現代に帰還したら、災厄級の従魔たちまで付いてきた~俺を溺愛するヤンデレ従魔たちの無双が晒された結果、魔王だと勘違いされて大バズりしています~ 作:むらくも航@書籍&コミカライズ発売中
青玉ダンジョン、中層。
「お。あれはレッドウルフ──」
「ギャインッ!」
「……」
魔物を見つけるも、一瞬で焼き尽くされた。
俺は真顔になりながらも視線を移す。
「あっちはメイジゴブリン──」
「ギエエッ!」
「…………」
ただし、次の魔物は凍り付いた。
倒したのは、もちろんルーゼリアとココネだ。
ふうと一息つき、俺は口を開いた。
「君達もうちょっと待ってくれない!?」
「「あ」」
ダンジョン探索へと移り、少し。
俺たちは中層まで足を進めた。
でも、一つ問題が発生している。
「一回後ろ見てみ! まるで原型がないよ!」
「「……」」
振り返ると、荒廃した地。
魔物はおろか、ダンジョンすらも変形していた。
問題はこれ。
うちの従魔が強すぎる。
ここまで一ミリも苦戦する気配がない。
「もっとこうおしゃれに倒すとか、解説を入れながらとかさ……」
昨夜、『配信初心者向け講座』で勉強してきた。
その動画によると、強さに加えて工夫が必要らしい。
縛りを入れたり解説をしたり、時には可愛く振る舞ったり。
だけど、これじゃただの
「こんな配信じゃ──って、あれ?」
《ここまで強いと逆に面白いわw》
《振り切れてて良い笑》
《ハラハラしなくていいw》
《安心して見てられる》
《二人とも張り切っちゃうのかわいい》
《主様のためだもんな》
《ココネちゃんこっち向いて~》
意外とウケてる?
配信映えを考えすぎたのは
伸び続けて15万人に達しそうな同接が、それを物語っている。
そういうことなら──俺は真っ直ぐ指を突き出した。
「よーし、いけいけぇ! 二人ともやっちまえ!」
「はい主様!」
「任せてっ♡」
「「「ギャアアアアッ!」」」
《急に調子良くて草》
《カナタ君も単純なんだよなあw》
《手の平返すのかわいい》
《お前は戦わないのかよ!w》
《一瞬で火の海になって草》
《反対は氷の世界w》
《終末の光景に変わったwww》
《魔物が不憫すぎるww》
《上級探索者が泣いてます》
力を解放したのか、二人は一層魔物を蹂躙し始めた。
俺たちは勢いに乗ったまま、ぐんぐんと奥へと進む。
「!」
そんな中、ある場所でピリっと辺りの雰囲気が変わる。
どこか
覚えのある重苦しさを感じていると、正体はすぐに現れた。
「ヴオオオオオオオ!!」
「「「……!」」」
ボガアッと岩壁を壊して出現したのは、巨大な魔物。
魔力の
その姿に、コメント欄は一気に加速する。
《まさかエーテルソルジャー!?》
《超激レア魔物じゃねえか!》
《けどめちゃくちゃ強えぞ!》
《希少だから戦闘データも少ないし》
《A級だっけか?》
《うわ初めて見た》
《二人に触発されて出てきたんか!?》
A級魔物のエーテルソルジャー。
やっぱり
理由はいくつかある。
「我はレア魔物にして最強の剣士──ギャアアアアアア!」
「「邪魔」」
「あ」
でも、言葉は途中で悲鳴に変わる。
言わずもがな、ルーゼリアとココネに瞬殺されたんだ。
半分は炎で
「バ、バカなぁ……グハッ」
「あーあ」
《瞬殺で草》
《うっそだろwww》
《エーテルくーん!w》
《話すら聞いてもらえないwww》
《自己紹介させてあげてよ;;》
《一応A級魔物ですからね……?》
《知 っ て た 》
《これにも苦戦しないかあ笑》
まあ、正直分かってた。
希少ゆえに“かくれんぼ”とか言いながら。
そんな二人の強さに、質問コメントも増え始めた。
《ココネちゃんはどうやって鍛えたんですか》
「日々、主様を想って
「初めて聞いたわ」
《かわいい》
《主様大好きで草》
《夢でまで一緒にいるのかw》
《ココネちゃんも中々に愛が重たいw》
《グッズ展開希望です》
《私も主様の写真ほしいです》
衝撃告白により、コメントも変な方向に進む。
いつも枕を持ち歩いてると思ったら、そんな秘密があったのかよ。
すると、今度はルーゼリアへの質問だ。
《どうしてお姉さんはそんなに強いんですか》
「カナタ君のおかげかな。高評価とチャンネル登録をしたら強くなれますっ」
「嘘つけ」
《なわけあるかw》
《主に嘘って言われてるやんwww》
《チャンネル登録しました》
