百式観音を背負いて。   作:ルール

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 三代目火影サイドです。



原作14巻②

 

 三代目火影猿飛ヒルゼンと三忍自来也。

 三忍大蛇丸と穢土転生体である初代火影と二代目火影。

 二代目火影扉間が穢土転生などという卑劣な術を開発しなければ起きなかった埒外の決戦。

 しかし考えてみれば、塵遁という防ぐ術のない忍界最強の術を姿を隠した状態で放つ二代目土影無、無限爆破忍術を口寄せ獣の蜃気楼で姿を晦ました状態で操る二代目水影幻月など、生身で相対するには危険過ぎる強者がいる世代なのだから穢土転生を開発するのもやむを得ないのかもしれない(風影と雷影は不明)。

 

「良いのかしら自来也?

 大蛇の対処なんてアンタぐらいしかできないでしょうに」

 

「なんじゃと!?」

 

「やはりアレはワシを抑えるためか。

 安心せいジジイ、そっちは狭間のヤツが請け負ってくれとる」

 

 大蛇丸が用意した口寄せの術式。

 砂隠れへの戦力の提供であったが、真の目的は三忍自来也の足止めにあった。

 自来也が自身を追っていることを把握していた大蛇丸はこの戦いに介入しないように対処していたのだ。

 しかしその目論見は狭間の存在によって崩れた。如何にあの谷間の子とはいえ十二歳でそれほどの実力があるなんて大蛇丸をして想定外であったのだ。

 

「なあ、大蛇丸よ」

 

 戦いが始まる前に自来也はかつての友に語りかける。

 

「谷間が言うようにお前を火影にしとったらこうはならんかったか?」

 

「「!?」」

 

「儂はミナトではなくお前を推すべきだったのか?」

  

 それは自来也の人生における後悔の一つ。

 友が尊敬する師の跡を継ぎたいと言った時に、自らの弟子を推してしまったこと。

 当時の自来也は大蛇丸を危険視などしていなかった。人情より合理性を優先するタイプであったが、縄樹の遺品を綱手に渡す、綱手の小隊改革に賛同するなど情を見せるところもあった。

 自来也が大蛇丸ではなくミナトを選んだのは、ミナトが自らの弟子であったからなのだ。

 

「・・・・・・師に信頼されない。そんな苦しみをミナトに味わわせる気だったの?自来也、アンタは師として正しいことをしたわよ」

 

 当てつけるような大蛇丸の言葉。それを聞いた三代目は押し黙る。 

 当時の大蛇丸を三代目が信じてなかったわけではない。戦乱の世を生き抜いた教え子に跡を託すことに異論はなかった。

 だが火影という里の頂点であっても全てを思うがままに采配などできはしない。

 かつて扉間小隊だった各部門の長達、旧家の当主、上忍衆。

 それらの反対意見を抑えることができなかったのだ。

 また大蛇丸が【三忍】であったことが悪く働いてしまった。

 同格にして別の分野に秀でた同期ら。

 大蛇丸が火影へと名乗りでれば、他の二人を推す声が上がってしまった。

 才能ならば大蛇丸が、人望なら自来也が、血筋ならば綱手が。

 拮抗する実力の中でそれぞれ特出する個性があり、またそれぞれ欠点もあった。

 それらを総合的に見て、やはり同格なのだ。 

 あるいはこれこそが山椒魚の半蔵の策だったのかもしれない。

 実力ある三者を一括りに【三忍】と称すことで不和がおこることを狙ったのだろう。

 いくら大蛇丸以外が火影となることを望まなくとも、【三忍】と高まった声望が大蛇丸の足枷になってしまったのだ。

 だから猿飛ヒルゼンは波風ミナトを推した。

 まだ若く経験では劣るものの、ネーミングセンスくらいしか欠点のない波風ミナトを。

 里内に不和を齎さぬため、大蛇丸には自分にダンゾウが担ってくれた役割を継いでくれると期待して。

 だが、

 そうはならなかった。

 ならなかったのである。

 

「大蛇丸」

 

「もうなにもかも・・・・・・遅い。

 もはや私は火影など望んでいない」

 

 自来也の決断は誤りではなかった。

 弟子を推したことは間違いではなかった。  

 それを確認できたならば、もう戦うしかない。

 あるいは相談役二人のように千手谷間を火影に推すべきだったかもしれない。

 

「・・・・・・そうか、ならば」

 

「征くぞ!!」 

 

 自来也は無手で、三代目火影は金剛如意を持ち、大蛇丸は草薙の剣を構え駆け出す。

 

「忍法 蝦蟇油弾」

 

 自来也が印を結び口から吹き出したのは蝦蟇の油。二代目火影扉間は水遁の達人。ならはただの火遁では打ち負けて当然、だが油ならば水遁で掻き消すことができない。損傷するような攻撃ではないため反応が遅れ油を浴びてしまう初代と二代目。

