百式観音を背負いて。   作:ルール

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 地の書を開いて口寄せされた試験官にボコられて気絶した木ノ葉下忍二人。
 やった試験官を目撃したらビクつきそうですね。
 しかし、仮に任務で機密文書を覗き見なんてしたら普通に粛清なので、かなり温情ある教育ですね。
 


原作8巻① 中忍選抜第三の試験予選

 

 巻物が揃っていたせいかナルトが地の書を開こうとした時に頼れる経験豊富な先輩風に登場した実は大蛇丸の右腕である薬師カブトとは遭遇せず、さらに塔付近で雨隠れの下忍から同じ道を延々と歩かせる幻術、狐狸心中の術をかけられることもなかった。

 基本的に何もしなければ原作と同じようなことが起きるこの世界。何が原因でそうなったのか?原作知識持つ転生者である身としては首を傾げるばかりである。

 原作との違いとしては第七班が元気いっぱいであること。

 原作では時間ギリギリなのに地の書しかない状況による焦り、雨隠れの下忍にかけられた数時間に渡る狐狸心中の術と霞従者の術で体力が限界まで削られ、サスケは呪印のせいでサクラに肩を借りねば歩けないほどになっていた。

 しかしそれらが一切ないのでほぼベストコンディションで塔についたのである。

  

「・・・・・・誰もいないってばよ」

 

 扉を開けて入るもそこには誰も居らず、三代目直筆の心得が掲げられていた。

 

【天】無くば 智を知り機に備え

【地】無くば 野を駆け利を求めん

 天地双書を開かば 危道は正道に帰す

 これ則ち【 】の極意 ・・・導く者なり

 

 指示ではなく心得にどうしたら良いかわからなくなるが、巻物を開けってことだとサクラは言う。

 塔の中に辿り着くまで見てはならない巻物。

 塔の中に到着した今が開くべき時なのだろう。

 天の書はサクラが、地の書はナルトが開く。

 巻物には【人】の字を中心とした術式が描かれていた。

 

「その巻物を放せ!!」

 

 とっさにサスケが叫び、放り投げられた先でボフンと煙が立ち一人の中忍が口寄せされた。

 

「え?・・・・・・!?」「あ・・・・・・あんたは!?」

  

 現れたのは俺達のよく知る人物。

 つい数ヶ月前までお世話になった教師、うみのイルカである。

 

「よっ!久しぶりだな」

 

 イルカ先生が口寄せされたことに驚くナルト達。第二試験の最後は中忍が受験生を迎えることになっており、イルカ先生はその伝令役なのだという。

 

「第二の試験、四人とも突破おめでとう」

 

 無事合格を祝って一楽のラーメンでもおごって、といつもの懐かしい調子で続けようとしたイルカ先生だが、

 

「やったーーー!!」

 

 と喜びのあまり飛びついたナルトに中断させられた。下忍になり人付き合いが増え、認めてくれる人も増えた。けれどナルトにとってイルカ先生は特別な存在。

 嬉しさのあまり、やった!やった!やった!と大はしゃぎとなる。

 意図は別にあるだろうが、ナルトにとって最高のサプライズになったようだ。

 

「なあ狭間、これってもし試験途中で巻物を見たらもしかして」

 

 そこでサスケがあることに気づく。

 この試験のルールを破った時のペナルティについてだ。

 

「中忍が口寄せされて、よくて説教からの失格通告、悪くて試験続行不可になるまで物理的に気絶させられただろうね」

 

 しかしそれで口寄せされた中忍を返り討ちにできる実力があったらどうなるのか。

 まあそんな例外的な実力者はルール破りをする必要すらないか。

 

「相変わらずだなお前達。狭間の言うとおりにするように命じられていた」

 

「あー良かったやらなくて」

 

「気にはなってたのよね」

 

 実は巻物の内容を気にしていた二人はホッと息をついた。

 そこからはイルカ先生が伝令役としての役割をはじめた。

 口寄せされた中忍はただ合格を告げるのではなく、壁紙に書かれた中忍の心得を教え伝える役目もあるのだ。

【天】とは人間の頭を指し、【地】は人間の体を指す。

 天の心得は、頭脳に弱点があるならば、様々な理を学び任務に備えなさい、となる。

 地の心得は、体力に弱点があるならば、日々鍛練を怠らないようにしなければなりませんよ、という意味。

 そして天地両方、則ち頭脳と体力を兼ね揃えればどんな危険に満ちた任務も、正道つまり安全な任務になりえる、ということになる。

 最後の一文の空欄。

 そこに入る字は巻物に大きく描かれた【人】。中忍を意味する文字ということだ。

 中忍とは部隊長クラス。

 チームを導く義務がある。

 任務における知識の重要性、体力の必要性をさらに心得よ、とサバイバル演習を乗り越えた者達に告げるのであった。

 原作では第七班は三人一組、この教えは三人を示す良い表現となっていた。

 

