百式観音を背負いて。 作:ルール
「「お肌が潤いました(ツヤツヤ)」」
と相談役の老人二人が言っていたとか。
ちなみにこの二人は相談役ではあるが私兵の類は一切いないです。老人達や非戦闘員の意思の代弁者のような役割を担っています。
あと独自展開とキャラ改変があります、閲覧注意です。
「なんだコレは?」
木ノ葉同盟国、砂の忍。
うちはサスケ奪還任務において五代目火影綱手が打った切り札がコレである。
現状の木ノ葉にて上忍と中忍を動かすことはできない、だから同盟国に通信忍術で応援を打診したのだ。
砂隠れとて、人員の不足というか枯渇に等しい状況である。
しかし風影と精鋭たる上忍達の多くを失った砂隠れにとって木ノ葉との同盟こそが最後の命綱。
それを断つわけにはいかないがために、戦力を派遣するのであった。
実力こそはあるが未だに下忍である、その生まれゆえにある意味で使いにくい者達を。
その者たちは四代目風影の遺児。
木ノ葉崩しにおいて参加を許された子らである。
木ノ葉隠れより大分離れ国境間近であるがゆえに、彼ら三人はサスケを連れ出した大蛇丸の配下達と戦う木ノ葉の忍達の応援に間に合ったのである。
もっとも、応援が必要だったのは唯一の中忍にして隊長である奈良シカマルのみ。
カンクロウは全身ズタズタになりつつも辛うじて生きている右近と左近に薬をぶっかけてどうやって運ぶかを悩んでいる犬塚キバ達と合流しただけであり(傀儡人形の黒蟻にぶちこみました)。
最強戦力にして一尾の人柱力である砂瀑の我愛羅にいたっては、輝く観音像を使役する千手狭間と褐色の人竜のような異貌の君麻呂の激戦に介入することができずに見ていることしかできなかった。
「百式観音!!」
両掌を合わせ観音像を繰る千手狭間、その動きは死の森での戦いよりも淀みがなく一手発動ごとの隙もない。
大概の相手ならば一手のみで決まってしまう百式観音だからこそ複数手を唯一人に放ち続ける経験など死の森での戦いが初めてであり、それゆえ次なる一手を繰り出す隙に飛ばされた骨片で負傷したのである。
しかしその弱点は、死の森の戦いと木ノ葉崩しでの口寄せ大蛇と砂隠れ上忍衆との決戦で克服されつつあった。
一手では終わらない、相手を仕留める、決着を着けるまでは止まることなき百式観音の掌撃。
光の奔流が如き連打の前に如何なる者であっても成す術はない。
「鉄線花の舞!!」
しかしその数少ない例外であるのが地の君麻呂。直撃すれば全身が粉々になる掌撃もその呪印状態2で強化された血継限界による肉体は耐えてみせた。
痛みや疲労もその狂信がねじ伏せ、ただ一心に狭間を討たんと舞い狂う。
背より抜き放った長大な脊柱を【鉄線花の舞・蔓】として鞭か蛇腹剣のように振り回し、【鉄線花の舞・花】で左肘から先全体を最強硬化した骨で覆う。
蔓で捕縛し花で穿つ。
それが鉄線花の舞なのであるが、百式観音背負いし千手狭間に蔓を巻きつけることはできない。
ゆえに両腕に凶器を身に着けた状態で縦横無尽に草原を駆け、狭間を仕留めんとするのであった。
「百式観音の掌を砕いてんじゃねえよ」
「案外脆いんだなその掌」
回転し遠心力で加速し威力を増した蔓が百式観音の掌を払いのけ、花がその掌を穿ち砕く。
鉄線花の舞は千鳥に勝る破壊力があった。
先日の木ノ葉病院で損傷した掌は何事もなく元通りになっていたことから壊れてもそこまで問題はないのだろう。
しかしこの戦闘中に修復するわけもないので、破壊されるごとに手札を失うことを意味する。
戦闘中に百手全てを破壊しきる。
それが百式観音の攻略法なのかもしれない。
「・・・・・・加勢を」
応援としてきた我愛羅がそう申し出る。
原作ではナルトの代わりに君麻呂と戦った我愛羅。砂による広範囲と膨大な質量、人柱力であるがゆえの圧倒的チャクラ量で君麻呂を押し切った。
そんな彼の助力があればこの千日手のような状況も狭間の方に傾くだろう。
「悪い、我愛羅。下がっていてくれ」
しかそれを知る狭間は我愛羅の申し出を断る。
持久戦に持ち込めば君麻呂が病死するだろうことは知っていても、その病死を精神と狂信で抑え込んでいるのが今の君麻呂。
助力という気の緩みは付け入られる隙になりかねない。
そして何よりも。
「コイツには、勝ちたいんでな」
病死という時間切れで決着をしたくないのだ。
「・・・・・・・・・・・・承知した」
そう呟いて砂に乗り距離を取り出す我愛羅。言葉を交わしている間も狭間の掌は止まらず君麻呂の猛撃は続いていた。
面制圧において最強格である我愛羅も、この速度でやり合う両者に割って入れるとは思えなかったのだ。
「・・・・・・お前が負けそうになったら介入するぞ」
だから動くとしたら狭間が押し負けたその時、流砂瀑流で押し流し砂爆大葬で圧殺できるようにチャクラを高めておく。
