百式観音を背負いて。   作:ルール

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 前話のチョウジのセリフに、
 ブラックキャットの登場人物であるマロのセリフがあったことに気づいた人はいるかな?
 ブラックキャットのアニメ版は物凄く原作改変してますよね。
 マロなんかクロノスナンバーズのトランプ使い(アニオリキャラ)と相討ちしてますし。



原作22巻①

 

 秋道チョウジと音の四人衆次郎坊の戦いは秋道チョウジの勝利に終わった。

 秋道一族秘伝の丸薬と四大行さらに衝撃倍化が加わった一撃は、大蛇丸の器候補であり呪印を使いこなした天才すら打ち破った。

 凄まじい衝撃に大きく口を開けたまま意識を失う次郎坊。死んではいないが本格的な治療をしない限りは動くことすらままならないだろう。

 

「勝った(このボクが勝ったんだ!)」

 

 アカデミーではナルトを筆頭としたドベの一人に数えられていた秋道チョウジ。

 鈍臭いデブと周囲から笑い者にされていた彼は、上忍にすら勝てる忍を倒せるほどに成長したのだ。

 

「皆の、おかげだね」

 

 そうなれたのは仲間がいたから。

 仲間が手を引いて誘ってくれたから。

 そんな仲間の為に頑張れるようになったからだ。

 

「・・・・・・行かないと」

 

 サスケを助ける。

 サスケを助けようとする皆を助ける。

 秘伝薬の副作用に痛む身体を動かし、とりあえず音の四人衆が進んだ方向へと足を向ける。

 忍として追跡術は身につけているが、それは犬塚キバや日向ネジのような感知タイプとは比べものにならない。

 今から追うとなれば殆ど勘だよりになるだろう。

 そう思いながらふと見れば、秋道チョウジはそれに気がついた。

 気がついて、涙が溢れてきた。

 

「皆はクズなんかじゃない。

 ボクは足手まといの捨て駒じゃない」

 

 木に刻まれた矢印。

 急がねばならない状況で、たとえ勝っても戦い疲労し役に立たなくなってるだろうチョウジの為にわざわざ刻んだ目印。

 それは、待っている、追いかけてこい。  

 というメッセージを伝えてきた。

 勝てる保証など無い相手と戦っていたのに。

 

「皆は、最高の仲間だ」

 

 アカデミー時代とそれより前に、周囲から鈍臭いと仲間外れにされていた彼は真の仲間を得ていたのだ。

 

 

 

 

 

 サスケの入った棺桶を抱えた音の四人衆を追う救出チーム。

 次郎坊の土遁結界に拘束されたせいでできてしまった距離は徐々に縮んでいた。

 

「近いぜ!」

 

 犬塚キバと赤丸が臭いで察知。

 再度の交戦は近い。

 こうもあっさり追いつけたのは理由がある、その理由が日向ネジには気になった。

 

「妙だな?さっきからトラップの一つも仕掛けられていない。シカマル、これをどう見る?」

 

 追いつけた理由、それは足止めのトラップがないからである。最初に追いかけた時は結界法陣などのトラップを避けたから時間がかかったのだ。

 

「ナメられてんだよ、オレたちゃ」

 

 音の四人衆は次郎坊が負けるなどと考えてはいない。だから無駄なトラップを仕掛けないのだ(彼らの性格から仲間の安全を気遣ってトラップを仕掛けないというのは考えがたい)。

 特別上忍にすら勝ち、木ノ葉崩しでは暗部すら振り切った自分らが下忍風情に負ける筈はないという、実績からくる至極当然な驕り。

 

「なっろー!ナメやがってーー!!」

 

「若様、落ち着いてください。

 これはチャンスでもあるのです」

 

「ああ、不意を衝いてやる」

 

 驕りによる慢心。

 それを余裕ではなく油断として叩き潰す。

 下克上とはそうして成し遂げるものなのだ。

 

「ところでサクラはどうした?」

 

「・・・・・・気配がこちらにも掴めない。目印を残してくれているからオレ達より先に居るのは間違いないが」

 

