百式観音を背負いて。 作:ルール
原作と違う点として、サクラは髪を切ってないのでロングヘアのままです。
そして、いのがサクラにあげたリボンを返却するイベントも起きてません。
同じ男の子を好きになったわけではないので。
ザク・アブミ。
今回の中忍選抜試験に参加した音隠れの下忍のうちの一人。大蛇丸からサスケ抹殺を命じられた刺客の一人。
その両腕は砲身へと改造されており、掌の排空口から超音波と空気圧を発射する。
性格は好戦的で、己の力量を過信している節が見られる。
過去に【大蛇丸に自分は選ばれた】ということから忠誠心が強く、特権意識もある。
第二の試験である死の森サバイバルで俺が君麻呂と交戦して離れている間にナルトとサスケの意識がない状況の第七班に襲いかかり、表蓮華を放たれたドスの救出を【凝】を体得して強化されたサクラに邪魔され、意識を取り戻し呪印を発動させたサスケに返り討ちにあった。
サスケの攻撃で折れたのか外されたのかその両腕は吊ったままの状態で試合に臨む。
しかし彼は決して雑魚ではない。
この中忍選抜試験参加者では上澄みに位置する実力者であり、この場にいる第三の試験予選でも純粋な実力ならば上位寄りの中堅クラスだろう。
原作では木ノ葉隠れの蟲使い油女シノにあっさりと負けてしまったが、彼は原作において強過ぎる能力ゆえに出番が少なかったという曰くあるぶっ壊れ存在。
同じ班で強気な犬塚キバにすらあいつとだけは闘い合いたくねェよと言われる人物なのだ。
そして春野サクラ。
我が班員にして第七班紅一点。
うちはサスケに恋する少女。
原作のこの時期ではまだその素質を開花させぬ年相応の娘。カカシ先生ですらこの時はまだ、「あの頼りなかったサクラまで」と未熟だと認識していた。
だがこの世界の彼女は違う。
下忍になってから行われるようになった同期組による鍋パ(始まりはナルトに野菜食わす催しだった)で皆と親睦を深め、原作よりもサスケとナルトの素顔を知った。
関係と理解が深まることにより奮起した彼女は、二人を支えようと自分のできることを模索し、適性あるチャクラコントロールをより磨きあげた。
中忍選抜試験前日に俺に強くして欲しいと願うくらいに二人を想うほどに強くなっていたのだ。
その時に体得した四大行【凝】ともう一つ。
それがこの場でお披露目となる。
純粋なステータスではザク・アブミが春野サクラよりも未だに上。
戦闘に向いている能力と気性なのもザク・アブミである。
だが、今の彼女なら負けない。
なぜか俺にはそう思えた。
「・・・・・・サクラは勝つさ」
「だってばよ」
勝つと予想しても漏れ出た不安に、大丈夫だと言わんばかりにサスケとナルトはそう言った。
「・・・・・・だね」
「第三回戦、始めてください」
審判の開始の合図。
「死の森での借り、返してやるぜクソアマ!!」
「借り?それはこっちのセリフよっ!!」
吊り布から痙攣する左腕を引き抜きながらザクは吠える。同時に排空口から岩をも砕く斬空波が発射されるもサクラは回避。
手裏剣の類は投げない。
そんな軽い投擲武器はサスケの火遁すら掻き消すザクの空気圧には跳ね返されてしまうのだから。
サスケとザクとの戦いで見て把握した斬空波の攻撃範囲をサクラは分身の術を駆使しつつ突き進む。
放つ前に肘に溜めの必要な斬空波は連射が効かない。また放つタイミングは【凝】で見ることにより把握できるのでそう難しくはないのだ。
「・・・・・・接近戦をやる気か?確かにあの斬空波とやらには手裏剣も下手な五行遁も通用しないが、あのサクラが大丈夫か?」
カカシ先生が正気かと言わんばかりに呟いた。
