百式観音を背負いて。   作:ルール

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 自宅のNARUTO単行本に挟まっていたジャンパラ、24巻時期だとD.Gray-manが一巻で、アイシールド21が十巻、ロザリオとバンパイアが一巻だったんですね。
 陰陽大戦記とかも超懐かしいです。
 そしてまだジャンプコミックスが定価410円の時代でした。



原作25巻①

 

「サスケェ!!」「サスケ君!!」

 

 終末の谷。

 かつて初代火影千手柱間とうちはマダラが決着をつけた地。

 そこにあるのは地形を変える戦いを繰り広げた二人の巨大像が向かい合った姿であった。

 木ノ葉隠れの象徴である歴代火影の顔岩よりも巨大なこの石像。

 それは両者の凄まじさを物語っているかのようである。

 柱間像の頭部に立つナルトは滝を挟んだ向こうのマダラ像の上に立つサスケへと呼び叫ぶ。

 やっと見えた背中。

 仲間達が届かせてくれたその背中に必死に呼びかけた。

 

「オレから逃げんのか!!」

 

 既に別れはすませた。

 そう認識しているサスケも逃げる、という言葉はひっかかった。

 だから振り返り、呪印広がるその顔をナルト達へと見せつけた。

 

「よう、ウスラトンカチ」

 

 いつぶりに呼ぶかわからない懐かしい呼び方を言いながら。

 

「(サクラも居るのか)」

 

 チラリとナルトの後ろに居るチャクラを使い切った様子のサクラを見た。

 足止めとして残った音忍はサクラをここまで消耗させる強者だったのかとサスケは思った。

 

「何でだ、何で、そんな風になっちまったんだよォ!お前は!!」

 

 過ごした日々がナルトの脳裏を駆けめぐる。アカデミー時代から対抗意識のあった存在。

 けれどナルトとサスケとの繋がりは、下忍になり第七班になってから。

 あの日から始まった日々が今のナルトを形作った。イタズラとイルカが向き合ってくれたことと一楽のラーメンだけが全てだったナルトに、多くのものを与えてくれたのだ。

 だからこそ、そんな大事な第七班から木ノ葉隠れから飛び出そうとするサスケにナルトは納得が出来なかった。

 

「オレにはオレの道がある。

 ナルト、お前が火影に成ろうとするようにだ。  

 目的の為に選んだ道を、誰かに指図される義理はねェ」

 

「!?」

 

「はっきり言ってやる。

 木ノ葉ではオレは目的を果たせない。

 だからオレは大蛇丸のもとへ行く。

 助けなんかいらねえ、オレは自分の意思で選んだんだ。だからもう帰れ」

 

 大蛇丸による無理強いなどではない。

 リスクを承知で選んだ選択。

 だから説得など無意味なのだとサスケは告げた。

 

「納得できねえよ、納得できるわけねえだろ!!サスケェ!!」

 

 滝を越えて飛びかかるナルト。

 だろうなとため息をついたサスケは飛びかかってきたナルトと組み合う。

 

「そうかよ、そうだろうな。

 だったら、力尽くで来い!!」

 

 こうなることはわかっていた。

 こうなるだろうと狭間は言っていた。

 だからサスケはナルトを倒しても進むと決めていた。

 兄を倒す力を得る為に、ダチを守る力を得る為に、ダチを倒すと決めていた。

 呪印が身体に馴染むのがわかる。

 組み合うナルトを押し切り首を掴んで持ち上げて腹を殴って吹き飛ばす。

 あの仮死状態は自分に力を与えたことをサスケは実感していた。

 

「こんなもんじゃねーよなナルト。

 この程度じゃ足止めにもならねーぞ」

 

 川へと落としたナルトにサスケはそう語りかけた。傍にいたから知っている、ナルトの危機的状況での爆発力を。

 だから今の一撃なんかで怯まないと理解している。

 

「サスケエエエエ!!」

 

 水中から勢いよく飛び出すナルト、その手には螺旋丸が握られていた。

 それを見たサスケは印を結び千鳥を発動。

 木ノ葉病院では狭間に邪魔された螺旋丸と千鳥の衝突は、以前のサスケなら押し負けていただろうが呪印が馴染んだことにより同等の破壊力となっていた。

  

「ったく、いつも後ろにいたヤツがなあ」

 

