二年後のあなたへ   作:natsuki

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第十一話 二年前の王

 二年前。

 

 イッシュ地方はプラズマ団の脅威に襲われた。彼らは『人間とポケモンは切り離すべきである』という思想のもと、各地で演説を行い人々を悩ませた。

 

 しかしそれこそがダミーだった。プラズマ団はある人間を英雄(=王)として立て、伝説のポケモンを用いてイッシュを征服しようと考えていたのだ。

 

 その王と呼ぶ存在こそが――N、ナチュラル=ハルモニア=グロビウスである。

 

 ナチュラルは昔からポケモンに囲まれて育った。母はポケモンと話すことの出来る不思議な能力を持っていたらしく、彼もその血を引き継いだことになる。

 

 その力に目をつけていた父、ゲーチスはナチュラルを軸としたイッシュ征服計画を始動。彼にその為の準備を行わさせた。

 

 一に、『王としての知識』をつけさせること。ハルモニア家はかつてサザナミ沖にあったとされるポケモンの王国で唯一就任した人間の王がはじまりであり、即ちゲーチスにもナチュラルにもその血は流れているのだ。

 

 知識としてまずは帝王学、哲学、物理学、代数、幾何学。知識となるもの全てを詰め込ませた。

 

 更にゲーチスはナチュラルの軟禁を決行。プラズマ団の城のとある一室にナチュラルを軟禁し、完全に人の繋がりをシャットアウトした。

 

 即ち、それは彼から“人間らしさ”を奪うことに値し、だから彼はポケモンを人間から切り離すことに何の違和感も覚えなかった。

 

 しかし。

 

 彼との出会いが後のナチュラルを大きく変えることとなった。

 

 彼の名前はトウヤ。カノコタウン出身のポケモントレーナーで、ポケモントレーナーの一般例に漏れず、ポケモンリーグを制覇しチャンピオンになることを夢とした少年である。

 

 ああまたか、とナチュラルは彼に初めてあった時に感じたという。彼はもう幾千幾万とポケモントレーナーを見ていた。そのどれもがポケモンを道具としか思ってない人間ばかりだ、とナチュラルは深い溜め息をついた。

 

 しかし、彼のポケモンの声を聞いたとき――明らかにそのとき、『他のポケモントレーナーとは違う』気持ちを持ったポケモンに出会ったのだ。

 

 

 ――『スキ』

 

 

 恐らく、上辺ではない好意を示す(もしかしたらそれ以上かもしれない)単語。彼はそんな言葉をポケモンから聴けるなんて思っていなかった。だから、悩んだ。混乱した。

 

 トウヤの動きを暫し観察することをプラズマ団が決定としたとしてもナチュラルの中にはそのことによる痼が出来ていた。

 

 ナチュラルは彼を試した。電気石の洞穴で、リュウラセンの塔で、Nの城で。理想と現実、ポケモンと人間、その二つの意志を持ち、争った。夢はあるか。希望はあるか? ポケモンをどう思っている? しかし……結局は勝利したのはトウヤだった。

 

「……Nさまは、その後旅に出ていった。自分自身を鍛え直す、旅に……。確か一匹のゾロアだけを連れていっていた気がしたな」

 

 ロットは長い間話したのか、疲れたらしく(愛の女神とほぼ同じ話を分けて話したというのもあるのだが)、その服装には似つかわしくないミックスオレを飲んでいた。

 

「……しかし、Nさまが帰って来られたとなると今のプラズマ団の状況を見てどう思われるか……。特にエクス・プラズマ側がどう出るのか」

 

 そのときだった。突如地響きが起きた。

 

「な、なんだ?!」

 

 キョウヘイは急いで外に出た。西の方を見ると掘削作業をしていた作業員が沢山出てきていた。どうやら原因はあそこにあるらしい。

 

 そして――そこからゆっくりと大きなポケモンが現れた。

 

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