百式観音を背負いて。   作:ルール

21 / 72

 オリジナル主人公より、オリジナル主人公父の方がキャラが濃いことが最近の悩みだったりします(笑)。



原作3巻⑦ 原作4巻①

 

「オレが来たからにはもう大丈夫だってばよ。物語の主人公ってのは大体こーゆーパターンで出て来てあっちゅーまにィー敵をやっつけるのだァー!」

 

 ・・・・・・・・・・・・君が物語の主人公なのはガチだと俺だけが知っている。

 結構反応に困る発言があるから困るんだよ。

 でも、こんなお調子者な彼の態度がシリアスを吹き飛ばし希望をもたらすように見える。

 そんなナルトを隙だと判断した再不斬が手裏剣を投げつけるもそれは味方である白が千本を投擲して防いだ。修行をして疲れ切ったナルトと会話した白は何か思うところがあるのだろう。

 いや、殺したくない。という本音を押し込めて殺すために、割り切るために彼にとって必要な手順なのかもしれない。

 状況は動く。

 魔鏡氷晶に閉じ込められたサスケ、サスケを助けるために展開された魔鏡に入り込んだナルト(助太刀に来て状況が悪化しとるがな)、再不斬と相対するカカシ先生(こちらは俺がタズナさんの護衛をしてるから原作よりはマシな筈)、タズナさんの護衛により動けない俺とサクラ。

 ・・・・・・・・・フリーなのがサクラだけやん。

 サスケが火遁豪火球の術で魔鏡氷晶を破ろうとするが火力が足りずに鏡は溶けない。

 ナルトが影分身の術で魔鏡に映る白の本体を探ろうとするが鏡の反射を利用した高速移動を捉えきれずに一瞬で掻き消される。

 そこでカカシ先生が、白の術が氷遁の血継限界であると理解する。子々孫々のみに伝えられる特異忍術は写輪眼でもコピーは出来ず、破る方法も見いだせない。

 絶望的な状況に夢があるから諦めきれないとナルトが呟き、その発言に白が反応する。

 殺したくない、殺させたくない。

 忍者に向いてない優しい少年は、恩人にして大切な人を護るため、その人の夢を叶えるため、刃で心を殺し忍になりきる。

 殺す覚悟を決める。

 それは、

 その在り方は、

 まだ下忍に成り立ての子どもでしかないナルト達には身についていない。

 だから白を倒せないとカカシ先生は言い、平和ボケした里(いやうちはのアレコレありましたがその、あと根)で本物の忍は育たないと再不斬は嘲笑う。

 その硬直した状況を打破する為にカカシ先生が選んだ手段は、写輪眼の使用。

 眼帯として斜めに装着している額当てを上げようとしたカカシ先生を再不斬の苦無の一刺が止める。

 写輪眼の使用を芸が無いと言ったにも関わらず発動を阻止した再不斬に、左手で苦無を受け止めたカカシ先生は怖いかと挑発する。

 

「仮にオレを倒せてもお前は白には勝てねーよ」

 

 鬼人桃地再不斬が拾い、戦闘術を叩き込み、心を殺す術を身に着け、血継限界を生まれ持つ少年白。

 再不斬は道具と呼ぶ彼を何よりも信頼していた。木の葉のコピー忍者はたけカカシに劣らぬ逸材であると。

 

「他人の自慢話ほど退屈なものはないが、こちらも自慢してやろう。

 仮にお前がオレを倒せてもお前は狭間には勝てない」

 

「へぇ」

 

「心を殺さずに感謝をもって己を磨きあげたアイツはお前らよりも強いよ」

 

「ふん、戯言だな」

 

「戯言かどうかは試してみるか」

 

 ・・・・・・・・・自分が把握してるより、自分の修行する姿は周りから見られていたのかもしれない。

 そして一日一万回の感謝の正拳突きは、見てる人にえらい誤解をされてるのではないだろうか?

 気にはなるが確認するのがなんか怖い。

 自分と他者の認識の差を知るのが怖い。

 カカシ先生と再不斬の会話は続く。

 話はカカシ先生の写輪眼のことになっていた。分が悪いと途中から情報収集に徹していたらしい再不斬は傍らに潜み観察していた白の分析で、カカシ先生の必殺戦術であるコピー殺法のメカニズムを暴いていた。

 洞察眼と催眠眼を持ち合わせた写輪眼を用いたコピー殺法。それは、

 姿写しの法で、敵の動揺を誘い、

 心写しの法で、敵の心の声を決めつけ、

 術写しの法で、敵の先出しさせた印の結びを真似て、敵が使おうとする忍術を先出して仕留める。

 ・・・・・・この戦法を使ううちは一族なんて原作ではいなかったから、写輪眼を譲り受けたカカシ先生が独自に開発した殺法なんだよな(洞察眼で術やら動きのコピーはできるようだが)。やはり天才なのか。