 気がつけばもう横にいる。

 その事実にサスケは焦りよりも喜びが湧き上がっていた。

 ぶつけ合った衝撃で吹き飛び滝下へと落下する二人。

 涙を流すナルトと笑みを浮かべるサスケ。

 その感情はあまりにも違い過ぎた。

 

「ドベだったオレも皆が居たからここまで強くなれたんだ。木ノ葉に居てもこんだけ強くなれんだ。

 それじゃあ、駄目なのかよ」

 

 弱音のようなナルトの呟き。

 成長を実感してるからこその想い。

 だがそれは知らないから思えるのだ。

 強くなれたからいつか届くとナルトは思うことができる。

 

「駄目だな。足んねえよ」

 

 だがサスケは、本物の天才を知っているから足りないとわかるのだ。

 このままでは足りない。

 うちはイタチには届かないと悟ってしまったのだ。

 

「狭間よりも強いアイツを殺す為には、狭間には無い力を得なくちゃいけない。

 それだけのことなんだよ!!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

  

 言葉では無理だとナルトはようやく理解した。

 サスケの意思が揺らがないことをナルトはようやく理解した。 

 皆で強くなって皆でうちはイタチを倒そうぜ、なんて笑いながら言うことはできない。

 出来る出来ないじゃない。

 そんな軽々しく言って良いことではないのだから。

 サスケはもう決めた。

 その決意を捻じ曲げることは、そうさせないとする行為は、自分がサスケから離れたくないというワガママに過ぎないのだとようやくわかった。

 サスケの為じゃない。

 自分の為の勝手な願望なんだとナルトは気づくことができた。

 だから、

 

「力尽くでテメェを止めてやるってばよっ!!サスケェ!!」

 

 後はもうそれを貫き通すだけなのだ。

 万民すべての願いが叶うことはない。

 他者と願いが重なった時、その願いを踏み躙ってでも進まねばならない。

 

「来いよ」

 

 ブレていたナルトの想いが固まったことをサスケは察した。

 これからが戦い。  

 互いの願いを懸けた戦いが始まる。

 

 

 少年達は一人だった。

 最初から何も持ってない少年と。

 全てを奪われた少年。

 同じような存在がいると知り安心した少年は、嬉しくなり見つけた少年へと話しかけたかった。

 だけど声はかけられなかった。

 その少年はなんでもできて、いつも皆に持て囃されて自分とは違い過ぎたから。  

 だからライバルに勝手に決めて、負けたくないと対抗心を抱いた。

 意地をはってしまった。

 口に出せない想いがあった。

 うずまきナルトはうちはサスケみたいになりたいと思っていた。

 うずまきナルトはうちはサスケに憧れていたのだ。

 だから、

 そんな存在に認められた時に嬉しくて、とっくに友達だったんだと気づけたんだ。

 

 

「火遁・鳳仙花の術!!」

 

「多重影分身の術!!」

 

 行ってほしくない。

 手放したくない。

 この繋がりを断ち切りたくない。

 そんな想いがナルトを突き動かす。

 呪印が馴染むことで向上した身体能力、そこに写輪眼の補正とサスケのセンスにより練度が高い四大行が加わりナルトの群れを蹴散らす。

 膨大なチャクラを持つナルト。

 そのチャクラを活かす戦術を身に着けつつあるが、技量の点では他の面々にどうしても劣る。

 ゆえに戦えば圧倒されてしまう。

 地力の差。

 一人だったがゆえに誰も指導してくれず努力の仕方がわからなかったナルトの他の者達に劣る点だ。

 

「こんなんじゃ相手にもならねえよ」

 

 千鳥を会得したサスケは四大行【凝】を得意としている。

 チャクラを集めた腕は無手であっても容易くナルトの影分身を刺し貫く。

 

「ああ、わかってるってばよ!!

