百式観音を背負いて。   作:ルール

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 ナルトサイドです。
 


原作15巻①

 

 音隠れと砂隠れによる同盟軍の襲撃を木ノ葉隠れが受けている中、戦場から離れる砂隠れの下忍達を追う木ノ葉隠れの下忍達。

 中忍試験の審判を務める特別上忍不知火ゲンマの指示によりとりあえず我愛羅達を追っていたうちはサスケ。

 それは他里の上忍溢れる戦場から才能ある下忍を引き離す方便だったのか、審判を担当したことで我愛羅の危険性を感じたからなのかは定かではない。

 だが長らく続いた追跡によりついにうちはサスケは我愛羅の前に辿り着いた。

 

「テマリ、あっち行ってろ」

 

 今まで肩を貸して運んでくれた実の姉。

 それを我愛羅は邪魔だと強引に殴り飛ばした。

 下忍離れした風遁の使い手であるテマリ。

 しかし彼女は中忍試験でのシカマルとの戦いで消耗しており、うちはサスケとまともに戦うことすらできない状態なのだ。

 我愛羅が強引に離れさせたのはその点を考えてなのか、これからの戦いに巻き込まれさせないためか、単に邪魔だからなのか?

 それは我愛羅にしかわからないだろう。

 

「さあ・・・・・・感じさせてくれ!!」

 

 我愛羅が背負っていた瓢箪が崩れ砂がその身体に纏わりついていく。

 その姿は鎧のようにではなく身体そのものが変質して異形と化しているようにも見えた。

 熟練した人柱力が所属する里の者しか知らないであろう形態。

 引き出した尾獣のチャクラを身に纏いて戦う形態より上の、人間のサイズでありながら身体を尾獣と化す形態である。

 それは大蛇丸が従える呪印覚醒者の状態2と同等かそれ以上の身体能力向上の効果がある。

 

「ウォオオオ!!」

 

 顔の右半分と右腕全体。

 まだ変質してない身体より大きい砂の右腕を振り被りながら我愛羅はサスケへと襲いかかる。

 今までの我愛羅とは異なる戦闘スタイル。

 チャクラで砂を操り相手を圧殺する遠距離タイプではなく、異形の身体を振り回しながら戦う近距離タイプだ。

 叩きつけられた異形の右腕は極太の鞭のようにしなり怪物じみたパワーとあわさり強大な破壊力を生む。

 その一振りで何本もの木々を抉り倒壊させてしまうほどである。

 

「(化け物か・・・・・・アイツ)」

 

 大振りであるがゆえに回避はできた。

 しかしあんな一撃を生身で受けてしまえば一発で身体はバラバラになってしまうだろう。

 

「このオレが怖いか?うちはサスケ!!

 このオレの存在が・・・・・・!!」

 

 攻撃を回避し木を背に身を隠すサスケに我愛羅は叫ぶ。

 そんな状況でサスケの脳裏にカカシとの修行中に我愛羅が接触してきたことが浮かび上がる。

 

「忘れるな、お前はオレの獲物だ」

 

 我愛羅はそう言っていた。

 砂隠れの人柱力砂瀑の我愛羅はうちはサスケに執着していた。

 その理由はサスケの目。

 うちはサスケが本当の孤独を知り、それがこの世の最大の苦しみであることを知っている、そんな眼差しをしていると語った。

 自身と同じで、力を求め憎しみと殺意に満ち満ちていて、己と異なるという地獄に追い込んだ者を殺したくてウズウズしているのだと。

 うちはサスケは復讐者である。

 我愛羅は知らぬことだが、他にも同じかそれ以上に不幸な境遇の者(香燐など)は中忍試験にもいた。

 ナルトや狭間も孤独を知っている者だ。

 だが彼らは復讐者ではない。

 だから我愛羅はサスケに目をつけた。

 戦い勝てば己の存在価値を実感できるだろう獲物だと目をつけたのだ。

 うちはサスケは、強くなった。

 うちはサスケは、友との触れ合いを知った。

 うちはサスケは、友との関わりに救いを見た。

 だが、

 それは復讐心を無くすことにはならなかった。表に出すことは減ったがその激情はいつだって心の内側で燻り続けていた。

 全てを失ったあの日の光景はずっと瞳の裏側に焼き付いたままなのだから。

 

「どうした・・・・・・このオレが怖いのか?

 憎しみも殺意もその恐怖に竦んだのか?

