現代に帰還したら、災厄級の従魔たちまで付いてきた~俺を溺愛するヤンデレ従魔たちの無双が晒された結果、魔王だと勘違いされて大バズりしています~   作:むらくも航@書籍&コミカライズ発売中

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第28話 真のココネ

 「お覚悟を」

 

 過去を乗り越え、覚醒したココネは、ガルドルへ向き直る。

 従魔でも“最強”という潜在能力(ポテンシャル)を解放して。

 すでに強かったココネが、さらに一段階上のレベルに到達した。

 

 ココネを取り返したカナタも、ようやくと言わんばかりにガルドルへ目を向ける。

 

「だってよ、ガルドルさん」

「……っ!」

 

 他二地点の魔物は全て沈めた。

 残りはガルドルと、わずかな魔物のみ。

 完全に追い詰めたと言っていいだろう。

 

《ココネちゃん帰ってきたああああ!》

《俺たちのココネたんをよくもやったな?》

《このクズ魔人ガチで許さねえ》

《覚悟しとけよ》

《やっちゃってください、ココネちゃん!》

《僕たちは見てますので!》

《思う存分やり返したれ!》

 

 同接200万人に到達する勢いの視聴者も、ココネの帰還に歓喜している。

 熱狂的ファンも希望を取り戻したのか、コメントはありえない速度になっていた。

 

 対して、唇を()みしめたガルドルは、左右へ両手を広げる。

 

「こ、こんなところでぇ!」

 

 そのまま溜めた魔力を周囲に放った。

 だが、やけくその単調な攻撃だ。

 今さら通用するはずもない。

 

「周辺ごと吹っ飛びやがれえええ──」

「【絶対零度(アブソリュート・ゼロ)】」

「なっ……!」

 

 ガルドルの技自体(・・・)が宙で凍り付く。

 ココネが槍を一振りしただけで、魔力の運動を止めたのだ。

 覚醒したココネの制圧力の前には、技すら打たせてもらえない。

 

「あなたに容赦(ようしゃ)はありません」

「……!?」

 

 ココネはバサッと翼を広げ、上空へと昇る。

 氷を(まと)った翼は陽に照らされ、(きら)びやかな白銀となっていた。

 その美しい姿は、さながら天使のようだ。

 

《ココネちゃん綺麗!!》

《キラキラだあ~!》

《かっこかわいい!!》

《ココネたん神々しい》

《天使みたい……》

《天使のココネたんだ!》

《は?元から天使なんだが?》

 

 配下も、良くも悪くも盛り上がっているようだ。

 これもココネが帰ってきてくれたからこそ。

 そのまま陽を背に、ココネは鉄槌(てっつい)を下した。

 

「終わりです──【氷塊の天罰(アイス・ジャッジメント)】」 

 

 天より(ひょう)(かい)が降り注ぐ。

 まるで流星群のような勢いだ。

 

「ごあああああああああああっ!?」

 

 ガルドルは(かわ)す隙間すらない。

 その翼や体が見事にもがれていく。

 

 ガルドルも異世界魔王軍の四天王だ。

 それなりの強さを持っているはず。

 しかし、ココネは圧倒している。

 

「もう主様への想いは止められません」

「……ッ!」

 

 ココネの唯一の弱点は、おとなしい性格だった。

 それがなくなり、もう手のつけようがない。

 ガルドルは失墜(しっつい)する態勢を整える中で、激しく顔を(ゆが)める。

 

(ここまでなのか、従魔ココネ! それに──)

 

 ガルドルはチラリと視線を移す。

 

(これを従える勇者カナタ……!)