カカシ先生からしたらこの組み合わせはサクラの不利に感じていたのだろう。棄権するかと思い、負けても得るものがある認識で、命の危険があれば割って入る気だったに違いない。
素養と心意気と知識はあれど未だ未熟。
春野サクラははたけカカシにとってまだそんな認識だった。
「大丈夫だろ。いったいサクラが死の森で何百回ナルトを殴り消したと思っている」
「(ガクガクブルブル、ガクガクブルブル)」
「え?」
「【凝】体得により岩をも砕く彼女。一撃当たれば人体なぞひとたまりもありません」
それは犠牲となったナルト(の影分身体達)が証明している。
「中忍試験中になにしてんのとツッコミたいけど、体術ってのは破壊力があれば良いってもんじゃないよ」
カカシ先生の指摘は尤も。
重いバーベルを持ち上げられる重量上げ選手が喧嘩で勝てるかと言えばそうでもない(それでも筋力あるので強いだろうが)。
如何に一撃で相手を仕留められる攻撃があろうと、当たらなければどうということはない(赤いアレ調)のだから。
鍛えた筋力が生み出すパワー、それを相手に命中させられる体術の技量。
それが合わさってようやく強さとなる。
そしてまだ、春野サクラにはパワーはあれど技量は足りない。
「テメェ程度のパンチなんて当たるかよ!!」
ゆえに大蛇丸に見出され改造され鍛えられたザク・アブミは接近戦で春野サクラの【凝】で強化された拳を余裕をもって回避、
「は?ぐぎぃっ!?」
できる筈であった。
視認していた回避した拳が消え、別の拳が遅れて迫る。
一拍遅れた衝撃がザクの身体に命中し吹き飛ばす。
「「「「「「「「!?!?」」」」」」」」
「アレは!?」
サクラを知る者ほど驚くその攻撃。
無論そこにはタネがある。
「俺が中忍試験前日にサクラに教えた技は二つ。一つはチャクラコントロール技法・四大行【凝】、もう一つは些細で初歩的な【幻術】」
「幻術、だと」
精神に作用するその術理。
最高レベルとなれば【無限月読】などのとんでもない代物があるが、とにかく相手に幻覚により催眠状況を作り出し精神を撹乱する術。
元より幻術タイプだと評価された彼女に教えた幻術は、特に大したものではない。
今の彼女の弱さを補うものだ。
「幻術・朧腕。
自分の腕の状態を誤認させるだけの些細な術です」
俺がこの世界で学べて体得できる程度の、幻術の初歩の初歩の術。
似たような術は、原作でもサスケがダンゾウとの戦いで写輪眼のストックを勘違いさせる為に使用した。写輪眼ならば印すら不要なレベルの幻術。
「彼女は【凝】で攻撃力を得た。
しかし当てる技量がない。
だから当てられるように幻術で補わせた」
そう、ただそれだけのこと。
接近戦においては些細な認識の誤りが致命的だ。
攻撃のタイミングが一拍遅れる、一撃が数センチズレる、拳の角度が違う、腕の長さを間違える。
それだけで受ける側は回避も防御も影響がでる。
るろうに剣心の剣心と般若戦を見ればわかる。般若の腕に刻まれた縞模様による腕の長さの錯覚、それだけで幕末最強人斬り抜刀斎が攻撃の間合いを見誤ったのだ。
「【剛拳】【柔拳】とも異なる戦闘法【幻拳】とでも称しますか。幻術で間合い掴めぬ拳、これは中々に厄介ですよ」
「「「思いついたお前が言うな」」」
いやこれも似たような戦闘法は前世でいくらでも描かれていたからなあ。
またこの幻拳の厄介な所は感知タイプでも通じる点にある。
幻術の範囲が限定的かつ小規模過ぎて、目だろうが耳だろうが鼻だろうがピット器官だろうが、感知しているが躱しにくい。
また、剛拳や柔拳や【凝】や螺旋丸や閃華裂光拳(一番ヤバいヤツ)と併用できる点も厄介。
