百式観音を背負いて。   作:ルール

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「ふふふ」

「おや風影殿、何かおかしなことでも?」

「いえ、今の試合ですが。あの歳で全身倍化をできた秋道一族の子も見事でしたが、勝者である少女の方が気になりまして」

「春野サクラ。アカデミーの時は内気で勉強が得意な娘だったのが良くぞあそこまで成長(?)をしたものです」

「あの拳打、まるで名高き綱手姫のようでしたね」

「ほほ、そうですな。綱手もよくああして同じ班のスケベ小僧を殴り倒していたものです」

「日向の天才児、影分身の術を使いこなす少年、知略に秀でた奈良一族の嫡子。木ノ葉は下忍も粒ぞろいですね」

「ええ、将来が楽しみな木ノ葉の子らです」


 そんな生涯最後となる穏やかな会話をする師弟の姿があったとか(片方は変装中)。



原作13巻① 中忍選抜第三の試験本選終了

 

「いやー、遅れてすいません」

 

「名は?」

 

「うちは・・・・・・サスケ」

 

 サスケ来たーーー!!

 ・・・・・・そういえばカカシ先生って今回はなんで遅刻したんだろ?いつもは慰霊碑に通うから遅刻してるのに。

 

「サスケ君っ!!」

 

 あ、サクラさんがサクラオウからサクラに戻った。あまりのメタモルフォーゼ的な劇画の変化に審判の不知火ゲンマ特別上忍が幻術返しをして正気にかえろうとしてる。

 

「サクラか・・・・・・どうやら勝ったみたいだな。よくやった」

 

 倒れ伏す倍化の術が解けて通常サイズに戻ったチョウジをチラ見してからサスケはそうサクラの勝利を祝福した(通常サイズの筈なのに顔が倍化の術を使ってるのかってくらい膨れてるけど)。

 

「う、うん!!」

 

 嬉しそうに笑うサクラ(通常形態)。これがサクラオウのままだったら喜びのあまり「我が生涯に一片の悔い無し!!」とか拳を突き上げながら叫んで昇天しそう。

 

「遅刻だぜサスケ!!」

 

「文句はカカシに言え。大蛇丸を警戒して無駄に遠回りしたら時間配分をミスったんだからな」

 

「ちょ、それは言わないお約束でしょ」

 

「「忍者失格かよ」」

 

 サスケの遅刻を咎めるナルトにサスケは遅刻理由を暴露する。

 確かに我愛羅が修行中に訪ねてきたこともあって警戒するのはわかるけど。日頃の遅刻慣れのせいもありそうだな。第七班の二人も呆れてるよ。

 

「んで、お前は勝ったかナルト?」

 

「もちろん!!ネジはめっちゃ強かったけどな!!」

 

 勝ち誇りつつネジも称える。格好いいなナルト。

 

「そんじゃ、狭間は?」

 

「「・・・・・・・・・相手が棄権して不戦勝」」

 

「・・・・・・・・・狭間らしいな」

 

 どういう意味じゃい。

 いやまあ、この中忍選抜第三の試験本選だけど落としたいヤツが居たら対戦相手全員が棄権すれば良いんだよね。そうすればアピールできなくなるから(それはそれで評価されそうだが、敬遠されるバッターや捨ての大将される剣道家みたいに)。

 

「まあカンクロウじゃ、厳しいってばよ」

 

「下手に戦って瀕死の状態で里に帰るのは嫌よね」

 

「そもそも傀儡人形のギミックとか通じないだろアイツ」

 

 おーい、人をハブってなに好き放題言ってんだお前ら。俺も降りれば良かったかな。

 

「ま、なんだ。こんだけ派手に登場しちゃってなんだけど、もしかしてサスケは遅刻で失格ですか?」

 

 言いづらそうにカカシ先生が問えば、大丈夫ですよとゲンマ特別上忍が答える。

 アナタの遅刻癖がうつった、と言ってるとこからカカシ先生は第七班以外の時にも遅刻してるらしい(社会人失格かな?)。

 

「アハハ。そりゃ良かった!良かった!」

 

 なに笑ってんねん。

 

「オイ!あれがうちはの末裔か!?」「うちはの試合が始まるぞ!!」

 

 盛り上がる会場。

 いや気持ちはわからんでもないが、誰か瀕死のチョウジを気にかけてやって。あ、医療班っぽい人達がそそくさと連れていった。

 

「我愛羅、降りてこい」

 

 次の試合はサクラといのさんではなく、サスケと我愛羅の試合か。

 まあこれだけ会場が沸いてたら仕方ないか。

 いのさんもどこかホッとしてる。

 話も終わり、皆が観客席に上がりだしたところで楽しげに笑い出す我愛羅も降りていった(さっきまではサクラオウを見て嫌そうな顔だったのに)。

 何事もなく(原作では八百長させようとした草隠れの中忍が我愛羅に殺られた)会場で向き合うサスケと我愛羅。

 入れ替わるようにナルト達とカカシ先生が俺達と合流した。

 

