百式観音を背負いて。   作:ルール

17 / 71

 短めの話となります。
 なんかキリがよかったので。



原作3巻③

 

 必死にチャクラを練り上げ、何十回も木への全力疾走を繰り返した二人はなんとか兵糧丸で摂取したカロリーを燃焼できたようだ。

 ドロドロのバテバテだった二人に覚えたての水遁水喇叭で汗と汚れを流してあげようとしたが、

 

「「口から吐いた水を人にぶっかけようとすんじゃねえっ!!」」

 

 と最後の力を振り絞られて叫びながら必死に逃げられた。

 火遁水遁土遁風遁(雷遁は体表から発しやすい)は忍術を放つ時に周囲の物質を利用出来なければ体内で練り上げたチャクラを変質して口から放つ。

 そのためぶっかけられる側の印象はよろしくないのだが、唾液や胃液が混じってるわけじゃないし、下手な川の水よりよほど清潔なんだけどな(それでも大概の忍びは川の水を煮沸して使うが、やはり印象的に)。

 なお風遁を使う前にニンニクなどの匂いが強い食べ物は避けよう、エチケットでマナーである。

 

 さて逃げた二人にあっさり追いつき(疲労もあるがチャクラによる強化のおかげ)捕らえ、タズナさんの自宅へと帰る。

 水遁水喇叭は嫌みたいだからツナミさんにお風呂を借りて洗わねばいけない。

 風呂の後は食事の時間。

 食事も護衛任務の報酬というか必要経費の一部だが、この波の国の経済状況で甘えるのはあまりに申し訳ない。

 修行している森で狩りをして構わないか確認はとってあるので、魚や山菜にキノコなど採取したものを持ち帰る。

 

「こっちを監督しながらこの採取量」

 

「なのに疲れてないとか化け物だってばよ」

 

「チャクラコントロールが上手になればこうなるよ」

 

 オーラ操作に長けると無駄なエネルギー消費が減る。HUNTER×HUNTERの念能力者で長寿な者がいるのはそれが理由だ。

 それに俺は千手の血なのか母の血なのかスタミナが多く、日頃の修行もあってタフなのである。

 

 

「いやーー超楽しいわい。

 こんなに大勢で食事するのは久しぶりじゃな!」

 

 タズナさんが喜びの声を上げていた。

 橋作り名人であるタズナさんは工事責任者として仲間たちと交友を深めていた筈だ。

 だから食事会や宴会など開いていたと推測されるが、波の国が今の状況ではそうもいかないのだろう。

 大きなテーブルに俺達5人が加わり賑やかな食事になっているのだが、

 

「「ガツガツガツガツ」」

 

 とナルトとサスケが競い合うように食事を掻き込む。よほどお腹が空いているのだと見て分かるが、

 

「二人とも」

 

 この後にやることは許容できないので、圧をかけて注意しておく。

 

「「!?」」

 

「そんな勢いで掻き込んだら消化によくない、よく噛んで食べなさい。

 もし吐き戻しなんてしたら、滞在期間中の食事は全て兵糧丸にするからね」

 

 食べ物を粗末にするのは許さねえ。

 ドンと兵糧丸の瓶をテーブルに置いて二人に笑顔を向けながら言う。

 

「「・・・・・・・・・はい」」

 

 修行や鍛練に大食は必須だ。

 相撲取りやスポーツ選手など、動きすぎてエネルギーを消費しすぎて身体がやせ細ってしまう。

 だから胃が受け付けなくても、腹一杯でも食べなければならない。

 消費しきったエネルギーを補充し、損傷した肉体を再生する栄養をとり、成長する分の物質を蓄えなければいけないからだ。

 

「大した料理じゃないから気にしなくて良いのよ?材料も取ってきてくれたんだし」

 

 ツナミさんはそう言ってくれるが、食費だけが理由ではなく、

 

「俺にとっては大した料理ですよ。

 母の手料理なんて、はじめて食べますから」

 

 4歳から一人暮らし。

 それから誰かの家にお世話になったりはしていない。

 食堂やレストランで腕をふるう料理人が母親ならば食べたことはあるが、それは手料理とは言わないだろう。

 

「「!?  モグモグ」」

 

