百式観音を背負いて。   作:ルール

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 波の国へはタズナさんが単独徒歩で来れたので場所によっては船ですが1日歩き続ければ行ける距離だと設定しています。
 野宿なんてしていたらタズナさんは殺されてないとおかしいかなと。

 そしてアンチする予定だったタズナさんですが。
 


原作2巻⑤

 

 ナルトの魂の叫び(毎回農作業で百人分働かせられていたから当然ではある、カカシ先生は木陰でイチャイチャパラダイスを読んでいたし)により急遽決まったCランク任務。

 それは老人でありながらも波の国から単身徒歩で依頼しに来た橋作り名人タズナさんの護衛。

 転生者であり原作知識という未来知識のある俺は、この件がナルト達にとって大きな影響を与える出来事であり、詐称されたCランクどころではない任務であることを知っている。

 皆の安全を考えるなら拒否すべき一件。

 だがそれでも波の国の未来を考えたらやるべきなのだろう(なんか豊かになったらなったでおかしくなった未来であった気もするが)。

 やる気満々なナルトにより決まった任務。

 橋が完成するまで護衛という終わるまで正確な期間がわからぬ長期任務であるのでその日は一旦解散して翌日に出発となった。

 冷蔵庫整理のために同期組を呼んで盛大に鍋パーティーを開いて皆で騒ぎながら食べた。

 参加した日向ヒナタが想い人と同じ鍋をつついてる事実(取り箸とお玉は用意したが拘る男子は皆無)に間接キスではと顔を真っ赤にしながらちまちまと食べている中、シカマルに観葉植物の世話を頼んだが護衛任務があるからと断られたナルトがじゃあヒナタにと合鍵を渡してしまい、彼女はそのまま真っ赤な置物と化した。

 ひたすら食べてくれるチョウジに圧倒され、サスケの隣をキープして隙あらばサスケが箸をつけた食材を掠めとるサクラを眺め、鍋の世話をする俺を寄り添うようにサポートしてくれるいのに感謝した。

 キバとシノも誘ったのだが二人はそれぞれ実家でお産関連の手伝いがあるらしいから無理だった(犬はともかく虫は観察日記でもつけているのだろうか)。

 皆が笑い合う食事風景、これがきっと楽しいということなんだろう。

 

 翌日。

 

「出発ーーっ!!」

 

 巨大な木の葉の門。

 そこで叫ぶナルト。  

 

「何はしゃいじゃってんのアンタ」

 

「だってオレってば一度も里の外に出たことねェーからよ」

 

 人柱力だからね仕方ないね。

 そして農民とかは一生村から出ずに生涯を終えたりするのが割と普通である。

 

「おい!・・・・・・本当にこんなガキで大丈夫なのかよォ!」

 

 はしゃぐナルトにサクラは呆れ、タズナさんは不信感をあらわにしていた。

 そこには忍者に対する屈折した感情が見て取れる。

 彼はきっと不満なのだろう。

 こんな子ども達を護衛につかせることも、ランクにかかる費用も、忍者という存在にも。

 

「コラ、じじい!あんまり忍者をなめんじゃねェーぜ!」

 

 恐怖を紛らわせるためにか常に酒を飲み続けるタズナさんのその隠さぬ不信感に他者からの感情に敏感なナルトは過敏に反応する。

 最近の任務で依頼人から歓迎されていたからより強く反応してしまうのだろう。

 

「認めやしねーよガキ」

 

 タズナさんのその暗く淀んだ眼差し。

 それは苦境に立たされる故郷で死んだ目をして生きる子ども達や実の孫、そんな者達に比べてあまりに満たされて能天気な存在に映ったからかもしれない。

 

「やれやれ先行き不安だなあ」

 

「なんだあのジジイ、金払うからって態度悪過ぎだろ」

 

 サスケも依頼人の態度にピキッてます。

 相互理解とはお互いの事情を知らなければ成り立たない。

 第七班の過去を知らぬタズナさん。

 波の国の現状を知らぬ第七班。

 その隔たりはあまりにも大きかった。

 というか任務のランク分けの際に波の国の政情不安をきちんと上層部が把握して考慮したか疑問が湧いてくるのだが。

 波の国は雲隠れ、霧隠れ、雨隠れに接した厄介な立地だというのに。

 渦潮の隠れ里が滅んでしまってからその近辺から木の葉は手を引いているのだろうか?

