かったが、“幼児退行した姿を配信で
また、その映像の最後には言葉が残っている。
『カナタちゃ~ん。どこに行っちゃったの~』
もちろん俺は心当たりがある。
俺は早速、従魔三人と一緒に足を進め始めた。
「よし、いくぞ」
「はい」「ええ」「うん」
みんなも真剣な面持ちだ。
正体が分かっているからか、
周りの風景は、名前のまんま“渓谷”だ。
すると、少し進んだ先で
「……! あれは!」
ふわっとした柔らかな波動だ。
目に優しい黄緑色をしている。
だが
《なんだ!?》
《誰かの攻撃!?》
《いや、あれってまさか!?》
俺は迫真の表情で従魔たちに叫ぶ。
「まずい、
「「「……!」」」
「ここは俺が食い止める! お前たちは下がれぇ!!」
俺は剣を取り出し、波動を受け止めた。
「う、うおおおおおお……!」
だけど、とても抑えきれない。
勢いが
どこからか感じる温もりも、
「ぐっ、うあああああああああ!」
「主様ーーー!」
限界が訪れ、俺はふわりと波動に包まれる。
同時にだらんと体の力が抜け、頭がぼーっとした。
俺は口は勝手に動く。
「──ばぶぅ」
《カナタ君!?w》
《どうした魔王様!?》
《ばぶぅは草》
《幼児退行したwww》
《やっぱ例の波動だったのかw》
《必死に抑えてたのクソワロタ》
すると、奥の方から声が聞こえてきた。
「カナタちゃ~ん!」
「ハッ、この声は!」
俺は正気を取り戻し、走ってきた人に目を向ける。
黄緑色のミディアムヘアに、温かい目。
見た目は従魔三人よりも年上に見える。
セーターの上から揺れている少しふくよかな体型も、包容力と言うべきかな。
「ミカ!」
彼女はミカ。
俺の従魔の一人だ。
だけど、その呼び方にミカは
「もーカナタちゃんったら。いつもみたいに呼んでいいのよ。ほら、ミカママって」
「いや恥ずいわ」
「ふふっ、照れちゃって」
《ミカママ!?》
《ママさん従魔きたああああああ!!》
《全人類待望の瞬間》
《ミカママこんにちは!》
《やっぱり魔王様の従魔かよwww》
《色々とおっきい……》
《すでに母性がすっごい》
コメント欄は大盛り上がりだ。
話題になっていたからか、すでに30万人が視聴している。
そんな中で、ミカは俺の頭をなで始めた。
「ママって呼んでくれなくなるほど、成長したんだね」
「ちょっ、やめてって」
「頑張った子にはご褒美です」
「……!」
柔らかい声と共に、ミカの胸に抱き寄せられる。
まずい、今は配信中なのに。
ミカにそんなことをされたら──。
「ふふっ、いい子いい子」
「……ママぁ」
《おぎゃったああwww》
《魔王が
《あの魔王が成す術なしだと!?》
《なんて包容力なんだ!》
《このママ強すぎるだろ!》
《ミカママあーーー!!》
《やはりママには勝てないのか》
《僕もよしよしして;;》
《あやされたいです;;》
《癒しをください;;》
《早速ファンが大量発生してんじゃねえかww》
そんな時、ココネがつんつんとミカを突く。
「ミカママ、久しぶり」
「あらココちゃん! 元気にしてた? ほーら、よしよし──」
「やめて」
だが、ココネはミカの手を
そのままムッと反抗の目を向けた。
「いくらミカママでも、主様にべったりし過ぎ」
「あら、ごめんなさい! なにもカナタちゃんを取る気はなかったの」
「そ、そういうことじゃないです!」
「でも……そうね。ココちゃんも大変だったのね」
ミカママはすっと両手を広げる。
「ココちゃんもほら、おいで」
「べ、別にココネは……」
「久しぶりじゃない。遠慮しなくていいのよ」
「……」
つーんとしていたココネも、すすっとミカに寄った。
「す、少しだけなら、あやされてあげます」
「ふふっ。そうそう」
するとミカママは、ココネの背中をトントン優しく叩き始める。
「ココちゃん。ずーっとカナタちゃんを守ってくれてたんだね」
「あ、当たり前だもん」
「ううん、それってココちゃんが頑張り屋さんだからだよ。えらいえらーい」
「…………」
ココネはミカママの
「ママぁ」
《ココネちゃーーーん!w》
《また堕ちてて草》
《母性には抗えないwww》
《甘えた顔かわいい^^》
《ママぁ!》
《ミカママ強すぎるな……》
《兄を取られた妹みたい》
《そういう気分だったのかw》
《どっちもかわええええ》
そんな中、ついに二人が
「「ちょ待てーい!」」
ルーゼリアとエルヴィだ。
二人は鬼の
「よくもカナタ君を誘惑してくれたわね」
「そうよ、わたしのカナタ様なのに!」
「……」
対して、ミカママはふわっと波動を放つ。
先程と同じ技だ。
「【バブみの波動】」
「「……!」」
その瞬間──おぎゃった。