「いざという時の切り札に徹してもらってるからな、一人で連中に襲い掛かりはしないだろう。

 あと隠形には四大行の【絶】を併用してんだろ。狭間の話だとサクラはそれも得意らしい」

 

 救出チームが追いつけたもう一つの理由は春野サクラが付けた目印を追ったからだ。彼女は【絶】を用いて音の四人衆の側に潜み、もっとも必要な状況で現れるだろう。

 

 

 

 再度の発見。

 シカマルは次郎坊に変化し音の四人衆の不意をつこうとした。  

 しかし変化の術は姿形を変えるだけでありその記憶までは再現できない(本格的に成り代わる場合は術で記憶を探るなり、拷問して洗いざらい白状させるだろうが)。

 ゆえに次郎坊に変化したシカマルは四人の普段のやり取りを知らず、次郎坊が多由也の言葉遣いを注意するといういつもの行動を取れなかった。

 忍であれどんな不仲な間柄でも、集団行動においてコミュニケーションが大事なのである。

 今度はオレにやらせろよ。

 そう言って救出チームを迎え撃つのは六本腕という異形の鬼童丸。

 腕が多い、それは攻撃しながら印を結べるという忍において利点しかない特徴である(某呪術漫画の呪いの王ほど鬼童丸は圧倒的ではないが)。

 

「忍法・蜘蛛縛り!!」

 

 口から蜘蛛の糸のような粘着性のある糸を吐き出す鬼童丸。攻撃を受け止められたシカマルは空中ゆえに回避もできずに木へと張り付けられた。

 サクラが気配を消して追っている。

 ゆえにシカマル達は足止め要員に全員であたれる。シカマルの次は多重影分身をしたナルト。

 六体のナルトによる奇襲は、忍法・蜘蛛巣開という大きく展開された蜘蛛の巣に絡めとられた。

 キバからネジへと鬼童丸への波状攻撃は続く。しかし蜘蛛の糸を自在に発射できる鬼童丸は森林戦において有利。

 捕獲に向いた固有能力ゆえに攻撃する者達を一人ずつ対処していく。

 またこの蜘蛛の糸が厄介。  

 特殊な体液にチャクラを混ぜ込んで作られただろうこの糸は苦無で切ろうとしても刃が立たず、ネジが白眼で見ると手元から離れている糸にはチャクラが永続的に流れていた。

 物質にチャクラを残し続ける。

 その技量は尋常ではないのだ。

 救出チーム四人の捕縛完了。

 そこで一気に始末をつけず遊びだすのが鬼童丸の悪癖である。

 木に張り付けられたシカマル、足を固定されたキバ、繭状に包まれたネジ、ではなく大きな蜘蛛の巣に絡まれたナルトを選ぶ。  

 忍法・蜘蛛粘金。  

 口から練られ吐き出された糸は先ほどとは色が違い、吐き出された瞬間固く硬質化した。

 創り出された六本のナイフ。

 蜘蛛の巣に捕まってるナルトも六体。当てっこゲームと遊び気分で投擲しだす。

 愉快そうに楽しむ鬼童丸に捕縛され動けない状態で見ていることしかできないシカマル達の顔が歪む。

 散々楽しんでまずは一匹目終了と笑う鬼童丸。

 だが、刺さった最後の一体もボンと弾けて消える。そう最初から本物などいなかったのだ。

 その事実に気づき呆気に取られた鬼童丸に、ナルトが不意打ち。ここで螺旋丸を使えば倒せたかもしれないが、ただの殴打では容易く受け止められてしまう。

 樹上から落としても糸を伸ばしあっさりと態勢を整えてしまう鬼童丸。

 またそれだけではない。

 殴られた瞬間に別の腕から伸ばした糸をナルトの腕に結びつけ、地面へと叩きつけようとする。

 多腕による手数の多さと糸捌き。

 次郎坊とは違うタイプで厄介な忍である。

 

「やらせん」

 

 その糸はプチンとネジが斬った。

 

「若様いやナルト、時間稼ぎ助かったぞ」

 