 まったく下手に原作知識があると実際の知識とのすり合わせが大変だ。

 それが面白くて楽しいのだけど騒動の対策をしなければならないとなると、下忍の身分で手に入る知識の限界がもどかしくなる。

 昇格、本気で目指すべきかもしれない。

 下忍ではできることがあまりにも少なすぎるし、何よりもっと色々知りたいのだから。

 

 

 ゾロゾロと連れ立って徒歩移動。

 他国からの侵攻を警戒して里周辺の道は舗装などされず馬車なども走らない。

 忍びの隠れ里なのだから当然ではあるが、一々来なければならない依頼人の苦労を考えると改善すべきではと思う。

 それでも砂漠地帯の風の国や山岳地帯の雷の国よりはマシなのではあるが。

 依頼が木の葉に集中し他里より豊かなのは純粋に立地の関係だろう(だから狙われるのだが)。

 

「ねえ・・・・・・タズナさん」

 

 ただ歩いて退屈なのかサクラがタズナさんやカカシ先生に話題をふる。

 その内容は他国の忍者事情。

 里からでたことがないのはサクラも同じこと、木の葉以外の忍者を見たことがない彼女はカカシへと問いかけた。

 カカシ先生はその質問に忍び五大国と五影について説明。珍しい教師というか上司らしい話にサスケと二人で感心し。

 サクラとナルトは五影の説明で日頃から見ている三代目火影様の実力を疑った。

 特にナルトはおいろけの術で撃退したことがあるからなおさらだろう。

 しかし三代目火影様は世代としてかなり前の傑物。現五影で彼と同世代など代えが効かぬ塵遁を操る土影のみなのだ(というか土影以外の五影の代替わり事情が厄介な案件ばかり)。

 

「なあ千手、実際に三代目はそんなにスゲーのか?」

 

 サスケも俺に訊ねてくるくらい疑っている。

 

「文字通り千の術を操る忍び、教授と謳われた英雄。多彩な手数で言えば五影随一だろうね」

 

 血継限界や尾獣、秘伝忍術の力ではなくその勤勉さから至った万能の忍び。それが三代目火影猿飛ヒルゼン。

 確かに初代という神、二代目という発明家に比べたらインパクトは薄く感じるが、血継限界を駆使する影達に既存の術の組み合わせで勝るなど人外の境地だ。

 

「そうは見えねえがな」

 

 サスケに限らず子どもからしたら好々爺だからな三代目。里人から畏れられてこそ里長という在り方ではないからだ。

 

「歳を考えなよ、69歳だよあの方(ちなみに土影は79歳)」

 

 それに年齢からしてしょうがないだろう。

 そんな年齢のあの方が火影の座を譲れない。

 その意味をよく考えるべきだろう(「儂より強い死神が生まれなかったからじゃ」の某総隊長じゃないのだから)。

 

「狭間の言う通りだよ。色々事情や体面的な意図もあるが今の里で最強だからあの方は火影なんだ」

 

 火影になれる実力者二人(エロとカモ)が不在なのも大きいだろうけど。

 

「ま、安心しろCランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ」

 

「じゃあ外国の忍者と接触する心配はないんだァ」

 

 サクラが気にしていたのはそこか。

 まあ確かにチャクラを練れて術が使える忍者なら十二歳のくノ一でもチンピラ程度なら余裕で対処できるしね。

 

「もちろんだよアハハハハハ!」

 

 その話題、忍者のくだりにタズナさんがピクりと反応し、それを俺とサスケ(多分カカシ先生も)は見逃さなかった。

 

「(シィー)」

 

 問いかけようとするサスケにタズナさんから見えない位置で黙るようにジェスチャーする。

 俺は知っているけど、知らないことになっているのだから。

 

 

 不自然な水溜りを通り過ぎる。

 実は感知能力なのか感覚でそこに二人居ることはがっつりわかった。

 視線を向けるカカシ先生も気づいているようだが敢えてスルーしたことから原作と同じように探るために泳がすのだろう。

 そして、第七班に初の他里の忍びとの戦闘が始まる。

 

「一匹目」

 

 泳がされてると気づかぬ忍びが手裏剣を繋げた鉄鎖でそれが身代わりだとわからぬままカカシ先生を縛りあげ刻む。

 リアルで見ると中々ショッキングなシーンだ。

 

「キャー!!」

 

「カ・・・・・・カカシ先生ェ!!」

 

 サクラの悲鳴、ナルトの叫び、タズナさんの驚愕の表情。

 次の標的にナルトを選んだ鬼兄弟はその鉄鎖を巻き付かせようとするが、その武器は巻き付かせてから引っ張るという刻むには無駄な動作が多すぎる。

 だからサスケが手裏剣と苦無で鎖を固定できるというわけだ。

 

