百式観音を背負いて。 作:ルール
独自解釈ありです。
うちはイタチに万華鏡写輪眼月読をくらい、意識不明だったうちはサスケが綱手様の治療で目を覚ました。
意識を取り戻したサスケはサクラが剥いてくれたリンゴをいくつか食べた後、久しぶりに(サスケの感覚としてさっきぶりに)顔を合わせたナルトに戦いを申し込んだ。
起きた時から感じていたサスケの感情。
それを一言で表現するのは難しい。
サスケとナルトの仲は悪くない。
共に鍋をつついて肉の取り合いをするくらいに良好だ。
一尾の守鶴、砂隠れの切り札我愛羅を共に撃退した盟友だ。
それでも戦いを望んだ。
それでも戦いたいと言った。
復讐対象の、実の兄への遠すぎる差を思い知らされたから。
大好きだった兄が、自分には興味がないと言ったくせにナルトを欲したから。
自分では勝てない兄が、かつてのように友すらも奪おうとするから。
守らなければならない仲間が守る必要がないほどに強くなってしまったから。
ナルトは強くなってるのに、自分は強くなれてないのではと疑問を持ってしまったから。
断片的な理由がツギハギのように組み合わさっているのが今のサスケだ。
その歪なステンドグラスはいつ砕け散ってもおかしくはない。
「ハッ」
「何がおかしい?」
辿り着いた屋上。
そこでサスケと相対した時ナルトは笑った。
「おかしいんじゃねーってばよ、うれしいんだ。
お前にここでやっと勝てると思ったらな!」
自来也様と行った螺旋丸の修行。
それは確かに自来也様に指導はされたけど、ナルト自身による試行錯誤の連続で、だからこそ強くなれた実感は今までの比ではない。
実際のところ螺旋丸は当たれば勝てる文字通りの必殺技。果たして俺が全力で【堅】をしたところで防げるかどうか。
また螺旋丸という高難度のチャクラコントロール術を習得したことで、ナルトのチャクラコントロールは大幅に向上した。
今のナルトは中忍試験本選時より間違いなく強い。
「・・・・・・勝てるか。お前はそう思うんだな」
自分はそう思えない。
そう思えなくなってることそのものにサスケはショックを受けているようだ。
「やるぞナルト」
感情を呑み込み戦いを始めようとする。しかしナルトがそれに待ったをかける。
「その前に額当てをしろ、待ってやる」
対等に戦う証だからと額当てを付けるように促す。原作ではおそらくサクラといのさんの戦いに触発された考えなのだろう。
「・・・・・・木ノ葉の忍として戦うわけじゃねえよ」
対等であるという言葉に、追いつかれたという焦りを刺激されたのが原作の過敏な反応だったのだろう。
そう原作でナルトはいつもどおりにしているつもりが、尽くその時のサスケの精神的な地雷を踏み抜いていたのだ。
無理もない。
ナルトはうちはイタチを知らず、サスケの抱える感情を察することができなかったのだから。
追いつけた高揚から尻尾ゆらす子犬のように絡んでしまっただけなのだ。
飼い主とペットならば気にはならない。
だがサスケとナルトはそんな関係ではないのだ。
「・・・・・・言い争いしてたらきりがない。
やるなら俺が開始を告げるよ」
二人の間に立ち、まるで審判のように取り仕切る。
なんとなくではあるが、これが俺の役割のようだと感じて。
「お互い構えて、・・・・・・・・・始めっ!」
突き出した右手を上げる。
同時に二人は叫ぶ。
「ナルトォオオ!!」
「サスケェェッ!!」
お互いに駆け出してぶつかり合う、そこからの体術の応酬。
殴られれば受け止め、蹴られれば回避、突き合い逸し合い、回転し跳ぶ。
まるでダンスのように互いの動きに反応し合う。
埒が明かない。
大きく後ろに下がったナルトは忍術を使う。
「多重影分身の術!!」
屋上をナルトが埋め尽くす。
中忍であるミズキすら圧殺した数の暴力。
しかしうちはサスケには通じない。
苦無一つ持たない無手でありながらチャクラで強化された身体は殴打蹴撃で影分身体を消し飛ばす。
「う!ず!ま!き!ナルト連弾!!!」
複数のナルトが宙に蹴り上げ上空のナルトによるカカト落としで決める連撃。
原作では犬塚キバと我愛羅に使用した技で、この世界ではこれが初となるが、実はサスケも知っている技であった。
俺の家で集まった時に行われる訓練。
影分身体達による連携技として編み出していたのだ。
まあ当然、サスケの獅子連弾のパクリかよとキバ達には笑われはしたが。
初見ではない。
ゆえにサスケは対応できた。
ナルトがリーさんほどの体術スピードがないというのもあるが、最後のカカト落としを印を結んだままのサスケに受け止められたのだ。
「火遁!!豪火球の術!!」
寅の印を結んだサスケが放つ、うちは一族伝統の火遁。
それは屋上に大量に出現したナルトを一掃した。
そして審判的な立ち位置で立っていた俺もガッツリ巻き込まれたが【堅】と【周】を駆使して意地で耐えきった(怒)。
火遁豪火球の炎が大量の影分身体の消滅時爆発で掻き消え、その煙の中には本体のナルトが影分身体と共に螺旋丸を完成させていた。
(な、何だ!?あの術は!?)
