百式観音を背負いて。   作:ルール

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 当作品では原作ではもっと後に登場するキャラクターが先に出たりします。
 くのいちはどうやら別のクラスみたいですが、男子は一緒のようなので。
 そして昔はガイが落ちた(結局入学できたが)忍者学校の入学試験にナルトが合格できたのはなぜでしょう?
 合格基準が当時とは異なるのかもしれませんね。



原作1巻②

 

 忍者学校卒業試験日当日。

 原作とは違う展開もあるかもと期待と不安を抱きながらイルカ先生の言葉を待っていたが、告げられた試験内容はやはり分身の術だった。

 一番苦手な術だとあたふたと焦りだすナルトを視界におさめながら油断しないように気を引き締める。

 

「次、千手狭間」

 

「はい」

 

 卒業試験は隣の教室で一人ずつ行う。額当てをズラリと並べた机とその後ろの椅子に座るイルカ先生とミズキ先生(この後のやらかしを知る身としては先生と呼びたくないが)の前で課題となる忍術を使用するのだ。

 

「分身の術」

 

 分身の術は自分が想像した残像を創り出す忍術。一時期は幻術の類かと思ったりもしたが、幻術は相手の精神に直接干渉するタイプなので実は違う。

 実際は異なるかもしれないが自分の解釈としては、姿形だけを再現したチャクラの塊を創り出す忍術だと思っている。

 チャクラの塊であるがゆえに実体がないのは当然であり、姿形を再現するのだから個人のセンスで差がでるのだろう。

 後に登場する五行遁と合わせた分身の術はそのチャクラを五行に変質させるから実体があるのだろう。

 となればこの後にナルトが習得する影分身の術の難易度と燃費の悪さも納得である(利点はありすぎるが)。

 自身のチャクラ性質に最適な属性を用いたり周囲にある物質を素材にできる五行分身術とは異なり、全ての質量をチャクラで賄うのだから(それだけではなく影分身を消した際の記憶と経験の共有というとんでもないシステムがチャクラを食っている可能性も高い)。

 

「二十人の分身、見事なものですね」

 

「外見のブレもなく申し分ない。

 よし、合格だ」

 

 原作知識で他の生徒は三人には分身しているとあった(ナルトは一人未満)、だからあまり飛び抜けた記録はだすべきではないと思い手加減することも考えた。しかし俺は既に忍者学校で成績優秀者と認知されている、平凡を装うのは今更なのだ。

 

「おめでとう狭間」

 

「ありがとうございます」

 

 イルカ先生が木の葉隠れのマークのついた額当てを手渡してくれる。

 心からの祝いの言葉と共に受け取るのだが内心ではけっこう複雑で素直に喜べなかったりする。  

 だってコレ。

 この後の上忍からのサバイバル演習という下忍認定試験で脱落したら返却しなきゃいけないし。

 ・・・・・・・・・忍者登録書作成もそうだが、正式認定されてから渡して欲しいのですが。

 額当てを得て家族に祝福された他の生徒達の糠喜び感がえげつないのではないだろうか?

 はっ!?まさかこれは忍者学校設立した二代目火影扉間様の決めた方針なのか。

 上げてから落とす。

 流石は卑劣様と呼ばれし扉間様だ。

 

(しかしまあ、よく取り繕うもんだ)

 

 退室する際に二人の教師を見る。

 優しげな人相のミズキと厳しい表情を維持しようとするイルカ先生。

 千手の血か出自不明な母の血の影響なのかこの身体は他者の感情を朧げながら見透かしてしまう。読心術というほど便利なものではないが、外面と内心がまるで違うことがわかってしまう。

 ゆえに温和そうにニコニコとしているミズキが刺すような嫉妬の感情を向けていて、喜ぶのを堪えようとしているイルカ先生が心から祝福しているのがよくわかる。イルカ先生は表情すら取り繕えてないな、わかりやすいよこの人。

 

(ナルトはどうなるかね?)

 

 原作通りになるのかどうなのか?この時の俺はまだそんな思考に囚われている時期であった。

 

 

 

「酷いもんだねまったく」

 

 その光景を俺は冷めた眼差しで眺めていた。

 

 

 忍者学校卒業試験日、夜。

 イルカ先生ぐらいしか祝ってくれる存在のいない孤児の俺は忍者学校前で子ども達を待つ保護者勢をすり抜けて帰宅。

 サバイバル演習で忍者学校に戻される可能性が十分にあるため卒業試験結果を喜ぶ気にはなれず(春野サクラ以外は旧家の勢揃いした状況では下忍認定される人数が原作のままの9人なら落ちてもおかしくはない)、普通に家事を済ませ、感謝の正拳突きをして、百式観音の確認をして、開発中のオリジナル技(他作品のパクリ)を試して過ごした。

