現代に帰還したら、災厄級の従魔たちまで付いてきた~俺を溺愛するヤンデレ従魔たちの無双が晒された結果、魔王だと勘違いされて大バズりしています~ 作:むらくも航@書籍&コミカライズ発売中
<三人称視点>
「下層にいじめてくる奴がいる?」
甘やかした魔物から、話を聞いたミカママ。
優しい目つきは、一瞬にして恐ろしいものへと変わる。
「子どもを傷つける者は許さないわよ?」
同時に、背後からズズズっと黒い波動がにじみ出た。
“怒り”に染まった色である。
《うわあ!?》
《なんだ!?》
《ばぶぅ!?(ママぁ!?)》
《母を怒らせたら怖いよ!》
《一番怒らせちゃいけない人だよ!》
立ち上がったミカママは、パチンと指を鳴らす。
すると、周囲からは魔物たちが出てきた。
全て“
「そいつに言いつけにいくわよ。うちの子に何するんですかって」
「「「ギャウ!」」」(ママ!)
《ママの
《クレームに行くママで草》
《どこまでもママなんだよなあw》
《子どもがいじめられたらな》
《まさにお母さん》
《ママ頼もしい;;》
ミカママは魔物にまたがると、後方にも
「さあ、カナタちゃん達も乗って!」
「「「ばぶぅ!」」」
カナタ達はすぐさま下層へ向かった。
少し経ち、下層。
「あいつは!」
正気を取り戻したカナタが、ハッと声を上げる。
そこにいたのは“魔人”だ。
「ひゃっひゃっひゃ! 地上へ行く前に殺しまくるぜえ!」
「「「グギャア……!」」」
いじめてくる奴というのは、こいつだろう。
闘争を求めているのか、ミカママが甘やかした魔物を
「やはり魔人はひとりじゃなかったか」
「あん? て、てめえは……!」
魔人もカナタ達に気づく。
彼らの
魔人はターゲットをカナタへと変更する。
「ここが会ったが百年目ぇ! 今度こそ貴様を──アヒャッ!?」
「……あ」
しかし、魔人は宙で黒い波動に包まれた。
波動の出所を
その拳はわなわなと震わせている。
「うちの子に続いて、カナタちゃんにも手を出そうとした……?」
「!?」
「親の顔が見てみたいものねぇ……?」
「ヒ、ヒィッ!?」
これはもう一つの母性だ。
ミカママは黒い波動をにじみ出しながら、ふと思い出していた。
(カナタちゃんを傷つける奴は許さない)
異世界でのカナタとの日々を──。
────
異世界、とある日。
(しくしく……)
正確には、この大地に宿る“魂”が泣いていた。
(私はこのまま果てるのね……)
ここは人と魔が争い合い、焼け野原となった場所。
建物はおろか、木々すら一つとして見当たらない。
捨てられた地だ。
そんな地に、すっと一つの花が
「よっと」
(……え?)
すると、花を添えた少年と仲間の会話が聞こえてきた。
「主様、これは一体?」
「俺の故郷に『
少年は、添えた花に水をやる。
「もし魂があったら、なんか寂しそうじゃん」
「なるほど。ではココネ達で明るくしましょう」
「ああ、そのつもり!」
それから、カナタという少年は毎日この地を訪れた。
雨の日も、風の日も。
この地に語りかけるように。
「お、花が増えてきたな」
「今日は
「頼りになる吸血鬼が仲間になったよ。怖えけど」
ただの気まぐれか、“スピリチュアルな俺かっけー”と
カナタの考えは定かではないが、この日々は大地に元気をくれた。
そうして月日が経つと、大地は息を吹き返していた。
一面に花々が咲き誇り、豊かな自然が
まさに“母なる大地”と言えるほどに。
すると、大地は想う。
(少年にお礼をしたい。あと──どうしても甘やかしたいっ!!)
その原点となる想いを。
(あのあどけない顔も、優しいところも、ちょっとイタいところも! あーもう甘やかしたくてしょうがないのっ!)
その強すぎる想いは、形となって現れた。
「やっと会えたわ」
「うわあっ!?」
母なる大地の力が集約し、“精霊”として具現化した。
ミカ誕生の瞬間である。
「私は“母なる大地”の具現化。つまりママよ」
「ちょっと何言ってるかわかんない」
「よろしくね。カナタちゃんっ」
「だから誰ぇ!?」
いきなり出現したミカに、カナタは動揺した。
──しかし、ほんの数十秒後。
「これから一緒に冒険しましょうねえ」
「ママぁ」(いいよぉ)
カナタは余裕で
ミカママ誕生の瞬間である。
こうして、ミカママはパーティーに参加、後にカナタの従魔となるのであった。
そして、カナタが処刑された後。
「カナタちゃん。待っててね」
処刑に怒り狂ったミカママだが、ココネ達の話を聞く。
それに続こうと、エルヴィが革命が起こした国へ向かった。
国はすでに勇者カナタの名誉を復活させ、良い方向へ進んでいる。
「ミカ様、こちらでございます」
「ありがとう」
勇者の従魔であるミカママも、召喚回路へ
あとは召喚を発動させる魔力を込めるのみだ。
ミカママが取った手段は──おねだり。
「【バブみの波動】」
「「「……!」」」
万物を幼児退行させる波動を広げ、国民を巻き込んでいく。
幼児退行の流れは
そこで、ミカママは呼びかける。
「少ーしだけ、ママのお手伝いしてくれる?」
「「「ばぶぅ!」」」(いいよぉ!)
