百式観音を背負いて。 作:ルール
繋ぎ回です。
木ノ葉崩し。
大蛇丸による策謀が幕を開けた。
うちはサスケにより大名がいる試合会場での守鶴顕現は阻止できたが薬師カブトによる幻術に観客は眠りに落ち、音隠れの忍達はその側に集う。
第三次忍界大戦以来の里間での戦争である。
音隠れの忍達は意識ある者達へと襲いかかり木ノ葉の精鋭達はそれを迎え撃つ。
火影に次ぐ実力者であるはたけカカシとマイト・ガイは観客と教え子らを守るためにその動きを封じられてしまった。
観客席上にて忍と刃と血潮が飛び交う。
はたけカカシは音隠れの忍を討ちながら、幻術返しで意識を落とさなかった春野サクラに指示を下す。
うずまきナルトの幻術を解いて奈良シカマルと共に我愛羅を追いかけたうちはサスケを追跡しろというものだ。
ここで奈良シカマルなのは理由がある。
必要なのは冷静なリーダーだからだ。
追跡の為の感知役ははたけカカシの口寄せ獣であるパックンが行い、戦力であればうずまきナルトと春野サクラで充分。
同じく幻術返しで意識を失わずにすんだ、山中いのと日向ヒナタは感知タイプであり、幻術にかかった犬塚キバはまだ戦力としてもナルトに感知タイプとしてパックンに劣るのだ。
八門遁甲を使えるロック・リーならば戦力としては充分だがそれも春野サクラが居ればこと足りる。
むしろこの場で観客を守るほうが良い。
また日向ヒナタは日向宗家であり、彼女の護衛役達は既に戦闘を開始していた。
戦争の最中に音隠れと砂隠れが白眼を狙わない保障などないのだから。
サクラが幻術返しでナルトを起こしたところ、ナルトを狙った音忍はマイト・ガイが壁を粉砕しながら会場外に叩き出した。
「では任務を言い渡す!
聞き次第、その穴から行け!
サスケの後を追い合流してサスケを止めろ!そして別命あるまで安全な所で待機!」
「そんなに手負いの我愛羅ってのはヤバいんですか?撤退したアイツラは風影の子息。身柄を抑えれば交渉できるんじゃないっすか?」
カカシの命令にシカマルがそう問いかけた。
あの我愛羅は実の親から命狙われていたと本人から聞いたシカマルだが、他の二人はそうでないのではと考えたのだ。
「砂隠れ主導ならそうかもしれないが、音隠れや大蛇丸が絡むとそうはいかない。
そして我愛羅だが、彼は間違いなく人柱力だ」
「「「人柱力?」」」
「おい、カカシ!!」
下忍達は聞き慣れぬ言葉に首を傾げた。
「強大なチャクラを持つ存在をその身に封じられた忍だ。手負いではあるが、いや手負いだからこそ暴走するとマズイ。
彼らとサスケを交戦させるな」
人柱力。
ナルトの前で口にするのは問題ある名称だが、それだけ厄介な存在なのだ。
封じられた尾獣のチャクラを活用した術は圧倒的な威力と出力を誇り、暴走すれば尾獣と化し厄災となる。
はたけカカシは恩師の妻とこの手で殺めた仲間を思い出して表情を歪める。
「じゃあ狭間は・・・・・・」
「本体は里に出て侵略者共の迎撃に出ました」
ナルトの言葉を遮るように狭間の影分身体が現れた。
「・・・・・・そうか」
「外壁を破って巨大蛇が現れました。そちらを百式観音で迎え撃ちます」
「大蛇丸の口寄せ獣か」
「・・・・・・・・・ナルト、サクラ、本体からの伝言です」
「「?」」
「サスケを頼んだ。そして・・・・・・・・・、
我愛羅を救ってくれ、と」
「「!?」」
「敵である砂隠れをどうしてと影分身体である自分は思いますが、とにかく伝えました」
そう告げた影分身体はチャクラを本体に返すために消えた。
影分身の術はやり方次第でチャクラを浪費せずに済むのだ。
「・・・・・・狭間はいったいナニを見た?まさか谷間さんみたいに他里の人柱力と共鳴でもしたのか?まあいい、とにかくサスケを止めるんだ」
狭間の伝言に混乱しかけたカカシだが、改めて命令を言い渡した。
他里の人柱力と共鳴、わけがわからないことだが狭間の父である谷間は雲隠れの八尾とそれをしたことがありなぜかブラザーになっていた。
人柱力を救う。
救えなかったカカシには重い言葉である。
「狭間にサスケを頼まれたな」
「我愛羅についてはとりあえず後回しね」
「ったく・・・・・・仕方ねえ」
そう呟きながら三人は飛び出した。
「カカシ先生、オレも追います」
「シノか。確かに君なら傀儡師とは相性が良いな。だが我愛羅は刺激しないように気をつけろ」
「・・・・・・ハイ」
さらに油女シノもまた三人を追う。
戦力としては充分でも三人とも試合でチャクラを消費している。万全な者が一人居たほうが良いと判断したのだ。
「奴らだけで大丈夫か?」
「パックンをつけてる。まずは大丈夫だ。あとアスマに口寄せ獣を走らせた。向こうも手が空いたら追ってくれるだろう」