 そこで再不斬が見出した攻略法は、

 霧隠れの術の濃度を上げて、カカシ先生の視界を奪い洞察眼を封じ。

 術写しの法の手順である催眠眼による幻術を自ら目を閉じることで防ぐ。

 これによりコピー忍者はたけカカシの同じ忍術のぶつけ合いから勝つコピー殺法を使用できなくさせたのだ。

 しかしそれは考えついても普通はできぬ攻略法。

 カカシ先生の写輪眼と同時に自らの視覚も封じてしまっているからだ。

 だが、視覚を封じるその攻略法は桃地再不斬にとって何の問題もない。

 鬼人桃地再不斬。

 彼は霧隠れの至宝七振りの忍刀の使い手としてではなく、音だけでターゲットをつかむ無音殺人術の天才として名を馳せた忍だからだ。

 視覚と聴覚。

 濃霧の中では聴覚が軍配を上げた。

 

(ちくしょう、サスケとナルトが心配だってのに。これほどの悪条件下での戦いは久しぶりだ。

 これなら狭間の教えてくれた【円】とかいうチャクラコントロール技を習得すべきだったか。

 いやあんなトンチキチャクラコントロールなんて一週間やそこらで身につくわけがないし、なにより俺じゃあチャクラ量が厳しい)

 

「来るか」

 

「え?何?」

 

 深い霧の中で再不斬が選んだ標的はタズナさん。その動きを円で察していた俺は首切り包丁の一刀を両手に凝を使い防ぐ。

 

「なんだと!?」

 

 相性最悪な忍刀である大刀鮫肌(なんかあれだけ圧倒的に性能おかしいよね)ならばともかく、血を吸い再生する忍刀の首切り包丁はチャクラが込められなければただのデカい斬馬刀。

 俺が四大行を元にしたチャクラコントロールの使い手ではなく、血界戦線の血闘術の使い手(鮫肌ならそれもなんとかしそう)だったら危うかったが凝を使えばガードできると証明できた。

 

「狭間っ!!」

 

 再不斬の動きに気づいたカカシ先生が駆けつけてくる。

 

「問題ないです。タズナさんとサクラは守りきれます」

 

 円は要らん情報まで無駄に拾うから情報過多で頭が痛くなるのと広範囲の維持に神経削ってしんどいけどね。

 

「ガキが」

 

 不快そうに再不斬は吐き捨てる。

 

「フン、まあいい。

 白が向こうのガキ共を仕留めたら次はテメェだ」

 

 待てよ、このセリフ。

 マズイっ!!

 再不斬のセリフに俺は原作で同タイミングで起きたナルト達の状況を思い出し、全力で駆け出す。

 

「「「!?」」」

 

 原作と同じように動くとは限らない。

 俺の存在によりいくらか状況は変質している。だからそうなるとは限らない。

 原作ならば極限まで集中したサスケが写輪眼の開眼に至っている。

 ナルトを庇う、愛の、情深き意思と行動が写輪眼を覚醒させているだろう。

 だがその後がマズイ。

 サスケより先に写輪眼開眼に気づいた白が、原作のように仮死状態などにせず、サスケを殺してしまう可能性がある。

 何せ白は、次は俺を殺さねばならないのだから。

 

「狭間君っ!!」

 

「どうしたんじゃっ!?」

 

 驚く二人の声を背に感じ走り出す。

 間に合えと。

 

「ふん、どうやらお前自慢の部下が行くほど向こうはヤバいみてえだぞ、カカシ」

 

「そうだな。

 ならオレがお前を仕留めておかないとな」

 

 必殺戦術であるコピー殺法を破られたはたけカカシは、ベストから巻物を抜き出した。

 コピーではない、はたけカカシの術をもって打ち破るために。

 

 

 獲物を確実に狩る時に重要なことは、獲物を観察しその隙を突くことだ。

 そして攻撃する際には一撃で仕留めることが肝心。生命とは簡単に死なない。

 死ぬまでの間に最後の一撃を繰り出し道連れにしてくるものが殆どだ。

 だから隙をつき、確実に攻撃を命中させ、一撃で仕留める必要がある。

 獲物が隙を作るタイミングはいつか?

 それは主に二つ。

 食事中か?否。

 就寝中か?否。

 野生の獣はその時こそ一番警戒している。

 ならばその二つとは何か?

