百式観音を背負いて。   作:ルール

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 白の唇の艶っぽさが女の子扱いされる原因ですよね、あと仕草がなあ。

 また3巻にあるラフ画にガーデニングするナルトの姿があります。世話したら応えてくれる花の世話が趣味なナルト。
 微笑ましいけど、闇が深い。



原作3巻⑥

 

 霧が橋を覆い視界を奪う。

 殺意が先日のように全身に突き刺さる。

 

「久しぶりだなカカシ」

 

 どことも知れぬ位置から響く声が身体を震わすサスケを馬鹿にするように揶揄し、同時に水分身の群れが俺達を取り囲んで襲いかかろうとする。

 しかし今回は俺は拳を振るわない。

 

「武者震いだよ」

 

「やれ、サスケ」

 

 今のサスケならば対処できると確信しているからだ。両手に苦無を握り締めたサスケはこちらを囲う再不斬の水分身体達へ加速しながら駆け抜け、苦無を振るって屠り水へと還した。

 今のサスケは再不斬の十分の一程度の力ある水分身の群れを無傷で蹴散らせるくらい強い。

 

「ホーー、水分身を見切ったか。あのガキかなり成長したなあ・・・・・・」

 

 白を連れて現れる再不斬。

 予想通りに現れた再不斬と騙しておいて平然と現れた白に皆が反応する。

 

「アイツは俺がやる」

 

 白を確認したサスケが戦意を滾らせ一歩踏み出る。ヘタな芝居をうたれ騙された事実にかなり憤っているようだ(知ってて見逃してゴメンナサイ)。

 

「先手は打った、行け!」

 

「ハイ」

 

 そしてサスケの言葉に答えるように再不斬は白をサスケへと向かわせた。

 先手、俺はサスケに蹴散らされた水分身の残骸、撒き散らされた水を見る。

 

(抜かりないな)

 

 戦いにおいて布石を欠かさない。

 鬼人などという粗暴な異名とは裏腹に、存外に知的で計算しながら戦うようだ。

 

「!?」

 

 その瞬間、俺に記憶が流れ込んできた。

 念の為にタズナさんの家にこっそり護衛として残しておいた影分身が自ら消えたのだ。

 

(やったなナルト)

 

 ガトーの命令でツナミさんかイナリを人質に取りに来たガトーの用心棒である居合い切り使い二人。

 そいつらは影分身体が鎮圧するより先にナルトが駆けつけ撃退した。

 その時に、ツナミさんは母親として命懸けで息子を守ろうとし、イナリはナルトの言葉と今まで見てきた強い人達の姿を思い出して立ち向かい、ナルトは立ち向かったイナリを救い褒めていた。

 ナルトはイナリを命だけでなく、心まで救ったのだ。まさしくヒーローのように。

 これはただ強いだけの俺にはできない。

 人の心に向き合い寄り添い、悲しみと孤独を知り立ち、苦難に挑み続けたナルトだから出来たことなんだろう。

 

「どうした狭間?」

 

 溢れる感動に記憶を受け取った俺はつい笑みを浮かべ、場にそぐわぬ俺の表情に目ざとくカカシ先生が反応した。

 

「ナルトが救ってくれました」

 

「・・・・・・そうか」

 

 察しが良過ぎるカカシ先生にはその一言で十分。俺が影分身体をタズナさん宅に配備していたことも、そこへガトーの手下が攫いにきたことも、ナルトが駆けつけ解決したことも、全て察したのだろう。

 

「「「???」」」

 

 サスケ、サクラ、タズナさんは理由がわからず首を傾げているが。

 

「しかしツナミさんを攫いにきた用心棒らしき剣士二人は再不斬の仲間ですかね?」

 

「忍者じゃないなら再不斬ではなくガトーの手下かもしれん。別口で動いてる可能性もある、警戒しておいてくれ」

 

「了解」

 

 再不斬がこの手段を選ばなかったのは部下がいないのか本人のこだわりによるものか。

 とりあえず、予定通り配備していた影分身体二体のうち残り一体はこのままツナミさんとイナリの護衛を続けるだろう。

 

 ザッ!!ギィンン!!

