百式観音を背負いて。 作:ルール
忍としては間違いなくカカシの方が優秀ですが、戦闘者としては圧倒的にガイの方が上なイメージです。
しかしガイ先生、才能ない扱いですかチラホラ忍術使ってますよね?(口寄せできる時点で凄い)。そこら辺の才能がないらしいリーの将来が心配です。
シカマルが多由也を引き受け、サスケの入った棺桶を運ぶ君麻呂に追いついたナルトとサクラ。
足止めすらできない多由也を帰ってきたら殺してやると冷たく切り捨てる君麻呂。
大蛇丸の崇拝者である君麻呂にとって、大蛇丸の役に立たない存在など音の四人衆ほどの才覚ある存在ですら価値はないのだ。
対峙するナルト達と君麻呂。
怒りから九尾のチャクラが漏れ頬の紋様が濃くなるナルトは大蛇丸がなぜそこまでサスケを狙うのかを君麻呂に問い質す。
答える必要などない君麻呂。
しかしどうせ殺すのだからまあいいかと、自らの神の目的を告げる。
不死の術を創り出した大蛇丸は、世の全ての術を手に入れ世の全てを欲している。
その不死とて肉体は朽ちる。
だから常に強く新しい肉体を魂の器として欲している。
うちはサスケ。
うちは一族の生き残りにして写輪眼を持ち、若く才覚ある肉体。
彼こそが大蛇丸の新たな器なのである。
「「そんなことオレ(私)達がさせるか!!」
掌から骨の刃を伸ばしユラリと構える君麻呂、荒々しくチャクラを滾らすナルト、拳を突き合わせ戦意を高めるサクラ。
仲間を救う為に二人は狂信者と戦い始める。
音の四人衆の一人である多由也の足止めを引き受けたシカマル。
実力差は明白。
頭脳明晰なシカマルは指揮官ではあるが強者ではない。
そんなシカマルを多由也は嘲笑い罵る。
シカマルを隊が前に進むために隊員を一人ずつ犠牲にした隊長、一人の為に隊員を犠牲にしたホモヤロー共だと。
その言葉にシカマルは笑う。
確かにこの任務はリスクとリターンが釣り合わない。いくらサスケがうちは一族の生き残りであり優秀だからといっても、敵に攫われた(自分の意思で里を出た)一人の命より、隊の仲間五人の命を尊重し、危険過ぎる任務の中止を決定するのが定石なのだ。
だが、そんな定石なんて仲間達には関係がなかった。サスケの意思はどうあれ、連れ去られる仲間を見捨てて、身の安全の為に戦うことをやめてしまう輩なんて救出チームには一人もいなかったのだ。
それはシカマル本人とてそうなのだ。
(たく、性に合わないのによ)
ぐーたら雲好きな自分が仲間に命令する立場なんて柄ではないとシカマルは思う。
けれど仲間達が隊長として認めてくれているなら、信じて、精一杯応えるだけなのだ。
「あとよ。
音の四人衆だかなんだか知らねえが、オレの仲間は犠牲なんかじゃねえし負けねえ。
あいつらは勝って追いついてくるさ」
木ノ葉の次代を担う俊英。
「オレの仲間を舐めんなよ」
奈良シカマルは指揮官として一番大切な、仲間への信頼を既に身につけていた。
崖下。
流れる水によってか削り作られた石柱立ち並ぶその場所で犬塚キバは擬獣忍法を使用し音の四人衆左近と交戦していた。
崖下への転落によるダメージがないのは幸いであったが左右を見通せぬほど高い壁に挟まれたこの場所では左近から逃げることはできない。
ならば倒してやると爪を振るうが、機動力を活かした背面からの奇襲は一切通じずまた両手は動いてないにも関わらず攻撃をされて吹き飛ばされる。
ならば擬人忍法を使用した赤丸と牙通牙で挟みうち、これならば防げまいと突撃するも、左近の背からもう一人分の上半身が生えて受け止める。
左近から生えていた頭は飾りなどではない、もう一人の意思ある人間なのである。
二対二。
数の利が覆された犬塚キバと赤丸は窮地に陥る。
「口寄せの術!!」
そしてそれは異形の大男三体を口寄せした多由也と対峙するシカマルも同じこと。
まずいなこりゃ。
シカマルは中忍ベストから引き抜いた巻物から小道具を取り出してこれがどこまで通じるかと絶望的な計算を始めるのであった。
「多重影分身の術!!」
百体以上もの影分身を出したナルト達は別だが、君麻呂はおもしろいと余裕のある態度を崩さない。
少数の一族でありながら大国霧隠れに挑み散ったかぐや一族にとって多人数との戦いは臆するに値しない。
ロック・リーとも、日向ネジとも異なる、舞が如き体術の極地がお披露目される。
「多連拳!!」
数は力。
増えた拳による打撃がキバを追い詰める。
なんとか広がった打撃範囲から逃れるも、その首は肘から生えた右近の腕が掴み捕らえる。
左近と右近は仲の良い兄弟。
兄である右近は普段は左近の中で寝ているが戦いの時には出てきて左近を手助けする。
その生え方現れ方は人体の常識が当て嵌まらない。首の後ろから生えていた頭は自在に移動が可能であり、左近の頭の側面から右近の頭が現れ、現れた右近の額から拳を生やすこともできる。
接近戦で吹き飛ばされたのもこれが理由。
左近が両腕で攻撃を受け止め、腹部などから生えた右近の腕が殴り飛ばしていたのだ。
呪印が発動し身体能力が増した状態での複数の手足による拳打蹴撃。