 それは、

 かつてゴンがヒソカからプレートを奪った、獲物を狩るために攻撃した瞬間か、

 仲間を敵の攻撃から庇うために飛び出した瞬間である。

 白が選んだのは後者。

 前者が選べぬ状況であるという理由もあるが、不完全であるが写輪眼を目覚めさせたサスケは白を捉えつつあり、直接サスケを狙えば回避される公算が高いからだ。

 ゆえに白は倒れたナルトを狙いサスケをおびき寄せ仕留めようとした。

 

「(それを知ってるならさせるわけねえだろ!!)」

 

 うちはサスケの全身に衝撃が走っていた。その痛みは、予想していた千本による攻撃によるものではなかった。

 押し倒され、地面にぶつかった衝撃だ。

 

「は?」

 

「え?」

 

「何ですって?」

 

 一方的な戦いの場に現れた闖入者。

 攻撃と庇いの場に割り込まれた二人は吹き飛んだ白とサスケ、倒れていたナルトが顔を上げると、

 そこには千本を全身で受け止めた千手狭間がいた。

 

「なんで」

 

「は、狭間?」

 

 まるでハリネズミみたいだ。

 自分達も体中に千本が突き刺さっているのにそう思った。

 

「順序が変わってしまいました。

 ですが、仲間のために駆けつけ庇い死ぬ。

 彼もサスケ君同様に尊敬に値する忍です」

 

 ゆるさねえ。

 ふざけるな。

  

 白の呟きが心からの称賛であることはなんとなく分かる。

 けれど、

 サスケとナルトの脳裏によぎる狭間との思い出。アカデミー時代は目障りな障害とすら思っていた狭間と関わりだしたのはアカデミー卒業後から。

 数ヶ月もしない短い関係。

 実力だけはぶっ飛んだ、隠し事だらけのおかしなヤツだった。

 それでも、

 その死を許せない。

 殺したヤツを許せない。

 開眼したばかりの写輪眼がこみ上げる激情に一足飛びに万華鏡へと変化を始める。

 怒りが封印を刺激し体内の九尾と呼応して尾獣の強大なチャクラが漏れ出る。

 心を押し殺す忍では至れない。

 激情による進化が二人に起きかけ、

 

「勝手に人を殺すな」

 

 その進化は強制キャンセルされた。

 

「「「!?」」」

 

 四大行、纏と練の応用技【堅】。

 全身を凝にする。

 そんな矛盾を成り立たせる、練の長時間維持という強引な力技。

 その防御力は纏の比ではない。

 ゆえに、鏡面反射で加速した千本の乱舞を全て体表で突き刺さることなく受け止めた。

 

「(スナイパーライフルや戦車を一発でオシャカにするスーパーバズーカを耐えきる幻影旅団のウボォーギンなら纏で防げたんだろうな)」

 

 彼ならばこの世界でどれほどの強者扱いされるのか?流石は死んだ後に巻を重ねるたびに再評価されるほどの存在である。 

 

「ありがとな。サスケ、ナルト」

 

「「!?」」

 

「二人が身体を張ってくれたおかげで情報を得られた。あとは俺がやる」

 

 魔鏡氷晶。

 再不斬をして破った者はいないと評した必殺忍術。けれど欠点はある。

 

「他の忍術と併用はできない。攻撃が千本に限られることだ」

 

 ならば動きを捉えることが出来れば躱せるし、攻撃に耐えきれる防御力があるなら通じない。

 

「脳筋すぎる」

 

「知能派なのに戦闘はゴリ押しばかりだってばよ」

 

 だってそれが一番シンプルで強いし。

 俺の動きを察したカカシ先生も決めるために口寄せを使ったようだ。

 気配が増えて地中を動いている。

 

「耐えきれても、ボクを捉えられなければ意味がない!!」

 

「悪いが」

 

 時間はない。

 カカシ先生を止める為にも白を倒しておく必要がある。

 まだ伏せておきたかったけど、濃い霧の中で一打だけなら問題ない筈。

 

「百式観音 壱乃掌」

 

 流石に元であるアイザック・ネテロほどの練度はない。

 しかしこの場に俺の一連の動作。

 両の掌を合わせ攻撃の起点とする所作を見切れる者など一人もおらず。

 ゆえに白は自身よりも巨大な観音の掌を全身でくらうのであった。

 

(威力の加減はできた・・・・・・・・・・・・筈。

 いくらか骨は砕けただろうが、死んでないのは気配でわかる。

 しかしなんだろう?

