麗奈さんが手加減してくれたおかげか、傷はすぐに治った。傷がないということは動けるというわけだから俺はまた逃走を開始した。
麗奈「ちょ、待ってぇ」
歩田「逃げるんだよ〜ん」
俺は全力ダッシュで逃げる。どうやら足の遅い俺よりも麗奈さんの方が足が遅いらしい。そのため俺と麗奈さんの差はどんどんと開いていった。まぁまぁ、でかい病院だったが敷地がめちゃ広いなんてこともなかったので、思ったより早く病院から抜け出せた。
麗奈「ちぇっ、逃げられた。あの時本気で殺ればよかったなぁ」
まぁ、いた時間は短かったけどグッパイ安心亭。
◆
スタスタ
・・・あれからどれくらい経ったのだろう。日が暮れ始めているから2時間くらいか?・・・全く、来たことのないところで逃走だなんて簡単に実行しない方が良かったかもしれないな。
ん?「何があった」だって?まぁ、お察しの通り迷子になったわけだな。俺は最近いろんなことを体験した。気絶もこんな短時間で何回もした。そして生まれて5回目の迷子も経験した。災難といえる災難ではないが、このままエスカレートしていけば異界が壊れてしまうかもしれない。・・・それはないか ️
???「おや君、迷子かい?」
突然、知らんおっさんに話しかけられた。なかなかにダンディーでカッコイイおじさんだ。
歩田「まぁ、恥ずかしいことに」
???「君をどこかで見た気がするんだが、会ったことはあったかな?」
歩田「ないかと。でも新聞で見たっていう可能性はありますね」
???「あー!確かに新聞で見たな!確か歩田君だったかな?」
歩田「えぇ、ところで貴方は?」
俺はずっと気になってたことを聞いた。
焔紫「そういえば忘れていたな!我の名は焔紫薙倉命(ほしなぐらのみこと)だ!」
歩田「かっこいい名前ですね!なんか、神っぽい名前なんですね」
命っていうのは大体神についている名前のはずだ。
焔紫「まぁ、神だしな!」
歩田「え?」
焔紫「我は神だ」
歩田「えっ?神?」
焔紫「あぁ、神だ!」
そんなサラッと神だなんて言わないでくれよ。と、俺は心の中で思う。てか、神ってこんな見た目してるの!?もうちょっとピカーンって感じで頭がツルピカかと思っていたが意外にそうじゃないらしい。
焔紫「てか、歩田も神だろう?」
歩田「はっ!?なわけ」
焔紫「いや、神力が備わっているから神だろう。で、なんの神だ?」
歩田「いえっ、そんな神とかじゃないですよ」
焔紫「うーむ、このままじゃらちがあかん!よし!俺についてこい!」
歩田「えっ!?」
俺は腕を掴まれて引きずられるようにしてどこかへと連れていかれる。全く元気のいい神様だ。
〜約二時間後〜
焔紫「ほら!ついたぞ!」
歩田「あっ、はい」
・・・なっがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!2時間歩いたよ!?普通長くても30分とかじゃない!?もう2時間も歩いたんですけど!
焔紫「ここが我等の家だ!中に入れ!」
「我等」?
???「おかえり〜、焔紫・・・とだれ?」
焔紫「あぁ!こいつは歩田っていうやつだ!こいつは見た所神なんだがなかなか神だと認めなくてな!」
歩田「こんばんは」
???「えぇ、こんばんは」
何だこの人!美人すぎる!!華奈、麗奈さんといい、今日は美人デーなのか!?
???「あら、どうしたの?顔が赤いわよ?」
歩田「いえ、何でも」
焔紫「ハッハッハッ!歩田もやはり男なのだな!」
「余計なこと言うな!」と、俺は心の中で言う。
歩田「まぁ、そんなこと置いといて俺は神じゃないですよね!?名前は知らないけど、貴方もそう思いますよね!?」
天美「いえ、完全に貴方は神よ?後私の名前は天美穂翠大神(あみほすいおおきみ)よ。美しさを司っているわ」
あぁ、だからこんなに美しいのか。納得納得。で、俺神なの!?