「その時は頼む」
顔面に迫った生物のように自在に伸び動く君麻呂の蔓の先端を跳ね除け、その身体に掌を叩き込みながら狭間はそう告げた。
場所は代わり、奈良シカマルと音の四人衆多由也との戦い。
「何が影斬だ、布じゃねーかクソヤローが!!」
「へ、騙されたな」
忍具を駆使し多由也の指の動きのデータを集め、口寄せ獣達の操作を分析しきったシカマル。
そこまでくれば後は詰むのみと影真似の術を口寄せ獣三体に繋ぎ操る。
狙い通りに口寄せを解除され影真似の術を多由也にかけることに成功。
自らの身体を動かせなくなった多由也はこうなれば力押しだと状態2にへとなった。
忍術はチャクラのぶつけ合いでもある、繋げれば勝ちな影真似の術も相手のチャクラで強引に跳ね除けることもできなくはないのだ。
もっとも、呪印状態2でもなければできないことなのでほぼ無理なのは間違いないが。
角生えた異形となりギギギと無理やり動きだす多由也に影真似の術が解けることを察したシカマルは、奈良一族秘伝の忍法・影首縛りの術を発動する。
相手の影に結びつき肉体の動きに干渉する影真似の術とは違い、影の手が相手の身体に直接干渉する忍法。まるで本物の腕に掴まれてるような感触に多由也も焦りだす。
しかし影の手が首に届くより先に笛は口へと触れ、魔笛・夢幻音鎖が発動した。
音による干渉からの幻術。
影真似の術による捕縛の意趣返しでもあるこの術は、異空間で相手を拘束して朽ちさせる幻術を見せる。
縛られたから縛り返す。
そんな幼さが彼女にはあった。
幻術にかかったからといって死ぬわけではない。だから多由也は悲鳴を上げるシカマルにザマァと溜飲を下げてから木に刺さったシカマルの苦無を抜き取り接近する。
彼女の武器は笛のみ。
ゆえに動かないシカマルへと自分自身の武器で仕留めてやると近寄ったのだ。
それが策士シカマルの狙いとも知らず。
「はい、影首縛りの術成功」
「な?!」
影首縛りの術は対象が近ければ近いほどに効果を増す。
自身の指を影首縛りの術でねじり折り、その痛みで幻術を解いていたシカマルはまんまと苦無を刺せる距離まで多由也を誘いこんでいたのだ。
「(影斬は無理か)」
ここで影斬を使えればあるいは勝てていたが、教わったばかりの影首縛りの術の維持でシカマルは精一杯だった。
「フン、認めてやるよ。てめーは頭だけじゃなく肝も座ってやがる」
自力が遥かに劣る身でありながら知恵と分析を駆使し、傷つくことも厭わずに幻術を解き、命を賭してこの状況にまで持ってきた奈良シカマルに、口の悪い多由也にしては珍しく素直に称賛した。
「アンタみたいな美人に褒められんのは悪くないな(あれ?狭間のが伝染ったか)」
「はぁ!?美人だとふざけんなスケベやろー!!」
美人発言に慌てだす多由也。音隠れで彼女を女扱いするのは見下していた次郎坊くらいだった。
「(お、なんかチャクラが緩んだな?これは良い手か)いやあ女と縁のないオレとしちゃあ、アンタみたいな美人とこうも密着するとドギマギしちまうぜ(狭間がいのにしてる感じ、狭間がいのにやってる感じ)」
「テメェこの知性派イケメンだからって心乱せると思うなコノヤロー!!」
ガッツリと効いている多由也に影の手が巻き付きつつある中、
「ずいぶんと楽しそうだな」
冷ややかな声が風と共にシカマルと多由也の間を通り抜け、多由也を吹き飛ばした。
「アンタは」
「ずいぶんと楽しそうだったな」
巨大な扇子を広げた少女テマリはなぜか湧き上がる苛立ちを視線にのせてシカマルを睨みつけていた。
「いや別に楽しんでなんか。
というか、増援なのか?」
ただちょっといつも見てる狭間ムーブを真似しただけだと言うが、苛ついているテマリの眼差しは細まるばかりである。
「命令でな。
・・・・・・必要なかったみたいだが」
「いや助かったよ、ありがとさん」
実際シカマルは負ける寸前だった、だからテマリが駆けつけてくれたことに素直に感謝した。
「ふん、なら後は私に任せな」
シカマルの言葉に苛立ちが鎮まるのを感じたテマリは勝ち気な表情で請け負うのであった。
「ウチを美人と言ったくせにあのネズミヤロー」
その光景が多由也はなんか面白くなかった。
奈良シカマル。
素のスペックがあまり高くない彼は、我の強い女子を打ち負かした時に惹かれやすいのかもしれない。
補足・説明。
今話は狭間と君麻呂戦、シカマルと多由也戦です。
あと右近左近は一応生きてます。
なんか多由也もワカラセ系になってしまいました。というか音の四人衆のアニメ版末路が酷すぎなんで、救済するための布石です。
狭間の影響で口が回るシカマルが、なんか口説いてました。本人はなぜか気が緩んでラッキー程度の認識でしたが。
多由也のシカマルヒロイン化はまだ未定です。
でも嫉妬するテマリは見たいかなと。