 百式観音を使用してると感知範囲と精度がやたらと向上している気がする)

 

 白が倒れ伏すと同時に氷鏡は砕け散る。

 それはこの白との戦いの終わりを示していた。

 

「なんだ今の攻撃は?」

 

「あの超はえー正拳突きだってば?でもなんか見えたような?」

 

 確実に見えたわけではないが戦いの極限状態で研ぎ澄まされた二人の感覚は百式観音を捉えていた。

 伝えても構わないが、なんでできるようになったかわからないコレを教えてくれと乞われたら困るんだよな。

 

「よいしょ」

 

 ヤベ、橋の一部に掌型のクレーターが。

 やや凹んだそこから全身強打された白を引っ張り上げて肩に担ぐ。

 砕けた面から素顔が明らかになり、そこでナルトは白が先日会ったサクラより可愛い少年とわかり驚く。

 

「・・・・・・ボクを殺してください」

 

 うわ言のように呟く懇願を俺はあえて聞き流した。

 カカシ先生ももう再不斬を捕らえた頃だろう。

 コピー殺法破りの視覚封じ戦法。

 視覚と聴覚ならば聴覚が勝ったが、忍犬の嗅覚と聴覚ならば嗅覚が勝る。

 辿る臭いが苦無だけなのが不安要素だが、問題はなかったようだ。

 となればそろそろ頃合い。

 カカシ先生が雷切を発動する前に止めなければ。

 支払いを反故にするために、他流忍者同士の討ち合いで弱ったところを数で諸共攻め殺すというガトーの企み。

 この状況ならばもう調子に乗っていつ出てきてもおかしくはない。

 

「行くよ二人とも」

 

「ああ」「だってばよ!!」

 

 カカシ先生の方へ急ぎつつ、ガトー達の気配を探ろうと意識を集中したところで、

 

「!?!?」

 

 俺はその集団の気配に気づいた。

 それは大陸側から船で梯子をかけて橋の上に登ってきた集団ではない。

 波の国側から集まって武装した町民達のものではない。

 それらとは明確な差違がある集団。

 練り上げられたチャクラを持つ者達が海側からこちらに向かってきている!?

 

「カカシ先生っ!!」

 

「ふん、再不斬を捕らえたか」

 

「犬に噛まれまくりだってばよ」

 

 八匹の忍犬に拘束された再不斬。

 こちらの戦いも決している。

 

「そっちは終わったか」

 

「馬鹿な、白!?」

 

 俺達の無事を確認して安心したカカシ先生と、俺の肩に担がれる白の姿に驚愕に目を見開く再不斬。

 色々言いたいがそれどころではない。とにかく急ぎ伝えなければいけないことは、

 

「ハッーハハハハハ。ずいぶんと無様な姿だな再不斬!!」

 

 ここで登り上がったガトーが登場。

 勝利を確信した悪党は勝ち誇り高らかに己の企みを暴露し、俺の狙いあるいは願い通りに再不斬と白が俺達と戦う理由は無くなったが、

 

「霧隠れの鬼人が聞いて呆れるわ私から言わせれば、ククただのかわいい小鬼「忍法 石破天驚拳」ぐべラッ!!」

 

 それどころじゃねえんだよっ!!

 

 高らかに御高説たれるガトーを俺は石破天驚拳で周囲のチンピラごと押し潰した。

 

「「「「えええ〜〜〜!!」」」」

 

「なにをしてるの狭間君?」

 

「なんのつもりだテメェ!?」

 

「だから、それどころじゃないんです!!」

  

 もうそろそろ視認できる距離か。

 俺が怒鳴りながら指差した先。

 そこには一隻の船がこちら目掛けて突き進んでおり、その船首には長身でセクシーな底知れぬ気配宿す美女がいた。

 

「霧隠れの部隊か?」

 

「あの女、まさかっ!?」

 

 

 建設途中の大陸と波の国を繋げる大橋。

 そこに、

 木の葉隠れ小隊。

 霧隠れの抜け忍。

 ガトー私兵団(ガトー含めてかなり瀕死)。

 武装町民集団。

 そして、

 照美メイ率いる霧隠れの精鋭が集った。

 

 





 補足・説明。

 今話は再不斬戦、白戦、ガトー登場(退場)までとなります。
 どうするか悩んだ話なのでまとまって良かったです。
 どこを省くか、どこを飛ばすか、そこでかなり苦戦しました。
 あと結局予定外に百式観音を使ってしまいました。予定では拳打を飛ばすか、撒菱指弾で鏡をぶち抜き白を殴るつもりでした。
 白の過去語りはナルトにとって大切な学びのシーンですが、生きてればいつでも語り合えるかなとあえて飛ばしました(原作語りそのままになりますし)。

 ガトー登場からの退場。
 コイツはこんな扱いでいいかなと。
 一応生きてますが、意識はありません。

 照美メイ登場。
 再不斬は付き合いあるか気になりますね。

 次話でなんとか終わりにしたいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。