百式観音を背負いて。 作:ルール
サスケの遅刻に対して三代目火影の護衛役である並足ライドウ特別上忍が、
「時を軽んじる者はどんなに優秀でも中忍の資格はない」
と語っています。
この時点でサスケの中忍昇格できないのは木ノ葉崩しがなくとも確定していたのかもしれません。
ナルトとネジの戦いが終わり、長く続いた日向一族の蟠りの一つが解消へと向かった。
観客席でナルトのことを若様呼びして応援する日向一族の集団に関しては少しばかり気にはなるが、どうせ未来で結婚するならば誤差の範囲だろう(目逸らし)。
どうやらナルトは原作よりかなり早く木ノ葉の人々から認められつつあるようだ。
試合中のナルトが叫んだオレが日向を変えてやる宣言(原作のようにネジと激突する際に叫んでいた)でヒナタはナニを想像したのか赤面し、サクラといのさんが彼女を囃し立てていた、やめてあげなさい。
ナルトとヒナタの関係。
これも原作とは大分違っているようだ。
そんなラブコメというかナルトの将来が外堀が埋まるどころかコンクリートで舗装されつつある中、
「何してんだ!早く次の試合を始めろ!」
「いつまで待たせるんだ!」
観客席から催促の怒号が飛ぶ。
次のうちはサスケと我愛羅の試合がまだ始まらないからだ。
遅れたら失格、と開始前に審判である不知火ゲンマ特別上忍に言われたがなんとかギリギリまで待ってくれていた。
しかしその気遣いもどうやら限界が迫っているらしい。
カカシ先生で慣れている俺達第七班からしたら後二時間は余裕で待てるが、普通の人なら十分と耐えられないだろう。
どうなるかと会場がざわめく中、原作通りに四代目風影に変装した大蛇丸が何かを言ったのか(この遅刻は大蛇丸も予想外だったのだろうか?)サスケと我愛羅の試合は後回しにされることになった。
しかしカカシ先生。
木ノ葉の暗部が探し回っても行方がわからないとかどこで修行をしてどうやってこちらに向かっているのだろうか?
本当に無駄にスペックの高い人だ。
「オイ!んじゃオレの試合、一試合分近づいたってことかよ!」
審判の発表にシカマルが反応する。
だが、次も原作と変わらぬ流れであるならば一試合どころではないことになる。
「では次の組み合わせ、カンクロウと千手狭間。下へ!」
俺の番。
相手は風影の長男であるカンクロウか。
普通に戦って負ける相手ではないが。
「・・・・・・・・・オレは棄権する!」
だよね。
砂隠れの予定ではサスケと我愛羅の戦いの最中に我愛羅が尾獣化して木ノ葉崩しを開始する手筈だったのだろう。
中忍選抜試験を既に投げているカンクロウは傀儡人形カラスの仕込みカラクリを晒さないため、棄権を申し出た。
「え!?」「!!」
観客席が再度の試合流れに騒然となる。
審判にしても堪ったものではないだろう。
この中忍選抜試験はアピールの舞台。
ゆえに勝ち抜きにはそれほど意味はなく、一試合でも評価されたら中忍には成れる。
だから対戦相手が棄権してしまえば、上位になっても中忍になれる可能性は低い。
こりゃ中忍に昇格は無理だろう。
原作のシノと同じことになりそうだなと俺は思うのであった。
カンクロウの棄権。
となれば次の試合は、シカマルとテマリ。
流石に連続で棄権は不自然だと判断したのかテマリは風を起こし巨大扇子に乗って舞台へと降りた。
「どうやらお前はやる気があるようだな!
オイ!残りの一人降りてこい!」
シカマルの出番。
なのだがカンクロウの棄権でやる気がだだ下がりの様子。
棄権しようとするシカマルだが、シノ達紅班がジト目で彼を見ていた。
同期ルーキー班の中で本選参加者がいない紅班。その面々からのナニカを訴える眼差しに、怠け者を自認するシカマルも怯む。
「あーあー、わかったよやれば良いんだろやれば!あーメンドクセー!」
シノが蟲を袖から這い出させ、赤丸がシカマルの足元でパカリと口を開け、ヒナタが白眼になったところで棄権を諦めたシカマルが参加を表明。
脅迫みたいなやり口だが、まあ仕方ない。
前世のスポーツ大会とは少し違うが、いわゆる勝者の義務というやつの勝ち上がった者は負かした者の思いを背負ってしまうものなのだから。
原作のようにナルトに観客席から突き落とされはしなかったシカマル。
そんな喜劇のような降り方はしてないのにも関わらず観客席からは不満の声が上がっていた。
「こんな試合とっとと終わらせろー!!」
うちは一族の生き残りであるうちはサスケの試合が見たい者達からしたらつまらない前座のような認識らしい。
その認識が変わるのはそうかからないだろうが。
頑張れシカマルよ。
この試合で強気なテマリに勝って(試合では負けた)彼女に敗北感を与えてワカラセをし、強く印象に残ることが将来の関係に繋がる第一歩なのだ。
まさか初めてNARUTOを週刊少年ジャンプで読んだ時にシカマルが未来でああなるなんて想像できなかったものだ。
そして未来で強気な嫁を得ることも。
NARUTOで一番忍者らしい戦いをする男、奈良シカマル。