「「ミカママぁ」」
「ふふっ、二人ともいい子にしてたのね」
「「うんっ!」」
《よっわwww》
《お姉さんもかよ!?》
《こんな優しそうなエルヴィ見たことねえw》
《あの従魔たちがあっさり!?》
《特級探索者でも瞬殺だったのに……》
《まだ上がいたとは……》
《戦闘力はともかく正面からじゃ勝てないな》
《予想外の強さだろこれwww》
すると、ミカママは両手を頬の横で合わせた。
「みんな久しぶりだし、ゴロンしてお話ししましょうね」
「「「うんーっ!」」」
こうして、俺たちはミカママと再会した。
相変わらずの破壊力に驚くばかりだけど、従魔たちはさすがに弱すぎだな。
ったく、しょうがない奴らだ──ばぶぅ。
少し経ち。
「カナタちゃんは配信というのをやってるのね」
「そうだよ」
俺はミカママに現代の話を共有していた。
配信やダンジョン関連のことだ。
「頑張り屋さんなのね。よしよししてあげる」
「えへへ」
《膝枕で会話すんのやめてくれwww》
《その態勢どうにかしろ笑》
《ずっとこの光景で草》
《膝枕って一回いくらですか?;;》
《こっちも癒される~》
《今日はもうずっとこれでいいぞw》
俺はコメントにも答えていく。
「今日はこれでいいって? ははっ、もちろんですよ。もう離れられません」
「ふふっ、カナタちゃんったら」
ミカママの膝枕は、言うならば“大自然”。
広く穏やかな草原の中央で、お昼寝している気分になる。
朝のお布団より強い重力だ。
《開き直んなww》
《なんか言葉優しいんだよなあw》
《ミカママが魔王を手懐けてやがるww》
《ダメだ、あまりの包容力に
《後で配信見返して赤面パターンだな笑》
《穏やかな表情ガチでオモロイw》
それから、俺は横に視線を移した。
「ほら、他の従魔三人も見て下さいよ」
「「「ごろーん」」」
ココネ、ルーゼリア、エルヴィ。
三人は能力でシートを
ミカママが甘やかすから、すっかりダラけていた。
《リビングかよwww》
《緊張感なさすぎて草》
《※ここダンジョン内です》
《甘やかされてダメになってらww》
すると、質問コメントも流れてくる。
《ミカママって本当に血が
「従魔ですから
ミカママは答えながら、ちらっとセーターをめくる。
出したお腹には契約紋が刻まれていた。
ミカママは優しい目で続ける。
「でもね。母のような愛情を持って接する。それだけでママと呼んでいいと思うの」
《ばぶばぶ!(そう思う!)》
《ばぶぅ!(俺も!)》
《ばぶぅー(わかるー)》
《おぎゃあ!(そうだね!))
《コメ欄がどんどん幼児退行していくwww》
俺たちは主従の関係だ。
でも、ミカママの愛情は本物だと思う……ばぶ。
「カナタちゃん、よしよし」
「うん! ──って、これは!」
そんな時、ぴくっと魔物の気配を感じ取る。
俺は死に物狂いで母性を振り切り、なんとか体を起こした。
「ママ、あっちから魔物が来るよ!」
「ギャオッ!」
現れたのはA級の『ボアグリズリー』。
さすがはB級ダンジョン、平均レベルが高い。
俺はすぐさま立ち上がろうとするも、後方から優しい声が聞こえた。
「大丈夫よ、カナタちゃん。
「あ、そうなんだ」
「ええ。ボアちゃん、いらっしゃーい」
ミカママは手を広げると、ボアグリズリーは嬉しそうに寄ってきた。
「ギャウッ、ギャウッ!」
「ふふっ、いい子ねー」
ミカママがすでに【バブみの波動】で懐かせていたんだ。
《魔物相手でも通用すんのかよ!?》
《A級魔物を手懐けてて草》
《なんでもアリかよwww》
《どんな母性してんだよww》
《僕も体験してみたいです;;》
《ばぶばぶー!(ママ僕もー!)》
ミカママの母性には、敵も味方も、人も魔物も
誰これ構わず、幼児退行させて甘えさせてしまう。
そして何より、ミカママ自身が無類の世話好きだ。
「カナタちゃんがいない間、みんなのお世話をしていたの」
「ママは相変わらずだなあ」
自らお世話できる者を求め、自ら甘やかしにいく。
まさに“歩くバブみ兵器”だ。
《ママぁ》
《強すぎるwww》
《誰が勝てんだよこれww》
《このままじゃ世界がバブみに染まってしまう……》
《それもまた良い世界じゃないか?》
《ああ、疲れた現代社会にはぴったりだ》
《僕もばぶばぶしたいです》
まあ、ミカママの母性には
なんて思った時、ミカママは魔物から話を聞いていた。
「ギャウギャウ」
「なんですって? 下層にいじめてくる奴がいる?」
「!」
ミカママの優しい目つきが一瞬で変わる。
これはまずい、
すると──
「子どもを傷つける奴は許さないわよ?」
ミカママの背後から、ズズズっと黒い波動が出始めた。