 終えた後にシャワーを浴びて就寝しようかとも思ったが、ついその足は夜の木の葉隠れの市街部に向いてしまった。

 騒ぎが起きることを知っていて、どうなっているのかを見たい気持ちが抑えきれなかったからだ。

 飛び乗ったビルの屋上から眼下の騒動を見る。

 

「やっぱり殺しとけばよかったんだ!!」

 

「やるなら妖狐の力が出る前だぞ!!」

 

「どのみちろくな奴じゃねーんだ。

 見つけ次第殺るぞ!!」

 

 大人達、忍者達が物騒な言葉を叫んでいた。

 案の定ナルトはミズキに唆され封印の書を持ち出してしまったようだ。

 しかしまあ、

 こんなところも原作通りなのかと、虚しさと悲しさを抱いてしまう。

 俺から見たらあの人達は良い人達だった。

 頼れる大人で憧れる忍者の先達だった。

 しかし今は罪なき子どもに殺意を向けるイカれた連中にしか見えない。

 

(前世で卑の意志抱く連中とか称されるわけだよ)

 

 大ヒット人気漫画NARUTO。

 コミックは売れ、アニメ、映画、実写などもした名作ではあるが、特定の存在へのアンチ勢も相応に存在した。

 その一つとも個人的には筆頭とも言えるのが、主人公ナルトの故郷・木の葉隠れの里に住む一般大衆だ。

 特に眼下のこのシーンは、コミック第一話であるのに関わらず原作連載中連載後もずっと木の葉隠れの住人の印象を悪くし続けたのだ(後の掌返しも大きいが)。

 そしてその印象は実際にこうして見て間違いではないと思ってしまう。

 

「旧家の当主方がいないのは幸いかね」

 

 木の葉隠れの里に十二年も暮らせば旧家の当主方の顔くらいは知っている。

 だからこの騒ぎに彼らは参加していないのだと見てわかる。

 秋道一族の者もいるようだが、それが同学年の秋道チョウジの実父である秋道チョウザではないことを確認してホッとした(前世ではよく似ているからと猪鹿蝶の親世代で嫌われていた)。

 

「何だこのメンドクセー騒ぎは」

 

「あの人達、なにを言ってるの?」

 

「ねえ、狭間君はなにか知らない?」

 

 そんな時、背後から声をかけられた。

 

「君たち」

 

 奈良シカマル。

 秋道チョウジ。

 山中いの。

 そこには旧家の子ども達、同期の猪鹿蝶がいた。あと給水タンクの影から日向ヒナタさんも現れた。

 

(夜中とはいえ都市区画でこれだけ騒げばそら気づくよな)

 

 特に猪鹿蝶の三人の自宅はこの近辺、騒ぎに気づき事情を気にするのは当然だろう。 

 日向ヒナタさんの自宅というか邸宅はかなり離れている筈だから居るのは不思議だが。

 

「うずまき君が火影様の家から書物を盗んだらしいよ(ついでに三代目をおいろけの術で昏倒させた)」

 

 訊ねられたのでさっくりと説明。

 正直セキュリティどうなってんのと思わなくもない。

 

「なにやってんのよナルトのヤツ」

 

「またいつものイタズラかよメンドクセー」

 

「で、でもさ、その大人達の様子がなんかおかしいよ」

 

「(コクリ)」

 

 事情を知り、呆れるいのとシカマル。

 だがチョウジとヒナタは殺気立つ大人達の姿に怯えながら疑問を抱いた。

 

「・・・・・・化け狐。この里でそれを指し示すのは一つだけだろ?」

 

 明言は避ける。

 けれど敏いこの子達はそれだけでうっすらと理解してしまう。

 

「十二年前の九尾襲来事件」

 

「うずまき君の誕生日と同じ日だよね?」

 

 シカマルの推測に情報を足す。

 そうすればもう答えは明瞭。

 

「チッ、大人達のナルトへのメンドクセー態度はだからかよ」

 

「ナルトが九尾ってこと?いえナルトの中に大きなチャクラがあるような感じはしたけど」

 

「ど、どうなっちゃうの!?」

 

「ナルト君・・・・・・」

 

 シカマルの納得。

 いのの疑問。

 チョウジとヒナタの心配。

 それらの感情が夜の屋上で混沌と混じり合っていた。ただこの場の面々はナルトへの嫌悪がない、それは間違いなく救いだろう。

 

「詳しい事情は旧家当主である親御さんに訊くべきだね。俺はあくまで推測しただけだから」

 