歩田「俺神なんすか!?」
焔、天「そうだ(よ)」
歩田「えぇ?でも、何の神なんですか?」
焔紫「我じゃわからぬが、あいつだったらわかるかもな!なぁ、天美?」
天美「まぁ、そうね」
歩田「ええと、あいつって言うのは?」
焔紫「そっちの襖の奥の奥でぐーたらしてる、駄目神だ。」
???「誰が駄目神だって?焔紫」
焔紫「お、起きていたのか」
奥の方から男なのか女なのかわからない神が出てくる。
???「まぁな。で、そいつは何を司っているかだって?」
焔紫「あぁ」
???「まぁ、簡単にいえば『不老不死』だな」
歩田「えっ?不老不死?俺の能力は体が再生する程度の能力のはずじゃ?」
???「そりゃ、勘違いだろうな」
歩田「えぇ?」
まさか、不老不死だったなんて。でも俺は17歳になるまで成長もしたし、勿論少しぐらい老けてもいるはずだ。
歩田「不老不死って、老けないんですよね?」
???「あぁ、そうだが?」
歩田「でも俺、現世で少しくらいは老けたと思いますよ?」
???「そりゃ、現世だからな。お前はきっと異界の神なんだろう」
歩田「でも、俺は現世生まれですよ?」
???「きっとお前の家系はややこしい感じになってるんだろうな」
ちょっと待て、俺が異界の神だって?現世生まれなのに?あと普通神とかっていう情報はこんなすぐに出てくるんじゃなくて、もうちょと生活した後に出てくるもんじゃないのか?
天美「ねぇ、現世生まれの異界神ってさ・・・」
???「あぁ、間違いなく烏皇呼杜神(うみのことがみ)の子だろうな」
焔紫「・・・」
歩田「全く話についていけないんですが・・・」
???「すまんな。説明するからよく聞けよ?かなり昔に卯巳狐鳥神(うみのことがみ)という神がいてな、その神は元々冥界に住んでいたんだが、冥界が嫌になって一度異界に来たんだ。そして新たに異界で烏皇呼杜神となったんだ。だが、また異界も嫌になって現世に出たんだ。しかし、現世では神の力が使えなかったんだ。力を失うと同時に神特有の老いることがないという能力まで失ったんだ。そして段々と老いていってやっと自分の行いを後悔したんだ。そして、死まで後30年ほどになった時に自分以外の神と出会った。烏皇呼杜神はその神と仲が良くなり子供が4人できた。男が1人、女が3人だった。それから25年後に烏皇呼杜神は死んだ。しかし、死ぬ直前に烏皇呼杜神は自分の子供らに「私の家系の子供の500人ごとに異界の神が生まれる」という一種の呪いをかけたんだ。そしてその500人目が焔紫薙倉命で、1000人目がお前なんだろうな」
歩田「へ、へぇ」
なっが!てか俺焔紫さんと血繋がってるの!?
???「いやぁ、でもこんな偶然もあるんだな。焔紫と血が繋がってるやつがたまたま異界に来て、たまたま焔紫と出会うとわな」
焔紫「あぁ、我も烏皇呼杜神の子供と確信した時に腰が抜けそうになったぞ」
天美「本当に驚きね」
歩田「えぇ、本当に」
蔌雅「そういえばまだ俺の自己紹介をしてなかったな。名は蔌雅愚翁焔尊(すがぐおうのみこと)万物の創造と森羅万象を司る神だ」
歩田「なんかすごそう」
蔌雅「まぁ、神の中でもかなり強い方だが焔紫にはかなわぬな」
焔紫「まぁな!」
歩田「焔紫さんってそんなに強いんですか?」
焔紫「あぁ!神の中だと10番目ほどだな!」
歩田「じゃあ結構強いんですね」
天、蔌「当たり前よ(だ)」
歩田「へぇ、じゃあ一番強い神って誰何ですか?」
蔌雅「まぁ、ロキロスだろうな。魔界の創造神だ。たしか、魔法を操ってたよな?」
焔紫「あぁ、魔法を扱う神だな!」
歩田「創造神、か」
おれ?魔界の創造神って神綺じゃ?幻想郷もあるってエシュが言ってたし、・・・どういうことだ?
歩田「あの、魔界の創造神って神綺じゃ?」
蔌、焔「神綺?」
天美「神綺が魔界を作ったのはあっち側の世界ね」
歩田「あっち側?」
天美「えぇ、私たちから見たらいわゆる、裏側の世界ね」
歩田「裏側?」
ちょっと待って?今日いろんな情報が渋滞してるよ?ね?裏側の世界?ナニソレ
天美「まぁ、ここはどうでもいいわ。ただ、こっちから見ればこっちが表側の世界で、あっちが、裏側の世界ってことよ」
歩田「あぁ、わかりました(分かってないけど)」
焔紫「まぁ、とりあえず用事は済んだから歩田じゃあな!」
歩田「え?」
ビュワーン!!!!
歩田「ぎゃああああ!!!!!」
焔紫さんは神社の戸を開け、俺を投げた。とんでもない速度で俺は投げられてあっという間に館の壁を突き破って中入った。