百式観音を背負いて。   作:ルール

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 ネジの強さに情報収集しようとナルトに声をかけたカンクロウとナルトのやり取り。

「オイ、久しぶりじゃん」

「ん?ああ中忍試験開始前に会った砂隠れの、あの時は木ノ葉丸が悪かったてばよ」

「それは謝罪されたからいいじゃん。つーかあのガキはお前の弟じゃん?」

「いやオレは家族がいねえ。狭間とサスケと同じテンガイコドクってヤツだってばよ」

「・・・・・・・・・(汗)、そうだったのかじゃん」

「木ノ葉丸はあそこに居る火影のじっちゃんの孫だってばよ」

「・・・・・・・・・(激汗)、そうだったのかじゃん」

 感性は常識人寄りのカンクロウは情報収集のつもりが、ナルト達の境遇と自分が揉めた子どもの素性を知ってめちゃくちゃ焦ったそうです。
 なおネジの情報は、ナルトが狭間から聞いたばかりの説明をされ、お前も聞いたばっかかよ、とツッコミました。



原作10巻①

 

 さて、どうやるか。

 

 原作とは違う展開の戦いが再び始まる。

 中忍選抜試験開始前から強烈なインパクトを与え続けてきた、おかっぱ頭で全身タイツの体術使いロック・リーの作中最大の見せ場(まだ原作序盤だよ)とされる我愛羅との戦いが、原作には居ない存在である俺との戦いに変わった。

 この戦いが後のシナリオに与えた影響は大きい。1尾の人柱力である我愛羅の手札が知れ渡る戦いであり、それを体術と八門遁甲だけで対抗する戦いであり、我愛羅の精神を揺さぶる戦いであったからだ。

 当時の読者からすれば砂の盾による絶対防御があり雨隠れの忍を惨殺した我愛羅に、強い体術使いだが音隠れの忍に遅れをとったロック・リーが勝てる筈がないと思われただろう。

 だからこそ、その圧倒的スピードで我愛羅を追い詰めたロック・リーの活躍が映えたのだ。

 そしてロック・リーの強さと師との絆に我愛羅の取り繕われた冷静な外面が剥がされ、その狂気と心の傷を漏れ出させる展開となった。

 しかしそれらが俺というイレギュラーのせいでまるっと無くなった。

 それがこれからどんな影響を与えるか、正直不安になってしまう。

 だが、

 

「血沸く、血沸く」

 

 あのロック・リーと戦える。

 その展開に胸が沸き立つのもまた事実。

 別に武闘家というわけではないが、俺の戦い方は正拳突きを主とした徒手空拳。

 今まで修行して身につけてきたその力を最も振るえる存在が体術使いであるロック・リーなのだ。

 憧れ焦がれ体得できた百式観音を存分に使用できた君麻呂との戦いも全身が痺れるように震えた戦いだった。

 けど、ロック・リーとの戦いは別の形で心が踊る。

 四大行と鍛えた身体を全力で振るえる戦いなのだから。

 ゆえにこの戦い。

 俺は【百式観音】を使わない。

 百式観音を知る者達からすれば、ロック・リーを舐めてかかって馬鹿にするような行為に映るだろう。

 特に俺と君麻呂の戦いを目撃した日向ネジなどはそう思うに違いない。

 しかしロック・リーと徒手空拳で戦いたいという欲求以外にも理由はある。

 最強の初見殺しである百式観音を使えば最初の一撃でリーを倒せてしまうかもしれないこと、そしてリーの八門遁甲を使用したトップスピードに俺が反応しきれない可能性がある点だ。

 百式観音は最速巨大な傀儡操作闘法。

 目視してからの操作であっても人外の速さで追い越せる。

 しかしその動きは決められた型通りであり、俺が操作を誤れば空振り外れるのだ。

 そういった理由もありこの試合で百式観音は使えないというわけだ。

 というかそもそも、俺は何が何でも勝ちたいわけではないのだし。

 正直、十二歳で部隊長である中忍になりたいとは思ってない。

 大蛇丸と我愛羅から身内を守りたいから参加しただけなのだ。

 それだって、あとはチョウジが棄権すれば達成される。

 ならばこの試合、やりたいようにやっても良いだろう。

 

「では第9回戦、始めてください」

 

 さあやるか。

 

「「「やり過ぎるなよ狭間ーー!!」」」

 