「これがオレの仰せつかった伝令のすべてだ!」

 

「了解!!」

 

 イルカ先生の言葉にナルトは元気よく返事をした。

 この心得からして木ノ葉隠れの中忍選抜試験で第二の試験は基本的にこの形式なのかもしれない。

 他里の忍にもこの心得を伝える三代目の心の在り方には敬服してしまう。

 他所の里ではまた別の心得があるのだろうか?他の里の中忍選抜試験が個人的に気になってしまう。

 

「だが最後の第三試験、ムチャはするなよ。

 ナルトは落ち着きがなくて一番心配で、サクラは体力面が心配で、サスケは思い詰めないか心配で、狭間はやり過ぎないか心配なんだ」

 

「「「「いや最後」」」」

 

 俺の扱いよ。

 アカデミーでは優等生だったでしょうが。

 

「心配いらねえよ、イルカ先生」

 

 そこでナルトはニカリと笑う。

 

「オレ達は今は、忍者なんだからな!!」

 

 もう心配はいらない、そう成長した姿を恩師に見せるかのように。

 

「・・・・・・狭間はやり過ぎだけど」

 

「「ウンウン」」

 

 でも最後に余計な一言を付け加え、サスケとサクラも頷いていた。

 だから俺の扱いよ。

 

「・・・・・・成長したんだなお前ら」

 

 イルカ先生のその顔は嬉しさとどこか寂しさを混ぜ合わせたようなものだった。

 

 

 

「まずは第二の試験、通過おめでとう!!」

 

 場所は変わって(イルカ先生からは服の損傷具合から大丈夫かまだ続けるのかと食い下がられたが)第二の試験の試験官であるみたらしアンコ特別上忍と三代目火影様含めた上忍中忍、さらには通過チームの担当上忍がズラリと並び立つ一室。

 通過チームも全員揃って対面に立つ。

 第二の試験中に遭遇しなかったカブトチームもその場にいて、さらにはドンブラコした筈の音忍達もいることに撃退した木ノ葉の下忍皆は驚いた。

 木ノ葉のルーキーは全員通過。 

 今年は新人が豊作ということなんだろうか。

 火影様もこの結果に「あやつらが競って推薦するわけじゃ」と納得したように呟いていた。

 

「それではこれから火影様より、第三の試験の説明がある。各自心して聞くように!!」

 

 場が落ち着いたところで三代目火影様の説明が始まる。

 

「これより始める第三の試験。

 その説明の前にまず一つだけ、はっきりお前たちに告げておきたいことがある!!

 この試験の真の目的についてじゃ」

 

 なぜ同盟国同士が試験を合同で行うのか?

 それは同盟国同士の友好、忍のレベルを高めあう、ということではない。

 同盟国間の戦争の縮図。

 同盟なんて口約束レベル。上忍にすらこの認識の触れたら割れる薄氷のような間柄。

 しかし三度に渡る大戦で失い続けた各国は、潰しあいによる損失を防ぎ、それでも里間での優劣をつけるための機会として同盟国間合同中忍選抜試験を始めた。

 大戦ほど被害は出ず、それでも里の力を示せる舞台として。

 力を示し強国と見られれば仕事の依頼は殺到し、弱国と見なされれば依頼は減少。里の利益に大きく影響するのである。

 国の力は里の力。里の力は忍の力。

 忍の本当の力とは、命懸けの戦いの中でしか生まれてこない。

 命の危険ともなう中忍選抜試験。

 これはただの昇格試験などでは断じてないのだ。

 しかし、

 

「命を削り戦うことで力のバランスを保ってきた慣習。これこそが忍の世界の友好」

 

 三代目様の語るこの友好は、柱間様が望んだ友好の形なのだろうか?

