第6話 火の魔法
俺らは小走りで4階へと向かい、階段を上がると廊下には番号の振られた部屋が12個。奥の方にはトレーニングルームと書かれた部屋がある。
廊下は今までの階の幅に比べると、かなり狭く思える。大体学校の廊下と同じくらいの幅だ。確か風月は10番の部屋になると言っていたため、10と書かれた部屋にいるのだろう。
しかし、改めて思うがこんな広さで戦いなんてできるのだろうか。いざ戦うとなったら窮屈そうだ。
俺たちは10と書かれた部屋まで歩く。
エシュ「ここかな?歩田入るよ。」
歩田「はーい。(なんかエシュ、母親みたいな感じだな。母性を感じる。)」
ここの扉も音が鳴らないタイプらしい。
静かにドアが開くとそこには、架空の相手と戦闘している風月の姿があった。
あれ?なんかめちゃくちゃ広くね?
歩田「外から見た時よりもこの部屋なんかデカくないですか?」
エシュ「あぁ、これは外国にいる空間を操る程度の能力を持つ人に作ってもらったから、外から見た時よりも広いんだよ。」
歩田「へー、」
そんなことを話していると、こちらに気づいた風月がこっちに歩いてきた。
風月「結構早くきたんですね。」
エシュ「あぁ、歩田の食べる速度がとんでもなくてね。」
風月「そういえば、自己紹介の時も食べるの早かったですもんね。」
歩田「そんなにですか?」
確かに俺は小学校の時から友達に、「お前食べるの早すぎだろw」と言われてきたけれども、自分ではそんなに早く食べているつもりはなかったから、ただ周りの人が食べるのが遅いと思っていた。
しかし、異界の人たちから見ても早いのならば、俺の食べる速度が早かったのだろう。これからは少しゆっくりめに食べようかな?
そういえば、俺はずっと『友達』って言っていたけれども、俺は友達が一人しかいなかったから、『友達』じゃなくて『友人』の方がいいのでは?俺の『友人』にはたくさん友達がいたなぁ。『友人』がたくさんにたらもっと楽しかったんだろうなぁ。
うん?なんで涙が?
風月「どうしたの歩田?何か悲しいことでもあった?私でよければ相談、聞くよ?」
すごい優しいなぁ、この風月は。俺が女子に優しくされることなんてほとんどなかったのに。母親も冷たい人で優しくされたことないのに。
エシュ「歩田君、目から水魔法を使っているところ悪いんだけど、今から、魔法を教えるからね。」
風歩「はーい」
目から水魔法?これは涙がわからなかったのか、男なのに女の前で泣いている俺を気遣ってくれたのか、ボケて笑いを取ろうとしているのか、よくわからないな。
取り敢えず、今から魔法を教えてくれるらしい。
そういえば、杖とかって必要ないのかな?ハ○ーポッ○ーでも杖を使っているし、○○の○○ー○ンでも大きめだけど杖を使っているよな?
風月「杖って使わないんですか?」
俺が気になっていたことを代弁するかのように、風月がエシュに聞く。
エシュ「使わないよ。杖を使ってもあまり魔法の威力とかが変わるわけでもないし。あれはただ、魔法を発生させる場所を安定させているだけだしね。」
ふーん、杖って使わないのか。魔法使い 杖みたいなイメージがあったけど、異界では案外そうではないらしいな。杖を使ってみたかったけど必要ないならわざわざ使う必要なんてないよな。
エシュ「じゃあまず初めに、君たちが持っている魔力属性について調べてみるね。」
歩田「エシュさん、魔力属性ってなんですか?」
エシュ「いい質問だね。魔力属性っていうのはだね、その人が生まれながらに持っている魔力による属性だよ。魔力属性は完全に生まれた瞬間に決まるからね。こればっかりは努力しても属性が増えることはない。また、自分が持っている魔力属性以外の、属性魔法は決して使うことができないんだ。属性は全部で、18種類。火、水、土、雷、石、風、植物、氷、毒、闇、光、月、日、無、精神、空間、創造、時間、だよ。」
歩田「ありがとうございます。」
エシュ「じゃあ見てみるね。」
俺は何種類持っているんだろう?結構多かったらいいなぁ。
エシュ「まずは風月から。」
風月(なんだろうなぁ、私の魔力属性。)
エシュ「風月の魔力属性は.......火属性、土属性、雷属性の三つです!よかったね!結構強いよ!次、歩田!」
風月さん結構強そうな属性の魔法使えるんだなぁ。
次は俺の番だよな。ワクワク、ワクワク。
エシュ「えーと?うん!?」
ん?どうした?めちゃくちゃ驚いているが。ここにきていらい、初めてエシュが取り乱す姿を見たな。いた時間少ないけど。
エシュ「スゥ、歩田の魔力属性は....時間属性以外の全てです!人間でこれはやばいです。はっきり言ってチートです。神に愛されているとしか。」
!?まじか、俺神に愛されてたんだ。時間以外の全てって、時間はなんで使えないんだろう?まぁ16個も使えれば全然いいけど。
歩田「ちなみにエシュは何属性使えるんだ?」
エシュ「勿論、全部。ドヤァ」
やっぱり全部使えるのか。さすが自称すごい魔法使い。なだけあるなぁ。
風月「全部の属性を使える人って何人いるんですか?」
確かに気になる。冥さんとかは全知全能だから使えそうだなぁ。
エシュ「私が知っている人だと、私含めて四人。私と、冥と、君たちは知らないと思うけどブース・ヘクサと、魔界に住んでいる、ディシュ・ティアークスタだね。ヘクサは北に住んでいる魔女で強奪する程度の能力を持っている、最悪の魔法使いだ。ティアークスタは魔界にいる最強の魔法使いだよ。」
歩田「最強っていうのは、エシュさんよりもですか?」
エシュ「あぁ、私よりも強い。異界に移り住んでも強さは2位くらいだね。」
エシュさんよりも強いなら、とんでもない技とかが使えるんだろうな。
そもそもの話、魔法使いは何人いるのだろうか?
