現代に帰還したら、災厄級の従魔たちまで付いてきた~俺を溺愛するヤンデレ従魔たちの無双が晒された結果、魔王だと勘違いされて大バズりしています~   作:むらくも航@書籍&コミカライズ発売中

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第30話 魔王だと勘違いされています

<カナタ視点>

 

「こ、こんにちはー。世間をお騒がせしてすみません」

 

 告知していた時間になり、俺は配信を開始した。

 

《きたああああ!》

《今日も謝罪風ありがとう》

《昨日の配信終わりから待ってました》

 

 コメントはすぐに(あふ)れた。

 でも、予想通りの内容がたくさん見られる。

 

《魔王とは名乗らないのか?》

《魔王って自己紹介してください;;》

《あれで魔王じゃないは嘘でしょ~》

 

「は、ははは……」

 

 俺は名実ともに魔王になってしまった。

 今までは半分ノリだったのに、もう引き返せないレベルにまで。

 決め手となったのは、あの一件。

 

 数日前、ガルドルが魔物を連れて地上に侵攻した。

 後に『魔物侵攻』と名付けられたそれは、最後は俺たちが解決したんだ。

 その様子から、魔王の名が完全に確立されてしまった。

 

 そして極めつけは、あれだ。

 

《こっちの魔王は俺一人で十分だ》

 

「うわああっ! それやめてください!」

 

 つい勢いで言ってしまったセリフが、絶賛SNSで大流行している。

 冷静になって見返すと恥ずかしすぎる。

 魔物侵攻の翌日からも配信をしているが、まだこの流れは止まっていなかった。

 

《それってやってほしいってこと?》

《¥5000 こっちの魔王は俺一人で十分だ》

《¥10000 こっちの魔王は俺一人で十分だ》

《¥20000 こっちの魔王は俺一人で十分だ》

《恥ずかしがってるのかわいいw》

《かっこよくて真似してるんですよ()》

《ちょっとイタいのは内緒な》

 

「……も、もういいですよお」 

 

 うん、明らかにイジられてるね。

 俺は赤面したまま目を逸らすことにした。

 そんな中で、今回の配信へのコメントが。

 

《ここはどこなんですか?》

 

「そうですね、そろそろ本題に入りましょう。今日来たのはなんと、焼肉屋さんです!」

 

 俺が手を広げると、カメラが引きで(とら)えてくれた。

 配信に訪れていた焼肉屋さんが(あら)わになる。

 

《焼肉だと!?》

《今日はグルメ配信か!?》

《だからちょい遅めなのね》

《焼肉と言えばあれ思い出すわw》

《食べ放題出禁伝説な》

《あの伝説が再び!?》

 

 やっぱり配下にも思い当たりがあるようだ。

 すると、店の大将が姿を現す。

 

「これが魔王様の配信ですかい! すごいですな!」

「いえいえ。それよりも、お願いします」

「了解ですぜ」

 

 俺が言葉を(うなが)すと、大将は自信満々に言った。

 

「今日は魔王軍の皆さんを、腹いっぱいにしてやろうかなと!」

 

 今回は店を貸し切っての企画配信だ。

 その名も『食べ放題チャレンジ』。

 これは大将から提案いただいた企画だ。

 

 浮遊型カメラは、俺の隣から人を映していく。

 

「ココネです。今日は大将の顔を凍り付かせます」

「お姉さんよ。店を火の車にしますっ」

「エルヴィ。大将から血の涙を流させてあげる」

「ママです。絶望した人を(いや)すのが楽しみです」

 

《従魔きたああああ!》

《伝説を生で見れるのか!?》

《自己紹介こわすぎwww》

《大将さん大丈夫か!?》

《一言が全員終わってるってw》

《ちょっとうまいこと言うな笑》

 

 また、ゲストも呼んでいる。

 カメラが奥の方を映すと三人を捉えた。

 リラさん、ジジヤさん、ロメンさんだ。

 

「私も参戦します!」

「久しぶりにたぎるわい」

「ココネたんと一緒に食事とは。今世にもう悔いはない」

 

