百式観音を背負いて。 作:ルール
霧隠れの鬼人桃地再不斬は幸いなことに千手谷間との関わりがありませんでしたが、
雲隠れの里の八尾の人柱力であるキラービーと千手谷間は里を超えたソウルブラザーです。
ちなみに生前の千手谷間と関わった他里の忍びが千手狭間を見た場合、基本的に反応が抹殺か同情の二択になります。二度見はしますが。
その頃の木の葉隠れの里。
想い人であるうずまきナルトに彼が育てている観葉植物の世話を頼まれた日向ヒナタは、責任感と恋心により決して枯らすまいと丁寧に世話をしていた。
うずまきナルトの自室にある観葉植物、その様子から彼が手間を惜しまず世話をしていたのは明白であり、その真剣さが伝わるからこそ彼女はより真剣になるのだ。
観葉植物の世話だけでなく、部屋の片付けもしようかと悩むヒナタであるがそこまで、そんな恋人のような行動をとる勇気が彼女にはまだなかった。
余計なことはせずに頼まれたことだけに集中しよう。そう気負う彼女だが、ふと見た先、その存在に彼女は気づいてしまった。
ナルトが就寝するベッド。
ナルトが就寝時に包まる毛布。
想い人の香りの染み付いた、寝具に。
「だ、だめ、そんなことしちゃ、ダメ」
その葛藤は一瞬か、はたまた一時間か。
恋する乙女は自ら本能に呑まれ、その寝具へ手を伸ばしたところ、
「やっほーヒナタ!!任務が終わったから手伝いにきたわよ!!」
姉御気質のある同期生山中いのがその場に現れた。
日向ヒナタがうずまきナルトが就寝時に使用する毛布へと手を伸ばしたちょうどその時に。
「〜〜//////〜〜〜〜!!!?」
「ちょ、ヒナタっ、見てないから私は、何も、〜〜〜あーー!!」
羞恥心により放たれた一撃。
それはうずまきナルトの自宅を一切傷つけずに山中いのだけを吹き飛ばしたのであった。
日向ヒナタは八卦空掌を覚えた。
その突然の出来事に一同は唖然となった。
波の国橋作り名人タズナの護衛任務を引き受けた第七班。
そこに待ち構え襲撃してきた霧隠れの抜け忍桃地再不斬。
鬼人の異名通りの殺意にカカシ先生以外の者達は完全に呑まれてしまった。
俺こと千手狭間が耐えられたのはおそらく一度死を経験した転生者だからだろう。
ゆえに霧隠れの術の中から襲いかかる桃地再不斬の水分身を撃退できたのだ。
原作ではここでナルトとサスケが活躍する展開だった、桃地再不斬の水分身に圧倒されるも諦めずに食らいつきカカシ先生へと繋いだのだ。
しかし俺というイレギュラーが居たことでそうはならず、再不斬はカカシ先生と周辺地域を揺るがす忍術合戦を繰り広げ敗北。
あと一手。
それでカカシ先生がトドメをさせるタイミングで、霧隠れのマークのついた面をつけた少年が再不斬の首すじに千本(棒手裏剣のような武器)を撃ち込み仕留めたのだ。
目を見開いたまま動かなくなった再不斬。
それが死体なのは一目瞭然だ。
下手したらはじめて死体を見るサクラとナルトは現実味を持てぬまま硬直。
木の上から瞬身の術で移動したカカシ先生は再不斬の脈を調べ死亡を確認。
すると面の少年は、
「ありがとうございます」
と頭を下げた。
霧隠れの追い忍。
どの里にも存在する、裏切り者や抜け忍を討伐処理する専門家。
その者たちは手段を選ばず、自分達で倒すのではなく別の者との交戦中に不意をついて仕留めることもある。
「なんなんだってばよ!!お前は!!」
その行為に、恐ろしかった存在のあっさりした死に納得いかないナルトが突っかかり叫ぶもカカシ先生がそれを止める。
敵ではない。
霧隠れの追い忍であり、桃地再不斬に千本を打ち込み仕留めた事実からカカシ先生はそう告げた。
現時点ではそう判断せざるをえないのだ。
「それじゃ失礼します」
霧隠れ追い忍の少年は死体の処理をしなければならないと言って桃地再不斬を抱えて消えるように去っていった。
しかし原作知識のある俺は知っている。
再不斬を仕留めにきた追い忍。それが再不斬の仲間であり仕留めたのではなく助けにきたことを。
桃地再不斬は仮死状態にされただけで生きていることを。
「フーーー。さ!オレ達もタズナさんを家まで連れていかなきゃならない。元気よく行くぞ!」
「ハハハッ!皆、超すまんかったのォ!