燃費良く効果は絶大な戦闘法だろう。
「お、俺は大蛇丸様に」
「しゃーんなろー!!」
なんとか両腕で迎撃しようとするザクだが、発射タイミングを【凝】で見切れるサクラにはそんな苦し紛れは通じない。
ザクの最大攻撃斬空極波すら変わり身の術で回避し、必殺乙女拳(サクラ命名)が命中、2トントラックにぶつかったようにザクは吹き飛び会場の壁へと叩きつけられた。
「見事よ、サクラさん」
大蛇丸の称賛。
それをただ一人聞いたドスは自身らの役割を悟り、ギュっと拳を握りしめた。
「勝者 春野サクラ!!」
「ふ、当然だな」
「やったーー!!サクラちゃんが勝ったーー!!」
「・・・・・・教えたの数日前なのにあの練度と進化ぶり、才能差がね、ありすぎだよね」
「「そこで凹むのかお前」」
まあ【凝】の破壊力と【幻術】の合わせ技は我ながら良い組み合わせだが、この戦いの肝は【凝】での見切りにある。
対戦相手のザクの斬空波。
そのギミックはチャクラを見切れれば脅威ではなかった。肘に溜まるチャクラを見れば発射タイミングがわかり、だから分身の術や変わり身の術が容易く嵌ったのだ。
まあこれも春野サクラの類稀なるチャクラコントロール技能あればこそだが。
「サクラも成長したし、【幻拳】か。
接近戦が不得手気味な幻術タイプに向いてる戦闘法だね」
そして幻術タイプはチャクラコントロールが上手い人が多いから【凝】向きだったりする。
「少し・・・・・・良いかしら?」
だから木ノ葉一の幻術使いである夕日紅先生が食いつくのも当然なのだろう。
【幻拳】を会得した夕日紅。
猿飛アスマ先生が尻に敷かれそうだ。
まあ接近戦では誰でも活かせる技法なんだが。
「勝ったわよ!!」
「おめでとう」
春野サクラ。
この下地があり綱手様に弟子入りすれば原作よりさらに強くなれるだろう。
「第四回戦。
テンテン対テマリ。
前へ」
いや相性。
そうツッコミたくなる、順番は違うけど原作通りの組み合わせの戦いが始まり。
「勝者テマリ!!」
そして終わった。
マイト・ガイ率いる第三班が紅一点テンテンは強い。数多の武器を巻物から取り出し使いこなす技能は下忍随一。
しかしその攻撃は巨大扇子と暴風レベルの風遁を使いこなす四代目風影の長女テマリには通じない。
あらゆる飛び道具は風遁で吹き飛ばされ、苦無・手鎌・ヌンチャク・鉤爪・ジャマダハル・ドス・鎖付き鉄球・鎖鎌・千本・鞭・棍棒などの近接攻撃はテマリの巨大扇子により捌ききられた。
扇子、鉄扇の類は近接武器として実は優秀(ネタ武器ではあるが)。
束ねられた固い紙は重量もあり振るえば相応の破壊力を見込めるが、鉄よりは軽い。
広げれば壁となり防具としても用いることができ、波打つ紙の側面は斬撃すら可能。
そしてなによりテマリにとっては吐息による風遁よりも威力を引き出す道具である。
この戦い、風遁使いだからではなく武器を使いこなしたからこその勝利なのだろう。
「強かったな」
「私じゃ両方とも厳しいかも」
「狭間ならどうするってばよ」
「【堅】で耐えて接近して殴る。かなあ」
目に付く攻撃に回避で対処するより受けた方が楽ではある。
両方とも遠距離中距離を得手にしてるから遠距離攻撃は回避されるだろうし。
観戦者がそれぞれの反応をする中でテマリはニヤりと笑う。
「(マズイ!)」
その笑みに気づいたリーさんが動く。
テマリは今まで巨大扇子で持ち上げていた意識を無くしたテンテンを忍具が撒き散らされた床の上に落とそうとしたのだ。
「(間に合うか)」
百式観音で受け止める必要はなさそうだ。
支えを無くしたテンテンの身体はリーさんがしっかりとキャッチしていた。
