百式観音を背負いて。 作:ルール
千手谷間がかつて四代目火影を殴らなかった理由ですが、尊敬する自来也の弟子だからではなく彼が谷間の質問に躊躇わず「クシナの胸」と答えたからです。
なおその後に二人揃ってハバネロにボコリ倒されました。そして九尾はその件を含めたエピソードをしっかり覚えているので、父と似てない狭間を結構な頻度で二度見しています(同居している御夫婦も)。
霧の中を船は進む。
火の国のある大陸から波の国の小島群までの海上をエンジンを消して手漕ぎで船を動かす。
全ては元凶であるガトーに気づかれぬため。
波の国の人々は猛獣に目をつけられぬように息を潜める小動物のようにそっと身を潜めて生きている。
海運会社の大富豪・ガトー。
世界有数の金持ちとして海運会社を経営しているがそれは表向きのこと。
裏ではギャングや忍びを雇い麻薬や禁制品を取り扱い、企業や国を乗っ取る悪どい商売を生業としている男。
そんな男が海上移動が要な波の国に目をつけるのは当たり前のことであり、財力と暴力をタテに一年足らずで牛耳ってしまった。
そんなガトーが恐れていることが大陸と島を繋ぐ大橋の完成。
そこから運ばれてくる品物を自身が運べればどれだけ利益になるかと考えたら認めることなどできず、また島々を橋で結ばれる恐れもあった。
ゆえにガトーはタズナさんを殺す。
彼の娘婿を見せしめにしたように。
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
経済的な理由だけならば俺達はタズナさんに同情しなかったかもしれない。
しかし娘婿であるカイザさんの見せしめの件は思うところがあった。
散っていった婿の為にも、そう言われてしまえばもう後には引く気にならない。
「皆、言っとくが次に来るのは上忍クラス。俺が引き受けるからタズナさんを守れ」
「「「「はい」」」」
先ほどの二人は霧隠れの中忍。
暗部から離れて久しいカカシ先生が知らない程度の存在だが、流石に上忍クラスとなれば他里にその名が知れ渡るもの。
またカカシ先生としては、これが霧隠れの里が受けた暗殺依頼なのか確認したい気持ちもあった。
今更任務での敵対で里同士の関係がどうこうなることはないが、ガトーと霧隠れが手を結んでいたら上層部が対策を講じなければならないほどの大事だからだ。
「ま、抜け忍だったらそこらの配慮がいらんから楽だけどね」
抜け忍ならば殺しても問題ない。
死体や装備の返却は求められるだろうが里間の争いには発展しないだろうとカカシ先生は言う。
「他里との任務のダブルブッキングってあるんですね」
「あるよー、というか里同士の戦争の始まりってそれだからね」
雇われた忍び同士の戦い。
そこで生まれた怨恨が煮詰まり、今の里同士の考えがあるのだ。
そんな話と今までの関係があったからか、原作とは違いナルトがサスケに対抗意識を抱き「(もうコイツにはいいとこやらねェーぞ!!)」と張り合い無駄にはしゃいだりすることはなく、何も無い茂みに手裏剣を投げたりもしなかった(危ないから良い子は真似するな)。
「ん?」
その気配を察知し、カカシ先生へハンドシグナルで確認。
首肯した先生に従い俺は手裏剣を投げる。
「え?」
「何を?」
「どしたんじゃ?」
手裏剣の投げた先の茂みをかき分ければそこには頭部を射抜かれた変わり身用のユキウサギがいた(原作ではショックで気絶)。
「なんだウサギか」
「狭間君も外したりするのね」
「夕飯のおかずが増えたのう」
ホッと和む三人。
けれど俺とサスケとカカシ先生はいよいよ相手がお出ましだと悟った。
「来るよ」
「ああ」
サスケと三人をカバーできるように移動。
敵はもう間近だ。
「全員伏せろ!!」
カカシ先生の叫びにサスケはタズナさんを、俺はサクラとナルトの背中を押して伏せさせる。
下げた身体の上を刀というには余りにも巨大過ぎる代物が回転しながら通り過ぎた。
「(アレが断刀首切り包丁か)」
鯨でも捌くのかとツッコミたくなる逸品だ。
回転し進む首切り包丁は木にめり込み止まり、その柄の上に一人の男が降り立った。
「へーこりゃこりゃ、霧隠れの抜け忍桃地再不斬君じゃないですか」
その人物を見定めはたけカカシは本気で戦うと決め、その手を斜めにつけた額当てへと当てる。
「写輪眼のカカシと見受ける。
ジジイを渡して貰おうか」
そして桃地再不斬もまた自らの勝利を疑いはしないが本気となる。
それだけ侮れぬ相手だと両者は察した。
「卍の陣だ、タズナさんを守れ。
それがここでのチームワークだ」
額当てを上げたそこには三つ巴の写輪眼。
最も高名であり、もはや希少な瞳。
はたけカカシが友から譲り受けた形見の品。
サスケがなぜカカシ先生が写輪眼を持っているのか疑問に思いつつもその力を説明。
そしてその恐るべき力を再不斬が語る。
「それ以上に怖いのは、その目で相手の技を見極めコピーしてしまうことだ。
手配書にはコイツのことがこう記されていた。千以上の術をコピーした男・・・・・・コピー忍者のカカシとな」
戦争に関わった者しか知らぬその武名。
