青い海の小さなおはなし   作:一般通過社会人

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作戦

 

〜執務室〜

 

指揮官「………ふぅ〜。」

 

シリアス「……ご主人様、申し訳…。」グスッ

 

指揮官「言っとくけど、シリアスの責任じゃないからね?」

 

シリアス「はい…。」

 

ベル「……。」

 

あれから、報告を済ませて戻ってきた。エンタープライズには心配されるだけで済んだが、クイーンにはキレられた。

 

クイーン『今回は初犯だから許して上げるけど、次私の許可なくやったら貴方クビよ!自らを賞品にするなんて…。私の下僕なら、私の許可なく自分を粗末にしない事!もっと自分を大切にしなさい!!』

 

…普通なら責める場面で相手を思いやる言葉が出てくるのが、クイーンに人が付いていく理由なんだろうな。

 

指揮官「……あ〜どうしよ。あっちの編成が分かんないと勝てる物も勝てないよなぁ…。」

 

演習は前衛艦三隻、後衛艦三隻の1チームでやる。実際の海戦のように複数の艦隊を動かす事はできない。

 

指揮官「…まあでも、後衛は大体察しがつくな。」

 

シリアス「恐らく、一航戦の赤城様と加賀様を中心とした空母機動艦隊でしょう。」

 

指揮官「一航戦が出張ってくるのは確定として、もう一枠が怖い所だ。」

 

シリアス「選択肢は2つですね。天城様はKANSENとしてのランクは最高と言って良いUR…此処に差し込んでくるか、もしくは…。」

 

指揮官「戦艦…だな。」

 

完全に後衛を空母にするか、それとも接近された時の保険に戦艦を入れてくるか。

 

ベル「…前衛艦隊の人選も気にする必要があるかと。急進派にはソロモンの悪夢で有名な『夕立』、幸運艦『雪風』が居ます。それに加えて二水戦の華…神通様まで。」

 

おっと。とんでもないのが出てきたんだけど。うーん…。

 

指揮官「流石に戦術じゃ勝てないだろうしな…場数が違う。」

 

シリアス「こちら側には水雷戦が得意な者は居るには居ますが、神通様は初代指揮官様の頃精鋭の水雷戦隊を率いていました。並の者では一蹴されて終わりです。」

 

少数精鋭がこれ程似合う艦隊はないだろう。……。

 

指揮官「戦艦で近づいて殴る。」

 

ベル「…それは無謀では?」

 

指揮官「相手もそう思っている筈だ。だから、それはしてこないだろうと。そこを突く。」

 

シリアス「しかし誇らしきご主人様、天城様がその程度想定していない筈が…。」

 

指揮官「後衛が空母三隻だった場合、こちらも空母三隻出したとしても前衛艦隊の練度の差で詰められて負ける可能性がある。ならいっその事戦艦で固めたほうが良い。」

 

シリアス「……。」

 

水雷戦隊で来た場合、速力勝負では負けるのは確実だ。大型艦では逃げ切れずに近づかれる。なら近づかれてもある程度戦える奴らで固めるしかない。

 

指揮官「…ふぅ。」

 

…勝つしかない。

 

 

〜中庭〜

 

指揮官「…。」

 

寝れない。まあ、危うく誘拐されるとこだったし。

 

指揮官「…ん、3日ぶりですね。」

 

信濃「おや…起きておられたか。」

 

寝ることもできずにボーッと青空を見て居ると、信濃さんが顔を覗き込んできた。

 

信濃「…寝れないご様子。」

 

指揮官「まあ…はい。」

 

信濃「天城がまさかあれ程思い詰めていたとは…代わりにお詫び申す…。」

 

指揮官「やめてくださいよ。俺も不用心でした。」

 

流石に護衛がシリアス一人はダメだった。多少ゴリ押してでももう一人連れて行くべきだった。

 

信濃「…今回の事態、穏健派も重く受け止めており、改めてご挨拶とお詫びをしたい…。」

 

指揮官「……。」

 

穏健派。長門、三笠を筆頭とした派閥。今回の件で何かしら介入してくるとは思っていた。演習に向けてあらゆるKANSENと交流しておくのも悪くない。特に…。

 