 確かに柱間様はうちはマダラと、競い合うことでわかり合ってきた。

 でも柱間様はもっと踏み込んだ間柄を望んでいたのではないかと、原作知識とこの世界で知った知識から思ってしまうのだ。

 少なくとも、子どもが命懸けで戦う舞台を柱間様は望んでいないだろう。

 三度の忍界大戦。

 望んだ友好の形が変質してしまってもおかしくないのかもしれない(雲隠れの金銀兄弟のクーデターが大きな影響を与えていそうである、あとはゼツの暗躍)。

 

「中忍選抜試験とはただの試験ではない、

 己の夢と里の威信を懸けた、命懸けの戦いなのじゃ」

 

 そう火影様は話を締めくくった。

 さて、そこで一切興味なさそうな我愛羅が試験内容を急かすが、実は第三の試験はまだできない。

 

「皆さん初めまして月光ハヤテです」

 

 審判を務める月光ハヤテから、第三の試験予選の開始を告げられた。

 7チーム22名。  

 ゲストが観戦しにくる第三の試験にはあまりに人数が多すぎる。

 一桁程度の人数が望ましい数なのだろう。

 ゆえに予選内容は本選と同じ実戦形式の一対一の対戦となる。

 

「あの、それだと一人余るのですが」

 

 22名、11試合して11名本選に参加できる筈だったが、体調の優れない者、これまでの説明で止めたくなった者、これからすぐに予選を始めるのもあり棄権者を募った。

 そこで原作の数倍疲れ果てた様子のカブトが挙手して棄権したのだ(チームの二人も心底同情した眼差しを向けていたような?)。

 それで残りは21名となる、

 

「あー、それなら籤で一人抜きましょう。運も実力のうちということで。当たりになったら本選出場です」

 

「「「「「「適当かよ!!」」」」」」

 

「どうせ対戦の組み合わせも籤ですからね。思惑絡めずに公平にするための方式です」

 

 戦いもせずに勝ち上がれる一人は誰になるかわからない。

 これも原作とは異なる展開。

 できれば我愛羅がなってくれたら犠牲者でなくて助かるのだが、いつもの展開だと俺になりそうで怖い。

 ここでアンコさんが、呪印を刻まれて大蛇丸に目をつけられたサスケも外すべきだと火影様に進言しているが、同時に原作とは違い健康そのものなサスケの状態で困惑している。

 呪印の暴走。

 俺が自然エネルギー吸引の度に止めて、サスケも落ち着いてるから起こってないんだよな。

 結局カカシ先生の言葉もあり暴走したら止めるで落ち着いたようだ。

 カカシ先生達に経緯を説明したいけど暇がなくて困る。

 さて、最後に一対一の対戦だが、ルールや制限はなく、どちらか一方が死ぬか倒れるか負けを認めるまで戦う。

 死にたくなければギブアップすれば(間に合えば)助かる形だ。

 ただむやみに死体を増やしたくないから、審判や周りの上忍達の判断で止めに入り判定するそうだ。

 これなら他里の担当上忍も問題ないだろう。

 

「では、さっそくですが第一回戦の2名を発表しますね」

 

 幕が上がり現れた電光掲示板に表示された組み合わせは、

 

 ウチハ・サスケ

     VS

   アカドウ・ヨロイ

 

 であった。

 

「いきなりとはな」

 

「負けんじゃねーぞ!!」

 

「頑張ってサスケ君!!」

  

「冷静にね」

 

 疲労はなく、呪印にしても数日の訓練でチャクラを練り込んでも問題なくなった。

 原作とは違う状況、果たしてどうなるやら。

 

 

 第三試験予選開始。

 その結末は果たして。

 そして幸運の1抜けするのは一体誰だ。 

 





 補足・説明
 
 今話はイルカ先生の中忍心得解説から第三試験予選開始までとなります。
 原作とは異なる点が多々あり、原作知識持ち転生者の狭間君も困惑しております。

 イルカ先生の狭間のやり過ぎて心配。
 アカデミー時代から努力のやり過ぎを心配してました。また服の換えがないので狭間は血痕がついて破けて穴の空いた服を着たままです。
 第三試験予選参加者で一番の重傷でした(もう治ってる)。

 薬師カブト。
 音忍三人衆の保護と治療、君麻呂の診断と治療で疲れ切っております。原作では大蛇丸のお気に入りであるカブトに苛立っていたヨロイさんもオーバーワークに同情しています。

 最後の1枠。
 誰にするか悩み中です。
 いっそ本当に籤で決めるか悩みました。
  
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