 お前はその程度の存在だったのか?」

 

 まるでかまって欲しいかのように我愛羅は挑発を続ける。

 

「答えが欲しければ・・・・・・こい!!」

 

 大好きだった兄の凶行。

 生かされたのは自分だけ。

 一族を皆殺しにされた中、なんで自分だけは生かされたのか。

 真実を知らぬうちはサスケは、うちはイタチが自分を殺させるための復讐者という存在として自分を選んだのだと解釈した。

 印を結びチャクラを左手に集める。

 雷纏うその手は人型尾獣と化している人柱力すら斬り裂く必殺忍術の千鳥。

 その独特の音から位置を察した我愛羅と写輪眼と千鳥を発動したサスケは互いに跳び合い激突し、

 うちはサスケは我愛羅の異形の右腕を真っ二つに斬り裂いた。

 

「ギャアアア!!」

 

 割かれた腕の痛みに悲鳴を上げる我愛羅。今の状態は砂の鎧のように身に纏っているのではない。

 砂を媒介として肉体を変質させているので痛覚があるのだ。

 

「アハ・・・・・・アハハハハハ」

 

 その痛みに我愛羅は笑う。

 楽しくて仕方ないのだ。

 殺すことで、生きていると生の実感がわいてくるのだ。

 

「ハハハァ、もっともっとだ!」

 

 裂けた右腕は治り、次は尾が生えた。

 我愛羅の尾獣化は進み段階を踏んで変貌していく。そして部位が増えるごとに機動性と破壊力が増していく。

 尾を使い加速する我愛羅の突撃をサスケが回避できたのは写輪眼とこの一ヶ月で体術を向上させたから。

 写輪眼で動きを先読みし回避を続ける。一撃でも食らったら即死する状況では肉体よりも心が削れていく。

 

「(チッ)」

 

 一人では無謀だった。

 そうサスケは認めざるを得なかった。

 また、我愛羅の胴体に攻撃できない自身の甘さにも苛立っている。

 変貌した右腕すら斬り裂く千鳥。

 ならば砂で覆われていない胴体部位など容易く抉ることができるだろう。

 カウンターをしているから伸ばされた攻撃箇所ばかり攻撃してしまうが、胴体を狙えばもし砂の盾が発動しても暗殺用のとっておきと謳われる千鳥ならば貫くことができる。

 

「(殺るしかねえか)」

 

 未だ殺人の経験がないからこその躊躇い。

 今のサスケが撃てる千鳥は3発。

 試合で一発、今ので二発目。

 ラストの三発目で我愛羅を仕留めなければ自分が殺されてしまう。

 うちはサスケは好んで他者を殺すほどまだ堕ちていない。復讐者ではあるが、未だにこの手を血に染めていない。

 その最初が同じ孤独を知る者になりそうなことに表情を歪めながら千鳥の構えを取ろうとして、

 

「しゃーんなろーーー!!」

 

「ぐはぁっ」

 

 我愛羅は南斗人間砲弾(ナルト影分身体)が直撃し吹っ飛ばされた。

 

「ようやく、追いついたぜサスケっ!!」

 

「大丈夫サスケくんっ!!」

 

「投げられた影分身体は良いのか?」

 

 手頃な弾が無いため投げられたナルト影分身体は我愛羅に激突し見事に爆発した。

 その散り樣は逃げ上手の若君で土岐頼遠に投擲された足軽が如き。

 サスケに駆け寄るナルトとサクラにパックンはそうツッコんだ。

 

「お前ら」

 

 油女シノから事情を聞いていたサスケはさほど驚かずに済み、心強い援軍の到着に安心した。

 

「あれが、人柱力の力ってヤツか」

 

「封じられたナニカが溢れて混ざってるみたい」

 

 カカシの危惧していたことがコレなのだと二人は悟った。今の状態でまだ途中、これが全身となり、さらに巨大化でもしたら狭間でもなければ対処できないだろうと思った。

 

 

 

「まだ尾獣の相手は厳しいわっ!!」

 

 班の仲間のそんな考えを受信したのか当の本人はそう木ノ葉隠れの里で叫んだそうな。

 里の老人たちが歓喜の叫びを上げる中、百式観音で巨大蛇を滅多打ちにしてまた一匹送還させる。

 同時に初代火影を知る里の古株達のボルテージがまた一段階上昇するのであった。

 

 

 

「・・・・・・で、どうするよサスケ」

 

「決まってんだろ、ナルト、サクラ」

 

「うん!!」

 

 狭間とカカシを欠いた第七班。

 飛車角どころか金銀も落ちた盤面。

 だが、

 残った駒でも成れば金。

 

「木ノ葉のために、三人でぶっ倒すぞ!!」

 

「「応!!」」

 

 うちはサスケ、うずまきナルト、春野サクラ、木ノ葉屈指の下忍。

 相対するは、完全体即ち尾獣化が進行する守鶴の人柱力砂瀑の我愛羅。

 

 原作とは異なる戦いの開始である。

 





 補足・説明。
  
 今話は我愛羅戦です。
 サスケは原作の成長ルートが最適かと思いまして、狭間の影響も実力の底上げとなります。
 我愛羅戦で思ったのは胴体狙えば殺せたのでは?ですので理由をつけました。
 現時点ではまだサスケは人を殺した経験はありません。

 サクラのやった南斗人間砲弾はアニオリでしたが、狭間の記憶違いで書いてしまいサクラが真似しました。
 影分身はチャクラを均等に分けてしまうので、練り上げるチャクラを少なめにすれば節約できます(身体エネルギーと精神エネルギーを練ったエネルギーだから使わなければ良いだけ)。

 三人で臨む我愛羅戦。
 果たしてどうなるやら。

 ゴールデンウィーク中には無理でしたが、木ノ葉崩しもあと少しです。
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