その戦略眼と知略が、今お披露目される。
「まいった・・・・・・ギブアップ!」
扇子から巻き起こすカマイタチの術で遠距離から封殺し、影真似の術の射程範囲と可動範囲を分析しながらシカマルを追い詰めていた砂隠れのくノ一テマリ。
彼女に油断はなかった。
シカマルの一挙一動から目を離さずに最適な対処をしていた。
しかしシカマルにとっては分析して行動されることも予測のうち。
むしろ考え無しの馬鹿の方がやりにくいと零す彼にとって頭が回るタイプは思考や行動が読み易いのかもしれない。
影真似の術は有名でわかりやすい捕縛忍術。影に注目すれば逃げることは容易い。
そのわかりやすさが見せ札となり相手を誘導しやすくなっている。
ヒソカの伸縮自在の愛のように、能力がバレても問題ない使い道が多様な忍術なのだろう。
影真似の術で捕らえられ、自分がナニをされるのかと冷や汗をかきながらビクつくテマリ(ワカラセだこれ)を前にシカマルはギブアップ宣言。
結局彼は、相手を殴らずに試合を終えた。
「勝者テマリ!!」
しかし真の勝者が誰なのかは明白だろう。
負けたシカマルだが、周囲の評価は高い。
これがチーム戦ならば間違いなく勝ってたと思わせた。
またギブアップ、逃げることは忍にとって必ずしも悪いことではない。
任務にもよるが情報収集任務などで部下を全滅させたのでは里の被害が大きすぎるのだ。
まあこの考えも、任務より仲間の命を優先した結果自害まで追いやられたはたけサクモさん、任務成功し大名を守りきったが仲間の被害甚大で実父から褒められなかった猿飛アスマさんなどの例があるから、一概にこうだと決めることができないのだが。
まあはたけサクモさんに関しては、あの砂隠れ最強の傀儡師チヨバアの息子夫婦を討ち取った英雄にも関わらずあんな目に合わされたのは不自然だから、案外ダンゾウあたりが暗躍した可能性がある。
木ノ葉の白い牙、はたけサクモ。
三代目火影猿飛ヒルゼンの次の世代で木ノ葉の三忍の上の世代。
彼が四代目火影になった可能性は高かったのだから(なにもかもダンゾウが暗躍して悪いように見える木ノ葉隠れの闇)。
さて、次の試合。
ナルトがわざわざ降りてシカマルに文句を言いに行っている状況で「コフーッ!」と両手の握り拳を叩き合わせやる気満々のサクラ(だったナニカ)が居た。
一ヶ月の鬱憤が溜まりに溜まって煮詰まってなんか色々進化した彼女。
今の彼女は、ヒロインはヒロインでもゴリラ系かラオウ系ヒロインだろう。
対戦相手であるチョウジに逃げて、と視線を向けるが親友であるシカマルが頑張ったんだからボクも頑張るよと儚げに笑うぽっちゃり系イケメンがいた。
彼は覚悟しているのだ。
一緒に観戦していた世紀末覇者系ヒロインと未来のぽっちゃり界の新星が舞台に降りていくと、別の場所で観戦していたガイ先生とリーさんがこちらに合流しにきた。
待ち合わせをしてなかったから広い会場では離れて座っていたのだ。
「やー、狭間君。キミの考えた四大行は体術使いとして大いに参考になったよ」
「ガイ先生や上忍の皆さん方なら似たようなことはしていたでしょう」
「なあに謙遜することはない。
ただ漠然としていた動きを分類し体系化することで学びやすくなるんだ。
この四大行はそういった意味でありがたい。
個人的にはチャクラコントロールではない心得の方も評価してるがね」
ウイングさんがゴンとキルアに教えた、念能力ではない四大行の教え。
それは念能力のカモフラージュではあったが心得としても精神を鍛えることができる。
ガイ先生ほどの忍が評価するならば、世界を超えて効果があると証明された。
「しかし、サクラさんか。
彼女は強いよ」
グッと親指を立てながらガイ先生はさわやかに笑う。濃ゆいけど本人的にはさわやかフェイスで笑う。
「見ればわかりますが」
ラブコメを犠牲にした一ヶ月。
彼女は見事に修羅と化した。
サクラの強さからチョウジの無事を祈っていると、ガイ先生からとんでもない発言がされた。
「なにせ彼女はわずか一ヶ月で八門遁甲の休門を開いたからね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやチャクラコントロールが得意だからあり得るけどさ。
それでできちゃうのソレ。
「チョウジ死ぬんじゃね?」
「アタシは棄権しよっかな」
俺といのさんは冷や汗をかきながら呟いた。
補足・説明。
今話は繋ぎ回です。
シカマルとテマリ戦をサラリと流しました。
この時のテマリは今で言うワカラセをされた感じかなと。
ビクつく彼女がかわいらしい。
時代を先取りしたのか、時代を作ったのか、とにかく岸本先生は凄いです。
サクラ強化。
批判来そうな強化ですが、これだけしても後半は火力不足なNARUTO世界。
ある意味一番キャラ強化受けてるサクラです。
四大行と彼女の相性が良いのはありますが。
とりあえず休門は開けましたが、そこから先は未定です。