百式観音を背負いて。   作:ルール

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 ドスの響鳴穿って敵の三半規管に音でダメージを与えて動けなくしてから仕留める。
 みたいな流れなんですかね?
 耳にダメージ特化過ぎて、それだけなんですよね彼って。
 大蛇丸の素材集めにはうってつけな、生きたまま無力化できる能力なのになんでこんな扱いをしたのか。  
 そしてなぜ我愛羅に勝てると思ったのか。
 アレですかね、リーに勝てた自分はリーに圧倒された我愛羅より強いと認識したのかな?



原作7巻①

 

「オレは超音波と空気圧を自由に操り両の掌から放出し、岩ですら破壊する力を持つ」

 

 サクラとロック・リーさらには第十班に囲まれたザク・アブミはそう自身の能力を自慢げに語る。

 大蛇丸に見出され、直々に手術を施され与えられた術と両腕。

 特に取り柄のなかった少年に凡百の忍を圧倒できる力を与えた。

 その事実が狂信的な忠誠心を植え付ける。

 欲する者に欲しい物を与える。

 即物的ではあるが、実に簡単でコストパフォーマンスの良い部下の得方なのである。

 また、その力が大蛇丸にとっては趣味というか手慰み程度の簡単な手術であるならばあまりにも安い対価である。

 竹とんぼを与えた子どもが慕う。

 大蛇丸の感覚としてはその程度だったのかもしれない(その子どもを捨て駒として使い潰すあたり容赦がないのだが)。

 さて、

 そんな与えられた玩具自慢をザク・アブミがするわけだが、体術の練達者であるロック・リーは両の掌の噴射口の射線に立たなければ良いのだと察し戦闘時の立ち回りを決め、参謀役である奈良シカマルはこの情報を身内で共有することと要するに噴射口を塞げば無力化できると理解した。

 倒したら限界まで土でも詰めるか。

 奈良シカマル、千手狭間の影響を受けたのか敵に対しての容赦を投げ捨ててたりする。

 

「ここか」

 

「ありがとうございます、ネジさん」

 

 しかし本人は余裕綽々な実は絶対絶命な状況下で、泣きっ面に蜂どころか泣きっ面蹴ったりな展開は続く。

 木ノ葉下忍最強と周囲から目されていた人物である日向ネジが現れたのだ。

 それも満身創痍な千手狭間に肩を貸した状態で。

 

「ネジっ!?」

 

「「狭間っ!?」」

 

「「狭間君っ!?」」

 

 死の森揺らす戦闘音が止んでしまったことで不安と心配を抱いていた春野サクラは殿役を引き受けた仲間の無事を確認してホッとする。

 だが、その肉体の損傷具合を見て血の気が引いて叫びそうになった。

 胴体肩手足と血の跡がない箇所を探す方が難しい状態。どれほどの激戦が繰り広げられたのか。

 千手狭間とかぐや君麻呂の戦い。

 それは日向ネジの存在を狭間と君麻呂が認識したことで終わった。

 拮抗した戦い。

 千手狭間と同郷であり、下忍の中では無視できない実力を持つ日向ネジは参戦する可能性があった。

 そうなれば拮抗は崩れ自身が負けると君麻呂が判断したところ、奇跡的に偶然同じタイミングで死の森で合流したカブトに君麻呂は良いんですかと尋ねられたことでようやくその存在を思い出した大蛇丸が撤収命令を出したのであった。

 大蛇丸様の言葉は何事よりも優先される。

 その思想が骨の髄まで刻み込まれていた君麻呂はすぐさま撤収。

 さらに日向ネジの参戦という危機的状況で助け舟を出してくれた大蛇丸への忠誠心がより深く増したそうだ。

 何をされても好感度が上がる適当な設定のギャルゲーヒロインとか言ってはいけない。

 

「や、サクラ。なんとか生き延びたよ」

 

 なんとか生き延びた。

 千手狭間にとっては本当にそれだけ危機的状況だったのである。

 

「うん、無事でよかった」

 

(無事って言える状態じゃねーけどな。狭間がこんだけ傷を負うなんてどんな化け物がいやがるんだこの試験)。

 狭間がサクラへと無事を伝えたが、シカマルは中忍試験の危険度を上方に修正した。

 

「リー、その疲労具合。表蓮華を使ったのか」

 

「ええ、今が使う時でしたので」

 

 狭間と君麻呂の戦いに圧倒されていた日向ネジは戦いが終わると、情報収集も兼ねて狭間に接触。

 同郷である木ノ葉の下忍ということが助ける理由になったからだ。

 その後に狭間は傷の治療よりも仲間との合流を選び、肩を貸して連れてきてやったわけだ。

 埒外の強者。

 その秘密を少しでも探る為に。

 どうしてそこまで強いのか、その理由を知りたかったから。

 ちなみにであるが、第三班の紅一点であるテンテンさんですが、約束の時間になっても帰ってこない男共二人に完全にブチギレているそうです(二人が誰かにやられるとは考えていない)。

 

「それじゃあ、あとは彼を倒しておしまいだね」

 

 暫くは百式観音を使いたくないくらい使用し続けた狭間だが、肉体の負担が一番少ない技なので一撃で決めようと両の掌を合わせる。

 チャクラと自然エネルギーが混ぜられた仙術チャクラが瞬時に観音像を形成、あとは一手でおしまい。

 となったところで、

 

「サクラ、狭間・・・・・・。

 誰だお前らをそんなにした奴は」

 

