百式観音を背負いて。 作:ルール
読者の皆様の照美メイさんの印象(笑)
まあ合ってますけどね、婚期焦ってますけどね、でもこの方は高嶺の花過ぎなんですよ、結婚できなかったくらいに。
あと接吻したら溶けそう。
木の葉隠れ下忍小隊第七班が受けた橋作り職人タズナの護衛任務はいよいよ終幕へとさしかかっていた。
恐るべき実力を持つ霧隠れの抜け忍桃地再不斬とその腹心たる氷遁使いの白、高い分析力で第七班への対策をして襲撃してきた彼らを辛くも撃退しかけたところ、その集団は現れた。
桃地再不斬の雇い主にして海運王ガトー率いる私兵集団。ガトーはタズナの護衛である木の葉隠れの里の忍者と霧隠れの抜け忍桃地再不斬達の共倒れを狙い、弱ったところで私兵集団にて諸共始末する算段であった。
しかし事態は急変。
なんとこの場にさらに集団が現れたのだ。それは木の葉隠れの下忍うずまきナルトに勇気を貰った少年イナリの呼びかけにより立ち上がった町の住人達。英雄の死に戦うことを止めた彼らはこの町を守るために武器を手に取り脅威へと立ち向かう。
そしてもう一つ。
海の先より現れた一隻の船。
霧隠れの里の紋章を掲げたその船には精鋭の忍達。船首に立つ艶然たる美女ははたけカカシ、桃地再不斬以上の実力者であると感じさせた。
風雲急を告げるこの事態。
果たしてどのような結末を迎えるのか。
(照美メイか、なら大丈夫だな)
なお転生者であり原作知識を持つ千手狭間は率いる人物を確認しホッと息をついた。
気配の感知段階ではそのチャクラ量と人数から脅威としか思えなかった。
しかし率いる者があの新たな水影である照美メイとあらば話は別なのだ。彼女の為人と婚期への焦りを千手狭間はよく知っていたからだ。
「ここまでか・・・・・・」
しかしそんなことは、当然のことであるが千手狭間しかわからなかったのである。
「あの霧隠れの忍達は」
「な、なんだってばよアイツら」
「味方なの?敵なの?」
第七班の皆が混乱し慌てふためいている。しょうがないことだ、再不斬達との戦いが終わったと思ったら追加戦力にも見える忍集団が現れのだから。
「すまないなカカシ、戦いはここまでだ。
お前の部下が叩き潰しちまったがガトーは俺達を裏切った、オレにタズナを狙う理由はもうない」
「ああ・・・・・・」
・・・・・・焦ってつい石破天驚拳で叩き潰しちまったぜ(テヘペロ)。
「そしてあの霧隠れの連中はオレの客だ。まさか追忍部隊じゃなく精鋭部隊で来るとはな。
率いている女は照美メイ。
血継限界を迫害する霧隠れで、血継限界持ちでありながらその実力で上層部へ上り詰めた女傑。
詳しくは知らねえが溶かして殺す忍術の使い手らしい」
交戦した敵の死体とか残らなそうだからよく知らなくて当然ですね。
「・・・・・・取引だカカシ」
再不斬は船から橋へと渡った三人の霧隠れの忍を見つめたまま話を持ちかける。
「要求はオレの逃亡を見逃すこと。
こちらが差し出すモノは、血継限界を持ち戦闘術と霧隠れの追忍の技量を仕込まれた便利な道具」
「「「「!?」」」」
その申し出に俺達は驚愕、そしてナルトからは怒りの感情が噴出しだす。
「ふざけんなコラあああ!!」
白への道具扱い。
それがナルトには許せなかった。
白自身が自分を道具だと呼び、それを徹しようとしていたが、その本心が大切な再不斬の為に全てを捧げようとしているとわかったからだ。
でも、
「ったく、素直じゃないね」
「(これってもしかして)」
この取引の真意は道具を使った自らの保身からの行動ではない。
