百式観音を背負いて。   作:ルール

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 原作ではこの時期にカカシから大蛇丸部下だと知らされて薬師カブトを尾行していた月光ハヤテさんですが、当作品では判明してないため尾行していません。
 結果、薬師カブトと砂隠れ上忍バキとの密談を見ておらず、彼は風の刃で斬り殺されることもありませんでした。
 そしてサスケの呪印ですがある程度制御はできますが、カカシが修行開始前に封邪法印で封印しています。



原作11巻②

 

 千手狭間は前世でいわゆるオタクであった。

 基本的にジャンプ関連作品が好きだったが、特に拘りや絶対視などしておらず、興味ある作品には手を出していた。

 当然アニメも視聴していて、好きな作品はいくらでもある。

 しかし全てのアニメをソフトで買い揃えることは経済的な理由で厳しく、わざわざソフトで全巻揃えた作品はそれだけ思い入れがあることを示している(大好きな幽遊白書やHUNTER×HUNTERとNARUTOも揃えたかったが多過ぎて無理だった)。

 その買い揃えた思い入れのある作品の一つが、対戦格闘剣花絵巻【刀語】である。

 十二本の変体刀を捕集する刀集めの旅の物語は、転生してなお、記憶いや魂から色褪せぬ忘れられない名作であった。

 その名作の主人公、鑢 七花。彼が振るう拳法にして剣法が【虚刀流】である。

 剣術を雛形とした刀剣身を帯びぬ手刀足刀を駆使する無刀の殺人剣術。

 自身を剣士にして刀と称するその剣術は、刀語本編を経て最強へと到った。

 そして虚刀流には八つの奥義があり、まさに必殺技と呼べるほどに猛威を奮ったものだ。

 ・・・・・・・・・八つの奥義中三つほど刀語本編で詳細な説明がされておらず、名前はあってもどのような奥義かわからずじまいだったりする。おそらくアニメ化を楽しみにしていたファンはこれらがどんな奥義だったのか知りたかったに違いない。また原作者先生がアニメを視聴し奥義を見て「こんな技だったんだ」と呟いたエピソードもあったとかなかったとか。

 

 さて、

 長々と刀語について語ったわけだが。

 なぜそうしたかというと、俺こと千手狭間はその虚刀流というよりは虚刀流の八つの奥義をこの中忍選抜試験の一ヶ月、いや長く見ればNARUTO原作最終決戦までに習得しようと考えているからだ(自身の非才に関してはワカラセられたばかりなので)。

 剣術を雛形にした無刀の殺人剣術。

 手刀から繰り出される人体破壊を極めたその奥義は、手刀や掌打の型を神速で叩き込む百式観音と相性が良いと判断したからだ(足技に関しては要調整)。

 他の百式観音強化案には、NARUTOの必殺技の代名詞である螺旋丸や千鳥を組み込む、石破天驚拳を百手から打たせる、百式観音を小型化してシャーマンキングの甲縛式オーバーソウルのように身に纏うなど思いついたが、生涯賭けて完成を目指すのは面白いだろうが不器用で才能がない自分にはNARUTO本編期間で完成させるのは現実的ではない案だった。

 さらに恥ずかしながら、前世にて感謝の正拳突き以外にものめり込んだのが虚刀流だったという理由もある。

 四十路超えのおっさんが、たった一人で死ぬまで正拳突きとアニメの必殺技再現に熱中していたのだ。

 その前世からの積み重ねもあり、魅力的な他の強化案を差し置いてこちらを採用したのだ。

 あとは輪廻眼と鮫肌というNARUTO作中の反則存在も理由としてはある。

 術やチャクラを吸収してしまうそれらのせいで、放出系の技の開発はつい足踏みしてしまうのだ(石破天驚拳はやったが)。

 

 だから俺は、

 

鏡花水月(きょうかすいげつ)!」

 

花鳥風月(かちょうふうげつ)!」

 

百花繚乱(ひゃっかりょうらん)!」

 

柳緑花紅(りゅうりょくかこう)!」

 

飛花落葉(ひからくよう)!」

 

錦上添花(きんじょうてんか)!」

 

落花狼藉(らっかろうぜき)!」

 

 ひたすらにこの七大奥義を身につけるべく形稽古を繰り返すのであった。

 ちなみに八番目の奥義【七花八裂】であるが、これは必殺奥義を七つ同時に放つ連続技。

 繰り出す順番によって威力や連携に影響がでるので、注意が必要である。週刊少年サンデーに掲載されていた【史上最強の弟子ケンイチ】の他流派武術連携技【最強コンボ】と近い奥義である。

