百式観音を背負いて。   作:ルール

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 ちなみにイタチさんと鬼鮫さんはきっちり木ノ葉に来ております。



原作16巻④

 

「エヘヘへ」

 

 三代目火影、木ノ葉崩し被害者の合同葬儀を終えてから数日後。

 屋上から望遠鏡を使い女湯を覗く白髪の大男が居た。たった数日であのテロから日常に還れたことは喜ばしいことだが、それは温泉で寛ぐ女性達がであって、覗きに対してではない。

 

「まだそんなくだらないことをしとるのかお前は」

 

「一応取材ですからのォ」

 

 呆れ果てた声に自来也は平然と返す。

 覗きがバレたことで慌てて誤魔化すようなレベルの低い覗き犯と彼は格が違うのである。

 

「ホムラのオッチャンにコハル先生か。  

 ご意見番がこのワシに何の用かのォ?」

 

 三忍自来也ともなれば誰かの接近など見ずともわかる。

 しかし逃げずに応じたのはその目的を察していたからである。

 

「何の用だと・・・・・・?皆まで言わずとも分かっているだろう!」

 

 ご意見番の片割れである水戸門ホムラはそう咎めるように言う。

 

「そんなおっかねー顔しなくても砂隠れとの話し合いも無事に終わったそうじゃねーの」

 

 木ノ葉崩しで、音隠れ首領大蛇丸の誘いにのって里の切り札である人柱力すら用いて大戦力で襲撃してきた五大国の一角砂隠れ。

 襲撃してきた戦力の大半を失うも、三代目火影を失った木ノ葉と違い、四代目風影が健在ならばまだ立て直しは効くと踏んでいた砂隠れだがとある事実により計算、というより淡い希望は崩れ去ることになった。

 中忍試験本選で風影と大蛇丸が入れ替わるのは作戦通り、その間に四代目風影は側近と安全な場所で身を隠し、木ノ葉崩しが優位な状況となった時に最後の詰めの一手として動く手筈であった。

 守鶴の木ノ葉内での完全体化が不発に終わり、大蛇丸が三代目火影を討っても重体となり撤退。

 襲撃した部隊もその大部分が木ノ葉の忍に返り討ちにあったので四代目風影は砂隠れに帰還したかと思えばその姿は見えず行方不明。

 残る砂隠れの上忍達が必死に捜索すると、なんと砂漠の岩陰に四代目風影の遺体が発見されてしまった。

 風影装束のまま朽ちて虫に集られる四代目風影とその側近二人。

 その朽ち具合から中忍試験が始まる前、音隠れが砂隠れに接触し木ノ葉崩しを持ちかけてきた段階に殺められたと推察された。

 なぜ木ノ葉崩しなどという大博打に砂隠れが乗ったのか?

 トップである風影が成りすまされていたのだから当然のことであろう。

 成り代わるなど本来は発覚のリスクが高過ぎる所業である。

 四代目風影・羅砂は三人の子持ち。

 しかし中忍試験に参加させることで遠ざけた上、元から家庭を省みる男ではなかった。

 これが三代目火影ならば里人との距離感から不可能であっただろうが、懐疑的で成果主義である羅砂は里人と距離を置くタイプのリーダー。

 側近二人共々成りすまされてしまえば発覚することがなかったのである(磁遁による砂金採取にしても最悪穢土転生で対処可能であった)。

 四代目風影の謀殺。

 その事実、木ノ葉崩しの発端が首謀者大蛇丸の手によるものだということを砂隠れはすぐさま公のものとした。

 さらには木ノ葉に対し全面的な降伏を宣言。五大国の一角砂隠れは、同盟国から事実上木ノ葉の属国にまで落ちたのである。

 しかし完全に属国化してしまえばその統治まで木ノ葉で担わなければならない。

 砂隠れほどではないが力を失う木ノ葉においてそんな余裕はない。

 形式は今まで通り、だが砂隠れは木ノ葉の下という扱いで話し合いは決着したのである(賠償金など様々な取引は行われたが)。

 

「今さら砂隠れとの関係などさほど重要ではない。今、木ノ葉隠れの力は恐ろしいほどに低下している。

 この状況で最優先せねばならないのはさらなる危機を想定した準備だ」

 

「隣国のいずれかがいつ大胆な行動に出るかも分からぬ。ダンゾウによる裏工作と牽制とて限度がある」

 

 特に野心家である雲隠れ、豊かな土地を求める岩隠れなどは五大国として戦力も十分でありいつ攻めてきてもおかしくはない。

 幸いなのは政変後の霧隠れが援助を申し出てくれていることだが、長い混乱期で尾獣と人柱力を失った霧隠れでは戦力として劣っているのだ。

 そこで木ノ葉は火影と相談役二名と根の首領ダンゾウの体制から、各部隊のトップ数人を召集して緊急執行委員会を作り対処していく方針に決めた。

 三代目火影猿飛ヒルゼンを欠いた状況の従来の体制では求心力が足り無さ過ぎるからだ。

 そしてその緊急執行委員会には信頼のおける強い指導者が必要。

 

「五代目火影は今すぐにでも必要だ!」

 

「そして昨日、火の国大名様と設けた緊急会議で大名様の強い推薦もありそれがお前に決まったのだ、自来也」

 

 楽天家で人情深い性格である火の国大名は以前から三代目の直弟子である自来也を好んでいた。

 その活躍ぶりと豪傑そのものな気性と派手な在り方に活劇の英雄のように見えたからだろう。

 かつて守護忍十二士として召集し、護衛任務で部下に犠牲をだしながらも成し遂げてくれた三代目火影の実子である猿飛アスマより自来也を推薦するあたり、よほど信頼していることが窺える(実力もあるだろうか)。