基礎体力の高いキバであっても抗しきれない強さである。
幸いなことなのは左近と右近が五行遁を使用しないことなのかもしれない。
この体質であれば、火遁と風遁の同時使用、水遁と雷遁の同時使用など、悪夢のような連携広範囲忍術を単独で使うことができただろう。
「ちんたらやってる時間はねェんだよ左近。さっさと殺る!状態2になれ!!」
右近の頭部が角が伸びた般若のようになる。兄に急かされた左近も続き全身に広がった紋様から異形へと変貌する。
双頭の悪鬼の顕現。
敏感な赤丸が、数十倍にチャクラ量が跳ね上がったことをキバに伝える。
見せかけなどではない変身。
絶望的な状況に何か打つ手はと悩むと、赤丸がアレをやるぞと吠える。
その提案にキバは駄目だと否定。
確かに奥の手に値する必殺技。
それは、地力を上げて継戦能力を伸ばしたら最強では?とあの千手狭間が言うほどだ。
しかしそのリスクは高い。
ただでさえ兵糧丸を服用してその激しいチャクラ消費を補わないといけないキバと赤丸がその術を使えば、チャクラを殆ど使い切って動けなくなってしまう。
犬塚キバはそんなはたけカカシと似たような弱点を抱えた忍なのである。
もし外せばお終い。
そんな決断を軽々しく下せる筈もない。
「アン!!」
そう悩むキバにポーチから二粒のドングリを取り出す赤丸。
「それは・・・・・・」
犬塚キバの強化案なんて思いつかないと言った千手狭間。しかしなんだかんだで面倒見の良い彼は、まだ試作段階であるモノを万が一に備え託していた。
それは、狭間が前世に見たとあるバトル漫画の便利回復アイテムの豆を参考に拵えた一品。
チャクラを大量に注ぎ込んだ椎の木から実ったドングリである(季節的に微妙だが)。
この世界にはチャクラに反応する植物や鉱物はいくらでもある。
ならば木など大量にチャクラを注ぎ込めばチャクラを宿した実がなるのではないかと試していたのだ(一応千手一族だからと期待もあった)。
それでできたのがこのチャクラを宿したドングリである(試作品)。
しかしまだ実ったばかりで成分を試しておらず、またチャクラではなくカロリーが必要なチョウジには微妙に向かず、ネジやサクラはチャクラコントロールが完璧で不足はなく、ナルトには無用の長物で、シカマルにはドングリを生食したくないと拒否された代物なのだ。
食せばチャクラのみ回復するドングリ(多分)、それこそキバやカカシには必要なものなのだろう。
「そうか、これならイケるぜ赤丸!!」
赤丸とドングリを噛み砕き飲み干しあまりよろしくない味に顔を顰めながら確かに身体に漲るチャクラに勝機を見出したキバは言う。
「牙狼牙だ!」
バラバラにしてやると走り寄ってくる右近左近。その突撃を受け止めて赤丸に必要な仕込みをやらせる。
「ワン!」
ダイナミックマーキング。
空中回転した赤丸がダイナミックに小便を右近左近にぶっかける。
これは嫌がらせ目的でも攻撃でもなく、はたけカカシが波の国で桃地再不斬に自身の血液で行った相手の位置を把握する為の臭い付け。
「(これで準備OK!)」
宙を舞う赤丸へと飛び跳ねて合流するキバ。そこで印を結び奥の手を発動。
「犬塚流・人獣混合変化!!
双頭狼!!」
立ち並ぶ石柱群より巨体な双頭の巨狼が現れた。
双頭の悪鬼と双頭の巨狼。
人外の戦いに、右近左近は余裕の態度。
「ククク、何かと思えば涎ダラダラの犬っころに何が出来る」
呪印による肉体の変質と変化の術の変身では術としての差がある。
見掛け倒しだろうと怯みもしない。
「喰らえ!!」
掠っただけで足が抉られた右近左近が回避しようとするが撒き散らした涎に足を取られる。
「(涎!?しまった!?)」
小便しかり涎しかり、忍の挙動に無駄はなし。
「!?」
巨狼が宙を舞い回転、二つの頭が螺旋を描きその破壊力は全てを穿つ。
「牙狼牙!!」
双頭の悪鬼は双頭狼の突撃に呑まれるのであった。
補足・説明。
今話はそれぞれの視点からのキバと左近戦です。
狭間は強化案はだせないが(四大行は教えた)試作品とはいえ回復アイテムを渡しています。
チャクラ回復ドングリ。
チャクラ感応紙やらチャクラ刀の素材やら、チャクラを宿す物質があることから作成してみた試作品。
寝る前に余ったチャクラが勿体ないから幼少期から注ぎ込んでいたらしい。
ドラゴンボールの仙豆を参考にしているが、あくまで回復するのはチャクラのみ、っぽい。
ぶっちゃけ、作ったは良いが本人には不要な物で薬学に詳しい綱手が木ノ葉に来てから調べてもらう予定だった。
豆ではなくドングリなのは、ドングリの方が保存しやすそうなのと仙豆モドキは他作品で見たことあるからです。また椎の木の方が豆の木より木っぽいから。
ただ、食べる側の気持ちはあまり考えてはいない(ドングリは食えなくはないがアクが酷い)。
実用化できればカカシとキバの必需品になるかもしれない。
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