「ナイスキャッチ」
テマリの嘲り。
この時の彼女は強さへの自負とストレスからか性格がよろしくないよね。
彼女を落とすには敗北によるワカラセが必要なのだろう、頑張れシカマル。
テマリに憤ったリーさんが木ノ葉旋風を打つもあっさりと巨大扇子でガードされる。
やはりテマリは近接戦闘も強い。
「見かけ通りやっぱりアンタもニブいんだなぁ」
「なんだと・・・・・・!」
「やめろリー!」
「テマリ・・・・・・早く上がれ」
両者の諍いは、ガイ先生と我愛羅の言葉で終わった。
仲間を助けに向かったリーさんを我愛羅は冷たい眼差しで見ていた。
相手をするに値しないと見下すように。
アカデミー時代から慣れていたその眼差しにリーさんは震えるが、それを察したガイ先生は砂隠れの下忍達に告げる。
「この子は強いよ」
と自慢げに。
「狭間の見立てだとどうだ?」
「我愛羅以外ならリーさんが本気だしたら勝てるね。カンクロウなんかは舞台的に不利過ぎだし」
傀儡師って人前で戦って良いタイプじゃないから。身を隠せる戦場で活きるタイプだから。テマリにしても重しを取ったら圧倒、八門遁甲を三門開けたら間違いなく勝てる。
「我愛羅はそれほどか」
第三の試験でぶつかるかもなとサスケはより警戒を強めるのであった。
さて次の試合は、
「よーし!早く!早く!オレの番!!」
「次は!次は!ボクの番の気が!」
逸るナルトとリーさん。
俺は誰とやるのかな。
アブラメ・シノ
VS
ヤマナカ・イノ
原作にはない対決ウゥっ!?
ヤバい、勝敗がガチで予想できなくてどうなるかわからんっ!?
「・・・・・・・・・・・・・・・女子が相手か」
ただ下りる前のシノさんは(見た目ではわからないけど)ひどく気を落としていた。
「負けないわよーー!」
親友であるサクラの活躍を見たいのさんはやる気満々だけど。
原作にはなかった組み合わせ。
果たしてどうなるのか。
補足・説明。
今話は中忍試験第三の試験予選の三回戦と四回戦となります。
サクラ対ザクは、ザクが基本的に有利で原作なら勝ち目はありません。
しかし当作品では【凝】と幻術を駆使してサクラが勝ちました。
凝による見切りはHUNTER×HUNTER原作でも攻防力の見極めで可能であり、ザクの腕はドスの解説から肘にエネルギーを溜めて発射するのでチャクラの集まり具合から判断できました。
あとは原作でカカシも褒めたサクラの全身の隅々までチャクラを巡らしてタイミング良く使う技術で接近して殴るだけです。
幻術 朧腕。
サスケがダンゾウに使った幻術がわからなかったのでオリジナル技となります。
オーバーロードのサキュロントは幻術で見せる腕と透明にした腕を使い、スペックが上の相手を倒してきたそうです。
腕の状態を誤認させる、ただそれだけの術です。
幻拳
幻術を併用した拳法。
普通の幻術タイプならそれでも威力が足りないが凝を併用すれば補えます。
まあ、剛拳なり柔拳なり螺旋丸なり閃華裂光拳と併用した方が強いですが。
夕日紅さん向けの戦闘法ではあります。
というか、これは剣技でやればより強いかも。
島左近主人公の漫画に出た羅刹七人衆で使う人いたなそう言えば。
テンテン対テマリ戦。
原作でも飛ばされた対決でした。
忍具の飛び散り具合から風遁は使わずに巨大扇子捌きのみでテマリは勝った可能性があります(吹き飛ばしたなら壁などに刺さっていてもおかしくないので)。
ただテンテンは弱くなく、他の対戦者なら勝ち目はありました。
武器は見て分かる範囲で名前を書きましたが、名称不明なのもありました。
次回もオリジナル組み合わせ。
どうなるかはお楽しみに。