 しかし、

 

「おあいにく様。

 ワシはそんな柄じゃあないのォ」

 

 当の自来也はこれを拒絶。

 

「これは決定だ。

 三忍と謳われたお前ほどの実力者はもう里にはいない。

 カカシやアスマやガイとて、貴様ら三忍には未だ届かないのだぞ!(ガイは及ばぬことはないが継戦能力に欠点がある)」

 

 上忍筆頭格ら、旧家の当主陣も実力はある。

 しかしカカシ達では三忍に及ばず、当主陣は家の存続を第一とせねばならない上、各部隊のトップばかりなのだ(シカクは上忍頭、いのいちは諜報部の長、チョウザは警邏隊のリーダー、ヒアシは柔拳師範)。

 

「まさか千手狭間と言う気か?」

 

 うたたねコハルが責めるようにそう言った。

 木ノ葉崩しで活躍した千手狭間。

 その実力はカカシら上忍の実力者に比肩するように周りから見えたがあまりにも若すぎる。

 実際、話し合いで候補に上がってすらしまっていたほどだ。

 

「言わねーよ。アイツにはまだ早い。

 三忍ならもう一人いるだろ。

 ツナデの奴が」

 

 トラウマにより里から離れた人物。  

 最高の医療忍者にして最強のくノ一と謳われた存在を自来也は推薦した。

 

「確かにあの子ならその器かもしれん。

 狭間の活躍により千手一族の声望は高まっておるから反対する者とておるまい(ダンゾウ以外)」

 

「だが行方が皆目見当もつかんし、捜索隊を出す余裕すらないぞ」

 

 時折借金取りの動きから痕跡が発見されるが今まで木ノ葉は接触すらできていない。

 それは三代目火影猿飛ヒルゼンが愛弟子の心の傷を慮っていてそっとしておいたからという理由もあるが。

 

「ワシが見つけて連れて来る。そうすりゃ問題はないだろ?」

 

「しかし・・・・・・できるのか?」

 

「ワシは火影をやる気がない。また妙木山の大蝦蟇様の予言で動かなきゃならん。

 里の統治ならキレ者のツナデ姫の方が向いとるよ、三代目にも頼まれたしの」

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 自来也の言葉に相談役二人は互いに目を合わせ悩む。

 

「妙木山との関係を考えれば、その予言は無碍にはできん。お前が火影になれんことは納得せざるを得ないが」

 

 口寄せ獣の聖地の一角妙木山。

 そのまとめ役の意向を無視などできない。

 ましてや自来也にとっては単なる口寄せ獣というだけではなく、あらゆる方面の師ですらあるのだ。優先するのも当然だろう。

 

「・・・・・・あの娘を、再び忍へと戻すことに抵抗がある。あの娘は十分に里に貢献してくれた」

 

 かつてアカデミーでくノ一としての指導をしたことのあるうたたねコハルはそこで迷いがあった。

 弟と恋人を失った辛さは、同じ女であるコハルはよく理解できるからだ。

 

「十年以上もの放浪と博打三昧の日々で欠片も癒えんなら意味はなかろう。

 心の傷を抉る荒療治をせんことにはアヤツは前に進めんよ」

 

 自来也は厳しく言い放つ。

 三代目の気遣いは無為に終わった。

 三忍綱手はただ生きているだけで人生を全うしているとは言い難い現状なのだ。

 それは自身も大差ないと自嘲もあるが。

 

「・・・・・・分かった。

 ツナデに関してお前に依頼しよう。

 だが失敗に終わったその時は分かっておるな。そしてツナデ捜索隊として三人の暗部をお前につける」

 

「心配しなくても逃げやしねーっての。口寄せ契約でもするかのォ。見張り役はいらん。  

 ただ旅の供に二人連れて行きたい奴らがいる」

 

 水戸門ホムラは自来也の提案を条件をつけて承諾した。

 

「千手狭間とうずまきナルトか。

 ・・・・・・うずまきナルトは九尾の力の指導と護衛か?あの安定と成長ぶりから必要だとは思えないが良いだろう」

 

「だが千手狭間は駄目じゃ」

 

 続く自来也の要求に相談役は片方は断った。

 

「なんでだ」

 

「今の木ノ葉にあの者は必要なんじゃ。

 お前が木ノ葉不在時に大蛇丸の大蛇、他里の人柱力が襲撃してきたらどうする?

 それに対抗できるのはあの者だけなんじゃ」

 

 里の守護。

 その観点から千手狭間は外せない存在になってしまったのだ。

 

「里は常に人柱力に抗する戦力がいなければならん。お前が行くならばあの子は残る。

 それが前提じゃ」

 

「ガイのヤツがいるだろう」

 

 理屈は分かるが納得しきれない自来也は対抗馬を上げる。

 

「ガイならば七門を開けば倒せるだろう。

 しかし、その後に動けなくなる。

 ガイの運用には綱手クラスの医療忍者が必要不可欠なのだ」

 

 それが忍界最強の体術使いマイト・ガイの致命的な欠点。

 体術と八門遁甲を極めた最強。

 しかし全力で一戦すればしばらくは戦えなくなるのだ(ライバルであるはたけカカシもそうだが)。

 

「・・・・・・しゃーないの。それでいいわい」

 

 狭間と里外に出れないのは残念だと呟きながら自来也は承諾した。

 

 





 補足・説明。

 今話は自来也と相談役の会話です。  
 それだけで終わってしまいました。
 砂隠れの現状と、自来也達のすり合わせとなります。
 
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