「そっかパパ達なら知ってるよね」

 

「親父達はナルトを差別してねーしな」

 

 ナルトの事情についてはこれで終わり。

 となれば、

 

「千手君、どうしたらナルト君を助けられるの!?」

 

 悲鳴のような必死なヒナタの声。

 

「こ、このままだと大人達にナルトが」

 

 優しいチョウジもそれに続く。

 

「んなもんとっととナルト捕まえて火影様に謝らせるしかねえだろ」

 

「まったく、なんであんな馬鹿なことをしたのよアイツは!!」

 

 そしてシカマルといのは助けることが当然として行動を決めていた。

 

「大丈夫だよ」

 

「「「「え?」」」」

 

「イルカ先生が探してるからね」

 

 ナルトが封印の書を盗んだ理由やミズキについて伝えようかとも思ったが必要はないだろう。

 

「そっかそれなら」

 

「でもイルカ先生ってナルトを怒ってばかりよ」

 

「き、嫌ってるんじゃ」

 

「イルカ先生はそういう人じゃねーだろ」

 

 忍者学校での付き合いから皆のイルカ先生への信頼は厚い。

 だからホッと一安心をするも同時にイタズラするナルトに誰よりも怒鳴りつけていた姿を思い出したようだ。

 

「イルカ先生はナルトに怒ってないし嫌ってないよ」

 

 そして俺は笑いながら言う。

 

「イルカ先生はさ、心からナルトを想って叱ってやってるのさ」

 

 怒ると叱るは違うのだと。

 

「はうっ///////」

 

 そう告げたら、なんかいのが顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「どしたん?」

 

「なんでもねえよ、メンドクセー。

 じゃ俺達は解散して帰宅だな。かーちゃんに叱られちまうよ」

 

 色々察した様子のシカマルは頭を掻きながら踵を返す。

 

「だ、大丈夫だよね?」

 

「ナルト君・・・・・・」

 

 チョウジとヒナタはまだ心配のようだが帰宅はするようだ(ヒナタに関しては護衛役の気配もうっすらとする)。

 

「それとよ狭間」

 

「なに?」

 

 最後にシカマルは振り返りながら告げる。

 

「いい加減名字じゃなくて名前で呼べ。

 特に俺達は名字同じ人ばっかりだからな」

 

 どこか照れくさそうな表情で。

 

「そうさせてもらうよ」

 

 そう言われた俺はなんだか嬉しくなって満たされた気持ちになったんだ。

 

 

 うずまきナルトがイルカ先生に認められたと思ったその日。

 千手狭間もまた仲間に受け入れられたように思ったのであった。

 

 





 補足、説明。

 今話で原作一話は終わりです。
 正直封印の書には興味ありありでしたが許可とれたら読めるかもと思ってナルトの元へは行きませんでした。
 心配なので小鳥達に監視を頼んではいます。

 千手狭間。
 他者の感情を捉え動物と意思疎通ができる。
 なんか仙人っぽいなと本人もうっすらと思ってます。
 今回も静観。
 里人のナルトへの反応にアンチ勢がでて当たり前だなと思った。

 卒業試験。
 糠喜びじゃねえかっ!?
 って読んでて思いました。
 額当て貰って忍者登録書作っちゃったよ。
 そういえばさくらをいじめていた三人は仲良くアカデミーに戻ったんですよね。未来で忍者に成れたのかな?

 ナルトぶっ殺したい忍者達。
 木の葉隠れの里の根強いアンチ・ヘイト理由の一つ。チョウザさんは似ていることからアンチ対象だったとか。

 猪鹿蝶+ヒナタ。
 こんだけ騒いでたら気づくかなって。
 あとこの三人なら動くと思う。
 なおヒナタは実家で捜索依頼を受けた一族の者の姿を見て飛び出した。
  
 キバ、シノ、さくら、サスケ。
 キバは卒業試験合格に喜び騒いで疲れて爆睡。
 シノは自宅が離れているのと夜中に出歩く性格ではないと判断。
 さくらは実家が一般人の為に情報が入らず騒動に気づきません。
 サスケは一人暮らしだから同じく情報を得てないからです。
 ナルトの件を知ったら心配はしそうですが、この時はまだまたイタズラかと呆れる可能性もあります。
  
 いのとのフラグ?
 ぶっちゃけ主人公ヒロインは未定ですが、サイといのの結婚はいまいち納得しきれずこんな形に。どうなるかは未定です。
 あと狭間はクラスメイトを名字呼びしてました。距離があったのです。

 次話は、木の葉丸の話を飛ばして説明会。
 サスケからのさくらうざいよ発言はどうしよう。
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