百式観音を背負いて。   作:ルール

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 多由也人気に驚きました。
 でもあれだけ死者がいるから一夫多妻制などはあってもおかしくないですよね。
 できないのは収入がそこまで多くないからかもしれません(汗)。
 旧家面々も一般家庭テイストですし。




原作24巻③

 

「(なんだよこのジト目は、まるで狭間のヤツが女子に囲まれている姿を見た、いのみたいじゃねえか)」

 

 テマリと多由也。

 砂と音の美少女にジト目を向けられる色男奈良シカマル。

 同世代にイケメン天才が何人もいるため自己評価が低く、他人からの評価を良くしたいとも考えない性格ゆえか自身が女子の気を惹いていることに戸惑ってしまうのだ。

 テマリにしてもなぜ自分がここまでムカムカと苛ついているのかはわからない。

 まだ付き合いの浅いシカマルはわかっていないが、その不機嫌ぶりは兄弟であるカンクロウと我愛羅が見たらそっと顔をそらし逃げ出すくらいだったりする。

 テマリが抱いている感情は、他人からの評価は低い中で自分だけが認めた存在を横から取られそうに感じた、一種の独占欲なのかもしれない。

 中忍試験本戦、シカマルのギブアップではあったがテマリ自身は敗北を認めているのだから。

 多由也にしても似たような感じだ。

 上忍以上の実力を誇る大蛇丸の護衛役である音の四人衆。

 その一人である自分に呪印状態2まで使用させ、地力で劣るのにも関わらず知恵と覚悟で押し切ろうとしたのだ。

 そんな知性系年下男子なぞそうはいない。

 今まで実力ある同世代は自らを脅かす存在でしかなかったので認めることなどなかったが、奈良シカマルに関しては称賛するほどに認めている。

 そんな彼に美人など言われたら気になってもしょうがないだろう。

 

(大蛇丸様に勧誘するように進言するかな)

 

 そんな、自分が勝ったあとにシカマルを捕らえてサスケ共々連れて行こうと考えるほどであった。  

 しかし、多由也のその願望は叶うことはなかった。

 砂隠れのくノ一テマリ。

 後に砂隠れ最強の風遁使いとなる四代目風影の娘は、音使いにして幻術使いである多由也との相性は天敵といえる程に最悪だった。

 それはチャクラを込めた笛の音がテマリ達に届く前に巨大扇子を振るいながら放たれた大カマイタチの術で吹き飛ばされたことで理解させられた。

 

(攻守を一手でやれるとは、オレと違っていい術をもってやがる)

 

 口寄せ獣を笛の音で操る戦闘スタイルならばシカマルもなんとか凌げた。

 しかし笛の音からの幻術はその都度痛みを身体に与えて幻術を解く以外に対処法がないのだ。

 

「隠れやがったなアイツ」「だがまだ居るな、私には殺意を、お前にはじっとりとした視線を向けている」「いやなんでだよ、そこまで影首縛りを根に持ってやがるのか」「むしろその後だスケコマシ」「あれは狭間の真似だ!!つーかお前どこから見てた!!」

 

 そんな軽口を叩きつつもシカマルは多由也の戦闘スタイルをテマリに伝える。

 姿を変えるまでは口寄せ獣を操作するために眼の前にいた。

 だが幻術特化のスタイルに変えた以上はこちらに幻術をかけるまでは出てくることはないだろう。  

 また音で厄介な点は意識として聞こえなくとも脳に響いていれば通じる点にある。

 聞こえにくい音域で奏でられても成立する音由来の幻術。

 そんな術を使えるだろう相手が隠れてしまえぱキバやネジのような感知タイプがいないとどうしようもなくなるのだ。

 

「このままだとこっちが追い込まれるだけだ。ネジのヤツならもう合流できるかもしれねーから、一旦退くべきだ」

 

「お前は私よりこの場にいない男を当てにするのか?ふん、なら見せてやるよ」

 

