百式観音を背負いて。 作:ルール
子ども達の集まりを見てダメージを負うキャラばかりなNARUTOの闇よ。
カカシも同期会に誘われてますが、やんわりと断ってます。
大人達の打ち上げは、酔いつぶれたアスマを紅が、ガイをカカシが運びました。
なお店の酒を飲み干された居酒屋さんは二日ほど営業ができなかったそうです。
中忍選抜第三の試験予選が終わり、ナルト同期達の集まりの翌日それぞれの修行が開始される。
うちはサスケは第七班担当上忍であるはたけカカシと共に対戦相手である砂隠れの我愛羅対策となる新術を会得する為に山ごもりをする。
砂瀑の我愛羅の絶対防御である砂の盾と砂の鎧。それらを穿ち貫く必殺の一撃が必要なのだ。
春野サクラは基礎の底上げ。
頭脳明晰だが体力及び体術に難のある彼女はチャクラコントロールでそれを補っていた。
だから一番伸び代のある身体能力向上に励むことになった。
またそれだけでなく任務にて多忙な夕日紅上忍が時間を見て幻術の指導を行ってくれた。共に幻術タイプなのもあり、こちらの向上も目覚ましい。
そしてうずまきナルトであるが、指導に特化した特別上忍。
現火影の孫である木ノ葉丸の家庭教師も務めているエビスにチャクラコントロールの基本修行をつけてもらうことになった。
うずまきナルトはチャクラコントロールが第七班で最も不得手。それもチャクラの操作ではなく、チャクラの精製段階の練り上げから出来ていないため無駄にスタミナを浪費しているのである。
そんな現状であるにも関わらず他の下忍達に勝利しているのだからスタミナお化けというかむちゃくちゃなのだが、そこを鍛えて無駄をなくせばそれだけで強くなるのは明白である。
幼少期の孤独な生活とその身体に九尾を宿す関係から不得手だったチャクラ精製。
それを矯正する機会なのである。
ちなみにこのエビス特別上忍とはナルトがアカデミーを卒業して下忍になるまでの期間で木ノ葉丸とあれこれあった仲である。
エビスは九尾の人柱力でありアカデミーの落ちこぼれであるナルトを、生徒である木ノ葉丸に悪影響(おいろけの術)を与える存在として撃退しようとしたが、多重影分身の術とおいろけの術の融合忍術【ハーレムの術】にて返り討ちにあった。
かつて千手谷間にオッ◯イ倶楽部を奢ってもらい女体耐性を身につけていたエビスもこの術の前には無力だったのである。
「それでは修行を行います」
「押忍!!」
場所は木ノ葉隠れ温泉地。
美女らが入浴楽しむ女湯に引き寄せられそうになるナルトであったが、涙目のヒナタと拳を握りしめたサクラの姿が何故か脳裏に浮かび罪悪感と死の恐怖から思い留まった。
「どうかしましたかナルト君?」
「ナンデモナイデス」
女湯付近で青褪めるナルトを心配するエビス、そこにはかつての差別と見下しの感情は見られない。
その事を本能的に察したナルトは心遣いに嬉しくなりながら、大丈夫と返すのであった。
「では開始します」
天然温泉旭日楼前の源泉湯溜まり。
そこで修行を始める。
修行内容は水面歩行。
波の国で行った木登り修行の応用となる。
木登り修行はチャクラを必要な分だけ維持する、一定量のチャクラを練り込むための修行。
水面歩行の修行はチャクラを必要な分だけ放出する、一定量のチャクラを出し続ける修行である。
原理としては四大行の【練】に近いが、あちらは全身からで一定量ではなく全開なのでより限定的なコントロールとなる。
「え〜とよく分かんねェ!」
「やって見せた方がいいですね」
理屈よりも身体で覚える派であるナルト。
エビスはチャクラを練り上げ、大人でも沈む深さの源泉をチャプチャプと平地のように歩く。
その驚きの光景にナルトは興奮する。