信濃「演習の件、妾や武蔵も汝が望むのなら力を貸そう…。」

 

指揮官「…大和型。」

 

そう、大和型。彼女達の力を借りれるのなら真正面からの勝負も現実味を帯びてくる。演習は相手を全て轟沈判定にする他にも、相手の旗艦を先に轟沈判定にさせれば強制的にこちらの勝ちになる。真正面からなら…。

 

信濃「無論、天城らも無策では来ないであろうが…。」

 

指揮官「…。」

 

そこなんだよなぁ…。穏健派が俺に接近するのも想定してる筈。大和型の脅威はあちらも分かっている。信濃さんは大和型の船体を改造して造られた空母。先の大戦ではほぼ未完成で沈んでしまったが、KANSENとしてはその大和型の大きな船体に裏付けされた圧倒的搭載数で最高ランクのURを獲得している。武蔵さんは…会ったことは無いが、圧倒的耐久力で名を馳せる艦だ。無論こちらもUR。

 

信濃「…とにかく、お詫びを…。」

 

指揮官「…いつなら空いてます?」

 

信濃「今すぐにでもしたいと…。」

 

指揮官「…明日の午後から。」

 

信濃「分かり申した…。」プルン

 

指揮官「…。」メソラシ

 

信濃さんが隣に寝転ぶ。…寝転んだ時に揺れた二つの山からは目を逸らした。

 

〜翌日 客室〜

 

今回は執務室の隣の客室で。あんな事があった今、重桜寮へは行けない。それに相手も『こちらが詫びに行くのだから相手に御足労願うのは無礼。』と言っていたらしいし。

 

指揮官「…。」

 

シリアス「っ…!」ピシッ

 

ベル「…。」

 

こちら側からは俺の他にシリアスとベル。シリアスは名誉挽回したいとの事、ベルは…何か知らんが着いてきた。

 

指揮官「…しかし、ヤバいな。」ブルッ

 

シリアス「な…ご主人様、攻撃ですか!?大丈夫です、このシリアスが…。」

 

指揮官「そうじゃなくて、ビッグセブンとレジェンドが来るから緊張するって話だよ。」

 

シリアス「あ…そうですか。確かに言われてみれば…。」ブルッ

 

ベル「長門様も三笠様も、それほどお硬い人ではありません。むしろ当人達はあまりそういう物は好まないので、気さくにお願いします。」

 

指揮官「んな事言われてもな。」

 

長門なんて軍艦をある程度知ってる人なら必ず耳に入る程有名だし、三笠なんて出版社によるけど下手したら歴史の教科書にも載ってるぞ。

 

コンコン。

 

指揮官「どうぞ。」

 

信濃「失礼し申す…。」ガチャン

 

信濃さんがドアを開ける…おぉ。

 

三笠「…敷島型戦艦、六六艦隊計画の最後の一級戦艦・三笠である。よろしく頼む。」

 

長門「重桜連合艦隊旗艦――長門である。…よろしく頼む。」

 

指揮官「…あ、アオイ・ベネットです。よろしくお願いします。」

 

おぉ…オーラが…思わず呆然としてしまった。コレが連合艦隊の旗艦か。艦装展開してなくても分かる。コレはヤバい。そしてあの人は…。

 

武蔵「妾は大和型戦艦、武蔵。よろしく頼むわ。」

 

指揮官「…よろしく、お願いします。」

 

…あれ、俺今日死ぬのか?何でこんなメンツに囲まれてるんだっけ…。

 

ベル「…ご主人様。リラックスを。」

 

武蔵「ふふ…今回の指揮官は優しいと聞いていたけど…可愛くもあるようね。」

 

三笠「立場的には指揮官の方が上だろうに…。」

 

長門「…気持ちは分からなくもない。だがそう緊張されると…。」

 

指揮官「…っは、すみません。」

 

ふーっ…よし。

 

信濃「皆…、そろそろ。」

 

ベル「…それでは、本題に。」

 

三笠「…あぁ。」

 

長門「そうじゃな…。」

 

武蔵「…。」

 

3人の顔が曇る……って!?