 斬った後にナルトを受け止め、シカマルとキバと赤丸の拘束も断つ。

 

「お前、どうやって」

 

 象二匹が引っ張りあっても切れぬ糸。

 影分身体ナルトが苦無で切ろうとしても無駄だったものをどうやって切り払ったのか。

 

「チャクラを素にした物質など、チャクラを流し込んで破壊する柔拳の前では意味をなさない」

 

 繭にされ観察したことで把握できた糸の性質。そこからこの鬼童丸とは自分しか戦えないと日向ネジは判断した。

 

「行け。オレがやる」

 

 ネジがチョウジと同様に一人残って戦うと宣言。一人ずつ仲間が減っていく。

 一人ずつ仲間を置いていく。

 それは置いていく側の心も削る。

 

「クゥ〜ン」

 

 赤丸が鳴いてからキバの懐に潜り込む。

 その仕草から鬼童丸が次郎坊より強いと示していた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 シカマルは隊長として思考する。

 全員でやるか、ネジに任せるか、どちらが良いのかを。

 

「こんな所で止まっていてはサスケに追いつけなくなるぞ」

 

 迷う仲間の背を押す。

 それが残る側の役目。

 その迷いが一番強いナルトへとネジは言う。

 

「ナルト。

 狭間とサクラですら説得できなかったサスケをとめられるのはお前だけだ」

 

 自分を救ってくれたナルトならそれができると信じているから。 

 

「行ってください、早く帰ってまた皆で鍋を囲みましょう」

 

「うん!」

 

 逡巡のすえナルトは頷き、シカマルも意思は決まったと動きだす。

 

「よし!行くぜ!」

 

「チョウジと一緒に必ず追いつけよ!!」「ワン!!」

 

 駆け出す三人に背を向け日向ネジは鬼童丸に白眼を向ける。

 日向は木ノ葉にて最強。

 

「(場合によってはオレもあの切り札をつかうか)」

 

 成長しているのはチョウジだけではない。

 千手狭間に入れ知恵されているのは秋道チョウジだけではない。

 日向ネジとしては使用を躊躇うその切り札。

 果たしてどうなるのか。

 

 

 

 日向ネジに鬼童丸の相手を任せた三人。

 そこでナルトがあることに気づく。

 

「なあ、なあ、四大行の【練】ならあの糸を吹き飛ばせたんじゃね?!」

 

「あ」

 

 体外にチャクラを勢いよく放出する【練】であれば捕まった状態から逃れることはできただろう。

 手札はあっても必要な時にその手を切れるかの判断は経験がモノを言う。

 千手狭間が戦闘スタイルを絞るのはこうなることを恐れているからでもあるのだ。

 

「だろうな。けどよそれがネジの戦いの切り札になる可能性が高い。

 オレ達がやらないで知られない方が良かったんだよ」

 

 もっともそのことに気づいていたシカマルはあえて使わなかったが。

 

「・・・・・・シカマルに勝てる気がしないってばよ」

 

 思慮の差を見せつけられたナルトは、トランプなどでシカマルと賭け試合をしないと心に決めるのであった。

 




 
 補足・説明。

 今話は鬼童丸との接敵からの戦いです。
 改めて読み直すと彼も強いですね。
 彼の糸に火遁が通じるのかは気になりますが、一手で捕縛できる、多腕による手数の多さなど厄介です。
 両面宿儺のように印を結びながら戦えるのも忍としては強みかなと。
 後半は印はほぼスルーされてましたが(写輪眼や輪廻眼の発動の速さのせいかも?)

 さて、ネジの切り札ですが。
 テンテンが絡んでます。
 というか、狭間が入れ知恵したのはほぼテンテンです。
 ネジには「白眼って◯◯◯向きだよね」くらいしか言ってなかったりします。
 ネジとしてはかなり不本意な切り札ですが。


 ・・・・・・・・・シカマルはともかく、キバの強化案が思いつかないです(汗)。
 東京決闘環状線の渋谷の用心棒のアヌビスでもやらせるか?いややはり銀牙伝説か。
 全ては明日の自分に託します。

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