 変化・十人羽織の術!!」

 

「「「「うずまきナルト十倍だあ!!」」」」

 

 そんな地力の差を覆してきたナルトの力、それが発想力。

 戦闘中にもアイディアを思いつき、それを実行する事で窮地を乗り越えてきたのだ。

 変化・十人羽織の術。

 劣化キングナルトの術とも言える忍法。 

 単なる影分身体ではあっさり負けるならば十人の影分身体を一人に纏めて強化する忍法だ。

 なので影分身体十倍であって、うずまきナルトが十倍の出力や実力になるわけではない。

 

「斬新な強化案だな(最初からその十倍個体を影分身すれば良いだろうに)」

 

 術の微調整がいまいち下手なナルトなりの影分身の術の活用方法である。

 

「「「いくぜぇ!!」」」

 

「たく、びっくり箱みたいなヤツだよお前は」

 

 ナルトに対してそう苦笑し、

 

「(狭間は地雷原みたいなヤツだが)」

 

 先ほどまで居た草原から尋常ではないチャクラの鳴動と爆発音を感じ取りながら、サスケは思った。

 今度は何をやらかしたアイツ。

 

 

 ナルトとサスケの戦いは続く。  

 強化された影分身体集団の猛攻を掻い潜りナルト本体へと【凝】の手刀が突き刺さる。

 急所は意図的に外したがこれで終わりだとサスケは思ったが、人柱力であるナルトは生命の危機になれば無意識で尾獣のチャクラを引き出してしまう。

 目元の両三本線が濃くなり獣のような動きとなる。

 

(この赤いチャクラが九尾のチャクラか)

 

 もはや同期らで知らない者などいないナルトの事情。その身に封じられた九尾の存在。

 ここからがナルトの真の力なのだ。

 これを引き出した状態がナルトの本気なのだ。

 

(そうか。

 コレをイタチは狙ってやがるのか)

 

 実の兄であるうちはイタチ、あるいは所属する組織が欲する力。

 眼の前に居るだけで身がすくんでしまいそうなこの力を欲する輩がいる。

 手に入れて活用できる奴らがいる。

 友から引き摺り出して奪おうとする連中がいる。

 

「なら、今のお前に負けるわけにはいかないよ」

 

 今のナルトにすら勝てなければ、守ることなんてできるわけがないのだから。

 

「それはオレも同じだってばよ!!」

 

 四代目火影の封印から九尾のチャクラを引き出して身に纏うナルト。

 奪うというよりは面白がった九尾がチャクラを与えてる面もあった。

 ナルトのような人柱力もサスケのようなうちはも九尾は見たことがなく、関心を抱いていたのだ。

 九尾のチャクラを纏いだしたナルトは三つ巴の写輪眼でもその動きを見切れない。

 正しくはナルトの猛獣のような動きは見切れても、ナルトから伸びる意思があるかのようなチャクラを見切れない。

 我愛羅との戦いを彷彿とさせる型にとらわれない自由自在な動きというわけだ。

 そんな状態のナルトの攻撃を凌げているのは万華鏡写輪眼に至っているからなのだろう。

 我愛羅との戦いの経験も活きている。

 今のナルトは砂という媒体の無い我愛羅のような状態なのだから。

 

(それでも勝つには今の状態だと分が悪い)

 

 我愛羅の砂の鎧に似たナルトのチャクラの毛皮を突き破るには呪印状態1では無理だ。

 だから、

 手に入れた呪印状態2を発動した。

 髪は伸び、皮膚や眼の色が変わり、顔に十字の紋様が出る。

 そして背から翼のような両掌が生えた。

 木ノ葉で音の四人衆が見せた状態2をサスケは自分の意思で制御していた。

 

「もう終いにしようぜ。この戦いを」

 

 チャクラ切れとはいえサクラがいつ参戦するかわからないし、狭間達もいつ合流するかしれない。

 ならばこれで終わらせる。

 

「・・・・・・これで負けたら、木ノ葉に帰れよサスケ」

 

「良いだろう、テメェが勝てたらなナルト」

 

 九尾のチャクラを纏っているからか、影分身の補佐もなく螺旋丸を作り出したナルト。

 ただの螺旋丸ではない、九尾のチャクラを使用したがゆえに小規模の尾獣玉のようなモノだ。

 千鳥を発動したサスケ。

 自然エネルギーをより強く取り込んだ呪印状態2であるがゆえにただの雷遁ではなく黒く迸る。

 終末の谷。

 うちはマダラと千手柱間の巨大像の足元から異形の翼を羽ばたかせ飛ぶサスケとチャクラの尾を振り下ろし加速したナルトが互いに術を構えて激突した。

 

「千鳥!!」

 

「螺旋丸!!」

 

 その爆発は終末の谷を流れる滝すらも弾き飛ばした。

 

 

 

 

「こっちだ」「アン!!」「ああ」

 