「(オイ)」

 

「(あいよ)」

 

 働けと視線でサスケに促され、ナルトとの間に割り込み拳を一閃。

 

「「ガハッ」」

 

 腹部を強打された忍び達はそれだけで吹き飛ぶ。

 

(感触がイマイチ。防具のせいか)

 

 お互いを繋ぐ鎖により森へと突っ込まずにすんだ鬼兄弟は手甲から鎖を外し、その爪でナルトとタズナさんを狙う。

 

「・・・・・・やったらあっ!!」

 

 向けられた爪を右手で受け止めガスマスクのような覆面をつけた顔面を殴り飛ばすナルト。

 サクラもまた自分がやらねばと苦無を構えタズナさんの前に立つ。

 そこへフッとサスケが移動するのと、カカシ先生が鬼兄弟を捕らえるのと、俺が鬼兄弟の手足に撒菱指弾を撃ちこむのは同時のタイミングであった。

 

「ぐォ!!」

 

(殴るより撒菱指弾の方が有効かもな。肘と膝を撃ち抜けば大抵の存在は無力化できるだろうし)

 

(カカシ先生、変わり身使ってたのか)

 

(カカシ先生・・・・・・!生きてたァ!?)

 

(フン、でしゃばりが)

 

(ほっ・・・・・・どうにか助かったわい)

 

「ナルト、すぐに助けてやらなくて悪かったな。カウンターと気合は見事だったがケガさしちまった。サスケとサクラもよくやった。狭間は俺の意図を読みすぎて初動が遅れてたな」

 

 原作とは違いナルトは動けた。

 訓練の成果は少しだがでたようだ。

 そしてカカシ先生の注意も仕方ない。

 初手で撒菱指弾を撃てば無力化できたのだから。

 

「たくっ、喧嘩じゃねーんだから刃物を素手で受けんなよナルト」

 

「う、つい咄嗟に」

 

 駆け寄るサスケに気まずそうに応えるナルト。

 

「そうそう。こいつらの爪には毒が塗ってある。忍者の武器は生身で受けちゃ駄目だ」

 

「ってことは狭間君の撒菱にも?」

 

「喋れる程度の痺れ薬をね」

 

 ナルトは傷口開いて毒と毒の混じった血を抜かないといけない。

 

「タズナさん」

 

「な、何じゃ・・・・・・!」

 

「ちょっとお話があります」

 

 痺れ薬が全身をまわりぐったりと動けなくなった襲撃者を抱えたカカシ先生はタズナさんを問い詰める気のようだ。

 

 

 鬼兄弟の素性とお粗末バレバレ襲撃予兆、そして泳がせた意図をタズナさんに説明。

 そうこのメンバーは、依頼人以外にも、写輪眼のカカシ、うちはの生き残り、九尾の人柱力、ついでに千手谷間の息子と、誰が襲撃されてもおかしくない面子がそろっているのだ(サクラかわいそう)。

 

「しかしこいつらの目的がタズナさんであることは明白。私も周囲に追加戦力がいないことと上忍だから狙われただけのようですしね」

 

 姿を隠しながら索敵もしていたのか。

 

「我々はアナタが忍びに狙われてるなんて話は聞いていない。依頼内容はギャングや盗賊などのただの武装集団からの護衛だったはず。

 これだとBランク以上の任務だ」

 

 ランク詐称か。

 それは少しばかり、知ってはいても許せない。

 任務外、というカカシ先生の言葉に命の危険に直面したサクラがナルトの負傷を引き合いにだして止めることを提案する。

 確かにナルトの負傷には本来なら医者がいる。

 

「んーーー、動けたけどこりゃ荷が重いかもな!ナルトの治療ついでに里へ戻るか」

 

 カカシ先生はナニカを試すように、ナニカを確認するかのようにナルトへとそう言った。

 その言葉にナルトは苦無を傷口へと突き刺した。

 

「「「「「!?!?」」」」」

 

 なぜ、という気持ちがまず湧いた。

 原作とは違いナルトは動けた。

 反応できたのだ。

 無力さを、サスケとの差を感じても、原作ほどではないだろう。

 

「オレを理由に引き下がんのは止めてほしいってばよ」

 

 痛みに震えながらナルトは言う。

 その身に感じた感情を吐き出す。

 

「そのジイさんは嘘をつかなきゃいけねえくらい、悪いことをしなきゃならないくらい追い詰められてんだろ。

 だったらほっとけねえ。

 頼られたんなら助けてえ」

 