 

 サスケの苦無と白の千本がぶつかり鍔迫り合いとなる。同世代ならば忍界でも屈指だろう白にサスケは食らいついていた。

 

「君を殺したくないのですが、引き下がってもらえはしないでしょうね。ボクは再不斬さんが警戒するあそこの彼と戦わないといけないのですが」

 

「アホ言え。狭間とやるならオレを倒してからにしろ」

 

 鍔迫り合いの状態、白は二つの布石を語る。

 辺りにまかれた水。  

 サスケの片手を鍔迫り合いで塞いだこと。

 ゆえにサスケは自分の次の一手は防げないのだと。

 白は空いた片手で印を結び術を発動。

 

(秘術 千殺水翔)

 

 白が足を踏み鳴らせば辺りの水が千本と化し浮かび上がり、一斉にサスケへと襲いかかる。

 全方位逃げ場のない囲い。

 否、開いてる隙間はあった。

 

(思い出せあの修行を。チャクラを一気に練り上げ、脚へ!!)

 

 白が後方に跳ぶと同時に水千本が合流するかのように中心へと集った。

 水千本の束に射抜かれサスケは血塗れに倒れ伏す筈であった。

 だがそうはならない。  

 白が後方に跳ぶと同時にサスケは上空へチャクラの反発反応を応用して飛んだ。

 木登り修行では失敗である込めすぎたチャクラによる反発反応。しかしそれは吸着の失敗ではあるが加速瞬発では成功なのである。

 

(消えた!?)

 

 サスケの姿がないことに白は驚愕。

 そこへ飛び上がったサスケが手裏剣を狙い投げる。その不意打ちを躱す勘の良さは見事だが、もはや遅れは取るまいと接近戦をしかけるサスケに遂に白は押し負け蹴り飛ばされた。

 スピード勝負。  

 制したのはサスケである。

 

「ガキだ、ガキだとウチのチームをなめてもらっちゃあ困るねえ。

 こう見えてサスケは木ノ葉の里のNo.2ルーキー」

 

((2番なのか))

 

「ここにいるサクラは里一番の切れ者」

 

(それはシカマルじゃないかなあ)

 

「この狭間はNo.1ルーキーにして伝説的変態の息子でありチャクラコントロールの変態」

 

「張っ倒しますよ」

 

 誰が変態じゃい。

 

「そしてもう一人は目立ちたがり屋で意外性No.1のドタバタ忍者ナルト」

 

 カカシ先生の語り。

 これは自慢や見せつけではない。

 口上もまた戦い。

 こちらの戦力を示すことで敵の戦意を挫く威圧。

 

「ククク・・・・・・ククククッ。

 白、分かるかこのままじゃ返り討ちだぞ」

 

 しかし鬼人は揺るがない。 

 余裕すら滲ませ、嗤う。

 

「残念です」

 

 それは、自らが道具と呼び。恩人の道具であろうとする仲間を、その実力を信頼しているから。

 殺さずにすませたい優しい少年は、予想外のサスケの実力にチャクラを練り上げる。

 

「なんだ、これは冷気?」

 

「水遁には温度変化の類の術はない。

 火遁か風遁との併用が必須の筈・・・・・・」

 

 白のチャクラがその身に宿る特異体質からなる秘術を発動させた。

 

「【秘術 魔鏡氷晶】」

 

 周囲の水が再度形を変え、氷で出来た鏡となる。

 上空まで包囲した鏡。まるで即席のミラーハウス。しかしそこに映るのは中央にいるサスケではなく鏡の中に潜り込んだ白。

 

「なんだ、あの術は!?」

 

 百戦錬磨のカカシ先生が知らないということはそれだけ危険であることを示す。

 

「行きます。サクラはタズナさんを」

 

「うん!!」

 

「おう、超行ってこい!!」

 

 原作でこの戦いはサスケの写輪眼開眼に繋がる重要なきっかけ。

 でもそれを知っていても放置などできない。  

 こんな時の為に俺は配置されているのだから。

 

「来んなっ!!」

 

 サスケがそう叫ぶ。

 囲まれた本人がそう言った。

 その言葉の真意は。

 

「(未知の術を前にしたら一人が身体を張って情報を得る。それが常道だろう)」

 

 アイコンタクトで伝えるサスケ。

 チームとしては正しい判断。

 だからサスケは術に囚われ、一人で白との戦いを続行する

 得た情報を仲間に伝えるため。

 その情報から仲間が対処出来るようにと。

 無論転生者である俺はこの術がどんなものかは知っている。

 サスケが身体を張って情報収集する必要などはない。

 だが俺はその原作から得た知識を伝える事ができないのだ。

 語れぬ原作知識がここまで歯痒いと感じるのは何度目だろうか。

 体質なのか転生のせいかは知らないが、前世で得たNARUTO原作の知識を他者に語ることが俺は出来ない。語れるようになるにはこの世界でその知識を経験し得るしかないのだ。