「よう、ガイにリー君。

 うちのサクラが世話になったね」

 

「ふふ、こちらとしても逸材を育てる機会を得られて感謝してるぞカカシ」

 

「逸材?確かにサクラに才能はあるがそれはむしろ幻術やチャクラコントロールで」

 

 カカシ先生がガイ先生に頼んでたのはあくまでサクラの身体能力を高める基礎トレーニングまでだったからな。

 

「サクラは八門遁甲を休門まで開いたぞ」

 

 なのにここまでできちゃった。

 

「ナニソレコワイ」

 

 カカシ先生からしてもドン引きレベルの才能ですよね。普通は無理だからそんなん。

 乙女心が爆発したからこそできた可能性はあるよなあ。

 ひとしきりガイ先生にサクラに何をしたんだと問いただしたカカシ先生は周囲を見渡して配備されてる暗部を確認する。

 仮面にフード付き衣装と見るからに怪しい格好だが、まあ警備なら居るとバレていても問題ないか。

 そうじゃなくても担当上忍という木ノ葉の若手主力格がいるしね。

 

「始め!」

 

 クククと笑っていた我愛羅が背負っていた瓢箪から砂を溢れ出させる。

 ズズズと重力を無視して浮かび広がる砂。

 予選で音隠れのドスが殺される姿を見ていたサスケは砂を警戒して距離をとる。

 

「行くぞ」

 

 まずは手裏剣を投げるサスケ。

 砂の盾がどのように展開するのかを確認する意図を込めて遠距離から攻撃する。

 案の定その手裏剣は砂の盾に受け止められ、その盾は蠢いて我愛羅を模した人型になる。

 砂の盾から砂分身、受け止めた手裏剣を握ったまま動きだした砂分身は腹部から砂を吹き出させ、それを飛び上がり回避したサスケへと手裏剣を投擲。

 投げ返された手裏剣を別の手裏剣で撃ち落としたサスケは接近して攻撃を開始する。

 下忍クラスの五行遁では砂の盾を破るのは難しい。だから接近戦で殴打するほうがまだマシだ。

 予選で我愛羅が戦った相手がリーさんではなくドスだったので原作より知られにくかった砂の盾の展開速度。それをあっさりと超えたサスケは、砂の盾より早く攻撃し我愛羅の頬を殴り吹っ飛ばす。

 

「速い!!リーの標準スピードとほぼ同じだ」

 

「ってことはリーさんなら砂の盾より早く攻撃できたんですね」

 

 原作だとそれで皆(特に砂隠れ)の度肝を抜いていたからなあ。

 

「ああ、だろう。

 狭間君には対処されてしまったがな!!」

 

 アハハと笑うが目は笑ってませんよガイ先生。この負けん気の強さが成長の秘訣だよな。

 リーさんも次は負けませんとフンすと鼻を鳴らしているし、サクラも微妙にサクラオウになりながら楽しげに指を鳴らしている。

 やらないからね、サクラオウとは。

 秘孔を突かれて爆裂四散したくないの。

 白が千本で色々ツボをやってたから北斗神拳みたいなことができる可能性があるんだよなあ。

 そんなこんな観客席でやっている間にサスケは重りを外したリーさんレベルの速度で我愛羅を圧倒。

 その攻撃が当たる度に我愛羅はパラパラポロポロと砂の鎧が剥がれ落ちている。

 攻撃によるダメージはないようだがチャクラ消費のせいで息が荒い。

 だけどサスケにはまだ余裕があるようだ。

 これは四大行によるチャクラコントロールのおかげかもしれない。

 

「リーの体術イメージと重なり、さらにあの速度。たった一ヶ月で一体どんな修行をした」

 

 驚くガイ先生がカカシ先生に問いかける。

 

「むしろこっちがサクラに関してで聞きたいくらいなんだけど。

 動きに関しては写輪眼のおかげだな、影舞葉を習得した感じでリー君の動きをイメージさせたんだ」

 

 だからといってできるもんではないでしょうに。いくら修行は模倣から始まるとはいってもさ。

 

「ならサスケは体術ばっかやってたのかってばよ?」

 

 ならサクラちゃんと一緒にガイ先生に習えばよかったじゃんとナルトが言う。

 そしたらサクラオウ化は防げたでしょうね。

 

「もちろん、それだけじゃないよ」

 

 ドスとの戦いで砂の鎧までは判明した。

 だから砂の盾を破る速さを身に着けさせるまでは達成。

 しかしそれではまだ砂の鎧は崩しきれてはいない。

 

「【凝】や【硬】でも覚えさせましたか?」

 

 それならば砂の鎧なら破れるだろう。

 

「いやーいくらサスケでもそれはまだ厳しいし、オレも自分が使いこなせてない技を教えたりはしないよ」

 