 ナルトサスケシカマルの叫びが上から聞こえてきた。

 俺の扱いよ。

 開始と同時にリーさんは得意の木ノ葉旋風を放つ。上半身を勢いよく回転させ上段蹴り下段蹴りを高速で連続させるその技を俺は回避も受け止めもせずに迎撃する。

 趣味というか娯楽が修行である俺は、型や技だけではなく基礎身体能力も磨いてきた。

 チャクラを纏わない素の身体能力でもリーさんに遅れを取ることはない。

 チャクラでの身体強化も素の肉体が貧弱であればたかが知れてるからだ。

 リーさんの戦闘スタイルは圧倒的スピードによるヒットアンドアウェイ。

 あの天才日向ネジを体術で打ち破るために出した答えである。

 だから俺は、

 

「なっ!?」

 

 一撃当てて離れようとするリーさんを追う。

 加速して威力を増すリーさんの技は助走する距離が取れなければ威力が乗らない。

 則ち、彼は体術使いでありながら接近戦では真価を発揮しないタイプでもあるのだ。

 

「いくよ」

 

 鉄拳連打。

 クロロにゼノがやったように接近して殴る殴る殴る殴る。

 かろうじて防ぐリーさんだが防御はやや拙い。

 防御が無意味な柔拳対策をし過ぎたゆえの弊害が顔をだしていた。

 勝敗がどうでもよく、戦いを楽しむと言った割に積極的な攻め。

 俺は百式観音を使う気がないだけで、やれることはフルでやるつもりなのだ。

 

「チィッ!!」

 

 力を込めて蹴りを放ち会場の印を結んだ像まで間合いを取るリーさん。

 高速機動からの打撃はスタミナ消費が激しいのでその息は上がっていた。

 実際に戦えば明白になるが、リーさんの戦闘スタイルは柔拳対策の上で成り立っている。我愛羅戦では砂から逃げる為に上手く噛み合ってはいたのだ。

 強いには強いが、それを踏まえて原作知識を足せば対応は容易い。

 距離を置かれたが、撒菱指弾か石破天驚拳をぶっ放すべきか。

 

 

「強いな狭間君は」

 

「言ったろ?アイツは谷間さんとは別の方向性の変態で、この場にいる下忍じゃ一番強いよ(ま、上忍含めてもかなりやるけどガイも規格外なんだよね)」

 

 誰がゴリラサイクロプ・・・・・・じゃなくて変態じゃい。言われ過ぎてネタに走りかけたわ。

 

「フッ、ならばこちらも容赦はせん。

 リー!!外せーー!!」

 

 いよいよか。

 

「でも、ガイ先生!それは大切な人を【複数名】守る場合の時じゃなければ駄目だって・・・・・・!」

 

 百式観音使わない俺もアレだが、リーさん達も大概やらかしてる気が。

 見なよ、死の森でやられたドスなんか色々察して剣呑な気配だしてるから。

 

「構わーん!オレが許す!!」

 

「アハ・・・ハハハ・・・」

 

 その言葉に嬉しそうに笑ったリーさんは両足から根性と書かれた重りを外す。

 ベタな修行だが、常に重量負荷をかける効果がわかりやすい修行法だ。

 刀語の【双刀鎚】理論で付けたままの方が威力が出る気がしないでもないが。

 重量を打撃力に加える戦闘法もまたシンプルで強いからだ。

 

「よーしィ!!これでもっと楽に動けるぞーー!!」

 

 おっと、

 両サイドから落とされた重りがその重量から床を粉砕する、俺はその片方の下に行き重りを受け止めた。

 

「「「!!」」」

 

「「「何してんのお前っ!?」」」

 

(やり過ぎでしょガイ。そして何してんの狭間)

 

「ん、結構重いねえ」

 

 受け止めれない程ではないか。

 昔から試してみたかったんだよな。

 

「行けー!!リー!!」

 

「オッス!!」

 

 消えたように見える加速。

 なるほど速い。

 我愛羅の砂の盾がギリギリになる速度はこれ程か。ならば、

 

「【練】!!」

 

 こっちも上げるのみ。

 

「「「!?」」」

 

 さあて、重りを外したリーさんと【練】で身体能力を上げた俺。

 どちらが上かな。

 

 

