百式観音を背負いて。   作:ルール

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 ナルトサイドです。



原作15巻②

 

「「「「オラァアアア!!」」」」

 

 うずまきナルトの影分身体が尾獣化の進む我愛羅へと降り注ぐ。

 砂で構成された異形となった我愛羅の膂力は容易く木々を抉り砕くほど、ゆえにナルトの大量の影分身体を矢面に立たせ戦う。

 

「無駄だぁ!!」

 

 血管のような紋様が走る長大な腕と尾を振り回してナルト達を蹴散らし掻き消す我愛羅。

 中忍レベルならば押し切れるナルト軍団であるが、実力としては五影クラスに次ぐとされる人柱力の前には通じない。

 いくらナルトが膨大なチャクラ量を誇るとはいえ、これでは無駄に消耗してしまう。

 

「あそこだサクラ」

 

「しゃーんなろーー!!」

 

 だが無駄にはならない。

 写輪眼を開眼しているサスケの指示の下、八門遁甲の開門を開いたサクラが全力で槍(ナルト影分身体変化)を投擲する。

 

「ぐうっ!!」

 

 ナルトの姿のままよりも投げやすい槍は、ブンッと空気を裂きながら一条の光となって我愛羅の最も接続が甘くチャクラの薄い部位に着弾する。

 ナルトの多重影分身の術による肉壁と誘導、サスケの写輪眼の見極めによる指示、サクラのハイパワー投擲。

 人外の異形となった我愛羅に半端な攻撃が通じず、一撃くらったら致命傷になりかねないこの状況で三人が選んだフォーメーションである。

 狭間ならば【堅】による防御で直接戦えるかもしれない、マイト・ガイならば八門遁甲を用いて真正面から叩き潰せるかもしれない、はたけカカシならば雷切を決め技に多彩な術で詰めるかもしれない。

 しかし今の三人で誰も死なずに戦うにはこれが最善手なのである。

 些かナルトの負担が大きいが、彼は仲間の為に身体を張ることを厭う性格ではないのだ。

 

「うっとおしいっ!!」

 

 苛立ちの叫びと同時に両腕の表面からズズズッとナニカが盛り上がりだす。

 

「遠距離散弾攻撃が来るぞっ!!ナルト軍団は直ぐ様防御態勢か回避っ!!」

 

「「「「「ラジャ!!」」」」」

 

 サスケの指示に従いナルト軍団が行動を起こす。

 

「砂手裏剣!!」

 

 同時に我愛羅は交差させた腕を振るい、鱗のように固めた砂を手裏剣として飛ばす。

 直撃すればズタズタになるだろう砂の散弾。防御か回避の間に合ったナルトは助かったが食らったナルトはボンッ掻き消える。

 

「鎧どころか、狭間の書いた漫画に載ってたパワードスーツかよ」

 

 ナルトが散らされる戦場でサスケはそう零した。音隠れのドスの戦いで音による衝撃を防ぎ罅割れた鎧。膨大なチャクラで身に纏うソレは砂の盾ほどの防御力はなく、我愛羅本人の動きを阻害するシロモノだった。

 しかし今の状態は、砂の鎧以上の装甲で機動力を向上させ遠距離攻撃も可能というめちゃくちゃなものだ。

 

「影分身体にやらせた、ナルト忍法帖・四方八方手裏剣の巻もロクに通じねえ」

 

「槍投げと合わせて身体の砂を散らしているけど、散らす度に修復しているわ」

 

 今の我愛羅の状態も砂の鎧と原理は同じ。

 そう判断したサスケが我愛羅のチャクラを消費させるためにナルトの影分身体とサクラの投擲で削っている。

 写輪眼で見る限りはチャクラは減っているのだが、我愛羅の内側から消耗するたびに補充されている。

 

「削りきって無力化は現実的じゃねえか」

 

 となれば手段は一つ。

 ナルトの影分身とサクラのハイパワーで隙を作り、ラスト一発の千鳥で決める。

 これ以外に勝つ術はない。 

 狭間は我愛羅を救って欲しいと言ったそうだが、今のこの三人の実力であっても、完全尾獣化する前に仕留めるのが精一杯だ。

 ナルトが戦闘中に語った我愛羅の境遇には三人共思う所がある。

 なぜ我愛羅がサスケに執着したのかもわかった。未だに孤独の地獄に囚われた我愛羅は、他者を殺すことのみが生きる指標なのだ。

 その気持ちをナルトとサスケは理解できてしまう、救われている自分達よりも今の我愛羅の方が強いのかもしれないと。

 でも、

 