《リラちゃーーーん!!》

《黄昏のジジヤが食事配信!?》

《ロメン相変わらずキモくて好き》

《魔王軍大集合!》

《箱推しとしては嬉しい》

《みんなのおかげで侵攻守れたもんな》

 

 豪華なメンバーを前に、俺は改めて確認した。

 

「大将、本当にいいんですよね?」

「そりゃもう! 遠慮せずにじゃんじゃん食べてくれ!」

 

 大将がここまでしてくれるのは、“お礼”と言っていた。

 

 魔物侵攻があったのは、紅蓮ダンジョン。

 その付近に、大将の娘さんが住んでいるそうだ。

 それを救ったお礼として、事務所に企画案が届いたという経緯がある。

 

 あの“食べ放題出禁伝説”ともかけているんだろう。

 大将も宣伝込みとはいえ、俺たちも嬉しい限りだ。

 ここはありがたく頂こうと思う。

 

 でも、すでに嫌な予感がする。

 

「だがまあ、全部は食べきれんだろうなあ?」

 

 大将は挑発的なニヤリ顔を浮かべながら、前菜を運んでくる。

 しかし、その瞬間に前菜が消えた(・・・)

 

「「「おかわり」」」

「なにいー!?」

 

 従魔たちが一瞬で平らげたんだ。。

 さらに、前回の食べ放題は“三人”で出禁になった。

 何を隠そう、実はミカママが一番(・・)食べる。

 

「ん~、おいしいっ!」

「一口でかあっ!?」

 

 その食べっぷりには、大将ですら驚くほどだ。

 

《前菜が消えた!?》

《ファッ!?》

《これが伝説なのか!?》

《動きも早いせいでガチで消滅してるwww》

《ミカママが意外と豪快なのかよ!!》

《ママはたくさん食べるからなあ》

《これはますます推せる》

 

 すると、ゲストたちも負けじと食べ始めた。

 

「わ、私も頑張らないと!」

「若い連中には負けられんわい」

「ココネたんの(はし)になりたい」

 

 反対に、大将は早速顔を引きつっている。

 

「は、はは、これぐらいは序の口よ。序の口……だよな?」

 

 そのまま急いで(ちゅう)(ぼう)へ戻って行った。

 だから大丈夫ですかって確認したのに。

 

「ま、俺も食べていきますか」

 

 そんなこんなで、本日の配信は始まった。

 しかし、このメンバーで普通に進行するはずもなく。

 

 

 ルーゼリアが暴走したり。

 

「お姉さんが焼いた方が早いわよ。えいっ」

「アホーーー!」

 

《火力火力www》

《燃えてるってえええ!》

《カナタ君が【超感覚】で火消し氷を差してるww》

 

 

 ジジヤさんとミカママが、酒飲み対決をしていたり。

 

「なっ、三分で三十杯じゃと……?」

「うーん。酔いは一割ってところかしら」

「か、完敗じゃ……」

 

《ママつええ!?》

《ペースがばけもんすぎwww》

《これで一割……?》

 

 

 リラさんがあーんしてきて、それをエルヴィが阻止したり。

 

「カナタさん、あーん」

「百年早いわよ。小娘が」

「えっ、肉が消えた!?」

 

《なんか赤いトゲが見えたぞ!?》

《エルヴィがリラちゃんの肉盗んだのかww》

《これは強敵》

《許されなかった……》

 

 

 相変わらず、ロメンさんはココネに認識されてなかったり。

 

「ああ、神よ。あの時はありがとうございました」

「主様。一般人が(まぎ)れこんでます」

「ああ、そんな罵倒(ばとう)もお美しい」

 

辛辣(しんらつ)なココネたん》

《記憶から消してる?w》

《一応装備作ってもらったのにww》

《ロメンも嬉しそうな顔してて草》

 

 

 

 

 そうして、配信も(ちゅう)(ばん)

 一旦(さわ)がしい流れも落ち着き、みんなが思い思いに過ごしていた。

 