 

 

三笠、長門、武蔵「「「この度は、本当に申し訳ございませんでした。」」」

 

 

ちょっ…いや、謝罪に来たんだから当然だけど…。

 

指揮官「…貴女方が頭を下げるのは、違うのでは…。」

 

長門「それでも、今回は止められなかった私達にも責任はある。」

 

三笠「天城の先輩として、師として…彼女をもっと見てやるべきだった。」

 

武蔵「彼女の友人として、謝罪したい。」

 

指揮官「…。」

 

三者三様の理由で謝罪が来る。…とにかく。

 

指揮官「…分かりました。謝罪を…受け取ります。」

 

三笠「…ありがとう。」

 

長門「…して、お主…これからどうするつもりだ?」

 

武蔵「相手は我ら重桜の中でもトップクラスの頭脳派。初代指揮官様の参謀にして右腕だ。何か策が無い事には…。」

 

指揮官「それに関しては…後衛を戦艦で固め、前衛艦も速力重視で編成して突撃させます。」

 

三笠「…それは。」

 

武蔵「それは無謀よ。その程度の策、天城が対応してこないはずがない。」

 

指揮官「しかし、それしか選択肢が無い。相手の利点は水雷戦隊だ。もし半端な数の空母で固めたら…。」

 

三笠「確かに神通が率いる水雷戦隊に詰められて負ける。ユニオンの艦の協力は?」

 

指揮官「既に取り付けています。エンタープライズから、『指揮官に行けと言われれば行く』と。」

 

武蔵「正規空母三隻で固めて航空機勝負は…。」

 

長門「ダメだ。一航戦が出てくるのはほぼ確実な以上、私達が警戒すべきなのは序盤の速攻だ。艦載機を展開、攻撃する速度はエンタープライズも赤城達には勝てない。こちらに大和型が居る以上、天城達後衛は絶対に正面戦闘は避ける筈。もし序盤の速攻を捌ききれずに大ダメージを負えば、削り負ける。」

 

ユニオンやロイヤルにも速攻が得意な者は居るらしいが…総じて実力が低いようだ。彼女達の名誉の為に行っておくが、実力が低いというのは重桜の水雷戦隊や一航戦と比べたらという話である。

 

指揮官「だから、重装甲で殴る。それしか無い。」

 

武蔵「序盤の速攻を耐え凌げれば、次の攻撃まで猶予が生まれる。その間に距離を詰め、一気に畳むしかない…と言うこと?」

 

三笠「そうだな…。」

 

一つしか艦隊を動かせない演習では、単体の力が重要だ。

 

武蔵「…分かった。そういう事であれば…私が力を貸そう。私ならスキル含め、他の陣営のKANSENと組んでも力を発揮できる。」

 

長門「私や三笠様は重桜の艦と組んで真価を発揮できるからな…。」

 

指揮官「ありがとうございます。」

 

武蔵さんの耐久力は心強い。これでマシになった。

 

三笠「他のKANSENはどうするつもりだ?」

 

指揮官「対空が高いユニオンの戦艦達を貸してもらいます。前衛艦隊も対空が得意な娘を選りすぐります。」

 

武蔵「私は対空があまり得意ではない…そこはお任せするわ。」

 

次は…改めてエンタープライズにお願いしに行くか。

 

 

〜ユニオン寮〜

 

エンタープライズ「…戦艦、か。確かに私もあの2人にはスピードでは勝てない。分かった。」

 

指揮官「誰か良い人居ないか?ユニオンは空が得意って聞いたんだが…。」

 

エンタープライズ「戦艦なら…ノースカロライナだな。」

 

ノースカロライナか。…知らない。

 

指揮官「知らない…。」ションボリ

 

エンタープライズ「はは…彼女には言わないでくれよ?割と気にしてるから。」

 

ごめん。マジで知らない。

 

エンタープライズ「後は…うーん、戦艦の数自体が少ないからな…ロイヤルなら、プリンス・オブ・ウェールズが居るが…。」

 

指揮官「ロイヤルは…クイーンに言えば良いだろう。分かった。」

 

ベル「……。」

 

……やはり。

 

 

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