 大蛇丸に植え付けられた呪印と適応を果たし、全身へとその紋様を広げた姿のサスケが立ち上がった。

 春野サクラは原作のような負傷はない、しかし大蛇丸遭遇後からの看病と罠作成などで泥に塗れている。

 千手狭間は見てのとおり重体。

 さらにはナルトはまだ意識を失っている。

 情の深いうちは一族がブチギレるには充分過ぎる状況だった。

 スッ。

 木ノ葉の忍達は一同揃って音忍ザク・アブミを指差した。

 なんとなくそんなノリだったのである。

 

「そうか」

 

「はっ?」

  

 怒り狂い写輪眼を発現させ呪印を纏ったサスケがザクに襲いかかりフルボッコにし終わるのは5秒とかからなかったそうな。

 

 

 

「さーて、後はと」

 

 意識を失った音忍三人の処理をシカマル達に頼み、狭間はサスケへと近寄る。

 いい加減限界ではあるが、それでもやるべきことがある。

 ザクをフルボッコにしたことで落ち着いたサスケだが、その身体には呪印が広がったままだった。

 

「おい狭間、オレよりもお前の手当を優先しろ」

 

「まあまあ」

 

 狭間の重傷ぶりからサスケはそう促すが、本人は気にせずサスケの呪印の中心へと右掌を当てる。

 大蛇丸との対話で自身の母が重吾と同郷だと知った狭間は自分が仙術チャクラと自然エネルギーを扱える可能性があると判断した。

 ゆえにサスケの身体へと自然エネルギーを取り込む呪印に手を当てて制御を試みる。

 

「このエネルギーは」

 

「わかる?これが自然エネルギー。

 肉体エネルギーと精神エネルギーとは異なるもう一つのエネルギー。

 この呪印は本来は仙人として修行しないと扱えないこのエネルギーを取り込む効果があるんだ」

 

「そんな力が」

 

「肉体エネルギーに精神エネルギーを混ぜ合わせたのがチャクラ、そこに自然エネルギーを加えることでより強力な仙術チャクラとなる。

 制御することが困難で、できないと肉体と精神が変質してしまうリスクがあるけどね」

 

 呪印はさらに大蛇丸が混ざってるからよりややこしいのだけど説明しにくいのがなあ、と狭間は内心で溢す。

 

「どうりでさっきから音忍共を八つ裂きにしたいわけだ。力は溢れるが身体は異形に、意識が捻じ曲げられるのは問題だな」

 

「それにしては落ち着いてない?」

 

 原作ではサクラの涙ながらのバックハグで落ち着き、ヤベェ貴重なラブコメシーンを潰したと狭間は焦りだす。

 

「お前らが無事だと確認できたら落ち着いてきたんだよ。いや狭間は無事じゃねえが」

 

「サスケらしいね」

 

 サスケの身体に流れ込む自然エネルギーをなんとか遮断した狭間。同時に呪印は身体から引き、首元に天の呪印が残った。

 

「これは消せない。多分だけど写輪眼同様に激しい感情に呼応するから気をつけて」

 

「おう」

 

 感情に呼応する呪印。

 まるで写輪眼を参考にしたのかと思えるほど似通っている。

 状態2すらも万華鏡写輪眼に近いといえなくもない。

 

「サスケ君は大丈夫なの?」

 

 サクラの言葉に狭間は封印はできないが沈静化はしたと告げた。

 

「ま、とにかく脅威は去ったし。少し休もうか」

 

 もうクタクタだよと狭間は言い寝転びだす。

 徹夜でしんどいよと笑いながら。

 

「なら今度はオレ達がお前らを守る番だ、おら起きろウスラトンカチ」

 

「はっ!?あいつはどこだってばよ!!」

  

 すっかり肉体的には回復したナルトはサスケによって蹴り起こされた。

 

「説明は後だ。

 今は助けてくれた皆さんに礼を言うぞウスラトンカチ」

 

「あ、シカマル達にゲジマユじゃん!!」

 

「リーさんに失礼なことを抜かすなら殴るわよ」

 

「ゴメンナサイ死んでしまいます」

 

 わちゃわちゃした空気にいつもの状態にようやく戻れた気がした狭間は嬉しそうに笑い、意識を手放しだす。

 

「ほら狭間君、寝るならこっちに」

 

「ありがと、いのさん」

 

 いつの間にか寄り添っていた山中いのに狭間は身体を支えられる。

 完全に眠りにつく前に狭間は、

 

「ありがとうございます。ネジさん、リーさん」

 

「ふん(自然エネルギー、それがコイツとあの男の強さの秘密か)」

 

「いえいえ、これはボクの誓いですから」

 

 付き合いの無かった二人に礼を言ってから意識を落とすのであった。

 仲間達には後でしっかりと礼と感謝しようと心に決めて。

 

 

 なお余談だが、気絶した音忍三人衆は第十班により巻物を回収され(シカマルはサスケに渡した)、縛りあげてから木に括り付け近くの川に流したそうだ。

 バカでかい虎などの獣がいる死の森に放置するよりはマシだと判断したそうだ(溺れないように工夫はしてある)。

 彼らが目を覚まし次の試験に参加できるかは誰も知らない。

 

 





 補足・説明。
 
 今話は、狭間合流と音忍三人衆決着となります。
 サスケも目を覚まし呪印状態でザクをシバキました(原作よりはマシ)。
 暴走した呪印は狭間が抑え、こちらも原作よりは負担が減ってます。
 音忍三人衆はドンブラコとなりましたが、死の森に放置よりはマシです。
 柵があるのでそこで止まるでしょう。

 ネジは自然エネルギーを知り興味を持ち出します。また運搬中に自分よりも仲間を気にする狭間に思うところがあったようです。
 
 皆に百式観音を見せた狭間ですが、同期メンバーはあまり気にしてません。狭間ならなんでもありな認識があるからです。
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