「わかったか白。逃亡の邪魔になる道具はもういらん。お前の持ち主は今日から木の葉だ」
「再不斬さん・・・・・・待って」
「テメェえええっ!!」
まだナルトは理解できないようだが、カカシ先生と白は気づいている。
「小僧」
「あんだコラァ!!」
「白を頼んだ」
「え?」
取引の材料として差し出すことで白を危険から遠ざけたことを。
自分の巻き添えにならぬように保護させたことを。
その覚悟を決めた相貌を見た瞬間、全員が理解した。
「あばよ」
負傷し血の噴き出る身体で首切り包丁を構え、桃地再不斬は照美メイへと突っ込んだ。
某どこぞの鬼みたいな侍集団のように敵に向かって撤退するのではない。
ここで命散らしても白が無事ならそれで良いと、討ち死に前提の特攻である。
「・・・・・・そんなこと言うなら、そんなことするくらいなら」
駆ける再不斬の後ろ姿にナルトは何を見たのか。その瞳から涙を流して叫ぶ。
「最初から大事な仲間だって言えよバカヤロー!!」
言わずとも伝わるものがある。
言葉にされなくても白はわかっていた。
己を道具と呼ぶ鬼人の、
その不器用な情を。
「ラァッ!!」
リーダーと思われる照美メイへと振り下ろされる渾身の首切り包丁による一刀。
「フンッ!!」
その一撃は照美メイの前に飛び出した、霧隠れ忍刀七振りが一つ双刀ヒラメカレイを握る少年により防がれた。
「コイツは」
「流石、再不斬先輩。
受け止めるだけで精一杯です」
霧隠れに残った唯一の忍刀を託された長十郎。その実力は再不斬が自身より強いと評した白に引けを取らない。
「落ち着いてください、桃地再不斬」
「早合点だな再不斬」
追撃するために首切り包丁を振りかぶる再不斬に照美メイと控えていた男性から静止の声がかけられる。
「テメェは青か」
青、第三次忍界大戦で日向一族から白眼を奪った霧隠れ屈指の感知力を持つ忍。
桃地再不斬も霧隠れ時代に面識のある人物だ。
「ワタクシ達は貴方を捕らえにも討伐しにきたわけでもありません」
「なに?」
ガトーに雇われ、タズナさん抹殺の為に準備をしていたらしき再不斬は霧隠れの情勢を知らなかったようだ。
「四代目水影やぐらの時代は終わった。
現在、霧隠れの里は再建すべく動きだしている」
かつて桃地再不斬がクーデターのために命を狙った水影の失脚、あるいは死亡。それが為されていたことを桃地再不斬ははじめて知ったようだ。
「こちらに御わす方こそ新たな水影。
五代目水影照美メイ様だ」
「まだ、暫定ですけどね」
五代目水影照美メイはそう艶っぽく笑うのであった。
混沌とする状況で一番の不確定要素から説明がされた。
この国に来た霧隠れの忍達の目的は、桃地再不斬一派を迎えにきたこと。
先日のタズナさん襲撃初日に返り討ちにあった鬼兄弟は木の葉に運ばれた後にすぐさま霧隠れへと引き渡された。
他里の忍は機密の宝庫。
オレンジを絞ってオレンジジュースを作るかのようにあらゆる情報を絞りつくされる筈であったが、状況が鬼兄弟の身を救った。
時期が良かったのだ。
木の葉隠れ上層部は里をあげての一大イベントである中忍選抜試験を前に無用なトラブルを嫌がったのだ。
ましてや相手はクーデターが成功したばかりの外交をまだしていない霧隠れ。
なにが起こるかわからない厄介事の種となる前にさっさと処理したというわけだ。
「そういえばカカシ先生。
もし狭間君が影分身で鬼兄弟を運べなかったらどうしていたんですか?」
「ん?そら放置だろ。
一応は里に伝わるように狼煙ぐらいは上げたが、わざわざ里に引き返したりはしないからな」
縛りあげて狼煙をあげて放置。
