部屋の中から3人の話し声が聞こえてきた。このように、ドアの向こう側まで話が聞こえている場合することは何か、勿論盗み聞きだ。俺は学校時代もよく盗み聞きをしていたが、聞いた話の内容の大半は聞かなければよかったと思うような内容ばかりだった。
しかし、この3人が話す内容はそんなことではないだろう。なんせ風月さんがいるのだからな。この館の中で俺に優しく接してくれる人の1人だ。初対面では風月さんに殺されているが、そのことを忘れさせられるほどにいい人ということはわかっている。そんな人がいる中で悪口は多分言わないだろう。
俺はいつものようにドアに耳をくっつけ話を盗み聞きした。
風月「また負けちゃいましたぁ~。本当にエシュさんは神経衰弱が強いんですねぇ」
エシュ「それほどでもないよ。ただカードを組み合わせるだけのゲームだからね」
乃愛「それにしてもですよ。歩田と神経衰弱している時もほとんど無双状態だったじゃないですか」
風月「そうですよぉ。どうしてあんなに連続でカードを合わせられたんですか?」
エシュ「ふっふっふ、実はだね時を止めて事前にカードを見て組み合わせていたんだ。だからあんな感じにずっと当てれていたんだよ。・・・これはここだけの秘密にしておいてくれ」
風月「えぇぇぇ!そんなことしてたんですか!?」
乃愛「だからちょうどよく歩田に順番が行く前にカードがなくなったんですね。ていうことは私たちの順番の時も同じようにしていたということなんですか?」
エシュ「あぁそうだ。下着になるつもりなどは無らなかったからな」
乃愛「そうらはそうですね。私たちはエシュさんが時を止めてくれたおかげで、確実に負けなくて済んだということですね。まぁ、そんなことしなくても負けてはいなかったと思いますけど」
風月「でも、少し申し訳ないですね」
エシュ「そんなこと感じる必要はないよ風月。あいつに温情など必要ないからな」
俺はここまで聞いた。もう会話を最後まで聞くなんてどうでもいいから、一発エシュを殴りたい気分になった。ここまできたら殴ってもいいだろう。俺の予想通りやはりエシュは不正をしていた。ここで殴らなけりゃ気が済まない。俺はドアを思い切り引こうとする・・・
心「ふーん、盗み聞きかい?」
歩田「ヒッ!?」
急に声をかけられたものだから間抜けな声が出てしまった。本当に急に話しかけてこないでほしい。少し寿命が縮んだような気がした。
心「怒るのも無理はないかもしれないけれども、女の子を殴り飛ばしちゃいけないわよ?」
歩田「あいつは女じゃありません」
心「あら、なかなかに酷いことを言うじゃない。あなたもエシュさんに助けられたんでしょう?」
歩田「助けられた?ただ拾われただけですよ?」
心「確かにそんな感じだったのかもしれないけれども、ほとんど助けられたようなものでしょう?貴方はこっちに来る前に自殺も計画したことがあるでしょう?」
歩田「え?何で知ってるんすか?」
心「何貴方の記憶を見ただけよ」
歩田「人の記憶を勝手に見るのはいかがなものかと思いますが?」
心「見られる方が悪いじゃない」
歩田「・・・」
何と返していいかわからずに俺は黙ってしまった。て言うか俺この人に記憶見られてたんだ。じゃあ俺の黒歴史もたくさん見たわけだな。・・・うん、恥ずい
心「そう言えば貴方、今暇?」
歩田「いいえ、暇じゃないです。これからエシュを殴り飛ばすと言う予定が・・・」
心「だから、殴るのはやめなさいって」
歩田「だって、あいつのせいでエシュ含め6人に恥ずかしい姿を見られたんですよ?」
心「6人?7人のはずだけど」
歩田「えっ?エシュ、風月さん、乃愛さん、心さん、裳世さん、女召さんの6人でしょう?」
心「いいえ、そこに栞ちゃんが入るわ」
歩田「はっ!?館内に入れるわけないでしょ。俺がいくらバカだってそんくらいの嘘ぐらいわかりますよ?」
心「嘘じゃないわ。栞ちゃんが見たのは館内から見たんじゃなくて、館外から見たのよ」
歩田「いつですか?」
心「貴方が私に土下座している時よ」
歩田「オワタ」
心「明日の記事もきっと貴方ね」
歩田「あぁ、神よなぜこんなにも災難が降りかかるのでしょうか?」
あまりにも絶望感が深すぎてエシュに対する怒りも忘れてしまった。今はただ絶望するしかできなかった。