百式観音を背負いて。 作:ルール
万華鏡写輪眼に開眼しちゃったサスケ。
ま、まあ使わなければ大丈夫大丈夫。
大蛇丸様も注意するからきっと。
ダンゾウのあの腕を大蛇丸が提供したとすると、大蛇丸はイタチの真実を知っていたのか?
あるいはイタチが虐殺した後のうちは一族の遺体をダンゾウが回収した、で納得した可能性もあるかも?
兄のように慕う親友に脇差しを突き刺したうちはサスケ。
その行動に足元が崩れるような衝撃とショックが脳に走る。
そして両瞳の写輪眼が燃え盛るように熱くなり、写輪眼の開眼時のように新たな力が宿ったように感じた。
(これが万華鏡写輪眼か?)
最も親しい友を殺すこと。
あの日、うずまきナルトを攫いに来たうちはイタチはサスケを返り討ちにした後にそう言った。
それが新たな力を得る方法だと言わんばかりに。
皮肉なことに里抜けをするなら覚悟を示せと千手狭間がやらせた所業が、万華鏡写輪眼の開眼条件を満たしてしまったのだ。
千手狭間は死んでいないのにだ。
(それだけショックだった、ということか?)
脳への負荷が写輪眼の開眼へと到らせる。万華鏡写輪眼の開眼は写輪眼以上の負荷が必要だった。
それこそ親友を手にかける必要があるほどに。
しかし、
(イタチは己の器を知る為に一族を虐殺した。それにより万華鏡写輪眼へと到った。だが、器を知るという我欲を満たす為の行動が脳への負荷になるのか?)
自分が万華鏡写輪眼へ開眼してしまったからこそ抱いてしまった疑念。
喜びや愉悦や達成感は脳への負荷にはならない。むしろ爽快ですらある。
ならば己の為に行ったあの所業で、イタチが万華鏡写輪眼に到るのはおかしいのだ。
(順序が逆の可能性もあるが)
万華鏡写輪眼を開眼させるために一族を虐殺した、のではなく。
万華鏡写輪眼を開眼したから一族を虐殺した、のかもしれない。
それこそ、伝説に到ったその腕試しとして。
しかし、
(なにか、ひっかかるな)
最初から抱いていた疑念。
うちはイタチの真実。
狭間を刺したショックを和らげる為の思考がなにかに気づかせようとしていた。
(まあ、今はいい)
今はただ急いで里抜けをしなければならない。
第七班メンバーで撮った写真、同期メンバーで撮った写真。
写真立てにおさまったそれらが日に焼けぬように大切に棚へとしまい、うちはサスケは一族が滅んで以来ずっと暮らしていた部屋を後にした。
背負う荷物にそれらは入れない。
必ず帰ると親友に誓ったから。
夜の木ノ葉。
音の四人衆の待つ場所へと移動する途中でサスケは春野サクラに道を遮られた。
「夜中にこんなところで何うろついている?」
彼女の意図はわかる。
だからあえてしらばっくれてサスケは言った。
いつものように、夜中に会ったらそう言うだろう言葉を紡いだ。
「里を出るにはこの道を通るから。サスケ君が来るかもしれないと張ってた」
待ち伏せをされていたことと、自分が大蛇丸のもとに行くのではないかとサクラに予測されていたことにサスケは驚いた。
「帰って寝てろ」
その驚きを表には出さずにそう告げてサクラの横を通り過ぎる。
「どうして何も言ってくれないの?何でいつも黙って私には何一つ話してくれないの?」
涙を零しながらのサクラの言葉。
それは第七班の中にあった距離感。
異性であることを抜きにしても、うちはサスケと千手狭間とうずまきナルト、その三人と春野サクラの間には微妙な隔たりがあった。
ナルトは性格上わかりにくかった、狭間は誰に対してもそうだった、それが露骨なのはサスケなのだ。
「・・・・・・実感できないヤツに話して同情されることが嫌だった。お前はアイツラと違って孤独じゃないからな」
意識しての行為ではない。
だがそれがサクラを傷つけていたと知ったサスケはサクラに本音を語った。
「・・・・・・そう、だよね。私は家族が居て、家族が居るのが当たり前だと思っていたから、無神経にナルトを罵ったり、狭間君を敬遠してたもんね」
そんな私は嫌われても仕方ない。
そうサクラは力なく笑うのだ。
「嫌ってなんかない」
「?」
「お前の在り方に救われてもいた」
「サスケ君」
「俺達が知らない日常をお前は教えてくれたんだ」
春野サクラは確かに無神経であった。
よくナルトなど嫌わないなと思いもした。
でも、極端な考えに偏りがちな第七班に普通を教えてくれたのは春野サクラなのだ。