 リーさんの速度+【凝】か【硬】なら今の我愛羅なら倒せる筈だ。

 砂による攻撃は当たらず、砂の盾は追いつけず、砂の鎧を剥がされ続ける我愛羅。

 そんな一方的な展開を受けてか砂を球型に動かし自らの周囲を覆い出す。

 そう、砂の盾をいちいち展開するから攻撃に追いつけない。ならば最初から周りを覆ったままならば速さなど関係ないのだ。

 今回の我愛羅の狙いとは違うが、砂の装甲を纏って砂を操ったり砂弾を撃ち出して一方的に相手を攻撃する戦い方もできるだろう。

 あるいは現代兵器の戦車みたいな戦い方も我愛羅なら可能なのでないかと思う(キャタピラを付けよう)。

 我愛羅が守りを固めることを察したサスケは完全に覆われる前に倒そうと走り出す。

 しかし間に合わず、その拳は先程までより密度が高く硬い砂の装甲を殴ってしまい出血(手甲くらいつけようよ、いや印を結ぶ邪魔になるか)してしまい、同時にサスケが攻撃した辺りから砂の槍が何本も突き伸びる。

 まるで騎兵の突撃を防ぐ拒馬のような砂の槍。ただ防ぐだけではなく迎撃までできる仕様だ。

 これこそまさに絶対防御なのだろう。

 

「穴熊か、お前ならどうする狭間?」

 

「あーなると流石に厳しいね。チャクラが込められた砂の装甲だから大概の遠距離技は効かないし、近くに水辺があるなら突き落とすんだけど」

 

 そうなりゃ解除せざるを得まい。あとはこの状態で自来也様の土遁黄泉沼を使われたら詰みだよね。

 あの砂の球体から手を伸ばしてパシャパシャ泳ぐとかはできないだろうし。

 

「鬼かお前は」

 

「流石、二代目火影の一族」

 

「千手ハラスメントはやめい。

 扉間様と血縁関係はないっての」

 

 というか扉間様に妻子はいたのかな?恨まれることを警戒してあえて作らなかった可能性もあるな。跡取り関連で柱間様直系と揉めるネタになるし。

 サスケは再度硬さを確かめるように蹴るが効果なし。ならばと距離を取り、壁の側面に張り付いてチャクラを練りだす。

 

「何をやる気だサスケは?」

 

 ナルトがじっと目を凝らし、その隣でヒナタが白眼を発動。

 

「! まさかアレは・・・・・・」

 

 バチリと音が鳴り出した所でガイ先生はサスケが何をしようとするのか察する。

 

「オレが修行前にチャクラ感応紙で属性を確かめたのはこれが理由だよ。

 あの術には雷遁の適性が必須だからね(あと写輪眼もサスケ以外無理じゃね?)」

 

 包帯に包まれた右手にチャクラが集まり輝きだしバチチバチチと響かせる。

 

「アレって」「カカシ先生が度々使ってた」「雷切、だっけ」

 

 白を貫いてないから不発に終わっていたカカシ先生の必殺技。原作だとあとは角都の心臓をぶち抜いていたな。

 

「そうか、だから体術ばかり鍛えてスピードを飛躍的に高めたのか!」

 

「そ!チャクラを右手に集中するけど突進するには走らなきゃいけないしね」

 

 雷影の雷遁纏いと異なる点はそこだろう。

 その分、貫通力は雷切の方が上だとは予想されるが。

 壁や地面を溢れるチャクラで削り、音を鳴らしながら駆け抜けるサスケ。

 

「何なのあの技!!」

 

「ただの突き。

 しかし木ノ葉一の技師。

 コピー忍者カカシの唯一のオリジナル技」

 

 暗殺用のとっておきであり、その極意は突きのスピードと強大なチャクラを生み出す肉体大活性。

 膨大なチャクラの突き手への一点集中と駆け抜けるスピードが合わさり、チッチッチッチッと千もの鳥の地鳴きにも似た独特の攻撃音を奏でる。

 よってこの技は、

 

「【千鳥!!!】」

 

 そう名付けられた。

 

 砂の装甲、否、殻は破られた。

 それは、その予想外の威力は、知らずのうちに砂隠れの計画の要を打ち破る一手となった。

 

 中忍選抜試験はここまで。

 木ノ葉崩しの幕開けはすぐそばまで迫っていた。

 




 
 補足・説明。

 今話はサスケと我愛羅戦です。
 サクラオウ化してたサクラはサスケの登場で元に戻りました。乙女の本能がそうしないとヤバいと判断したからです。
 基本的に原作とは変わらない展開でしたが、サスケは四大行で操作が磨かれ原作よりは習得速度も練度も上がり、千鳥の使用可能回数も増えてます。

 サクラオウ、サスケンシロウ、ナルトキ。こうなるならもう少し狭間も名前もジャギ様と絡みやすいようにしとけば良かったです。
 なお才能的には北斗四兄弟と似た感じです。
 まあジャギ様の方が狭間より天才ですが。

 我愛羅強化案、砂の戦車。
 あの球体にキャタピラと砲身付けたら最強では?と少し思いました(笑)。いっそ巨大化してヘビーオブジェクトに。
 
 タイトルに第三の試験本選と加えないとですね。
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