そして後で捕縛部隊が回収。
それが抜け忍の対処の一例である、
忍は警察ではない。
抜け忍やらチンピラに一々構ったりしないし、それらの人権に拘ったりもしない。
尤も殺さない事や狼煙を上げることなどこの対処もかなり温情がある方だ。
抜け忍など始末するのが普通なのだから。
そしてその鬼兄弟から桃地再不斬のことを知った現霧隠れ上層部が彼の勧誘、帰順を促す方針を決め、こうして波の国へと赴いたのである。
精鋭部隊を連れてきたのは万が一に備えて。
場合によっては、はたけカカシと桃地再不斬の戦いに割り込み止めねばならない状況の可能性もあったからだ。
「桃地再不斬、先んじた霧隠れの英雄。
貴方が動いたことで我々は立ち上がることができました。
どうか里に戻り、その力を貸してください」
クーデターがなった今、霧隠れは再建するための戦力を欲していた。やぐら時代に抜け忍となった者達は全員が法を破り我欲を満たそうとした者ではない。
里の方針についていけず、四代目水影やぐらに反発して里を飛び出した者達も多い。
そんな彼ら彼女らを霧隠れは受け入れようとしているのだ。
「桃地再不斬、英雄たる貴方が望めば水影の座をお譲りいたします。その際にはワタクシは妻としてお支えしますが」
なんかとんでもないことを言ってるなこの人。青さんと長十郎さんがギョッと驚いているよ。
「戯言はよせ。
英雄だあ?俺は負けた、お前は勝った。
敗者と勝者、どちらが上に立つかは明白だろうが」
「いえいえそんなお気になさらずに、今ならワタクシもついてきますよ」
「新しい水影様は、ずいぶんと冗談が好きみたいだな青よ」
「ああそうだな。このような冗談はよく口にされている方なんだ」
(冗談じゃなく本気だと思います)。
霧隠れの状況を知った再不斬は首切り包丁を地面に突き立てドカリと座りだす。
「いいだろう、俺は霧隠れに戻りアンタの下につく」
「・・・・・・・・・結婚が、いい男が」
「メイ様?」
ショック受けてますね水影様。
「だが条件がある」
再不斬はそこで帰順する条件を告げた。
「一つはアカデミーの改革、身内殺しなんてもうさせるな」
鬼人誕生のきっかけとなった血霧の里の悪習。再不斬はずっと気にしていたのか。
「承知しました」
「一つは血継限界差別の根絶。血継限界と知られても殺されないようにしろ」
「無論です」
やっぱり白の境遇を気にしていたのか。
「最後に、勧誘するのは俺だけだ。白は、優しすぎるコイツは血継限界があろうと忍者に向いてねえ」
「再不斬さん・・・・・・」
「優しすぎることが必ずしも忍者に向いてない要素とは思えませんが、わかりました」
白本人の意志を尊重するようだが、これも認められた。
「さ、行きなさい」
立ち上がり走れるくらいに痛みが引いた白の背をカカシ先生が押した。
「え?」
「木の葉隠れは人を道具と呼ばない扱わない。
だから君は人として、自分が居たい場所に行っていいんだ」
勘違いからこちらに引き渡された白。
そんな彼に自由にして良いのだとカカシ先生は告げたのだ。
「・・・・・・ありがとうございます」
礼を言い、こちらに笑いかけた後に白もまた駆け出した。恩人である大好きな人の元へ。
原作ではここで死に別れ、共に黄泉へと旅立った二人。
しかしこの世界では、まだまだ二人並んで歩いていける。どこまでも、もっと先へ。
「やっぱ白って男なのに、サクラちゃんより可愛いってばよ」
「ああん!?」
白の笑みに見惚れてしまい溢れたナルトの本音。それを聞いたサクラは怒り狂いナルトを殴り倒したのであった。