 俺の隣では、ココネがミカママにあやされている。

 ママのお膝でおねんねタイムだ。

 

「ママぁ」

「あらあら、ココちゃんったら。おねむになったのね」

 

《いい空間だあ》

《癒されるう~》

《ママ僕もあやしてー》

《ママぁ!》

《ココネたんの寝顔天使すぎる》

《ココネちゃんモエー》

 

 だが、ふとココネは目を開いた。

 

「あ、主様……」

「ん?」

「ココネは催眠にかけられてしまいました。うわあっ!」

「ちょ、ココネ!?」

 

 嫌な記憶が(よみがえ)って駆け寄るが、ココネはふっと笑う。

 

「もう、冗談ですよ。二度とあんなものかかりません」

「それまじでやめてね!?」

「主様はココネを信じてないんですね。ぷいっ」

「わ、悪かったからー!」

 

 すると、ココネは再度ミカママの膝に収まった。

 

《ダークココネw》

《冗談も言えるようになったね》

《か、かわいい……》

《ぷいっで悶絶(もんぜつ)しました》

《ミカママの膝に戻った笑》

《¥50000 おじさんはココネちゃんの新たな一面が見れて嬉しいよ^^》

 

 いわゆる“ダークココネ”だ。

 魔物侵攻以来、ちょくちょく出るようになった。

 少し怖い冗談を言う時もあるが、距離が縮まったと思うことにしよう。

 

 また、ルーゼリアとエルヴィは熱く語り合っていた。

 この店のお肉についてだ。

 

「これは中々お姉さんの口に合うわね」

「へえ、ルーゼもやるじゃん。わたしもそう思ってたんだよね」

 

 すごく美味しいけど、この店のお肉は特に高くない。

 食べ放題なので当然だ。

 そんな二人の様子は、微笑(ほほえ)ましく見えるようだ。

 

《食べ放題の肉なんだよなあw》

《美味しいのは知ってるけども笑》

玄人(くろうと)顔で語ってて草》

《微笑ましくてかわいい》

《最高の宣伝してるじゃねえかww》

《魔王様、高いお肉連れてっちゃダメだよ……》

 

 この平和な光景を見ながら、改めて考える。

 

「……」

 

 従魔が次々に現れて、そりゃもう大変だった。

 

 いきなり魔王だと勘違いされるし。

 最初から謝罪配信するハメになったし。

 いつでもどこでも(じゅう)(りん)を始めるし。

 

 とにかく滅茶苦茶で、とにかく苦労して──とにかく楽しい(・・・)日々だった。

 

 まだまだ気になることはある。

 魔人関連、俺の他の能力、何より魔王復活の手段だ。

 どれもこれから考えていかなければならない。

 

 だけど、ここは現代。

 俺が好きに過ごして良い場所なんだ。

 そんな場所に従魔たちが訪れて、心から思う。

 

──現代に付いてきてくれて良かった。

 

 みんな災厄級の従魔たちだ。

 でも、みんな大事な仲間だ。

 言いたいことも、伝えたいこともたくさんある。

 

 だけど、自然とまとまった。

 

「みんな、ありがとうな」

 

 この一言に尽きる。

 たとえ、みんなのせいで魔王だと勘違いされてもな。

 

 ちなみに、店の在庫は見事に消滅。

 食べ放題チャレンジは完勝し、大将には「しばらくは勘弁してください」と涙目で言われたのだった。

 

 

 

 第一章 完

 




ご愛読ありがとうございます!
これにて、第一章『魔王だと勘違いされています』は完結です!

ここまでのお話を読んで、

「これからもカナタ君を応援したい!」
「カナタのチャンネル登録をしたい!」
「もっと仲間の魅力を知りたい!」

などなど思ってもらえましたら、ぜひ高評価をお願いします!
応援して下さる気持ちは同じなので、実質チャンネル登録ですね!

引き続き第二章も続きますので、ぜひお楽しみください!
第二章は1日空けて、3/26(木)7:06から更新していきます!
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