 俺の言葉を聞いたナルトとサスケはナニカを感じたのか、姿勢を正してゆっくりと母の手料理を味わいだす。

 俺と同じで母の手料理がはじめてなナルト。

 実の母親を殺されて以来久しぶりに母の手料理を食べるサスケ。

 思うところがある二人はゆっくりと噛みしめるように味わいだし、俺達の境遇を察した他の皆さんは重苦しい空気になった(カカシ先生もだろうに)。

 なんか微妙な空気になったが、原作とは違いナルトとサスケが吐かずに食事は終わった。

 

 

「あの〜なんで破れた写真なんか飾っているんですか?」

 

 食後のお茶を楽しんでいると、ヒマを持て余したサクラが目についた額縁について尋ねた。

 大人だったら察して気遣いから訊ねたりはしないが、そこはまだ好奇心旺盛な十二歳。

 気になったらなんでも訊いてしまうお年頃だ(サクラの場合は訊いて後悔することが多い気がするが)。

 イナリが食事中もずっと見ていた写真。

 写っていた誰かを意図的に破った写真。

 その質問に、ツナミさんは夫と、タズナさんは街の英雄と呼ばれた男と答え、イナリはその場から立ち去った。

 そしてタズナさんから語られたのは一人の男、町の英雄の話。

 国外から夢を求めて来た漁師は、少年の父親にして英雄となり、タズナさん達の新たな家族となり、町の人々からも我が身を投げうってまで救った姿からヒーローと呼ばれた。

 だが、

 だからこそこの島の支配を目論むガトーは、島民の心を折るためにカイザさんを公開処刑した(この世界は大名による統治が行き届いてないと警察機構のような治安維持機関はない)。

 彼が実際に武力行使によるテロ行為を行ったかは定かでない。

 しかし彼が抗議に暴力を使う人物とは思えない。

 ガトーがこの島の支配の為にヒーローと呼ばれているカイザさんを引き入れようとしたが断られ、島民の心を折るために見せしめにしたと考えるのが妥当だろう。

 その効果は覿面だった。

 イナリも、ツナミさんも、町民も、変わり。

 タズナさんを除き、ガトーに抗う者は居なくなったのだ。

 

「ヒーローなんてバッカみたい。

 そんなのいるわけないじゃん!」

 

 英雄の存在を否定するようなその言葉は、ヒーローだったばかりに大好きな人が殺されてしまった悲しみと、憧れのヒーローが敗れてしまった絶望からきているのだろう。

 ヒーローは居たのだ。

 居たけど負けてしまった。

 ヒーローが負けてしまい、大好きな人が殺されてしまった現実を前に、否定することで己を保っている。

 

 ガタッ

 

 この中で誰よりもヒーローにこだわり、英雄に憧れる少年が立ち上がる。

 動こうとしてもこけてしまうくらい疲労しているその身体でなおも動く。

 

「・・・・・・修行なら今日はもうやめとけ。

 チャクラの練りすぎだ。これ以上動くと死ぬぞ」

 

 カカシ先生がナルトのしようとしていることを察して止めに入る。  

 でも、

 

「証明してやる・・・・・・」

 

 それで止まるなら彼は、

 

「このオレが、この世にヒーローがいるってことを証明してやる!!」

 

 うずまきナルトではない。

 

 





 補足・説明。
  
 今話は修行の後から食事後までになります。
 汗だくドロドロな姿で食卓に付かせるのも何なのでオリ主が水遁で丸洗いしようとしました。
 狭間は戦闘では相性や適性があるので使用しませんが、低難易度の術ならあらかた使えます。
 しかし仲間の口から吹き出た水を浴びたくないナルトとサスケは必死に逃げました。
 綺麗な、下手したら純水かもしれない水です。
 でもなんか嫌だから逃げました。
 小便小僧の像のアレから出る水を抵抗なく飲めるのかどうか、と似た感覚かもしれません。
 風遁とニンニクは完全にネタですが、ナルトは注意が必要ですね(笑)いや彼は口ではなく手からだしていたような?ならダンゾウか(笑)。

 食事について。
 吐き戻しは許しません。
 ただそこでオリ主の発言は重すぎです。
 母親(ツナミさん)の手料理。
 ナルトと狭間ははじめてで、
 サスケとカカシは久しぶりでしょう。
 
 子ども(サクラ)はなんでも訊いてしまう。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・作者もまあ過去に散々やらかしましたね。書いてて辛かった。
 興味があるからとなんでも聞かない。
 それは歳をとってから身についたことですね。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。