ミカカマは、全国民から魔力を少しずつもらった。
また、具現化した大地の魔力を合わせる。
それだけで十分すぎる魔力が集まった。
「ママが迎えに行くからね。カナタちゃん」
そうして、ミカママは世界を渡った。
────
異世界の出来事を思い出し、ミカママは想いを強める。
(もう二度とカナタちゃんを失わない……!)
ミカママの種族に名前を付けるなら『
そして、自然は時に“牙を向く”。
「【怒りの波動】」
「……ッ!?」
黒く
我が子を傷つける者に牙を向けた、ミカママのもう一つの母性である。
これに包まれた者は、自然の
「ぎゃあああああああっ!!」
何百年もの間、波動の中で嵐に
正確には、それと同等の精神ダメージを受けるのだ。
「がはぁっ……ず、ずみませんでしたぁ」
黒い波動から解放された魔人は、廃人のように地面に伏した。
《精神的に殺すのかよ!!》
《怖すぎるだろwww》
《これが本気のマッマ(;゚Д゚)》
《怖すぎておぎゃあ!》
《ママを怒らせちゃいけない……》
《良い教訓になりました》
《素直に従うから癒されたい;;》
それには、従魔三人すらもドン引きする。
(((ママこわい……)))
戦闘力では三人が勝っているだろう。
それでも、ミカママは決して敵に回したくない相手だ。
すると、カナタは魔人を持ち上げた。
「さっき地上がどうとか言ってなかったか? あれは何の話だ」
「シテ……コロシテ……」
「精神が壊れたか。ミカママ」
「えぇ!」
受け答えができない魔人に、ミカママは【バブみの波動】を当てる。
すると、おぎゃった魔人はペラペラと話し始めた。
「魔人ちゃん、地上がどうしたのかな?」
「うん、えっとねー!」
幼児退行により、警戒心が消えたのだ。
《廃人と幼児を自在に操るのかよ!?》
《これは中々にエグい……》
《究極のアメとムチだなww》
《やっぱり恐怖映像で草》
《
《ママもサイコパスだった;;》
《精神系の能力怖え……》
だが、言い放ったのは衝撃的な言葉だった。
「俺のアニキが、他の魔物を連れて地上に行くんだって!」
「「「……!?」」」
これにはカナタ達も顔を見合わせる。
「なっ、地上だって!?」
「ですが主様、魔物は地上に出られないはずでは!」
「ああ、検証したはずだ」
魔物にとっては、現代の大気が有毒のようだ。
先日、エルヴィが強制的に魔物を連れ出そうとしたところ、討伐時のようにサラサラと灰になって消えた。
すると、魔人から回答を得られた。
「なんかー、人型になると耐性ができるんだって」
「「「……!」」」
そこで
同じ異世界出身でも、従魔たちは人型だから地上で生きられたのだ。
ならば魔人も同様であり、予想もつく。
(俺の
そうして、魔人は死期が近づいたのか、最後に正気を取り戻した。
「フッ、もう遅いぜえ?」
「なんだと?」
「あの方はすでに動き出している」
魔人はニヤリと笑った。
★
同時刻、地上。
──ドガアアアアアアアッ!!
「「「……!?」」」
ダンジョンの入口付近から、大量の魔物があふれ出した。
本来は地上で生きられないはずの魔物が。
三か所もの場所から同時に。
「「「グオオオオオオオオッ!!」」」
「「「きゃああああああああ!!」」」
魔物が地上に出現すれば、一般人も巻き込まれる。
人々が大騒ぎになるまで、一秒もかからなかった。
そして、どこかの潜む、ひとりの魔人。
「フハハハ、さすがは勇者カナタのスキルだ! こうも簡単にいくとは!」
彼は、“異世界の魔王軍”で四天王の一人だった者だ。
彼が仕掛けを
結果、魔物は地上を侵攻し始めた。
「始めようか。この世界の
★
再び、カナタ達の場所。
「なっ、なんだって……!?」
カナタの配信画面に緊急速報が流れていた。
たった今、魔物が地上に出現したというのだ。
今までにない事態に、コメント欄も激しくなっている。
《え、これ現実なの?》
《フェイクとかじゃなくて?》
《いや現実だぞ!ガチで起こってるんだよ!》
《他の配信でとんでもないことなってるぞ!》
《マジでやばいって!》
《なんで魔物が地上に出てんの!?》
《嘘だろ、俺の実家の近くじゃん!》
《ちょっと止めなきゃまずくね!?》
ダンジョンの入口付近は関連施設が並び、探索者たちがいるだろう。
それでも、全てに対処できる保証はない。
人々が恐怖するには十分すぎる事態だ。
すると、死にかけの魔人は言葉を残す。
「始まったみてえだな!」
「お前、これはどういうことだ!」
「さあな。あとは地獄で見守らせてもらうぜ。ガルドル様の勇姿をな」
そうして、魔人はサラサラと消え去った。
「カ、カナタちゃん……!」
「ああ、決まってる」
対するカナタは、すっと立ち上がる。
「
現代の魔王の誇りにかけて。
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