 目で追えない速さの高速戦闘。

 重りを外したロック・リーとチャクラを纏った千手狭間の速度は互角。

 その事実は師匠であるマイト・ガイからして驚愕であり、はたけカカシからしたら納得でもあった。

 千手狭間があそこまで動き回るのは珍しい。

 ロック・リーがそれほどの実力者であるということなのだろう。

 

「勝敗は見えている」

 

 日向ネジが白眼で見つめながらそう呟いた。

 あの切り札を使ってない点もそうだが、リーにこれ以上がなければジリ貧。  

 切り札である表蓮華も、チャクラを纏う狭間に効果があるともかけられるとも思わないからだ。

 

「いいや、リーは勝てる。

 木ノ葉の蓮華は二度咲くからだ」

 

「まさかガイ、お前!」

 

「お前の想像通りだ」

 

「じゃあ、下忍のあの子が八門遁甲の体内門を」

 

「そうだ、開ける」

 

 それは己の身を破壊する禁術。

 リミッター外しの極地。

 極めれば最強にも届き得る力。

 カカシの咎める視線もガイは怒りすら滲ませて跳ね除ける。

 死んでも証明したい、守りたい大切なもの。

 それを守れる力を師匠であるマイト・ガイは与えてやりたかったのだ。

 その想いとロック・リーの才能と努力が、十三歳にして五門を開けるに至らせた。

 互角の速度同士、膠着した戦いに、

 ついにロック・リーは、【自分の忍道を貫き通す時】と門を開けた。

 

「きたか」

 

 千手狭間はそれを見て笑い、第三 生門、第四 傷門を開門したロック・リーに殴り飛ばされた。

 その威力に壁へと叩きつけられた狭間。

 

「狭間!」「狭間君!」「いやアレは」「効いてないだと!?」

 

 驚く観客。

 しかしより驚いたのは瞳術使い達。

 顔を殴られた狭間は凝でその一撃を耐えきっていたのだ(足元がお留守になったから吹き飛ばされたが)。

 

「八門遁甲を開門したら、練で強化しても追いつけないか」

 

 そこで狭間は戦闘スタイルを切り替える。

 両手を祈るように合わせ、目を閉じた上で、真っ直ぐに立つ。

 さながら祈る修験者のように。

 

「なんだアレは?」

 

 しかしただの棒立ちではない、四大行応用技【円】。自身を中心に狭間はチャクラを球型に展開したのだ。

 

「ハァアアア!!」

 

 隙だらけに見える狭間へとおかっぱ頭を逆立たせ額に血管を浮かべたロック・リーが殴りかかる。

 もはや走ったあとの粉塵のみがそこにいたことを示している。

 そんな速さで殴られればどうなるかは知れたもの、しかしリーは加減せずに拳を振るい、

 

 気がつけば自身が宙を舞っていた。

 

「は?」

 

 驚愕。

 その一言に尽きる。

 どうなったのか何をされたのかわからない。

 交通事故にあったかのように、感覚として過程がすっ飛ばされて気がついたらこうなっていた。

 しかし見ている側からは分かる。

 千手狭間が何をしたのかを。

 

「・・・・・・なんて子だ。これが谷間さんの子」

 

「谷間さんは関係なくない?ま、ぶっ飛んでるトコは一緒だけどね」

 

 千手狭間がやったことはシンプル。

 ただの迎撃。

 円の間合いにロック・リーが踏み込んだ瞬間、正拳突きで殴り飛ばしただけだ。

 八門遁甲を四門まで開いた者にそれができる事実があり得ない所業なのだが。

 

「(円から凝への切り替えが遅い。一撃で仕留められなかったか)」

 

 それでも狭間本人からしたら己の未熟さを実感した動きだった。

 円から硬、まではできなくとも、円から凝へはできて然るべきだったのだから。

 

「鍛える点がわかったのは僥倖か」

 

「まだだっ!!」

 

 態勢立て直したリーの再度の攻撃。

 しかしもはや、四門開いた状態でもどうにもならない。

 千手狭間の感謝の正拳突きは半刻足らずで一万回を突き終える。

 それだけの速度が、それだけの知覚感覚が狭間にはあるのだ。

 四方八方からのロック・リーの高速猛撃。しかし突っ込んだ数だけ正拳突きの迎撃で宙を舞った。

 それは狭間の十二歳離れした体格も作用している。リーチの差は接近戦で大きい。

 ロック・リーの拳より千手狭間の拳は先に届くのだ。

 体術使いの弱点。

 それは近寄らなければ攻撃が当たらない点。

 より速く、より先に攻撃されてはもはや手も足もでない。

 