水の上を歩くというわかりやすい凄いことが子供心に響くのである。
そして自分もとチャクラを練り上げ進むが、ドボーンと沈む。
「あちゃちゃーー!!」
湯の温度は60度。熱い温泉として耐えられない温度でないが失敗ばかりすると茹でダコになりそうである。
プールではなく川で泳ぐ方が主流な隠れ里。
水で身体を冷やすよりも(川の水はかなり冷たい)、温泉の方が良いとエビスは判断したのだ。
熱いという刺激から逃れるために必死になる点も、やる気を出してチャクラを放つ良い効果となるからだ。
ドボンドボンと失敗を繰り返すナルト。フフと笑うエビスに蔑みはなく微笑ましさを滲ませる。
あのエビスからしてはあまり宜しくないナルトとの激突。しかしその日から教え子である木ノ葉丸は良い方向に変わった。自分の指導を素直に聞いてくれるようになったのだ。
それが自分の正しさを認めたからではなく、ナルトの影響で苦労する覚悟を決めたのだと知った時、エビスはナルトを立派な木ノ葉の忍者だと理解したのである。
(落ちこぼれか)
「お!少しわかってきたってばよ」
(遠ざけて導いていなかっただけじゃないか)
数回の挑戦で身体を浮かせつつあるナルト(これで五行封印のデバフ付き)の姿に、指導すれば伸びる子供であることをエビスは察した。
(この調子なら数日で身につきますね)
水面歩行の後は何を教えるかとプランを組み立て始めたエビスだが、
「あーーー!」
「?」
ナルトがナニカに気づき指を指しながら叫んだ。エビスがその方向を向けば(ナルトは態勢を崩しドボン)、そこにはエヘヘと竹柵の隙間から女湯を覗く怪しげな風体の男がいた。
「フッ」
特別上忍ともなれば里の治安を守る立場にある。
「ハレンチはこの私が許しませんぞー!!」
覗きは犯罪。
不埒者を倒し捕らえようと飛び掛かるエビスだが、
「ったく」
その白髪の大男は事もなげに高等忍術である口寄せの術を発動させた。
「こ、これは・・・・・・」
蝦蟇の口寄せ。
四代目火影亡き後にこれが出来るのは唯一人。
「うぎゃああ!」
眼の前の覗き男が誰か悟ったエビスは、蝦蟇の舌でベチッとのされたのであった。
野生の五影とも言える実力者相手に、教育能力の高さから特別上忍になったエビスが勝てるわけがなかったのである。
「エビス先生ーー!」
ムッツリスケベ、オープンスケベに敗北す。
ナルトは急ぎ湯から飛び出してエビスに駆け寄る。どうやら意識はないようである。
「とりあえず病院に連れてけば良いか?」
口寄せした男と口寄せされた蝦蟇も気にはなるが、優先すべきはエビスの方だろうと担ごうとする。
「あー大丈夫だぞ坊主。
こやつも特別上忍の端くれ、気絶はしとるが病院に運ぶほどじゃない」
そんなナルトに待ったをかける男。
「いやそれはやったアンタが言うことじゃなくね?」
「アッハッハ。その通りじゃのう!!」
ナルトのツッコミに男は笑い出すのであった。
「・・・・・・で、どちらさん?」
ヨイショと意識のないエビスを道の端に寄せてからナルトが訊ねれば、
「あいやしばらく!!
よく聞いた!
妙木山蝦蟇の精霊仙素道人。通称・ガマ仙人と見知りおけ!!」
足元の口寄せ蝦蟇と共に見えきり名乗るガマ仙人。仙人というあまり聞かない名称にナルトは戸惑う。
「あのさ、オレってばこの人に修行見てて貰っててさ。気絶させられたら困るってばよ」
「そいつが取材の邪魔をしたからだっての!」
「取材?」
許可をとって覗きをしたのかと首を傾げる。
「わしゃあ物書きでな」
懐から担当上忍の愛読書を取り出したガマ仙人。それを見たナルトのテンションは下がっていく。
一度気になり内容を訊ねたことがあるが、十八禁だから駄目だと説明して貰えなかったのだ。
「・・・・・・修行どうすっかな?