 木ノ葉隠れ外れの自宅、その裏山にて影分身の術を六体創り俺は一心に稽古に励む。

 百式観音の巨大神速掌打では屍骨脈の防御と呪印の回復力を合わせ持つ君麻呂を仕留めきれなかった。

 だが型、技そのものが必殺技であるこの奥義であるならば通じる可能性がある。

 まあ、奥義の衝撃伝達の鎧通し技である柳緑花紅や、衝撃伝播の鎧破壊技である飛花落葉は、君麻呂対策というよりは、うちはマダラの須佐之男との戦いを見据えて身につけようとはしているが。

 しかし、足技である原作小説では未説明でアニメでは膝による顎の蹴り上げだった百花繚乱と、空中に飛び上がり回転してから打つ踵落としの落花狼藉、はどう百式観音に組み込むか。

 百式観音の足が動けば良いのだが、なんか固定されていて無理っぽそうなのである(足なんてただの飾りか)。

 ならば虚刀流が剣術を雛形にした剣法であることから模索し奥義の主題をそのままに再構築するしかない。

 膝による顎の蹴り上げ技の百花繚乱。

 これは多くの剣法流派にある下段からの斬り上げを組み込んだものだろう。

 他作品ならば、るろうに剣心の飛天御剣流の龍翔閃、北斗の拳の泰山流斬人抜刀術、現実でも二天一流や薬丸自顕流にその型がある。

 下段から必殺の威力をこめるために膝打ちにしたのならば、百式観音の手刀であれば代用は可能だろう(百式観音の肘は球体関節だから止めておこう)。

 生身では刀語原作のまま、百式観音では必殺の下段斬り上げとして完成させる。

 空中回転踵落としである落花狼藉は、剣術としては大上段からの切り落としだと思われる。

 これもまた一刀流、北辰一刀流、示現流などあらゆる流派にある型で、大きく振り上げてからの一刀。

 虚刀流には他にそのような技はないのだから、これらを組み込んだ奥義だと思われる。

 これも威力を増すために体重がのる踵を使用した技であるならば、大上段からの必殺の一刀として完成させれば良い。

 だとすれば参考にするのは示現流。

 蜻蛉の型から全身全霊を込めて、

 

「ちぇりおーーーっ!!」

 

 気合の叫びと共に手刀を振り下ろす。

 

「・・・・・・なんか違くないかのう?」

 

 いやまあ九州地方や示現流の掛け声ときたら【チェスト】が正しいのだけど(諸説あり)、そこは刀語から学んだ身。

 気合の掛け声は奇策士とがめさんの盛大な勘違いである【ちぇりお】にする義務があるだろう。

 見ていてください、とがめさん七花さん、俺はこの世界で【ちぇりお】を気合を入れる掛け声として定着させてみせます。

 これは空中回転踵落としの落花狼藉と、全身全霊大上段からの手刀であるオリジナルの型を両方身につけるようにしよう。

 百式観音に組み込むのは後者になるだろうが、生身で体得してからならばまた練度や完成度に差がでる筈だ。

 

「ん?」

 

 一人(影分身体を含めたら七人)で修行してる俺に誰かが声をかけてきたような?影分身体を向けば「ちゃうちゃう」と首を振られた。

 あらためて周囲を見渡せば、そこには大柄で長い白髪の歌舞伎役者のような派手な衣装姿の男性がいた。

 あれ?この人、この方は。

 

「なあ、千手狭間よ」

 

 前世の原作知識、今世の記憶から眼の前の人物の名を思い出そうとすると、

 

「好みの胸のサイズはいくつだ?」

 

 どっかで聞いたような、4歳まで頻繁に聞いていた質問をされた。

 混乱戸惑い懐かしさ、それらの感情より先に俺の脳裏にとある同期少女の姿が浮かび上がりかけてしまい・・・・・・・・・、

 

「邪念破っ!!」

 

「ん?」

 

「邪念破!!邪念破!!邪念破ァっ!!」

 

 俺はその人物の姿、少女の姿を必死に振り払うべく、邪念を破るために額を修行用の木杭に叩きつけた。

 邪念よ破れよ。

 十二歳少女を意識するとか、精神年齢考えたらアウト過ぎるわ、ロリコンだろうがっ!!