「急げ、じゃないとサスケが行っちまうぞ」

 

「「「「応援に来たくせに一番重傷になって運ばれてるヤツが仕切るな!!」」」」

 

 それぞれの戦いを終えた救出チームは音の四人衆と君麻呂を撃退した後に砂隠れからの増援と狭間を加えて合流した。

 今はキバと赤丸とネジの感知タイプを頼りにサスケを追いかけている。

 ちなみに木ノ葉の増援である千手狭間は包帯でミイラのようにぐるぐる巻きである。

 君麻呂との戦い。  

 その姿はその激しさを物語っていた。

 さらにチャクラも全て使い切ったせいで回復もロクにできずに動くことすらできない。

 完全なるお荷物状態だ。

 

「悪いな我愛羅、ウチのヤツが」

 

「気にするな、君麻呂とやらの戦いでオレは見ているだけだったからな」

 

 砂隠れからの応援で一番の戦力にも関わらずなにもしてないことにむしろ我愛羅は申し訳なさそうだ。

 

「それはオレも同じじゃん、合流した時には終わってたじゃん」

 

 それはカンクロウも同じこと。

 彼はある程度治療した音の四人衆達を傀儡人形黒蟻に収納して運搬してるだけである。

 

「助かってる事にはかわりはねえよ」

 

 それでもシカマルはリーダーとして礼を言う。万全な彼らがいることで安心して進むことができるのだから。

 

「雨が降り出してきた。臭いが流れる前に見つけないとね」

 

 ぽつりぽつりと降り出してきた雨を感じながらテマリは焦りながらそう言った。  

 雨中の追跡は非常に困難なのである。

 

「お前らっ!?」

 

 そんな中、なんと木ノ葉上忍のはたけカカシまでも合流してきた。  

 任務を終えたカカシはサスケの件を知り慌てて追いかけて来たのだ。

 

「どもカカシ先生」

 

「・・・・・・無傷かズタボロかの二択だよな狭間って」

 

 なんで一番の実力者が一番重傷なんだ?とカカシは疑問に思うが、狭間のことだから一番強いやつを引き受けたんだろうと察した。

 

「終末の谷、そこにナルト達は居ますよ」

 

 森を抜ければすぐの場所。

 救出チーム+砂隠れの援軍+狭間+カカシは急ぎ向かった。

 

「・・・・・・・・・・・・追いつかれたか」

 

 千手柱間の像の傍らで意識なく倒れ伏すナルトを抱えたサクラ、うちはマダラ像の傍らにうちはサスケは佇んでいた。

 

「「「「サスケ!!」」」」

 

「でも、まあ今更止まる気はねえよ」

 

 全員がサスケを認識した瞬間、その瞳は発動した。

 

「これは!?」

 

「万華鏡写輪眼、か」

 

 気がつけばその場の全員は渇き果てた荒野に立っていた。

 意識を幻術空間に引きずりこまれたようだ。

 その荒野の先にうちはサスケは居た。

 

「なあ、皆」

 

 引き止めようと声は出ない。

 この空間の支配者はサスケなのだ。

 なんとかできないかと視線を巡らすとあることに気づいた。

 全員の、倒れ伏すナルトの手からも光る糸が伸びて、サスケの手に繋ぎ結ばれていたのだ。

 

「行ってくる」

 

 その糸が絆であると全員がわかってしまった。

 だから、大丈夫だと言わんばかりにはにかむサスケをただ見送るしかなかった。

 

 意識が現実へと戻る。

 其処には先ほどまで居たサスケの姿はもう何処にもなかった。

 

「帰ってこいよ、必ずな」

 

 旅立つ、否、巣立った部下にはたけカカシはそう呟くのであった。

 

 うちはサスケ奪還任務失敗。

 うちはサスケ音隠れ潜入任務成功。

 

 





 補足・説明。
 
 今話はナルトとサスケの戦いの決着です。
 原作との違いがチラホラあります。
 なおナルトがサスケには反応して狭間にはあまり反応してないのは、当時からそれだけ違う存在過ぎたからです。
 めっちゃ楽しそうにひたすら正拳突きしてましたし。

 サスケの心境の変化は狭間の影響です。
 サスケがサクラと言葉を交わさなかったのは、夜中に会話したから言うことがなかったのです。

 あとはエピローグでサスケ奪還編は終わりですね。


 
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