チャクラ関連は命に関わるから一人じゃ駄目だって狭間とカカシ先生がうるせえし、狭間ん家に行くか。アイツ裏山でしばらくは形稽古してるって言ってたし」
ハァとため息をつくナルト。
原作のナルトならば感情のままに突っかかるだろうが、今までの経験からそれが通じないことがあると学んでいた。
エビスがこの調子なら狭間の側で修行するかと移動しようする。
そう切り替えの早い現代っ子テイストなナルト君になっているのである。
「あ、うちの担当上忍がその作品の大ファンだってばよ」
「お、おう。思いの外切り替えが早いのう。
担当上忍が大ファンか、サインでも書いてやるか。
あと坊主、修行なら儂が見てやろう」
「・・・・・・・・・もしかして狭間の回し者だったりする?」
「その狭間とやらをお前がどう思っとるのか気になってくるんだが」
気遣いからか先回りのようにあれこれと普段から用意する狭間。
特別上忍であるエビスを倒した実力。
口寄せの術という高等忍術を使う技量。
ガマ仙人が強いことはわかるが、修行を見てくれるという提案から狭間の知り合いかと疑ったのだ。
「・・・・・・息子の方に面識はないのう」
合わす顔がなさ過ぎるわい。
その呟きは誰にも聞かれず掻き消えた。
「ま、坊主。とにかくもう一度さっきの修行をやってみろ」
「わかったてばよ。
あと、オレはうずまきナルト!!」
疑問はあるが修行を見てくれるなら良いか、と源泉の上へとナルトは走り出した。
チャクラを練り上げる。
源泉の上で膝まではなんとかフラフラしながらも浮き上がるが、そこで態勢を崩し落ちる。
「あちゃーー!」
「・・・・・・・・・・・・」
「服なんて意味ねーってばくそ!」
よく考えたら最初から脱いどけば良かったと脱ぎ捨てる。
「オイ、もう一度チャクラを練ってみろ」
ただ一回見ただけ。
自来也はそれだけでナルトの異常に気付いた。
「えーから早く!」
「! う、うん」
指示のままナルトがチャクラを練れば、反応してへそを中心とした封印式が浮かび上がってきた。
四象封印が二つの二重封印で八卦の封印式と成る。四代目火影波風ミナトが施したナルトを守るための封印式。
「おい坊主、なんか最近腹を思い切り突かれたりせんかったか?」
「あーー、中忍試験で変な舌伸びるヤツにやられたってばよ。やられた後に気絶してから調子悪いんだ」
自来也の問にナルトが答えればやはりかと納得した。
九尾の八卦封印式の上に更に組まれた五行封印。偶数封印に奇数封印を重ねられたせいで、八卦封印式によるチャクラ還元が機能しなくなっているのである。
こんな碌にチャクラを練れない筈の状態で、キバと赤丸にあんなチャクラ馬鹿喰い忍法で勝ったのだから大蛇丸が感心するのも当然である。
「さて、坊主。
儂は今から、その舌が伸びる蛇みたいなオネェ系が仕出かした封印を解いてやろう。
そうすればチャクラコントロールが大分改善する筈じゃ」
「・・・・・・そこまで言ってねえけど、もしかして知り合いとか?まあ調子戻るならありがたいけど」
「ま、腐れ縁てとこかの。
それじゃバンザイしろ、あと痛いからな」
「うす」
五行解印。
右手五指にチャクラと術式宿した自来也によって、五行封印は解除されたのであった。
「ほれ、また水面歩行してみろ。大分違う筈だ」
「う、うす」
突かれた痛みにピクピクしながら再度挑戦すれば、先程までとは違い真っ直ぐと湯上に立てたのである。
「本当に、うまくいくってばよ!」
「それが本来のお前さんの実力だ(そろそろ九尾のチャクラコントロールを教えておくか)」
「ありがと、ガマ仙人!!