「「仲間を殺られてたまるかっ!!」」

 

 それでも許せない一線はある。

 だからナルトとサスケは立ち向かえるのだ。

 

「アナタは可哀想だと思う。

 でも私達には守りたいモノがある」

 

 ある意味で一番恵まれた環境で生まれ育った春野サクラ。

 彼女が真の意味で我愛羅やナルト達の抱えているものを理解することはできないのかもしれない。

 けれど普通の生まれであるからこそ、異常な環境だとわかる。

 他人事だからこそ我愛羅を可哀想だと思う。

 救うには足りない自分達の実力が嫌になるが、それでも進むと彼女は決めたのだ。

 

「征くぞっ!!」「おう!!」「はい!!」

 

 倒す。その覚悟を決めた三人。

 それを前にして我愛羅は、

 

(このオレが・・・・・・こんな・・・こんな奴らに)

 

「負ける筈があるかァァァ。

 ウオオォォォオォォォ!!」

 

(ま・・・・・・まさかついに来たのか!?)

 

 気押された我愛羅の叫び、感情の発露。

 それがこの地に、一尾守鶴を顕現させた。

 完全体、と砂隠れで称された尾獣化。

 木々すら足元に及ばぬ巨体。

 紋様走る小山が如きそれは尾の長い狸に見えた。

 

「「「!?」」」

 

 なんだアレは。  

 あまりにもデカすぎるその姿にサスケとサクラが硬直する中、

 

(ヤバいヤバいヤバい。

 だったらこっちも!!)

 

 先日同じような存在と遭遇したナルトは動くことができた。

 

「口寄せの術!!」

 

「「!?」」

 

 ドロン。

 

「なんじゃ!ガキじゃがな!!」

 

 起死回生の一手は不発に終わり。

 そこには掌にのるサイズの喋る蝦蟇がいた。

 

「フッ、修行の成果はあったってばよ」

 

 ガマブン太以前が微妙に尾が生えた蝦蟇かオタマジャクシか微妙な存在だったことを考えると、ナルトは確かに成長していた(ガマ吉も血筋は確かではある)。

 

「「この非常時にボケとる場合か!!」」

 

「ごびゅ!?」

 

「見事なツッコミじゃがな。天下取れるで」

 

 サスケとサクラによる渾身のダブルツッコミ。

 ナルトは大ダメージを負い、ガマ吉は高評価をくだした。

 

「遊びはここまでだ!!」

 

 そのやり取りを見ていた尾獣化我愛羅は手(前足?)を叩きつけようと振り上げる。

 

「あーーもーーどうすんのよ!!

 ガイ先生か狭間君でもないと押し返せないわよ、あんなのっ!!」

 

「火遁は無駄、千鳥でもあのサイズじゃ蚊が刺したようなもんだ。とにかく離れるぞ!!」

 

 慌てながらもパックン(居ました)とガマ吉を抱えてなるべく遠くへ行こうとする二人。

 

「ええい!!キングナルトの術!!」

 

「「「「「オオオオオ!!」」」」」

 

 口寄せの術が失敗に終わったナルトは今度こそ自分のチャクラ全てを使い切り多重影分身の術からキングナルトの術を発動する。

 中忍選抜第三の試験予選よりも大きな巨大ナルトが守鶴の一撃をなんとか受け止める。

 しかし今回はチャクラを使いきってしまったため、一度は耐えても二度目の攻撃で潰し消された。

 

「・・・・・・チクショウ」

 

「捕まれナルト!!」

 

「こっち!!」

 

 強引にナルトの腕を掴み、共に逃げようとするサスケとサクラ。

 

(まだだ、オレの仲間は)

 

 両腕に触れる生命の熱さを感じたナルトは、

 

「絶対に!!殺させねえっ!!」

 

 身体の奥底の九尾からチャクラを引きずりだし、再度印を結ぶ。

 

「口寄せの術!!」

 

 ズン。

 守鶴に劣らぬ巨体の大蝦蟇。

 妙木山の荒くれ者を束ねる大親分。

 口には煙管を咥え、腰にはドスを差し、羽織り纏いて此処に登場。

 

「なんじゃワリャ。またお前か。

 一体何なら!!」

 