「そうか」
猿飛アスマは夕日紅と共に別行動。
状況を知れば追ってくれるだろう。
「行くぞガイ」「抜かるなよカカシ」
まずは多くの里人集まるこの場所から襲撃者達を追い払わなければならない。
カカシとガイは敵へと向かった。
四紫炎陣にて閉じられた戦場。
そこで猿飛ヒルゼンと大蛇丸は相対する。
火影装束の中には忍び装束を纏っていたヒルゼン。ならないで欲しいと願いつつも万が一に備え身につけていたのだ。
向き合う両者、ぶつかり合う闘気だけで空気は震え屋根にヒビが入る。
先に動いたのはヒルゼン。
手裏剣を投擲すると、彼が創り出した忍術を発動する。
「手裏剣影分身の術!」
一つの手裏剣が千の刃となり襲いかかる絶技。多重影分身よりもチャクラを消費せず効率性の高い恐るべき忍術である。
「口寄せ・穢土転生!!」
避けれぬほどの手裏剣に囲まれた大蛇丸が打つ一手は死者を使役する禁術。
喚び出された棺が盾となり手裏剣を受け止める。
ひとつ、ふたつ、みっつ、と喚び出すが、手裏剣影分身の猛攻がみっつ目の顕現を防いだ。
それは手裏剣影分身によって防げたのか、喚び出そうとした者(恐らくは四代目火影)が喚び出せなかったからなのかは定かではない。
「(よりによってあの二人を呼ぶとはのォ)」
大蛇丸の性格、棺に刻まれた字で三代目火影は誰が喚び出されたのかを察した。
「くっ・・・・・・手に負えん!!」
建造物より巨大な蛇。
警備を任され警戒していた森乃イビキが指揮するもその侵攻を止めることはできない。
従えることが困難な巨大蛇もただ暴れさせるだけなら喚び出すだけで良いのだ。
巨大蛇が暴れ忍達が襲いかかる。
両方止めねばならない木ノ葉の忍達は完全に後手に回っていた。
この巨大口寄せ獣を止められる忍など大国木ノ葉隠れであってもごく一部なのだ。
「忍法・口寄せ!!屋台崩しの術!!」
「百式観音 四十ノ掌!!」
そのごく一部が今降り立つ。
二刀背負う巨大蝦蟇が巨大蛇を建造物ごと押し潰す。金色に輝く百手の観音像が巨大蛇の身体を四十の貫手で穿ち抉る。
「やりおるのォ、狭間!!」
「お見事です、自来也様!!」
三忍が一人、異仙忍者自来也。
千手一族が末裔、千手狭間。
「自来也様、直ちに試合会場にお向かいください」
「なに?」
自来也の横に立った狭間はそう懇願する。
「三代目様が結界に囚われ大蛇丸と交戦。どうかご助力を!!」
「・・・・・・そうか」
膝をつき願う狭間。
自来也はこの巨大蛇が自身を足止めする一手と察していた。
今の木ノ葉隠れにこれに対処できる者は限られる。離れてしまえば巨大蛇は里を蹂躙するだろう。
「こちらは自分にお任せを!!」
だが百式観音を使う狭間ならば、自身の代役を務めることは可能だろうと判断した。
「・・・・・・わかった、そちらに向かおう。
だが狭間よ、仕損じるなよ」
「は!!」
自来也は下忍である狭間にこの場所を任せる葛藤はあった。
しかし、狭間がこちらに来るほどに三代目が窮地となれば行かざるを得ない。
一人の忍としては三代目火影ヒルゼンの戦いに、その因縁の決着に割り込むことに抵抗がある。これは三代目がつけねばならぬケジメなのだと思う。
だが、
「まだ死んで欲しくないんだ、ジジイ」
それが忍としての生き様を邪魔することになろうと自来也は行くと決めた。
間に合わない可能性もある。
あの術を使うのではないかと危惧もある。
だが最後の瞬間まで生きていて欲しいのだ。
自来也は跳ぶ。
三代目火影ヒルゼン、その戦いの舞台に。
「(これで変われば良いのだけど)」
現状自分が出来る手はこれだけだと転生者千手狭間は顔を歪める。
本当ならば襲撃前に三代目の側に居るなり対処をしたかった。
だが気付いてしまったのだ。
音忍以外に自分の動向を監視する者達の存在に。
おそらくはダンゾウの配下である根の忍。
目的や意図はわからないが、下手に動いてより状況を悪化させる事態は避けたかった。
だから木ノ葉崩し開始まで動けなかったのだ。
ダンゾウや大蛇丸に謀略や知略の類で勝てるとは思えない。
だから下手に不自然な先手を打つ行動はとれないのだ。
「(自来也様ならば封印術を使える筈)」
三代目が屍鬼封尽を使わなければまだ助かる可能性はある。
狭間はその希望に縋るしかなかった。
「千手一族が末裔!!千手狭間!!
百式観音背負いていざ参る!!」
不安に押し潰されぬよう気勢を上げ、狭間は侵略者達に立ち向かう。
観音像を背負う千手の者が、初代火影を知る者達からどう見えるのか自覚しないまま。
補足・説明。
今話は繋ぎ回です。
書いてて一番しんどいけど、書かないと話が進まないのです。