《高評価押しました》
《登録二回押しました!》
《↑それ解除してるやん》
おかげで登録者も高評価もめっちゃ増えてるし。
一応ありがとう。
それはそうと、俺は
「ったく、こんな無残な姿にして……よかった、まだ残ってそうだ」
エーテルソルジャーは、内側に高級素材『
ただし、魔力の鎧に
すると、次々にコメントが指摘する。
《え、何してんの?》
《おい早く燃やせ!》
《下手に触ると高級素材が消えるぞ!》
《魔力の鎧も毒だし!》
魔力塊はかなり特殊で、一歩間違えると消失する。
そのため体を燃やして、残った
「えと、この魔力回路は大丈夫で……ん、取れました!」
《うっそお!》
《自力で取ったんか!?》
《そんな方法あんの!?》
《これ世間がひっくり返るって!》
だけど、俺が召喚された異世界の時代では、すでに取り方が確立されていた。
かなり苦労したが、俺も取り方を学んだ。
現代で言えば、ふぐの処理みたいものかな。
「あはは、良かったら後で解説動画でも上げますよ」
そういえば、俺の『スライムの核』の取り方も話題になってたらしい。
現代では、貴重素材の取り方はあまり確立されていないのかも。
これは異世界との環境の差だろうな。
現代でも何十年前に魔物が出現したとはいえ、
この時代とはいえ、わざわざ探索者になるのは一部だ。
対して、異世界では魔物と隣り合わせの生活をしていた。
女子供が武器を持って戦う世界のため、色々とやり方が進んでいたんだ。
となると、俺の知識はかなり先行している可能性がある。
「ま、まあ? これぐらい余裕っすけどね……ふふっ」
《照れてんじゃねえかw》
《案外素直やん》
《やっぱガキだな》
《笑い漏れてるぞ》
《主様かわいい》
それから、コメントを見て気づく。
《ていうか早く戻らないと!》
《魔力塊が劣化するぞ!》
《入口まで間に合うか?》
「あ、そうでした」
魔力塊は劣化がとてつもなく早い。
取り出してから数分ともたずに、価値がどんどん下がっていく。
この色々と面倒な要素を以て、高級素材とされている。
でも、こちらも問題ない。
「ココネー」
「はい主様──【
「サンキュ」
ココネの吐息により、魔力塊を冷凍保存した。
これで劣化することはない。
《はあ!?》
《これでもう劣化しねえの!?》
《すっごwww》
《便利で草》
《サラっと革命起きててワロタ》
《抜け目ねえw》
そんな一連の流れに、徐々に要望のコメントが散見される。
《他の高級素材とかも取り方知ってるのか?》
「まあ、一応それなりに知ってると思います」
《教えてくれ!》
《なあお願いだよ;;》
《バカ無理だって》
《他にも知ってるなら情報だけでお金持ちだぞ》
《配信で教えてくれるわけねえだろ》
たくさん教えてほしい人がいるみたいだ。
確かに貴重な情報なのかもしれない。
でも、この時の俺は完全に思い上がっていた。
「しょうがないなあ。特別ですよ? これからたまに配信で出していきますね」
《はああああ!?》
《教えてくれるのかよ!》
《まじかよ無償で!?》
《超有料級だぞ!?》
《探索者界隈ざわついてるって!》
《情報屋
《これで金儲けしてる奴らもいるからな!》
《ざまあねえぜ!!》
《これは歴史が変わるぞ!》
《さすがにチャンネル登録しました》
《次回も絶対見に来るぞ!》
「むふっ」
次も見に来てくれる。
そんなコメントがあふれ、思わず笑みがこぼれた。
──そんな時、辺りが急に激しく揺れ始める。
「おわっ!?」
「主様、お手を!」
「こ、これは……!?」
大きな地震だ。
というより、ダンジョンそのものが動いているような感じ。
俺が知らない現象に、コメントは加速した。
《ダンジョンシフトか!》
《区画が変動するやつ!》
《違う階層につながるぞ!》
《まじかよ滅多に起きねえのに!》
「ダ、ダンジョンシフトぉ!?」
何それ知らない。
でも、区画が変動すると聞いて納得した。
ここら一帯が、おそらくが
そして──。
「グオオオオオオオッ!」
「こいつは……!」
やがてガチャンと一帯が固定され、巨大なクマの魔物と相まみえる。
おそらく下層に辿り着いたんだ。
ですが、
「主様。新しいネタですね」
「うふふっ。どう調理してやろうかしら」
「グ、グオッ!?泣」
従魔二人の“圧”に、クマの魔物は涙目になっていた。
クマさん「なんでえ!?泣」