 口寄せの術。

 この忍術はどうやら喚び出される側に喚び出す側の状況は伝わらないようである。

 

(! ありゃ。確か砂の守鶴じゃがな。

 尾獣なんぞ九尾以来じゃ)

 

「なんだこれは?ナルトお前・・・・・・」

 

「大っきい蝦蟇さんね、スッゴイ」

 

「オヤジじゃけん、凄かろ!!」

 

((親子なんだ))

 

「これほどの御方を口寄せするとはワン」

 

 ナルトの側に居たためか一緒にガマブン太の上に乗ってしまったサスケ達は、突然に景色が変わり驚く。

 

「ガマオヤビン!オレ達と一緒に戦ってくれってばよ!!頼むぜオヤビン!!」

 

 ガマブン太の実力を知らないナルト。

 だが眼の前の守鶴に劣らぬ存在だと思い助力を乞う。

 が、

 

「・・・・・・嫌じゃ!!」

 

 ガマブン太まさかの拒否。

 

「何でェだってばよ!!オレをこの前子分にしてやるって言ってたじゃん!!」

 

 ガマブン太の発言に慌てふためきギャーギャー騒ぎだすナルト。

 口寄せの術。

 これは契約を介し喚び出す術であって、契約した存在を強制的に下僕の如く従える術ではない。

 

「子分って、どうなってんだおい」

 

「ねえパックン、カカシ先生はどうなの?」

 

「カカシはご主人だと認めてるワン。

 そもそも自分より強い存在なんて普通は喚び出せん。コミュニケーションとって契約やらお願いとか人それぞれだが、ここまで立場が逆なのはありえんわ」

 

 口寄せできる時点である程度実力はわかる。

 動物としての本能から強者には基本的に従う。

 中には写輪眼による支配、なんらかの忍具を使用して従える例もあるが、それも稀である。

 しかし、チャクラ量が桁外れだからと実力以上の存在を口寄せしてしまえば、意思があるがゆえに従わないのだ。

 口寄せの術。

 結び印こそ少ないが、契約すること、契約してから従えること、で難易度が跳ね上がる忍術である。

 

「確かに子分にしちゃるゆーたけどのォ。まだお前とは盃を交わしとらんけんのォ(わしがなんでワザワザこんな奴と、あほくせーわい)」

 

 ガマブン太は守鶴に臆したわけではない。

 ただ子分でもなく、主として認めたわけでもない者のために戦うことが面倒なだけのようだ。

 

「んなバカな!オレってばまだハタチじゃねーもの!酒飲めねーもの!!」

 

 必死に説得しようとするナルト。

 しかし救いの手は意外なところから現れた。

 

「そんなこと言わんとこいつの言うこと聞いちゃってーな!オヤジ!!」

 

「え!」

 

 そうナルトが口寄せした小蝦蟇である。

 

「何でお前がこんなとこおるんじゃ、ガマ吉」

 

「ヒマじゃけん遊びに出て来たんじゃ。

 そんでコイツラに助けられたけん」

 

(助けるってほどじゃないがな)

 

(ほっとくわけにはいかなかったし)

 

 口寄せ獣もダメージを受けたら元の場所に帰ることができる。

 だが負傷がなかったことになるわけではないのだ。

 

「なんじゃてェ〜〜!

 ガキ、お前を子分として認めちゃろう!

 仁義をきっちり見せちゃるわい!!」

 

 息子を助けられたなら助ける。

 蝦蟇にして侠客たるガマブン太は腰からドスを抜き放ち構える。  

 

「落とし前はきっちりつけさしてもらうでェ。この三下が!」

 

 尾獣と最高位の口寄せ獣。

 一尾と妙木山の巨大蝦蟇。

 怪物対決が今始まる。

 

 

 

((口寄せ契約は蝦蟇以外にしよう))

 

 そしてサスケとサクラは、もし口寄せ契約する機会があるなら蝦蟇は選ばないと心に決めるのであった。

 

 




 補足・説明。

 今話はナルト達と我愛羅の戦いです。
 あまり描写してませんがテマリもきちんといます。彼女は中忍試験でチャクラを消耗してるので混じれませんでした。
 尾獣化しない限りは三人で勝ち目はありましたが、流石に守鶴モードは厳しいのです。

 今話で我愛羅のとこを終わらせるつもりでしたが、キリが良いのでここまでです。
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