四大行を学んだからこそ、初見のその術にどれだけチャクラが込められているかサスケは理解してしまう。
当たれば死ぬ。
その予感が、サスケに自身の最強の術である千鳥を発動させる。
螺旋丸を右手に持ち屋上を蹴りサスケへと跳ぶナルト。左手に千鳥を発動させその推進力で空中からナルトへ突き進むサスケ。
台風と雷鳴。
その二つが今ぶつかり合おうとした瞬間。
「二人ともやめなさい!!」
八門遁甲を二門まで開いたサクラがついに堪え切れなくなり屋上の扉から両拳に【凝】をした状態で突っ込んできた。
お前もかいっ!!
もう二人共殴り飛ばす。
そんな決意をしたサクラが乱入し、3方向から必殺技が激突しようとした瞬間、
「百式観音!!」
ぶつかり合う直前の三者の前に巨大な掌が壁となって立ち塞がる。
さながら孫悟空が世界の果てと勘違いした釈迦の掌のように。
ナルトの螺旋丸。
サスケの千鳥。
サクラの【凝】による両拳。
それらが高密度なチャクラの塊である百式観音の掌にぶち当たり轟音を轟かす。
「はい、終了〜〜〜!!」
これ以上はやり過ぎ。
だから止めた。
あんな高威力の技がぶつかり合ったら階下に影響出かねないしね。
「「「狭間(君)!!」」」
三人がこちらを見る。そして壁とした百式観音の掌に傷跡ができていた。
ナルトの螺旋丸は掌を半ば抉り、
サスケの千鳥は掌に穴を開け、
サクラの両拳は掌を爆散させた。
この三人の攻撃でこれならメルエムが殴ったら百式観音の掌は破壊されていたのだろうか?
いやそもそも攻撃を合わせられる能力なんかではないのだが。
しかしサクラが一番威力あるんじゃないか?(汗)。いやまあ【凝】に加えて二門まで使ってるからなあ。
ジワリと掌に痛みを感じる気がするが、多分気の所為だと思いたい。
百式観音へのダメージがどうなるかなんて原作でも明らかになってないしな。
「・・・・・・気は済んだか?サスケ」
威力的には千鳥が一番下。
当然ではある、雷遁への変換にチャクラが使用されてる分だけ密度が低いからだ。
俺がサスケにそう言ったところで、
「何をやってんの君たち。
ケンカにしちゃやり過ぎでしょ」
ここでカカシ先生が登場。
全く、いつから見ていたのやら。
カカシ先生はナルトが螺旋丸を使えたことに疑問を持ち、サスケが千鳥を使ったことに精神状態を心配し、サクラの現在の実力に冷や汗をかいた。
その3つの攻撃を受け止めた俺にはもうツッコまないと決めてるようだが。
「・・・・・・・・・・・・」
サスケは何も言わず屋上の塀を飛び越えた。
今のサスケは感情を言語化する余裕すらない。
「止められなかったのか狭間?」
だからカカシ先生は俺に言った。
俺ならなんとかできたのではないかと。
「言葉で止まる程度の感情じゃないですよ」
サスケだって理屈では理解している。
ただそんなもので人は止まらないだけだ。
「悪かった、これは同期のお前じゃなく担当上忍のオレの役目だよな」
うんいやそれはそう。
「失礼します」
カカシ先生から謝罪された俺はこの場を後にする。
「狭間、オレは」
「狭間君、その」
ナルトとサクラが駆け寄ってくる。
「今のサスケは心の中がぐちゃぐちゃな状態だ。
これまで順調だったのに、過去が壁となって立ち塞がってきたから。
だから歩いてる道がこれで良かったのかわからなくなってる」
第七班としての日々が、同期達と過ごす時間がサスケにとって苦痛などではなかった。
このまま皆と居れたらと思っていた筈だ。
だけど順調だった今に、これから続くと思っていた先の未来に、そんなものはないと過去が突きつけられた。
「全てはサスケ次第。アイツが折り合いつけるか決断するか、それだけだよ」
今の俺達にできることなんてなにもない。いや俺の願望なんかでサスケの想いを捻じ曲げたくない。
そんな考えから俺は接触することはなかった。
それから数日後の夜。
「ちょっといいか?」
俺一人しか居ないのを確認してからうちはサスケは訪ねてきた。
その瞳は決断をどうするか、その後押しを期待してるように見えた。
補足・説明。
今話はナルトとサスケの戦いからサスケの決断までです。
ナルトとサスケの戦いですが基本的には原作のままですがちょいちょい四大行で強化されています。
最後のサクラ乱入は原作とは違い彼女の戦闘力が増したからですね(汗)
カカシと自来也の会話。
カカシとサスケの会話はカットしました。
カカシとサスケの会話は内容が若干変わってはいそうですが、復讐ではなく仲間を見ろ、という内容は同じかなと思います。
カカシ先生はよく霧隠れを恨まずに済んでるのかと思いますが(政変だらけで恨みようがないからだろうが)。
音の四人衆とサスケの戦いは、強化サスケなので次話で触れるかなと思います。
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