その後の話をざっくり語ろう。
桃地再不斬と白を無事迎えいれた霧隠れ一行はカカシ先生に謝罪のちに説明。
木の葉隠れ上層部とは話もついているそうだ。
既に感情として再不斬達を敵と認識できない俺達はその説明に頷き、了承した。
次に再不斬に命を狙われてたタズナさんにも謝罪。霧隠れの鬼人に命狙われる恐ろしい体験をしたタズナさんだが気にしなくて良いと笑って許した。
次に、なんか放置されていたガトー含めたガトー私兵団だが、これもあっさり処理。
なんか面倒だから俺が石破天驚拳を連発して全員鎮圧し、霧隠れが回収してくれました。
橋に何個か手形がついてしまったけど、オブジェとしてそのまま採用しようとタズナさんが言っていた。
そして元凶であるガトーだが、水影である照美メイ様が水の国の大名を含めた被害を受けた者達を集めて裁きを決めるそうだ。
その財産は没収され、関係者達に分配され支払われることになった。
ガトー本人がどうなったかは・・・・・・まあ語るまでもない。
ただ、この町の英雄であるカイザのようにその死を惜しまれ悲しまれることだけは絶対にない。
その生涯は悪党としてすぐさま消え去り、忘れ去られることだろう。
数日後。
長かった波の国の滞在も今日で最後。
「お世話になりました」
「まあ!まあ!タズナのおっちゃんまた遊びに来るってばよ!」
すっかり仲良くなったナルトとイナリは涙の別れとなった。
霧隠れの乱入で目立たなかったが、町民達はナルトに貰った勇気で立ち上がり前を向き出していた。
タズナさんはその感謝から、完成したこの橋に名前をつけた。
ナルト大橋、と。
オマケ(入れると軌道修正が大変だったので)。
「君が、千手谷間さんの息子ですか」
「亡き父がすいませんでした!!」
「なんでのっけから土下座なんだってばよ」
「こんな美女に父がセクハラしないとかありえないから」
「まあ、谷間さんだしねえ」
「フフ、あの方にそんなことはされてませんよ」
「「「嘘だっ!?」」」
「なんでお前まで叫ぶんだ青」
「千手谷間とは交戦したことがあってな、一方的にボコられたが」
「黙れ殺すぞ」
「ええ〜〜〜」
「あの方はかつて敵である幼い私を救い言ってくれたのです。【将来有望なヤツはきちんと成長しろ】と」
「【将来有望な(胸の)ヤツはきちんと成長しろ】ですねわかります」
「その言葉があったからワタクシはここまで至れたのです。千手狭間君、偉大な父を持つ苦労には同情しますが、あの方に恥じぬよう大きく強くなってください」
「あ、ハイ」
誰がどのセリフはなんとなくわかると思いますがご想像にお任せします。霧隠れでは再不斬と長十郎は谷間に会ったことはなく、交戦したことのある青は狭間に同情しています、照美メイさんはなんかあったようです。
補足・説明。
波の国編終わりです。
最後は駆け足でしたが、照美メイのインパクトがありすぎましたね。
最初の再不斬のアレコレは勘違いからです。
でもこの状況なら彼は白を逃がそうとすると思いました。
ガトーに関してはこんな感じです。
霧隠れの対応は桃地再不斬を謀殺しようとした怒りもあります。
本人は裁かれ、財産は没収からの分配となりました。
木の葉隠れ、波の国にもかなりの額がきたそうです。
ナルトはイナリを救ったことで波の国でかなり人気者になりました。
また橋完成まで影分身で手伝いもしました。
オマケ。
本編に挟むには脱線した内容だったのでこんな形にじした。
果たしてこの世界で照美メイさんは結婚できるのか?
次からはエピローグ的なのを挟んでから中忍試験ですね。