 おそらく俺はサスケにうちは一族の真実を語れない。実際に調べ上げその真実に辿り着かねば告げることができないのだろう。

 山中一族の方に己の記憶を探ってもらったこともあるが発見されなかった前世の記憶。

 それは脳ではないどこかに刻まれているのかもしれない。

 氷鏡の中で千本を構える白。

 

「ボクの本当のスピードをお見せしましょう」

 

 攻撃は始まりサスケは氷鏡を飛び交う白に千本で刻まれだした。

 

「ふん。ガキであろうが忍者としては一人前か。  

 いい部下だなカカシ」

 

「そのいい部下を助けたいからどいてくれないか」

 

「そうはいかん。そのガキの次は、狭間とかいうヤツも殺らせる。それまでお前は俺の相手だ」

 

「くっ」

 

 動けないのはカカシ先生だけではない。

 あの魔鏡氷晶でタズナさんを狙われてしまったら俺が側にいないと守れない。

 動けないのは俺も同じ。  

 影分身を援軍に差し向けるか思考するが、限られたチャクラで纏を使えばその強度は知れる。

 いくらチャクラ量が人よりあろうと、ナルトのように無駄遣いはできない。

 影分身からチャクラを回収できずに消されてしまえばきっちり分割分を無駄に減らしてしまうからだ。

 

「(いっそまとめて百式観音で叩き潰すか)」

 

 なんで使えるか。

 その理論と原理が不明で、なおかつデカくてなんか金色に光ってやたらと目立つから誰にも教えても見せてもいない俺の隠し玉(修行中は最大に広げた円で誰も見てないか確認してから試した)を使うか悩む。

 どこに再不斬の目があるかわからないからカカシ先生に実践含めて伝えられなかったソレをここで切るか悩んでいると。

 

「タズナさんをお願い、狭間君」

 

「すまない」

 

「・・・・・・うむ、行って来い」

 

 さっきとは逆にサクラが飛び出し、サスケの援護の為に苦無を投擲した。

 鏡の中の白を狙ったその一投は、しかし鏡から身体を出した白に受け止められた。

 

(受け止められた!!)

 

 サクラがそう思った瞬間。

 誰も想定していない位置から手裏剣が飛んできて鏡から身体を半分だしていた白に直撃した。

 その衝撃で鏡から引きずり出され水に濡れた橋に叩きつけられる白。

 

「誰?」

  

 とサクラが呟けば、答えるように派手な音を鳴らして手裏剣が爆ぜる。

  

「(あのバカ、目立ちたがり屋が)」

 

「(意外性No.1のドタバタ忍者!?)」

 

 変化の術が解け、煙から現れたるは、

 

「うずまきナルト!ただいま見参!!」

 

 イナリを助け立ち直らせた俺達の仲間だった。

 




 
 補足・説明

 今話は再不斬襲撃、ツナミさん達襲撃、サスケと白の戦いです。
 出張ろうとするオリ主ですが、その都度待ったがかかります。
 でないと百式観音で暴れておしまいですから(作者の悩み)。

 ちなみに原作未読の方の為にナルトの動きを説明します。
 
 ナルト起床→皆がいないことに気づく→慌てて着替える→ツナミさんに休めと言われたと告げられるが気にせず支度→行ってきますと橋に向かう→森を木々を飛び跳ね急ぐ→そこで刀で刻まれた木々やイノシシを発見→その痕跡がタズナ宅へ向かっていることに気づく→心配になり慌てて戻る→勇気を振り絞り母を助けようとするイナリを発見→変わり身の術を使いイナリを救出→用心棒二人を撃退→イナリに泣き虫呼ばわりを謝罪→お前は強いと褒める→用心棒二人を縄でグルグル巻き→橋もヤバいと判断し、イナリに任せ出発。
 となります。
 ざっと説明しましたが、少年期ナルトの名シーンの一つなので気になる方は是非原作コミックか、アニメをご視聴ください。
 二人の少年が認めあい前に進む様がとても良いです。

 
 オリ主の設定。  
 原作知識を語れません。
 語る為にはソレに関連する知識が必要です。
 ご都合要素の一つなのでツッコまれたら作者が困りますので、そんなもんだとスルーしてください。
 主人公が自ら保身の為に黙ってるとなるのを防ぐための処置です。
 ただ別作品については語れます。
 山中一族の脳内記憶チェックでも出所は不明ですが。
 ただ、父である谷間もなんか突然知らない情報を受信(存在しない記憶)することが多々あったので親子だなと山中一族からは呆れかつ恐怖されています。
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