自分自身能力を持っているのに、魔法を使う必要はあるのだろうか?
エシュ「じゃあ、まず初めにどちらも使える火の魔法からやっていこうか。」
風歩「はーい」
遂に始まるゾォ。案外簡単に出せたりして。
エシュ「最初は両手同士を向かい合わせるようにして、手と手の間隔は20センチくらい開けてね。」
こんな感じかな。
エシュ「じゃあ、その状態で火が起こるのをイメージしながら、自分の中にある魔力を、手と手の間に溜めるみたいな感じに念じてね。」
言われた通りに火が起こるのをイメージする。俺がイメージした火は、マッチについた火だ。理科の実験とかに使ったやつを思い描く。そして魔力を溜める感じで念じる。
歩田「はぁぁぁーーーーー!」
と声を出したがやはりつかない。どうしようかと考えていると、隣が少し騒がしくなったきた。
どうやらあともう少しで風月が火を起こせそうらしい。
風月「くぅぅぅーーーー!」
エシュ「がんばって!あともう少しだよ!」
風月「くぅぅぅーーーーーーー!!!」
ボッ!
激しい音を立てて炎が立ち上がった。
歩田「くそ!先を越された!」
風月「やったー!!」
エシュ「よくやった、風月!最初でこの時間は属性が多い歩田よりも、才能があるかもしれないなぁ。ニヤニヤ」
クソっ!エシュのやつ、ニヤニヤしやがって!俺も絶対すぐつけてやってあいつの顔に投げてやろう。
風月「あっ、もう消えちゃった。」
エシュ「最初は仕方がないよ。これからだんだんと慣れていけば一日中つけることだって可能になるからね。風月『は』伸び代があるねぇ。」
おい、なんで『は』を強調した?お前はそこまで煽るのが好きなのか?
歩田「くそっ、なかなかつかないなぁ。」
エシュ「想像力が足りないねぇ。まずそこからなのかな?」
想像力?妄想力なら、世界中の人よりもずば抜けていいと思うんだけどなぁ。
想像力と妄想力は違うのかなぁ...。!!!!!!
歩田「それだ!!!!!!」
俺はある作戦を思いつき叫ぶ。
エシュ「何?急に。うるさいんだけど。」
作戦は至ってシンプル。だだ業火に焼かれる自分を妄想するだけだ。想像力不足を妄想力で補うのだ。
早速やってみよう。
<妄想開始>
縄で身体中を縛り付けられている俺は、今から目の前にある業火によって焼き尽くされる。
歩田「い、いやだ!死にだぐない!もっど、いぎだい!」
押さえつけてる人「うるせぇ、お前はここで○ね!」
背中み押されると、俺は抵抗できずに業火に落ちていく。
歩田「あずい!!いだい!○んじまうよぉ!」
一方その頃
エシュ「ん?あ、火ついたよ風月!」
風月「すごい!しかも結構熱くないですか?」
エシュ「あぁ、めちゃくちゃ熱いのが伝わってくるなってか!すげー炎の範囲広がってってるんですけど!」
風月「に、逃げろー!!」
エシ風「うわー!!!!」
エシ風「き、消えた?」
歩田「ふぅ、どうだった?ついた?」
風月「えぇ、とんでもないくらいに。」
歩田「マジで!?やったー!魔法使えるようになったぞぉー!」
なんと!俺の妄想大作戦、大成功だ。これを使えばどんな魔法でも使えてしまうんじゃないのか?
エシュ「まだ、今回使ってもらった魔法は序盤の序盤の基礎だから、これからもっと厳しくしていくよ。風月は明日は当番だよね?」
風月「はい!」
エシュ「じゃあ、風月は二日に一回参加。歩田は毎日参加で朝の8時30分から始めるから、遅れないようにしてね。」
風歩「はーい。」
今日の練習はどれも早かったが、これで終わりみたいだ。次回はなんだろうなぁ。
今日10月24日は俺が魔法を使えるようになった日だ。記念日にしないとな。
今回から本格的に魔法を使い始めます。