 親指に歯を立てて皮膚を噛み切る。

 滴る血で巨大扇子に一本の線を引く。

 

「口寄せ・・・・・・斬り斬り舞!!」

 

 それは口寄せの術と風遁の合わせ技。

 ただ口寄せの術を使うより高等かつ強力な必殺忍術である。

 その一振りは隠れて笛を構えた多由也ごと、周囲の森を切り刻んだ。

 

「どう?終わったわよ」

 

 ずいぶんとさっぱりした光景の中には切り倒された木々に巻き込まれ意識を失った多由也がいた(直接斬られてないので生きてます)。

 

「(強引な奴。こいつうちの母ちゃんより怖えー女だな)」

 

 そのシカマルの考えは、カンクロウと我愛羅は頷き、シカクは首を左右に振るだろう。

 

「どんなもんだ?(ニシシ)」

 

 だが、やってやったと獲物を獲った雌獅子のように笑うテマリの笑顔を見て、

 

「親父が言ってたことがなんとなくわかったよ」

 

 そう呟くのであった。

 

 シカマル+テマリ、多由也に勝利。

 

 

 

 

 

「強えなクソが」

 

「いい加減に死ね」

 

 こいつらの方が自分なんかよりも化け物だろ。

 

 輝く観音像を使役する少年と骨が突き出た竜人の死合を観戦しながら砂隠れの化け物、一尾の人柱力我愛羅はそう思った。

 砂隠れでは自他共に認める風影に次ぐ戦力だった自分。しかし眼の前の千手狭間と君麻呂には及ばないと実力差を悟ってしまう。

 ほんの少し前の、具体的には数ヶ月前の自分ならばこんな強者共を殺して生の実感を得ようとしたのだろうが、今の我愛羅にはとても思えない。

 そんなことよりも、ナルト達にかけてもらった言葉や動けぬ自分を運ぶ兄と姉の体温に包まれているほうがよっぽど生の実感を得られたからだ。

 何よりもこの二人に勝てる気がしない。

 たとえ守鶴と化して狸寝入りの術を発動しても殺されてしまうだろう。

 百式観音の神速の掌打を何十発も受けながらもあらゆる軌道で一心に狭間の命を狙う君麻呂の姿、その迫る脅威に昂りながらも冷静に最適な一手を繰り続ける狭間を見て我愛羅はそう思った。

 

「埒があかないか」

 

 このままでは君麻呂の寿命が尽きてしまう。

 

 そんな勝ち逃げを、普段の彼らしくない思考から認められない狭間は勝負に出ることに決めた。

 

「全開だ。ありったけだっ!!」

 

 四大行【練】。

 掌を合わせ全力でチャクラを全身から放出する。そのまま続けてしまえばたとえ人柱力でもチャクラが涸れ果てるのではないかと思う放出量だ。

 

「いくぜ、君麻呂!!」

 

 原作で見たあの死に様を君麻呂にさせたくない。そんな決着で終えたくない。

 ゆえに狭間は最後の交差を、命を懸けた賭けにでる。

 千手狭間。

 実は前世で君麻呂の大ファンだったのだ。

 

「!?」「!?」

 

 百式観音を発動せずに君麻呂へと駆け出す狭間。

 その行動の意図を考えようとするが「ゴフッ」迫る死の刻限に君麻呂もまた考えるのを止めた。

 これが最後。

 あの日自身を見出し導いてくれた御方に捧げられる最後の恩返し。

 

「死ね、千手狭間!!」

 

 鉄線花の舞・蔓と花、全身から突き出た自然エネルギーを含んだ強固な骨、状態2で生えた尻尾、その全てを君麻呂の卓越した体術のもとで統合し狭間へと襲いかかる。

 マイト・ガイの剛拳、日向ヒアシの柔拳、とも異なる血継限界による舞が如き忍体術の極地ともいえるその攻めは、如何に毎日の感謝の正拳突きで驚異的な反射速度を得た狭間とて防ぎきれない。

 否。

 最初から防ぐ気などはない。

 

(やっぱり、刀語は戦いの真理をついているよな)

 

 虚刀鑢、鑢七花の真の実力。

 刀の破壊を許された、自ら傷つくことを許された、その戦い方。

 それを千手狭間は自身も実践する。

 

(凝で守るのは急所のみ、それ以外の負傷は無視!!そうじゃなければ俺じゃあ君麻呂に当てられない!!猛攻の中の打点を見つけ、あとは攻撃箇所にチャクラを集中し、叩き込む!!)