 

「火遁 炎弾」

 

 そこにすかさず三代目が火遁を放ち引火させる。人に使えば焼け死ぬまで燃やし続ける極めて悪辣な組み合わせであるが、再生し続ける穢土転生体の足止めには有効な一手である。

 

「チィッ」

 

 破損すれば治る不死の兵。

 しかし、回避行動は損傷するレベルが基準で、行動と再生ならば再生を優先し、治り切るまでは動かない。

 これが穢土転生体に意思があれば油を回避し、損傷などものともせずに戦うだろうが、その意思は脳内の札が封じてしまっている。

 

「大蛇丸!!」

 

 自来也が蛙組手の型で掌底を打つ。

 仙人モードにならずともその流派は武術としても優秀。自来也の怪力もあわさった一撃を大蛇丸はなんとか草薙の剣で受け止める。続いて焼け続ける火影らの間を通り抜けた三代目が金剛如意を伸ばし振るうが、

 

「甘いんですよ」

 

 大蛇丸が印を組むと両火影らが爆発した。

 

「ガハッ!?」

 

「ジジイ!?」

  

 その爆破の衝撃で三代目は後方に吹き飛ばされた。

 穢土転生体にあらかじめ起爆札を仕込んで爆発させる。

 二代目火影扉間が考案実行した卑劣な戦術を大蛇丸は躊躇わず使用した。

 暁のデイダラの爆遁などコレに比べたら大したことはないと嘲笑いながら。

 爆破され再生する穢土転生体。

 その際に身体に纏わりついていた油も吹きとんでしまった。

 この穢土転生の使用法だが、二代目水影の無限爆破忍術蒸危暴威の影響を受けたものなのか、二代目水影が穢土転生の使い方を真似したのか、どちらが先か気になるところである。

 

「これでは封印すらそう簡単にはいかんぞ」

 

 穢土転生は一度使えば術者以外は解けぬ術。

 大蛇丸を殺したところで再生する殺戮人形となった火影達が残されてしまう。  

 大蛇丸が術を解除するわけがない以上は封印するしか対処法はない。

 だが、どれだけ仕込まれた起爆札があるかわからぬ以上、封印とて容易ではない。

 封印術で瞬時に発動するものはそう無い。

 雲隠れが保有する六道仙人の宝具か、伝説の十拳剣でもなければ封印しきるまでの時間で爆破されてしまうだろう。

 

「対策をしないほど温くないのよ」

 

 禁術であり今まで扉間しか使用者のいなかった穢土転生。

 意思を残してしまえば、サソリとの戦いで使用した三代目風影のように術が解けてしまう恐れがあるため意思を封じる。

 封印術対策のために起爆札を仕込む。

 欠点を知るたびに対策が必要。

 だがその模索こそが大蛇丸の楽しみでもある。

 

「くっ」

 

 大きく跳躍し倒れる三代目へと近寄り抱き起こす自来也。

 その身体の軽さに、己の師はこんなにも小さくなってしまったのかと衝撃を受ける。

 

「・・・・・・若い時のようにはいかんのう」

 

 愛弟子の前だから零す本音。

 かつて小枝のように振り回した如意棒は重く、あの程度の術の発動で息切れる。    

 自らの老いを三代目火影は実感していた。

 

「老いましたね、アナタのそんな苦しそうな姿は見たことがない。クククククク」

 

「テメェ少しは年寄りを労ったらどうだ」

 

「何がおかしい」

 

 そんな師の姿を見て大蛇丸は笑う。

 自身の在り方が正しいと確信できたのだから。

 見せつけるようにブチリブチリと顔の皮を剥ぐ、その顔は【三忍の大蛇丸】ではない。

 

「貴様、何者だ?」

 

「いやジジイ、姿形変われど口から蛇やら刀だすヤツは大蛇丸以外おらんだろ」

 

 その容姿から大蛇丸以外の何者かと疑うが、そうではない。

 また違うのは容姿だけではなく身体そのものである。

 

「失礼ね自来也。他にもいるかもしれないじゃない」

 

「色々あちこち見て回ったがお前以外いなかったわ」

 

 声も変わったが発言内容からして大蛇丸であることは疑いの余地はない。

 ならばなんなのか。

 

「まさか、あの禁術を完成させていたのか」

 

「里を出て十数年。苦労しましたよ」

 

 全ての術を手に入れるには人の生涯では足らぬと悟った。

 ならば望むのは永遠。

 この世に生まれた誰もが焦がれし不老不死。

 最悪なことに手本は木ノ葉にあった。

 形は違えど人の寿命を超越する術を持つ忍は何人もいた。

 それだけ情報が散りばめられていれば、転生に到ることは大蛇丸ほどの才覚があれば不可能ではなかったのである。

 