 

 ガルドルは身を(もっ)て脅威を再認識する。

 

 カナタが力を失ったと聞き、またとない絶好の機会だと考えた。

 だが、結果は自らの失態により、目覚めさせてしまった。

 “真のココネ”という化物を。

 

 しかし、ガルドルもタダでやられるわけにはいかない。

 先遣隊としての使命を果たすために。

 

魔物(お前)たち! 私を守らんか!」

 

 なんとか態勢を持ち直し、ガルドルは周りに指令した。

 ここ西入口の魔物はまだ残っているはず。

 だが、一向に返事が無い。

 

 代わりに答えたのは──従魔たちだ。

 

「魔物ってこれのことかしら?」

「もう血に染まっちゃってるけど」

「ママって怒ると怖いのよ」

 

「んなあ……!?」

 

 ルーゼリア、エルヴィ、ミカ。

 それぞれの特性を生かし、残りの魔物も倒していた。

 これで西の魔物も全滅だ。

 

《お姉さーん!!》

《エルヴィの返り血が怖えって!w》

《怖い方のママだぁ( ;゚Д゚)》

《まだこいつらもいるんだよなあ……》

《戦力万全すぎて草ぁ!》

《改めて考えたら強すぎるwww》

《さっきまでが嘘みたいだぜ》

 

 そして、ガルドルの後方から声が聞こえる。

 

「そういうわけだ」

「……ッ!」

 

 迫ったのは──カナタ。

 ココネが作った氷の道を渡っている。

 これもロメンシリーズの装備を使いこなしているからこそ。

 

「お前は仲間に恵まれなかったようだな」

「この……!」

 

 ガルドルも両手で防御の態勢を取った。

 だが、カナタは構わず剣を振り下ろす。

 その防御無視の能力を使って。

 

「【空間断絶】」

「──ガハァッ……!」

 

 一刀両断だ。

 ガルドルの体が真っ二つに割れる。

 

《うおおおおおおお!》

《よっしゃああああ!》

《真っ二つきたあ!》

《さすが魔王様あ!》

《ココネたん強かったぞ!》

《ココネたん!ココネたん!》

《ありがとおー!!》

 

 すると、ガルドルの中から光が浮かび上がった。

 カナタのスキル【(きょう)(そう)】だ。

 それは本来の場所に戻る様、カナタに胸に灯る。

 

「返ってきたな」

 

 これで討伐完了。

 ──と思われた時だった。

 

「ふざけ、やがってえええ!!」

「「「……!」」」

 

 ガルドルが声を上げる。

 さすがは魔人と言うべきか、脅威の生命力だ。

 死ぬ直前にあがくように、ガルドルは別れた体でそれぞれ腕を広げる。

 

「他を信じた私がバカだった! 結局【共奏(これ)】は、こういう使い方が一番であろう!?」

「これは……!」

 

 それに呼応するよう各地から魔力が集まってくる。

 方向はダンジョンの入口三カ所。

 カナタ達が討伐した魔物たちの魔力だ。

 

(残り火があったか……!)

 

 これも【共奏】の効果によるもの。

 能力の共有ができるならば、全て自分に集める(・・・・・・・・)ことも可能だ。

 【共奏】が完全に失われる前に、ガルドルは最後にスキルを行使した。 

 

 すると、ガルドルの体が再生していく。

 復活するだけの魔力が集まったのだ。

 

「ふははは、力の高まりを感じる」

 

 そして、体が完全に再生。

 ガルドルは宙でむくりと起き上がった。

 

「素晴らしい。これが真の力か」

「「「……!」」」

 

 同時に、ドクンと大きな鼓動を(ひび)かせた。

 魔力に加えて、能力なども強奪している。

 とてつもない存在感だ。

 

《はあ!?》

《魔物の力を吸収したのか!?》

《なんなんだよこいつ!》

《倒したんじゃなかったのかよ!》

《いや、でも魔王様なら!》

《いけるか……?》

《頼むって!》

 

 視聴者にも動揺が走っている。

 それもそのはず、これはダンジョンではなく地上で起こっている。

 ここでカナタが敗北すれば、そのまま侵攻が再開されるのだから。

 

 対して、カナタは一言告げた。

 

「お前は何も分かっちゃいない」

「なんだと?」

「俺が教えてやるよ」

 

 再び剣を片手に。

 

「【共奏】の使い方ってものを」

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