 

 無限地獄のような攻撃に全身を抉り削られながら、ただ一点の急所を見つける。

 そしてそこからは狭間のターン。

 狭間だけの終わりまでのターン。

 

「虚刀流最終奥義・七花八裂改!!」

 

 柳緑花紅→鏡花水月→飛花落葉→落花狼藉→百花繚乱→錦上添花→花鳥風月!!

 

 必殺奥義を七つ連続で最も威力が出て最も無駄のない並びで叩き込む虚刀流の最終奥義。

 中忍試験死の森で君麻呂と戦い事実上敗北したあの日から磨き上げた、まだオリジナルには遠く及ばないその奥義を、四大行応用技【凝】と併用しながら打ち放つ。

 

「ぐうっ!! だが、まだだあっ!!」

 

 それは頑強さを極めた君麻呂、原作で我愛羅の猛攻にすら耐えきった肉体すらも破壊する。

 八門遁甲に匹敵するパワーを人体破壊の極地の技で打ったのだ、人としての形を留めている方がむしろ異常なのだ。

 それを成すのは君麻呂の狂信。

 精神は肉体を凌駕する。

 死ぬと思わなければ、狂信者は死なない。

 

「だろうよ、だからこれで終わりだ!!」

 

 そうだろうと千手狭間は悟っていた。

 原作知識からだけではない。

 実際に戦い、対峙したからこそそうだとわかる。

 

「全部持ってけ、百式観音っ!!」

 

 瞬間、千手狭間からチャクラが消えた。

 

「「!?」」

 

 合わせた両掌は、右手で零を形作る。

 

【百式観音・零ノ掌】

 

 敵背後より現れし観音が、

 有無を言わさぬ慈愛の掌で対象を優しく包み込み。

 練り上げられた千手狭間のチャクラ全てを用いて放つ。

 無慈悲なる咆哮である。

 

「あばよ、君麻呂。

 敬愛する主の為に全てを懸けて尽くすお前を、俺は心から尊敬していたよ」

 

 チャクラ切れで崩れ落ちる狭間を咄嗟に抱えて我愛羅は離脱。

 百式観音・零ノ掌の威力は、尾獣玉が直撃したかのように広大な草原を巨大なクレーターへと変えてしまった。

 無論、観音が消えたそこには君麻呂の姿は跡形もなく消失していた。

 

「・・・・・・今度は勝った」

 

「とんでもないな、お前は」

 

 千手狭間 対 地の君麻呂。

 千手狭間の勝利。

 決まり手、七花八裂改からの零ノ掌。

 

 





 補足・説明。
 
 今話は、シカマル戦と狭間戦の決着です。
 サスケ奪還編もあとはラストバトルのみですね。
 シカマルは多少の変化しかありませんが、テマリはなんか強すぎですね。
 これで我愛羅より弱いとかマジですか?
 多由也は直接ズンバラリされず、倒壊する木々に押し潰されたのでギリギリ生きてます。これからに期待ですね。

 狭間と君麻呂戦。
 負傷覚悟で七花八裂改を直撃させ、そこから零ノ掌を叩き込みました。
 そうでもしないと狂信者は死にません(怖)。
 我愛羅の名セリフカットには悩みましたが、我愛羅が戦うわけにもいきませんので。

 あと一、二話とエピローグでサスケ奪還編を終わらせたいです。


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