 

「お、おい。突然どうした?」

 

「いやちょっと新しい杭の打ち込み方を試したくなりまして」

 

 額からダラダラと血を流しながら俺は伝説の三忍の一人、NARUTO作中で苦難の人生を生きた苦労人である自来也様と対面した。

 

 

「・・・・・・それで如何なるご要件でしょうか自来也様」

 

 気を取り直して、ポットから茶を出し一服しながら会話を始める。

 茶、軽食、その他諸々。

 修行の準備は怠らない主義だ。

 休憩と栄養補給を欠いては修行が逆効果になりかねない。

 

「そつがないのうお主は。

 なに、せっかく木ノ葉に帰ってきたのだから、儂を師と慕った者の忘れ形見を見に来ただけよ」

 

 自来也様の世代ならば木ノ葉隠れはそんな存在ばかりだろうなと想像してしまう。

 木ノ葉隠れに自来也様世代の忍は意外な程に少ない。忍界大戦、九尾襲撃、数多の戦いでその命を散らしていったのだろう。

 綱手様が木ノ葉から離れているのも、亡くした知り合いの身内と顔を合わせるのが辛いからかもしれない。

 

「あやつが、あの谷間が死ぬとは、思いもせんかったがのう」

 

 どんな死地でも笑いながら帰還する。そんな安心感と頼もしさがあったらしい。

 

「・・・・・・それは大蛇丸も言ってましたよ。自分以外に殺されるなんて思ってなかったと」

 

「・・・・・・そうか、ヤツがのォ」

 

 自来也様からしたら大蛇丸が下手人の候補の一人だったのかもしれない。

 しかしそれは本人がはっきりと否定していたから違うのだろう。

 

「狭間よ、儂がお主に会いにきたのは偶然のようなものじゃ。

 儂は長らく大蛇丸を追っていて、大蛇丸とお主が交戦したと知ったのでの」

 

 原作でカカシ先生にナルトを中忍試験本選まで育てると言ってたよな。温泉での出会いも偶然ではなく狙ってのことか(エビス先生南無)。

 

「そんで気になって様子を見に来た、見に来たんじゃが・・・・・・・・・・・・。むちゃくちゃじゃのォ、お前さん」

 

 その年齢では儂ら三忍でもここまでではなかったと言う。

 

「手ほどきでもしてやろうかと考えておったが、何やら目的あっての形稽古。今は儂が教えられることはなさそうだのォ」

 

 まあ確かに、虚刀流奥義修行に新しく何かを追加されても困るに困るが、あの自来也からの修行は興味あるんだが。

 

「どうだ、口寄せ契約でもするか?」

 

「口寄せ契約者が複数人居ると、来てほしい口寄せ獣不在とか大変なことになりませんか?」

 

 蝦蟇との契約が自来也とナルトだとすれば、そこに俺が加わったら三人もいる。

 自来也ならば巨大実力者蝦蟇を複数匹口寄せできてもおかしくないのだし、被りはマズイ気がする。

 実際に木ノ葉崩しの時に自来也がガマ広さんを口寄せしていたが、ここでガマブン太が呼び出されていたらナルトは我愛羅戦でマズイことになっていただろう。

 

「アッハッハッハ、儂と被る口寄せが出来る自信があるのか!それは剛毅なことよのう」

 

 そうだよ、できる保証がそもそもないじゃないか。ナルトだって三週間かけて蛙未満(尻尾付き)だったし。この世界だと多少はマシだと思いたいが、時空間忍術は適性要素が強いらしいからなあ(四人全員口寄せの術が使えた第七班(サイ除く)はいったい?)。

 

「ま、たしかにの。向き不向きもある。

 それにお前さんは手数が増えて練度が疎かになることを危惧しているだろう?ゆえに奥の手を活かす修行に着手してるわけだ」

 

「わかりますか」

 

 そう、それが怖い。

 星の数ほどあるあらゆる知識と技術。

 前世の他作品知識を含めたら数え切れないほどにあるといえる。

 片っ端から再現して万能な存在を目指したい気持ちがないわけではないが、増えた手数を活かしきるのはシカマルや自来也レベルの視野の広さと機転がいる。

 それは俺には無理だろう。

 正拳突きと百式観音。

 この二つをメインにして、四大行をサブに、他の技はそれらに組み込むか趣味やネタに留めるべきだと思う。

 仙人モードや尾獣や木遁など、たしかに心惹かれる力がこの世界にも多いのは事実だが、今やってる虚刀流だって本来なら片手間ではなく一生を懸ける流派なのだから。

 

「その方針が間違ってるとは思わん、しっかりと精進せえよ」

 

「はい!!」

 

 あの自来也のお墨付き。

 ならばこの方針は間違いではない。

 たった一言の肯定。

 それが大きく背を押してやる気を出させるのだ。

 