ま!ワシの家でゆっくりしていけ!」
ドサ・・・・・・・・・。
脅威が去った安心感からタズナさんが力強く言う。しかし元気よくと言ったカカシ先生本人が虚脱し受け身も取れずに地面に倒れ伏した。
追い忍の少年白。その素性と目的を知っている俺は仮死状態の再不斬を破壊し白を撃退すべきであった。
しかし、霧隠れの追い忍と敵対することが木の葉の忍びとして客観的視点からどんな問題になるか判断することができなかった。
またカカシ先生が写輪眼の使いすぎでこうして倒れてしまうこと、勝利したと皆の気が緩んでしまったことも問題だ。
そんな状況で原作ではその優しすぎる性格からナルト達に手加減していた白。彼が再不斬の死で本気になった状態で交戦し被害なく勝てると思えなかったのだ。
千本とは急所にでも当たらなければ殺傷能力の低い、ツボ治療などの医療に用いられる武器。
だが裏を返せば殺害に集中すれば一刺しで仕留めることの出来る武器なのだ。
桃地再不斬を失った白の戦闘力は未知数。
ゆえにあらゆるリスクを負う覚悟を俺は決めることができないでいたのだ。
まあそこに、
あの二人に死んで欲しくない。
そんな原作ファンとしての想いがあることも否定はできないが。
死んで惜しまれるようなキャラクターを殺す。
それは時に名作の条件のように語られる。
桃地再不斬と白。
当時この二人を殺したことでNARUTOは名作の道を歩みはじめていたのかもしれない。
「「カカシ先生ーーー!」」
「タズナさん、すいませんが帰宅早々にお世話になりそうです」
「お、おう。かまわんが先生さんは大丈夫なのか?」
「うちは一族でもないのに写輪眼を使ったリスクなのか?」
「だろうね、見たところチャクラが枯渇しかかってるよ」
タズナさんは案内してもらう必要があるし依頼人なので身長が一番でかい俺が脱力するカカシ先生を背負い運ぶことになった。
「大丈夫かい?先生!」
タズナさんの娘であるツナミさん(29歳)が寝かされたカカシ先生にそう訊ねた。
「いや・・・・・・一週間ほど動けないんです」
「なぁーによ!写輪眼ってスゴイけど体にそんな負担がかかるなら考えものよね!!」
サクラの言葉には同意しかない。あまりにも持久力を欠きすぎているからだ。
しかし写輪眼のリスクが高すぎるのか、それともカカシ先生が実戦から離れてなまり過ぎているのか判断に悩む。
写輪眼を移植して戦う存在なんて原作でも他がアレ(ダンゾウ)やコレ(大蛇丸の実験体みたいな人)くらいだからよくわからないんだよな。
「でも、ま!さっきあんなに強い忍者を倒したんじゃ。おかげでもうしばらくは安心じゃろう!」
タズナさんはようやくホッとできたのかそう言った。
「そうなのか千手?」
「うーん、有名で雇えそうな霧隠れの抜け忍で他にはとなると。
大名殺しの霧隠れの怪人干柿鬼鮫。
雷刀牙の使い手、霧隠れの雷人黒鋤雷牙。
秘伝忍術を操るウタカタ、くらいかなあ?」
「「「結構いるなオイ!!」」」
木の葉で入手した手配書を捲りながらとりあえず霧隠れの抜け忍で桃地再不斬クラスの実力者となるとこの三人だろう。
一番ヤバいのは文句なしに干柿鬼鮫だけど、ウタカタも人柱力だから強すぎなんだよね(アニオリでペインに狩られたようだけど)。
「でもそんなホイホイ抜け忍なんて雇えるもんじゃないし」
抜け忍を雇うのはリスクが高い。
なにせ基本的に連中は自分の命が一番大事だからだ。
今回、再不斬は仕事を引き受けてしまったけど、普通なら写輪眼のカカシと殺り合うくらいならガトーを殺して金銭を奪うほうがよっぽど安全で利益になるのだ(大富豪だから現ナマではなく通帳で金銭を管理して奪う手間があるかもしれないが)。
「なら安心かのう」
「ガトーの他の手下がチンピラ程度なら俺達でもなんとかなりますから」
それぐらいの実力はある筈だ。
「それにしてもさっきのお面の子って何者なのかな?」
「アレは霧隠れの暗部。追い忍の特殊部隊がつける面だ」
サクラの疑問にすかさずカカシ先生が答える。
教室で教科書を開きながら学ぶより、実際に出会って聞いたほうがなんだか頭に刻まれる気がするな。
カカシ先生の説明を聞きながら俺達はタズナさんの自宅で疲労した体を休ませる。
今頃再不斬は仮死状態から復活しているのだろうか?
これからどうなるか、どうすべきなのかそう俺は頭を悩ますのであった。
補足・説明。
前書き設定ですが、実は思いついたネタを忘れないためのメモ代わりにもしています。紙にメモだと無くしますので。
今話は木の葉隠れの現在、追い忍の説明、狭間が追わない理由、タズナさん宅に到着となります。
原作ではタズナさんの息が荒いので、倒れたカカシはタズナさんが運んだみたいですね。
木の葉側のお話。
なんか恋する乙女がパワーアップしました。
白の実力。
氷遁という血継限界もありますが、千本を使いこなす技量から殺しに専念したらどれだけ恐ろしいか検討がつきません。
もっとも纏を使用するオリ主にはそもそも刺さらないので相性最悪ですが。
霧隠れの抜け忍。
他にもいそうですが、トップスリーはこの三人かと。流石にウタカタが人柱力であることは手配書に載ってませんでした。
秘伝忍術のシャボン玉のアレだけでも強すぎですし。
抜け忍事情。
ガトーはあんな態度でしたが、普通はカカシが守るタズナさんよりガトーを狙います。
ガトー自身に裏で賞金がかかっていたら角都さんがエントリーしてた可能性すらあります(カカシとガトー両方狩って総取り)。