百式観音を背負いて。   作:ルール

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 サスケの呪印の封印をしていないので大蛇丸はずっと観戦しています。
 サクラへの評価が高いのは流石の綱手も十二歳では今のサクラレベルではなかったからです。
 実はカカシ世代が異常に少年期に飛び級と急成長を強いられた世代で、大蛇丸達世代は青年期以降から戦争が開始したイメージです。
 三代目火影全盛期はまだ忍界は平和ではあったようですね。  
 
 今回はオリジナル設定があります。



原作9巻②

 

 原作にはなかった展開が眼の前で繰り広げられようとしていた。

 油女シノ対山中いの。

 原作では油女シノはザク・アブミと戦い、その秘められた実力を明らかにする筈であった。

 この時までは如何なる術の使い手か不明であり、他の班員である犬塚キバや日向ヒナタの方が目立っていたくらいだ。

 彼の忍術、戦い方は蟲の使役。

 木ノ葉に伝わる蟲使いの一族の当主の息子であり、体中に蟲を寄生させている。

 うちは、日向、奈良、山中、秋道などと同様に秘伝忍術を保持する一族であるが、旧家と呼ばれる名門一族ではない。

 旧家の分家出身である日向ネジですら、聞いたことがある、程度の知名度の一族なのだ。

 おそらくは蟲に能力を依存する関係から一族の総数自体が他の旧家に劣るからなのだろう。

 同様に犬塚もまた、木ノ葉で秘伝忍術を持つ一族だが旧家に名を連ねてなかったりする。

 さてそんな彼の使役する蟲は寄壊蟲という。

 爪よりも小さなその蟲は集団で獲物を襲いチャクラを喰らう忍の天敵と言える恐るべき存在。

 群がられて襲われてしまえばそのサイズゆえに完全に振り払うことは厳しいだろう。

 そんな蟲を使役する油女シノは作中で強過ぎる存在であった。

 あまりにも強過ぎる能力だから出番を少なくせざるを得ないほどだったと言われるくらいだ。

 強過ぎる能力の反面、弱点が明白過ぎて登場させられなかったのではないかとも思う。

 たとえば砂隠れの我愛羅と戦わせたとしよう、寄壊蟲ならばあの無敵の砂の盾を喰らうことで無力化できるかもしれない。

 しかし我愛羅はそれに対して躊躇わず油女シノ本体を攻撃するだろう、そしてシノは凌げず耐えられずに殺される。

 他の強者との戦いを想定してもそうだ、未来で引き分けにもちこんだカンクロウと同じ傀儡師である暁の赤砂のサソリ。彼と戦ったとして傀儡人形が操るチャクラ糸を食わせても、その途中でやはりシノ本人を狙われる。

 蟲使い。

 厄介かつ恐るべき忍一族。

 しかし、その戦闘の殆どを蟲に委ねる代償として自らのチャクラを餌として与え続けなければいけない。

 ゆえに術師本人の実力が感知タイプなどの後衛の中でもかなり劣ってしまうのである。

 おそらく四大行と一番相性が悪いのは油女一族だと思われる。彼らは基本である【纏】を使うリソースなど残ってはいないだろう。

 もし彼らを強化するとしたら、前世で読んだテラフォーマーズという漫画のバグズ手術くらいしか方法がないのかもしれない。

 いやまあ大蛇丸が食いつきそうなネタなので口にだすわけにはいかないが、いやあえて伝えてモザイクオーガンオペレーション研究に夢中にさせた方が良いか?すでに大体そんな感じではあるが、他生物との融合により不死を目指すなら被害は少なくて済みそうだ。

 そして山中いの。

 木ノ葉にて名高き「猪鹿蝶」の連携を為す山中一族のご令嬢(花屋の娘)である。

 旧家といっても名門一族として公家や武家のようにあるのは日向一族くらいなもので、彼女にしても有名な一般家庭の娘扱いだったりする。

 決まれば必殺の忍術の一つである他者の肉体に自らの精神を乗り移らせる心転身の術の使い手であり、第一の試験でもこれでサクラの身体に乗り移りペーパーテストをクリアしていた。

 山中一族はそういった心や肉体に作用する秘伝忍術の使い手であり、感知能力や他者の記憶を読み解く術を得手としている。

 そしてそんな名門一族出身である彼女は、俺達の世代のくノ一ナンバー1の実力者である(性格が内気でなければヒナタだったろうが)。

 気風が良く姉御肌である彼女は、かつて苛められっ子だったサクラやヒナタを助けたことだってある。まさにくノ一の中心人物なのである。

 原作ではうちはサスケを春野サクラと取り合い、なんかお騒がせキャラの一人になってしまったが、この世界では違う。

 うちはサスケではなく別の人物(現実から目を逸らす)に好意を抱いてるらしき彼女はサクラと揉めることなく、唯一無二の親友なのだ。

 

 さて、

 油女シノと山中いのの試合。

 油女シノの術と山中いのの術では共に必殺であるが、蟲使いの特異性からシノが有利。

 心転身の術は直線的かつゆっくりとした速度でしか相手に飛ばせず回避は容易い。そして回避されてしまえば数分間術者の身体に戻れないというリスクがある。

 それを補佐できる奈良一族と秋道一族があってこそ必殺の忍術なのだ。

 また蟲使いという特異体質の身体に乗り移って精神がどうなるかわからない。全身に蟲が寄生されている状態、そんなことにギブアップと宣言するだけの僅かな期間でも耐えられるのだろうか?