「この術は自らの精神をこの地に永劫とどめる法。新しい肉体に自らの精神を入れ込み乗っ取る転生術」

 

 昔の姿を装っていたのは三代目火影に再会を懐かしんでもらおうと思ったから。

 

「・・・・・・なんでそうなっちまったんだお前は。結びなき物語になんの意味があるってんだ」

 

 かつての友の在り方に、自来也は打ちひしがれる。忍とは死に様で語るもの、という信念をもつ彼には到底理解できない在り方。

 

「アンタにはわからないわよ自来也」

 

 傾奇者。

 華の如く華々しく咲いて散る。

 そんな生き方を望むものにはわからないのかもしれない。 

 

「うちはサスケに呪印をつけたのはそれが理由か」

 

 三代目はそこで大蛇丸が中忍試験に混じっていた理由を悟った。

 他里の若い芽を部下に引き入れるためではなく、新たな器として見定めに来たのだと。

 

「ええ、ただサスケくんはもう少し私好みに育ててから乗っ取るつもりですが」

 

「くっ」

 

「乗っ取るために弟子を育てる師なぞ最悪だのォ」

 

「弟子を殺す師なぞ珍しくもない」

 

 そこで初代火影の再生が終わり印を結ぶ。樹海の木々が四紫炎陣内で意思を持つかのように暴れ動く。

 下手な火遁では蹂躙されるだろう木々の猛威。三代目と如意棒を持った自来也は飛び跳ね逃げて回避する。

 火に弱いとされる樹木。

 だが水分を多く含んだ木を一瞬で焼き払うには尋常ではない火力がいる。

 ましてや襲いかかる木々、煙が発生する危険性を考えればそう簡単に燃やすわけにはいかない。

 

「これで全盛期の十分の一もでてないってんだから初代は怪物だの」

 

「自来也、躱せっ!!」

 

 三代目の声で飛び退けば、高水圧の刃が元居た場所を斬り裂いた。

 水遁 水断波。

 水遁は殺傷力に劣る。

 そんなイメージを崩す、二代目火影の恐るべき忍術である。

 

「あれで飛雷神を使ってないんだからとんでもないの」

   

「扉間様の恐るべきはその思考よ。

 それが封じられては百分の一も実力はでてはいまい」

 

「水遁使いとしてだけでも五影級の実力者なのにかいっ!」

 

 自来也は両火影とかろうじて面識はあるが、その戦いぶりは知らない。

 両者の全盛期を知る三代目からすればこの程度しか再現できていないレベルなのだ。

 このままではジリ貧。

 そう判断した三代目と自来也は、一旦如意棒の防壁に逃げ込むのであった。

 

 





 補足・説明。
 
 今話は大蛇丸戦です。
 今日で連休終わりかと思うとテンション上がらず筆も進みませんでした。

 激しい忍術合戦をやらせようかと悩みながら書きましたが、こんな感じに。
 やはりアニメは凄いや(あのアレンジオリジナルバトルは凄すぎです)。

 穢土転生の欠点。
 オリジナル設定ですが、人形化してしまうと行動に優先順位があると思いました。
 回避は損傷する攻撃優先、行動と再生なら再生を優先など。
 意思があれば無視できそうですが、ないのでこうなりました。
  
 大蛇丸火影落選理由。
 原作では歪んだ思想ゆえと三代目は言ってましたが、アニメだと不死に焦がれたのは段階を踏んでたので、火影選挙時はまだ人体実験をしてない設定です。
 当作品では【三忍】だったから。
 がかなり大きな理由です(あとダンゾウの妨害とダンゾウの部下だったからイメージが悪かった)。
【三忍】である以上は本人の意思を無視して自来也派と綱手派が勝手に対抗して票数を減らしてしまいました。
 かといって自来也は大蛇丸を推せず、綱手は不在でした。
 谷間の選挙応援で支持は増えましたが、その際に起きたブチギレ大蛇丸とのトムジェリで、そのトラブルをおさめたミナトの実力をアピールする結果になりました。
 半蔵がこれを狙ったなら恐ろしいですね、でも彼はダンゾウと同盟してましたし。


 大蛇丸とサソリの戦い。
 アニメオリジナルです。
 穢土転生された三代目風影と人傀儡三代目風影対決です。穢土転生された三代目風影がブチギレて術が解けました。
 しかし、お前ら人の心無いのか戦闘でした。

 結びなき物語になんの意味がある。
 自来也らしい永遠の否定かなと思います。
 死に様に拘る傾奇者らしい思考です。
 ・・・・・・・・・が作者のマインドにダイレクトアタック。精神自傷で死にそうになりました。
 
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