だからナルトは、今ではヒナタに傾いてはいるが日常の象徴としてサクラに惹かれたのかもしれない。
「・・・・・・そう言ってくれるのに、行くんだね」
「ああ」
サスケの言葉に救われたサクラ。
パッと明るくなった表情は再び沈む。
サスケがこれからどうするか察していたからだ。
「オレは強くならなければならない。
兄さんよりも、うちはイタチよりも。
だから強くなる為に里を出る、それだけだ」
復讐の為。
守る為。
誓いの為。
大蛇丸の下で力を得ると決めたのだ。
「私がサスケ君を好きだから止まって欲しい。そう言っても、止まってくれないよね」
「女を理由にするのは谷間のおじさんだけで沢山だ」
「サスケ君を幸せにしてみせる、サスケ君の為に何だってする!そう言っても駄目なんだね」
「・・・・・・ああ」
その言葉が嬉しくないわけではない。
けれど、
「オレはお前らと居る幸せを守る為に力を求めているんだ」
幸せはもうあった。
あのちょっと危険物が隠された居間で同期の皆と囲んだ鍋、その騒がしい一時が幸せだった。
「悪いな、サクラ。
もう決めたんだ」
何を言われても止まらない。
そうはっきりとうちはサスケは告げた。
「サスケ君」
ならば力尽くで止める。
その考えがサクラに過ぎった、だがサスケの次の一言でその考えは吹き飛んだ。
「オレはお前と同じように止めようとしてくれた狭間を刺した。
まだ生きてると思うが、助けにいかないと手遅れになるぞ」
「っっ!?」
サスケはサクラがここに居なければ別の手段で誰かに伝える気ではあった。
去り際に居間をひっくり返してありったけの治療具や薬を側に置いたから自分で処置はしていると思う。
けれどそれでも心配なのと、サクラと戦わずにすむようにと伝えたのだ。
「わ、別れまいと揉み合ってるうちに刃傷沙汰」
「痴情のもつれみたいに言うのはやめろ」
なんか変な誤解が生まれそうだと冷や汗を掻くサスケ。
「頼む、狭間のもとに行ってくれ」
どうすべきか、春野サクラは悩んだ。
しかし優先すべき方は明白だった。
「追うから、今は狭間君を優先するけど、私達は必ず追うから!!」
そう叫び彼女は駆け出した。
「ありがとう」
最後にそう呟いてサスケもまた走り出した。
木ノ葉隠れ外壁上部。
「お待ちしておりました、サスケ様」
音の四人衆のリーダー格である西門の左近が、襲撃し話を持ちかけてきた時とは違い恭しく接してきた。
「・・・・・・どういう風の吹き回しだ?」
その態度の変わりぶりをサスケが問えば、音の四人衆は態度を一変させて言う。
「里を抜けられた時をもってアナタは私共の頭になることに決まっておりました。
今までのご無礼をお許しください」
どうやら音隠れの里は木ノ葉隠れとは違い上下関係がきっちりしているのだなとサスケは思った。
「フン、そんなことはどうだっていい。
行くぞ」
高い木ノ葉の外壁から三日月を背に音の四人衆を付き従えサスケは言う。
「・・・・・・始まりだ!!」
力を得る為の新たな道。
誓いを胸に秘め突き進むのだと。
補足・説明。
今話はサスケとサクラの話です。
原作では自分と皆は違うと言ったサスケ。
第七班の日々から、四人でやっていくことを自分の道であると思おうとしていました。
しかしイタチに敗れたことで、ナルトに追いつかれたことでそれでは駄目だと切り捨てることを選んだのかなと思いました。
そして原作サクラさんは、なんか凄いこと言ってますね(汗)。
これで彼女十二歳、小学六年生なんです(サスケ達もですが)。
この時に話した場所が、以前サスケがサクラに「お前うざいよ」と言った場所なのはなんとも運命的かなと思いました。
別れまいと揉み合ってるうちに刃傷沙汰。
事実とは異なりますが、なんか痴情のもつれみたいになってますね。思いついてしまったギャグなのでお赦しください。
あと感想で、
サスケの里抜けを任務にしたらどうか?
と参考になるご意見を頂いたのですが、その考えは暁という小説サイトの【渦巻く滄海 紅き空 】という作品で既に採用されていまして(状況は大分違いますが)、パクリになるのではないかと思いまして、どうするかはこれから決めます。
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