サクラとナルトは驚き感心していた。
「おい千手、なぜカカシが写輪眼を持っているのかわかるか」
「なんでも知ってるわけじゃないんだけど。
戦時中に散った友の形見って話だよ。だからうちは一族のように瞳のオンオフができずに額当てで封じてるんだろうね」
この情報は原作知識からではない。
第三次忍界大戦の記録の中に記されていた情報だ。
「移植か」
「それができるから特異体質持ちは厄介なんだよ」
血継限界。
それを持つ者の強さもあるが、その身体はあまりにもあらゆる面で使い道がありすぎる。
「さて、お話はこれぐらいにしとこーぜ。
オレ様はそこのジジイをさっさと殺らなくちゃならねェ」
これがあるから忍者は一般人から恐怖の対象なんだよね。
殺害宣言をした再不斬はその前にカカシ先生を倒す必要があるといい、木から首切り包丁を引き抜きながら跳び、水上へと立つ。
練り上げられたチャクラから生み出される忍術は、霧隠れの里の代名詞。
「忍法 霧隠れの術」
相手の視界を覆いその身を霧に隠す忍術。
霧隠れにおいて近接戦闘術が発展した理由。
視界を隠せばあとは音を消す。それだけで敵対者は気づくこともできずに一方的に殺される。
そして桃地再不斬はその無音殺人術の達人。
多くの忍びがその技の前に散った。
「8か所。咽頭・脊柱・肺・肝臓・頸動脈に鎖骨下動脈・腎臓・心臓。
さて、どの急所がいい?」
視界を白く奪う霧。
そこに潜み殺気放つ存在に戦いに慣れぬ皆の心が削られる。
それに一番反応してしまうのはカカシ先生を除き唯一惨劇を知るサスケ。
「安心しろ、サスケ」
だからカカシ先生は声をかけた。
「お前達はオレが死んでも守ってやる。
俺の仲間は絶対に殺させやしなーいよ」
これが歴戦の忍びか。
その横顔は頼れる大人そのものだった。
「それはどうかな・・・・・・?」
しかしこの心の動きを見逃す桃地再不斬ではない。タズナさんと俺達の間に現れ、首切り包丁を振るおうとする。
「やらせない」
だが俺とて原作をただ眺めているだけのつもりはない。
四大行【纏】の応用技【円】。
最低限の薄さの纏を球型に広げ、感覚器官を広げるように感知できる間合いを増やす。
霧隠れの術。
それはこの技の前に意味を成さない。
「ガキが!?」
正拳突きで再不斬を殴り飛ばす。
その身体はその衝撃でバシャリと崩れる。
水分身の術。
これもまた霧隠れを代表する術だ。
「悪いな狭間。護衛は任せるぞ!!」
その水分身との攻防でカカシ先生は俺達を守る必要がないことを悟った。
「チィっ!!(白と同格かそれ以上のガキがいるだと!?)」
桃地再不斬がはたけカカシに勝てると踏んだのは足手まといの存在があるから。
水分身の術で仕留められる下忍がいるならそちらにカカシの意識を割けると踏んでいた。
そうなればあとは捕らえて狩る。
その狙いは俺の存在により崩れる。
殴ってわかった。
原作で一週間の訓練をしたサスケに一蹴された桃地再不斬の水分身は今の俺なら造作なく蹴散らせる。
「(他のガキも相応にやるなら厳しいか)」
本体を見極め襲いかかるカカシを前に桃地再不斬は冷静に判断をくだす。
「割に合わねえ仕事だったかもな」
その見極める判断力こそがあの血塗られた霧隠れの里で彼を生かしたのだから。
「(白、よく見ておけ)」
鬼人桃地再不斬の判断は早かった。
タズナさんを殺りきれないと判断した以上は情報収集に徹すると決めた。
相対する最大戦力であるはたけカカシ、その写輪眼の力をその身を使い探る。
「「水遁水龍弾の術!!」」
忍術はコピーされ相殺。
体術は苦無で首切り包丁と打ち合えるほど。
鏡写しのような行動、しかし先読みされる思考はあくまで表層。
だが、
「水遁大瀑布の術!!」
なぜかこちらの術より先に同じ術を完成させ、放ってくる。
「これがコピー忍者カカシか」
ただの猿真似忍者が生き残れるわけがない。
これがはたけカカシが勇名馳せたその理由。
「終わりだ再不斬」
大瀑布の術で押し流され木に叩きつけられた再不斬は同時に投げられた苦無に手足を射抜かれ動けなくなる。
そして、そのタイミングで、
「「「「「「!!」」」」」」
その首に何本もの千本が突き刺さった。
「はい、おしまいです♡」
霧隠れの追忍の格好をした少年。
白の登場である。
補足・説明。
今話は桃地再不斬戦です。
しかしすいません。
殆ど原作と変わらず、ナルトの活躍全カットしました!!
理由は話中で述べた通り。
ぶっちゃけ再不斬の余裕は足手まといがいるからです。
そもそも写輪眼とタイマンで戦わないのが忍界の基本。それに従わない余裕の理由がナルト達下忍の存在でした。
水分身でナルト達を蹴散らせる、その前提が崩れたらもう勝ち目はないと作者は判断しました。
また狭間のチャクラ纏いを見て下忍詐欺だと推察。なので写輪眼のメカニズムを暴くように動き、白からのサポートを受けました。
正直飛ばそうかなと悩んだ話ですが、ここでの戦力把握は桃地再不斬にこそ必要なんです。
毎回驚きを提供できないのは申し訳ありませんが、原作沿いの作品のため、このような話があることをご了承ください。