「・・・・・・ところで、お前さんの好みの胸のサイズについて」

 

「邪念破ァッ!!」

 

 ニヤニヤといやらしい笑みの俺の心境を察した問いかけに再度俺は額を木杭に打ち付けた、あっ杭が衝撃で真っ二つに。

 

「谷間とは違うタイプで面白く、人誑しで、ぶっ飛んでいて、変態で、愉快なヤツだのォ」

 

 亡き者の面影をその身内に見る。

 それは死別多き忍界ではごく当たり前で、そうやって彼らは心に折り合いをつけているのかもしれない。

 忍界大戦を知る先達。

 あまりにも哀しく、強い方々だ。

 

 

 オマケ。

 自来也の顔を狭間が知ってる理由。オリキャラ谷間についてありますので、興味ない方はここまでで。

 

「しかし、なぜ儂の顔を知っとるんだ?」

 

「父の自室の壁にデカデカと引き伸ばされた写真が飾られてまして。尊敬せし性の導き手!!と」  

 

「・・・・・・相変わらずだの谷間は。誰が性の導き手じゃい、猿飛先生もかなりの助平だわい」

 

「だから父の部屋は封印してますよ。物品が片付けられないし。

 三代目様はナルトのおいろけの術に鼻血だして負けるくらいスケベですよね」

 

「ほう、おいろけの術とな。ナルトめそんな素敵な術を隠しておるとは、明日にでもやらせるか」

 

「お見せしてないのですか?」

 

「おう、聞いてたのと違いスケベ小僧でもイタズラ小僧でもなかったぞ」

 

「(原作とは大分違ったのか?)」

 

「しかし壁にデカデカと儂の写真か。

 そこは嫁の写真かと思っていたが」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母のは天井です」

 

「は?」

 

「天井いっぱいに直筆手書きで母の裸婦画を描かれています」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・谷間だのォ」

 




 
 補足・説明。
 
 今話はオリ主である千手狭間の修行方針と刀語について、また自来也との接触です。
 刀語について長々と語りましたが、これでもかなり削りました。
 作品とキャラクターに触れたら下手したら数倍になりますので。
 百式観音に組み込むメイン技が虚刀流奥義になる感じです。
 組み込む奥義ですが作者の独自解釈となります。原作小説ではガチで説明ない奥義があるのでアニメで見れて興奮しました(錆白兵との戦いも見たかったが)。
 狭間の修行に仙人モードやら口寄せも考えましたが、使い切れない可能性が高いので断念しました。
 四大行、影分身、正拳突き、百式観音、撒菱指弾、石破天驚拳、虚刀流、だけでもかなり多いですから。
 あとは超破壊拳は使いたいですが、まだまだ先になりそうですね。

 ちぇりお。
 刀語ヒロイン奇策士とがめの決め台詞にして、気合を入れる掛け声と勘違いしていた。本場薩摩で敵である真庭鳳凰に指摘されてありえないくらい取り乱し、開き直った。
 正しくは「じゃあね」「またね」的な挨拶で、「チェスト」のような掛け声ではない。
 狭間は掛け声として広めようと画策している。
 
 邪念破、ジャネンバ
 ドラゴンボール劇場版ボス、あの世で仕事をサボった鬼がやらかした末に生まれたの邪念の化身・・・・・・ではない。
 好みの胸と聞かれで山中いのを連想した狭間が振り払うために叫んだ掛け声。意味はまんま邪念を破る。
 意識してるじゃんと指さしてはいけない。

 自来也と狭間の関係。
 慕ってきた人物の忘れ形見ですね。
 自来也や綱手からしたら木ノ葉はそんな存在ばかりでしょう。
 
 自来也と谷間。
 師弟関係のようなものです。
 ミナトが覗きに付き合わない(クシナに殺される)から谷間が付き合ってました。一時期の木ノ葉では三代目火影自来也谷間が覗き犯として目撃されてうちは一族と追いかけっ子してたそうです。

 オマケ。
 書くか悩む本編中に書けない会話だけの文章です。ネタは思い尽くし書くと面白いが、本編中だと余計というか、テンポ悪くするというか、邪魔に感じるんですよね。
 カカシ達の飲み会とか書きたくはなるのですが。

 谷間の自室。  
 壁には自来也の引き伸ばし写真、綱手の引き伸ばし写真、大蛇丸の選挙ポスター(自作)が貼られており、棚にはミナト達戦友との記念写真が写真立てに入れられ飾られて、天井には嫁の裸婦画が手描きされてます。
 片付けるには偲びないそんな部屋です。

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