「楽しかったよ」

 

 これから千手狭間が行う修行。

 百式観音に組み込み予定の拳法、否、剣法。

 ロック・リーとの戦いはその必要性と効果をあらためて見直す結果となった。

 

「終わりだ」

 

 ロック・リーに第五 杜門は開かせない。

 筋肉が切れる強化は彼の今後に響くからだ。  

 凝の割合は六割。

 その正拳突きをロック・リーへとぶち当てた。

 

「正拳突きだけは、年季が違うのさ」

 

 前世込みでどれだけやったか。

 これだけは負けない、千手狭間唯一の自慢の一撃。いずれはこれこそを最強へとしたい、そんな願望があった。

 

「ボクはまだっ!」

 

「忍界最強の体術使いマイト・ガイの愛弟子ロック・リー。その努力と研鑽に敬意を」

 

 これ以上の無理はさせない。

 その意図も込めて狭間はリーの意識を絶った。

 

「勝者 千手狭間!!」

 

 楽しかった。

 存分に力を振るえた充足感に満たされた気分で試合を終えた。

 ロック・リーの敗北。

 しかし原作とは異なりそのダメージは治せる範囲。むしろ八門遁甲の反動の方が問題だとガイ先生は医療班から手酷く叱責されていた。

 

 

 続く最終戦。

 チョウジの無事を祈った結果。

 

 ガアラ

   VS

   ドス・キヌタ

 なんとかなったようだ。

 こうして秋道チョウジの無試合勝ち抜きが確定した。

 

 そして最終戦だが、

 

「棄権なさい。

 アナタじゃあの我愛羅には勝てないわ」

 

「噛ませ犬の捨て駒にずいぶんとお優しいんですね。ならば教えてやる、ボクが噛ませ犬じゃないことを」

 

 大蛇丸の制止を無視したドス・キヌタは意地を張った結果、我愛羅と戦い。

 その命を散らした。

 音を纏った一撃は砂の盾に防がれ、増幅し指向性を持たせ、盾をすり抜けた音波攻撃は砂の鎧が打ち消した。  

 チャクラで固定された砂は音波では揺れなかったのだ。

 耳への防御。 

 砂塵舞う砂隠れ出身者が怠るわけなどない。

 彼の最後は砂縛柩からの砂瀑葬送。

 第三の試験予選は唯一の死者を出して終了した(ヨロイとツルギが生きてるのは驚きではある)。

 

 

 




 
 補足・説明。
 
 今話は第三の試験予選終了までです。
 狭間対リー、我愛羅対ドス、です。
 狭間は百式観音を使いませんでした、使わないのは舐めプで思うトコがありますが、コイツはそもそもエンジョイ勢、身内の命関わらなきゃ楽しみます。
 それでもリー対策はして詰めながら戦いました。
 撒菱指弾や石破天驚拳は普通に外れた可能性高めでした。
 あらためて読むと、リーはネジを倒すための戦闘スタイルですね。
 蓮華を使えなかったのは、狭間は我愛羅と違って吹き飛ばせなかったからです。打ち上げて包帯で拘束がそもそもできませんでした。

 読者の皆さま方の予想通りの我愛羅とドス戦。
 描写するか悩みましたがダイジェストでこんな感じです。
 殺る気満々な我愛羅に音は通じませんでした。

 チョウジはなんとか助かりました。
 精神的に成長してる彼は無理に頑張って、我愛羅に殺されていた可能性が割とあったので。

 正直、狭間とリーの努力についての価値観問答もしたかったのですが、ハイスピードバトルに問答はないだろと止めました、
 リーが天才である狭間に勝ちたいと叫ばせ、それを狭間が否定する流れでしたが。狭間は変態ではあるが天才ではありません。
 また結果の為に耐えるリーと、修行が娯楽な狭間は微妙に合わなかったりします。  
 ・・・・・・・・・やっぱり空気悪くなりそうだから止めて正解でしたね。

 次回は説明から各自の流れに移ります。
 なお原作のカブトのスパイバレイベントは、サスケが入院してないからありません。
 
 

 
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