 

「それでは第五回戦始めてください」

 

 どちらも大切な同期。

 どちらが勝ち抜いても不満はない。

 ならばせめて怪我なく終わって欲しい。

 俺達同期組はそう祈っていた。

 

「棄権してくれ」

 

 シノはいのさんにそう告げた。

 

「オレの術はお前もよく知っているだろう」

 

 体内から這い出た寄壊蟲が袖口から現れる。語るシノの口ぶりは乗り気でないことがこちらに伝わるくらいに重たいもの。

 これは自分が強いから戦うな。

 などと強者の驕りからくるものではない。

 

「女子に蟲が気色悪がられ、嫌われていることはよく知っている。ゆえに戦いたくはない、そんな眼差しを向けられることに耐えられない。

 頼む、棄権してくれ」

 

 女子に悍ましいモノを見るような目で見られたくない男子の心境である。

 うん、アカデミー時代から割とあったからなあ。蟲使いとしては知られてなくとも虫好きとは知られてたから、女子からは敬遠されてたっけ。

 同期男子3番手の実力でありながら、同期男子ではナルト、チョウジ、に並ぶくらいくノ一クラスでは不人気だったらしいし(ヒナタに好かれてるナルトを一緒にするのは可哀想かもしれない)。

 その切な過ぎる本音にこの場の男連中は胸が締め付けられる気持ちになった。

 

「何を言ってるの?平気よ蟲くらい」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 しかしいのさんは会場に展開される蟲を見ても恐怖や嫌悪を浮かべることはなかった。それは心読めずとも強がりや誤魔化しではないことが伝わってくる。

 

「私の実家、花屋よ。

 虫とは切っても切れない関係じゃない」

 

「!?」

 

 それは確かにと納得のいく理由だった。

 虫は他の生物より草花植物と関係が深い。

 虫無くして植物は花を咲かせられない程に。

 だから山中いのは虫を恐れず、蟲使いの油女シノを気色悪がらない。

 

「その笑みはさながら天女か」

 

 俺の呟きはきっとシノも同じ気持ちだろう。

 

「あのさ、あのさ、くノ一も忍者だからさ、蟲怖がるとか嫌うとか駄目くね?」

 

「言ってやるな」

 

「生理的嫌悪があるのよナルト」

 

 第七班というかナルトのツッコミは確かにその通りだけど、それでも拭えない感覚があるんです。

 まあナルトは未来で蝦蟇仙人夫婦の元で昆虫食を堪能する羽目になるから、そう言ってられるのも今だけだろう。

 

「・・・・・・そうか、ならば遠慮はしない!

 !? どうしたっ?」

 

 いのさんの言葉に感動したシノは蟲に指示を出して取り押さえようとする。

 しかし、蟲達は動かない。

 いのさんに近寄ろうとはしないのだ。

 

「私の実家は花屋よ。

 虫対策なんて家業のうち」

 

 これは、

 

「まるで森のような香気。まさか」

 

「精油、エッセンシャルオイルだね」

 

 忍犬使いで嗅覚も犬並みなカカシ先生が俺の言葉に続ける。

 植物は虫などの外敵から自己防衛するため殺虫殺菌作用ある物質を発散させている。

 その物質を抽出した虫除け薬を彼女は所持し使用していたのだ。

 

「サバイバル演習で虫除けは必須でしょ?特に森に溶け込めるこのアロマは気づかれにくいのよね」

 

 蚊や蜂などの虫がどれだけ人類に脅威なのかは語るまでもない。

 当然死の森にも通常種より恐ろしい品種がチラホラいた。

 命に関わることの対策を欠かさないのは当然のことだったのだ。

 

「それよりもマヨネーズを優先したアホが此処にいます」

 

「狭間君はしてないわよね、虫対策」

 

「・・・・・・・・・・・・纏を使えば平気だし」

 

 チャクラ纏いを突破できる虫とかそれこそシノの寄壊蟲とかだって。

 そしてなぜだろう、マヨネーズを持ち歩いてると塩とか醤油より評価が悪い気がする。

 

「そんな、手が」

 

 蟲使いは恐るべき存在。

 しかし人類はその開拓の歴史からこの小さな脅威と向き合い対策し続けてきた。

 虫除けに殺虫剤、忍者ならずとも虫対策としてそんなものは幾らでも世に溢れているのだ。

 そしてチャクラ喰らう寄壊蟲といえど虫は虫。いくら蟲使いに使役されようと口寄せ獣とは異なり知能は低く、指示を聞くよりも本能を優先してしまう。

 

「私じゃなければ、勝ってたわね」

 