封印なんて誰も気付かなかったのに」
「仙人としての慧眼よ。ま、年季の差だな」
カカシもエビスもまだ二十代。
現役で里の精鋭ではあるがまだ知らぬ知識が多い、封印術などカカシとて最近できるようになったばかりである。
また、キングナルトの術なんてできるヤツが、封印施されてチャクラの流れを阻害されてるとは三代目火影すら想像出来なかったのである。
「よし、ナルト!上がれ!
これからとっておきの術を教えてやる!」
「おー!なになに、サスケみたいに雷遁!サクラちゃんみたいに幻術!狭間みたいな音速超えたパンチ!」
(最後だけ桁が違くね?)
どんなヤツなんだまったく、と自来也はこれから会いにいく千手狭間のことがますます気になった。
「だが、その前に。「あ、ナルト君」うん?」
「ヒナタ、どうしたんだ?」
自来也の説明に籠を持つ日向ヒナタの言葉が挟まった。
「その・・・・・・お昼を持ってきたの。
狭間君がナルト君のことだから修行に夢中でご飯とか考えてないだろうって」
日向ヒナタは千手狭間に唆され、修行するナルトの為に手製の弁当を作ってきたのである(任務予定の紅班だったが本日は無し)。
「なら朝に弁当作ってくれよ、狭間」
千手宅に泊まったナルト。朝ご飯はきっちり頂いてたりする。
なお、普段の任務時などは狭間が昼を用意していた。家族と暮らすサクラでは少しばかり手間なのだ。
「だから、その・・・・・・」
修行の邪魔だったかと自来也をチラ見するヒナタ。しかし自来也はガハハと笑い、
「なにお嬢さん、今日はもう切り上げるところだった、気にすることはない。
ナルト、続きは明日。またここに来い」
「え〜〜、もっとやりたいってばよ」
「解印したてだから休みが必要。こやつは儂が運んでくから、そのお嬢さんと昼飯を楽しんどけ」
「ヒナタの飯は美味いから嬉しいけどさあ」
「ポッ。
あのエビス先生ですよね?先生の分も用意しました」
「気遣いできる娘さんじゃ」
「ヒナタヒナタ、そっちのオープンスケベはガマ仙人。担がれてるムッツリスケベがエビス先生」
ヒナタから竹の皮に包まれたおにぎり弁当を自来也は嬉しそうに受け取り、ナルトはヒナタの勘違いを訂正した。
「じゃ、また明日!」
「おう!!」
自来也は少年少女の微笑ましい昼に後ろ髪を引かれながら、いや野暮かと去っていった。
「ん?」
しかしその途中、
「グヌヌ、ヒナタよお前には早いぞ」
「ね、姉さま、なんとアダルティな」
おにぎりをパクつきながら物陰に潜み、白眼全開でナルトとヒナタを見る、日向宗家当主とその跡取りを見かけたのであった。
「(こやつはもっと堅物だったと思ったんだがの)」
親とはこうなるのかと自来也は思ったそうな(アダルティは違くね?とも)。
補足・説明。
今話はナルト修行開始と自来也の遭遇とおまけです。ナルトは原作とはかなり反応が違ってます。
しかし平成ならともかく、令和に自来也の覗きとかはアウト判定をくらいそうです。
最近はエロはひっかかるがグロは流されてる気がしないでもないですが。
木ノ葉隠れの地理はイマイチよくわかりませんが、徒歩圏内に温泉は羨ましいですね。60度の源泉、昔入った熱い温泉は何度だったのか。
ヒナタの差し入れ。
狭間のアドバイスとナルトの昼を心配したからです。おにぎりとだし巻き卵などのおかずがあります。
ヒアシ様とハナビちゃん。
ヒナタはお弁当作りの時に家族と使用人の為に沢山用意したのでそれを持ってきて見守っています。
・・・・・・・・・ネジが見たらどうなるやら。