 ・・・・・・・・・里人の感情の変化を実感した結果かね。

 原作とは違いナルトは任務で成功体験を積み重ね続けた。

 感謝をその身に受け続けた。

 だからわかったのだろう。

 縋り付くようなタズナさんの感情に。

 

「任務続行だ!!」

 

 血塗られたその手を見せつけるようにナルトは宣言した。

 

「まったく」

 

「ハァ」

 

「しょうがないわね」

 

「えっと増血剤増血剤」

 

 人柱力だからいらんかもだけど。

 ナルトの言葉に仲間は苦笑しながら頷いた。

 

「すまんかったっ!!

 超すまんかったっ!!」

 

 秘めた想いを孫と大して変わらぬ子どもに汲んでもらった老人は涙を流しながら全力で頭を下げるのであった。

 

(これじゃ任務詐称を責めらんないか)

 

 原作のように、事情説明で同情を誘いこちらの善意と気まずさにつけ込み強引に引き受けさせ、挙げ句内心で勝ったと勝ち誇るようだったら拘束してガトーに引き渡してやろうかと考えていた。

 任務のランク分けは報酬金を吊り上げるためではない、未熟な幼い忍者の命を守るために柱間様達が創り出したシステムなのだから。

 孫が泣き、娘が木の葉を恨むという話も、それはこちらとて同じ。

 確かに第七班はサクラ以外身内はいないが(・・・・・・いやイタチが知ったらあの村まるごと天照するような気が)、木の葉は波の国を許さず、ダンゾウ辺りが征服支配するネタに利用しそうな気がする(現時点でもギリギリ)。

 

「とりあえずどうしますカカシ先生?」

 

 任務を続けても良いにしても、任務詐称はなあなあですませちゃ不味い。

 ガトーの存在と波の国の事情を聞かされ、判断を上司に仰いだ。

 

「金銭面の問題は、まあローンを組んでもらえばなんとかなるか?そういった事情と橋完成の経済効果を見込めれば支払いのあてはあるし」

 

「橋作りの名人なら支払い分無償奉仕させるとかはどうです?」

 

「腕前を担保にすればまあいけるか」

 

 忍術で橋もどきを作れるし、そもそも忍者なら川や崖を飛び越えることは可能。

 けれど橋の需要がないわけではないのだ。

 

「本当かっ!?」

 

 コレが暗殺ならローンは無理だが、あくまで護衛なのだから。

 

「事情はわかりましたがこんなことはこれっきりでお願いしますよ」

 

「おう、超分かった!!

 本当に超すまんかった!!」

 

 ま、人を責め立てるなんてしんどいことせずにすんでよかったか。

 そうしてナルトの治療をすませ(タズナさんと話しながらしてたが)、俺達は任務続行して波の国へと向かう。

 霧隠れの鬼人桃地再不斬が待ち構えるその場所へ。

 

「あ、狭間。この二人を影分身で里まで運んでくれ」

 

「了解」

 

 そしてまだ抜け忍か判明していない鬼兄弟(額当てに線は引かれてなく賞金首として有名ではないので)は木の葉隠れの里まで運ばれ調査され、霧隠れの里に取引の上で引き渡されるだろう。

 交渉窓口があるとよいけど。

 

 

 





 補足・説明。
 
 今話は鍋パから鬼兄弟襲撃、タズナさん事情暴露までです。
 しかし読者の皆様。
 すいませんでした!!
 アンチになりませんでした!!
 なんか書いてるうちにナルトが覚醒して、タズナさんの事情を汲んでましたコイツ。
 そんでタズナさんも泣きながら全力謝罪です。
 責められません。
 まあ原作で嫌なシーンを無くせたから良いとしましょう。
 とりあえずお支払いはローンに切り替えです。
 そしてタズナさんは無償奉仕させます。
 
 ナルト。
 なんか覚醒。  
 訓練の結果動けました。そしてタズナさんの事情を察します。これはオリ主やサスケとのコミュニケーションもと任務の依頼人も影響してます
 鬼兄弟に刺されつつも殴り返しました。

 サスケ。
 原作より視野広く、ナルトを心配します。

 狭間。
 初手撒菱指弾で鎮圧できた男。  
 カカシ先生の意図を読んでやめました。

 タズナさん。
 ナルトの言葉に申し訳なさ決壊からの暴露。
 
 タズナさんに厳正な裁きは必須だと思いますがどうかこの程度で許してください。

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