百式観音を背負いて。 作:ルール
ネタ話。
「自来也よ、綱手が仮に火影になった後のことなのだが」
「なんじゃホムラのオッチャン?」
「その給料は全額借金返済(食費は除く)に当てることが決定しているが、本人には伝えるなよ」
「・・・・・・・・・知ったら火影を引き受けんぞアイツ」
「なんならお前が綱手と所帯を持ち、代わりに払ってやればどうじゃ?」
「コハル先生、ワシはそんな形で初恋を叶えたくないのォ。そして作家として稼いでいるし、最近映画化が打診されとるが綱手の借金を肩代わりしたら破産するわ」
こんな話が自来也と相談役二人とあったとか。
ちなみに綱手の借金ですが、凶事の前の大当たりでだいたい返済することになります。
宝くじすら当たりますので。
「破っ!!」
「フンッ!!」
気合を込める掛け声と拳同士の激しい衝突音が演習場に響き渡る。
【練】で強化した鍛えた肉体。
その速度と重りを外した状態で渡り合えるロック・リーさんはやはり強い。
正拳突きで迎撃すればこちらが圧倒できるがそれ以外の総合的な体術では、四肢全てを自在に武器とする戦闘スタイルでは彼は俺よりも強い。
体術使いとしては日向ネジも天性の才に加えて弛まぬ鍛錬を重ねた強者であるが、体術として特殊な柔拳は同じ流派同士でなければ組手の効果は薄い。
だからこそ、戦いの経験を積むならばロック・リーさんが最適なのだ。
また彼は才能がない。
ゆえになぜできないのか、という理由を誰よりも熟知していて見解が深いのだ。
いずれは体術の指導者になることを彼は視野に入れても良いのかもしれない。
拳を交わすたびにそう感じていた。
「むぅ、やはりまだこの速度で動きながら攻撃する部位にチャクラを集めるのは難しいです」
もちろん只で彼と組手をしているわけではない。俺は替わりに彼に四大行を教えている。
八門遁甲というチャクラ制御が密接に絡む術を使える彼と四大行は相性が良く、特に【練】と【凝】が彼には向いていた。
個人的には継戦能力を高めるために【絶】に力を入れて欲しいのだが、どうやら彼は隠形術も適性が低いらしく教えても苦労している。
「難しいみたいだけど十分に使えている。下忍のレベルを超えている体術にチャクラコントロールが加われば中忍飛び越えて上忍になれるんじゃないですか?」
原作でも日向ネジは疾風伝で上忍になっていた。八門遁甲の五門開放を使いこなせればロック・リーさんだって上忍クラスの実力はあるだろう。
「いいや、まだまだ届きません。
なにせネジはボクが君に習ってやってることを自力でできるようになってるんですから」
いや本当にあれはなあ。
柔拳がチャクラコントロールに特化していて白眼がそれを活かせる最適な血継限界とはいえああも使われると驚くし凹むよ。
「・・・・・・そういえば、中忍試験の結果はどうなったんでしょう?あんなことになったからそれどころじゃないのはわかるんですが」
リーさんが昇格についての話から先日の中忍試験を連想した。
「本選参加しても、俺といのさんは戦ってすらいませんからね。昇格するとしたらシカマルくらいかと」
木ノ葉崩しから既に半月は経過した。
里内の遺体を片付け、火影様達の葬儀を終えてなお、未だに日常には戻りきれてはいない。
その主な理由は里の長である【火影】がまだ決まっていないこと。
里に依頼された仕事を振り分ける役割を担う上層部が砂隠れとの話し合いや組織の再編に掛り切りな現状では、俺達下忍は手が空いてしまった。
緊急性の高い依頼は上忍や中忍で回しているが、担当上忍が必要な下忍に割り当てるのは難しいのだ。
いくつか里内の簡単な仕事はやっているが、時間がかなり空いてしまう。
だから俺達に限らず大半の下忍達はその空いた時間で鍛錬に励んでいた。
休みができたことに喜んでダラダラできる者など極僅か。
三代目火影様の死に、何もできなかった自分達が許せなくて涙を零しながら修行するのだ。
この里の忍で三代目様と関わらない者などいない、だからその喪失が己を奮い立たせるのだ。
ちなみにナルトだがその多重影分身の技量を買われて里内の依頼を受けている。
俺達第七班の担当上忍であるカカシ先生は話し合いなどに参加しなければならず同行することはできないが、ナルトはなぜか日向一族が見守っているので大丈夫らしい。
里内をたくさんのナルトが駆け回り、片付けや荷運びをこなしていく。
その献身的な働きぶりと中忍試験での活躍から、彼に嫌悪の眼差しを向ける者はほぼ居なくなっていた。
かつてダンゾウが里への不満を逸らすためにナルトに九尾が封じられてることを暴露した(イタチ真伝情報)、しかしその情報操作もいい加減期限切れらしい。
ナルト以外は実家の手伝いやリーさんのように俺と鍛錬をしている。
特に試験会場にいて、担当上忍達と他里の忍の戦いを目撃した者達の奮起は鬼気迫るものすらあった。
あれが本当の殺し合いなのだと目の当たりにしたからだろう。