「肉弾戦ではオレが不利、なぜならチャクラで身体能力を補うことができないからだ」

 

 いのさんは心転身の術という切り札を使わずに接近戦での決着を選んだ。

 くノ一クラスNo.1の実力者である彼女が、接近戦に長けた上忍である猿飛アスマに師事し、さらにはチャクラコントロールも磨いてきた。

 蟲を使役できないシノが敗北するのは当然の結果なのだろう。

 

「虫を制してこそ、綺麗な華は咲くのよ」

 

「・・・・・・負けて悔いはないか」

 

 天真爛漫な勝利の笑みを浮かべるいのさんはまさに華の如く綺麗だった。

 そして心なしか倒れ伏すシノも満足げだった。

 

「第五回戦、勝者 山中いの!」

 

「やったーー!流石いの!」

 

 親友の勝利に喜ぶサクラ。

 その予想外の結果に、特にシノの実力を知る第八班は信じられないと驚愕していた。

 

「ま、相性と対策だね」

 

「蟲使いであるがゆえの弱点か」

 

 虫ほど世界に溢れた生物は居らず、星の数ほどその対策はなされてきた。

 品種ごとに効かない薬もあるが、大概の薬や対策は大抵の品種に影響するものだ。

 トリコのトミーロッド戦を彷彿とさせる戦い。違う点はシノにトミーロッドのような戦闘力がないことか。

 いやまあそれされたら本当に最強になれるんだけどなあ。

 そしてシノや油女一族から見て、尾獣の七尾がどう見えるか気になるな。

 

「勝ったよ、狭間君」

 

「おめでとう、いのさん」

 

 それは置いとくして本選参加を決めた彼女を俺は祝福した。

 その後いのさんは俺の横に並んで観戦するようだ、いや君の班は向こうだよ。

 第七班の皆はニヤニヤといやらしく笑ってそれを眺めていた。

 テメェら、覚えてろ。

 

 続いて第六回戦。

 奈良シカマル対キン・ツチ。

 シカマルの勝利。

 いやね、説明しようにもね、原作とは違い死の森でシカマルが影真似の術を使う前に音忍三人衆は敗北したもんだから、キンは印を組んでから接近してきたシカマルの伸びる影に警戒することなく捕まりあっさり負けたんです。

 まあキン・ツチは原作でも千本に鈴をつけて投げるだけの戦闘スタイルだから戦いようがなあ。

 それでさり気なく大蛇丸を見たら、まるで無価値なモノを見るような眼差しを向けていた。

 いや彼女も改造してやれよ。

 なんで露骨に手を抜いてるのさ。

 やはり女子相手だとやる気がでないタイプなのだろうか?オカマだし(名誉毀損レベル)。

 

 さて気を取り直して次の試合は、

 

 ウズマキ・ナルト

     VS

    イヌヅカ・キバ

 

 これは原作とは変わらないのか。

 

「来たァ来たァよっしゃー!!

 おまたせしましたァ、やっとオレの出番だってばよぉ!!

 あの新術、お披露目だあ!!」

 

 え?

 

「アレをやるのナルト!!」

 

 いやそれは、マズくね?

 というか五行封印された状態でできるかなあ。

 

「「「今度はナニをやらかしたお前!!」」」

 

「・・・・・・・・・ネタ提供を少し」

 

 原作通りに進んだ後の次の試合。

 それは原作とは違ううずまきナルトが暴れることになる。

 しかし第七回戦も俺は出られない。  

 残るは、日向ヒナタ、日向ネジ、ロック・リー、秋道チョウジ、我愛羅、ドス・キヌタ、と俺。

 誰と戦うのか、戦わずに1抜けするのかどちらになるやら。

 とりあえず我愛羅とヒナタが戦うことになったら止めよう。

 





 補足・説明。

 今話は油女シノと山中いののオリジナル戦です。戦いというほど戦闘描写はありませんが、いのの勝ちです。
 山中いのが花屋の娘であることを活かしたこの結果は意外だったでしょうか?
 油女シノは原作ではうちはサスケの次の成績だったのでもっと強くて良かったかもしれません。
 強過ぎる能力だから活躍できなかった彼。
 その理由は本人を狙わないとおかしくて、本人を狙われたら殺されるからと解釈しました。
 寄壊蟲は強いですが捕食速度が難点で、暁クラスならシノを寄壊蟲に襲われるより先に殺せますからね。
 またペイン戦にしても口寄せされたら下手したら蟲が剥がれてしまいますし。
 活躍させにくい最強の後衛です。
 トリコのトミーロッド戦のような展開で山中いのが勝ちました。
 あと虫除けですが蚊などガチで命に関わるので用意するかなと(ヒルもヤバかったですし)、どっかのアホはマヨネーズを優先しましたが。

 そしてシカマルの本人の望まぬ栄光の始まりの一戦、飛ばしました(笑)。
 だって原作よりあっさり勝てますから。
 キン・ツチ。
 作中屈指の可哀想なキャラです。


 次回ナルトとキバ戦。
 最初から全力でギャグだと宣言しておきます。

 狭間はどうすっかな?
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