「あ、でも狭間君なら昇格するかもしれませんね。里内で大立ち回りしたんでしょう」
「俺が昇格するなら砂隠れの切り札を撃退したナルト達もだろうね」
昇格の、というか試験結果は未だにない。
火影が決まり、新体制が確立した時に通達されるのだろう。シカマルの中忍昇格も綱手様が火影になってから伝えられたようではあるし、
「狭間っ!!」
そんな話をしている時、サスケが必死な形相で訪ねてきた。
「どうしたの?」
「手を貸してくれ!!緊急事態なんだ!!」
彼の様子と原作知識から俺は、暁のメンバーである鬼鮫とうちはイタチが担当上忍達と戦い、カカシ先生を昏睡状態にしたのだと察した。
「わかった、行こう」
リーさんは念の為に他の知り合いの安否確認をしに行ってもらう。
何者かがナルトを狙うならば、知り合いが狙われないとも限らないからだ。
「急ぐぞ!!」
慌てるサスケと供に俺は駆け出した。
「何があった?」
「うちはイタチがナルトを狙っている」
移動中にことの経緯を聞く。
カカシ先生の自宅を訪ねたサスケが寝たきりのカカシ先生と担当上忍達と遭遇。そこに現れた特別上忍の山城アオバさんの失言で抜け忍であるうちはイタチがナルトを狙っていることを知ったそうだ(だから彼は前世でサスケ闇落ちのきっかけとか叩かれていたのだが)。
復讐対象であり実の兄であるイタチの実力を知るサスケはナルトの危機だと必死に駆けずり回っているそうだ。
「うちはイタチ、か。
カカシ先生が一蹴されたとなると自来也様でもないと厳しいぞ」
今の木ノ葉にうちはイタチ以上の忍びなど本当に自来也様しかいないのだ。
真実を知る相談役とダンゾウからすれば脅威でも問題でもないだろうが、下手したら木ノ葉崩し以上の大騒ぎになってしまう事態だ。
「一楽のおっさんの話だと、その自来也と一緒に里から離れた歓楽街のある宿場町に向かったらしい」
となれば綱手様の捜索は始まったのか。
できることなら俺も同行したいが。
「・・・・・・なら当面は大丈夫かもな。
しかし自来也様とナルトもカカシ先生がイタチに返り討ちにされたことは知らないだろう。
警告だけでもしにいくよ」
「・・・・・・ああ」
サスケからしたらうちはイタチに復讐したい気持ちもあるのだろう。
しかしそれ以上にナルトへの心配が先走っているようだ。
「アイツに捕まればナルトは終わりだ。
悪いが狭間、いざという時は頼むぞ」
「当然だ、仲間はやらせないよ」
うちはイタチの真の目的は知っている。
未だに行われていない【暁】による尾獣狩り。特に九尾は最後に外道魔像に封印しなければならないからまだ時期尚早。
それなのに彼が来たのはダンゾウへの牽制。
己は健在であり役目は果たしているから弟へ手を出すなと伝えにきたのだ。
それで自来也様に次ぐ実力者であるカカシ先生(猿飛アスマ、夕日紅含む)を一蹴してしまうのだからとんでもない話だ。
いや、ふらりと里に現れて里の最高戦力達を蹴散らすとかテロ行為以外の何物でもないからガチで止めて欲しいのだが。
開け放たれた門を抜け、俺達二人は宿場町へと全力で向かった。
そういえば門の近くに居た忍達が必死に俺を引き止めようとしていたがどうかしたのだろうか?
木ノ葉崩しで暴れたが、写輪眼を持つサスケならともかく俺を引き止める理由に心当たりがない。
しかしこんな時こそ携帯電話が欲しい。それさえあれば連絡など一発なのに。
自販機とかも普通にあるのだから誰か開発しないものか。
そう思いながら俺はサスケと駆ける。
よく考えたらここでサスケとイタチを会わせない方が良いのかもしれないが、サスケを説得する内容が思いつかない。
ナルトの無事も保証されてないので本当に急がないといけない。
宿場町についたら最高範囲で【円】を使うべきか。確か原作やアニメだとサスケはナルトを見つけるまで何軒も見て回った。
【円】の精度は下がるが、ナルトの気配はわかりやすいし。【円】に気づいた自来也様とイタチと鬼鮫がこちらに接触しようとしてくる可能性も高い。
向かう先に居るのは、うちはイタチと干柿鬼鮫。作中最強の忍達のもとへと俺達は駆ける。
補足・説明。
今話はサスケと狭間がナルトの元へと向かう内容です。
担当上忍ズとイタチ鬼鮫コンビ対決は原作と変わらないためカットしました。
サスケは寝たきりカカシとアオバさんの失言で狭間を誘いナルトを追います。
ナルトですが、自来也に誘われるまで里内の依頼をこなしてからヒナタと一楽でラーメンを食べてました。
周囲には日向一族が見守って(出歯亀?)護衛していました。
ヒナタが特盛ラーメンを5杯目を食べきったあたりで自来也はナルトに声をかけました。
自来也への同行に日向一族も申し出ましたが、彼らはあくまでヒナタの護衛なのでついていけなかったそうです。
千手狭間。
まだ正式に通達されてないので本人は上層部からの扱いを知りません。
だから門付近の忍達の引き止める理由がわかりませんでした。
葬儀の後は同期組と修行ばかりして過ごしてました。