〜執務室〜
加賀「…質問して良いか?」
指揮官「……どうぞ。」
天城「何ですか?」
天城「…?」ギュッ
指揮官「…。」
そんな事僕の口からは…。そもそも天城さんが抱きついてきたと言うか…。
加賀「シリアスから救援要請を受けて来てみれば、もう必要無いじゃないか!いつの間にそんなに距離が近くなったんだ!?」
指揮官「…秘密。」
天城「はい。秘密です…。」ギュッ
天城さんは結局、あの後俺の部屋のベッドで寝た。(もちろん俺はソファで寝た。) 一晩寝たらとりあえずの結論は出たらしく、これから俺の傍で秘書官業務をこなしつつ、心の整理をしていくようだ。『俺の傍』がこういう事だとは思わなかったけど。
天城「加賀もどうですか?」ギュッ
指揮官「エッ。」フルフル
加賀「…いや、やらないから安心しろ。」
ほっ…。流石にキャパオーバーだ。
指揮官「はぁ…ま、とりあえず始めますから…ちょっと離れてくださいよ。」
天城「…しょうがないですね。」ハァ
指揮官「何で俺が悪いみたいになってるんですか…。」
加賀「すまない指揮官。天城さんは時々正気でトチ狂うから、勘弁してやってくれ。」
天城「風評被害です!」
ホントかなぁ?
指揮官「…始めます。」
天城「はい。頑張りましょう。」
1日が始まる。
〜食堂〜
指揮官「ん…美味いな。」モグモグ
ジャベリン改「そうでしょそうでしょ!?ロイヤルだって料理も負けてないんです!!」メラメラ
指揮官「すっげぇ熱意。」
天城「ロイヤルの料理は味に癖があると言う概念がありますからね…。」
フィッシュアンドチップスうめぇ。昼に食うならアリだな。ちょうど良い。
ラフィーII「あれ…指揮官、天城様と一緒?」
指揮官「ん。」
ラフィーII「ラフィーも一緒に…。」カタン
ラフィーが向かいに座る。
指揮官「そっちはどうなのさ。」
ラフィーII「ぼちぼち…あ、そういえば…。」
指揮官「ん?」
ラフィーII「鉄血のニーミ…Z23が指揮官に会いたいって言ってた。」
Zか…。鉄血はビスマルク、グラーフ・ツェッペリンとプリンツ・オイゲン…あとはZとUボートくらいしか知らない。
指揮官「へぇ…鉄血か。」
天城「指揮官、このタイミングは…。」
指揮官「ま、頃合いって事だろうな。」
鉄血のKANSENはこのアズールレーン本舎でもそこそこ見るが、未だに話しかけられたりのアクションは無い。今回の演習騒ぎで派手に勝ったからな…。
ラフィーII「元々ニーミは指揮官に会ってみたいって言ってた。陣営の…鉄血の事もあると思うけど。」
指揮官「正直鉄血の内情ってわけ分かんないんだよな。」
天城「少なくとも重桜のように分裂はしていないと思います。彼女達は団結力が強いですから。」
そういう所もお国柄を反映してるのか。
指揮官「大丈夫かな…まあ分裂してないなら大丈夫か。」
ラフィーII「うん…たぶん…。」ヒョイッ
指揮官「あっおいポテト取るな。」
ラフィーII「うまい…。」モグモグ
コイツめ…。
天城「ふふ…仲がよろしいようで。」
ジャベリン改「指揮官は駆逐艦に人気ですから!」
指揮官「最近巡洋艦の知り合いも増えたけどね。」
天城「空母や戦艦は…?」
指揮官「…チョットナニイッテルノカワカラナイ。」
天城「…。」
たぶんロイヤルとユニオンの駆逐艦のKANSENはだいたい会ったと思う。機会があったら紹介したい。空母?大鳳なら…。
天城「指揮官、大型艦のKANSENとも交流を深めた方が良いですよ?」
指揮官「平和すぎてなぁ…。」
ジャベリン改「あ〜…。」
戦況がもっと劣勢なら作戦や出撃で自然と交流も増えたかもしれないが、現在はこちら側が優勢。大型艦…特に戦艦や正規空母勢は比較的出撃が少なく、各陣営の寮に籠りがちなのである。(軽空母は船団護衛や海域警備などにひっぱりダコなので除外)
天城「確かにそうですね…平和すぎるのも考えものでしょうか…。」
ジャベリン改「私達は戦う為に生まれて来ましたから、皆そういう所でも不満が溜まっているのかもしれませんね…。」
ラフィーII「レッドアクシズ勢はそういうKANSENが多い…。」
指揮官「へぇ……サディアも?」
ラフィーII「サディアは分かんない…。」
サディアはよく分かんない国家だ。レッドアクシズ勢ではあるが、鉄血や重桜と距離を置いているらしい。北方連合、東煌、新生アイリス教国も同様だ。現状アズールレーンは決定的な分裂こそしていないものの、各々がその国の上層部の元で独自の思惑で行動している。
指揮官「はーやだやだ。皆仲良くできないもんかねぇ…。」
天城「それが出来たら国家という枠組みそのものが存在しないでしょうね…。」
人類は愚かです。特に俺達!もう一回滅んだほうが良いんじゃなかろうか。
〜執務室〜
天城「…終わりです。」
指揮官「お疲れ様ですぅ…。」グーッ
午後、仕事が終わった。昼に言った勢力達のKANSENの利用が増えているのか、購買部や食堂関係の書類が倍に増えた。まあ仕方ない事だ。
指揮官「ん〜…っ。」
天城「お疲れですね…お昼寝ですか?」
指揮官「暑くなってきたからなぁ…自室に籠ります。」
天城「ご一緒しても?」
指揮官「ヴェっ!?」
天城「冗談です…ふふっ。」
扉から廊下に出る。昨日の今日だから冗談に聞こえないんだよ。はぁ…。
指揮官「じゃ、執務室閉めちゃいますね。」
天城「はい…明日は赤城が来ますので、お願いします。」
指揮官「ベルも帰ってくるし…忙しくなるなぁ。」カチッ
ちなみにシリアスは今日明日と出撃だ。ロイヤルメイド隊のKANSEN達は基本的に出撃は無いらしいのだが、シリアスは戦闘が得意なので例外との事。
指揮官「お疲れ様でしたー。」
天城「お疲れ様です。」
〜自室〜
指揮官「はぁ…。」
エアコンの効いた部屋でテレビを見る。平和だなぁ…。
ラフィーII「指揮官…。」ガラッ
指揮官「もう自分の部屋みたいに入ってくるよなお前。」
リビングの引き戸を開けてラフィーが入ってくる。自然に入ってきやがって…。
ラフィーII「細かい事は気にしない…それよりも指揮官、ニーミが明日にも話したいって言ってた。」
指揮官「急だなオイ。良いけど。」
ラフィーII「うん…指揮官…。」
指揮官「分かってるよ。」
2人「「トラブルの匂い。」」
いくら何でも急が過ぎる。現状鉄血からはこちら側への接触が無い以上、差し迫るような事は無い筈なのだ。なのに演習が終わった数日後に、時を見計らったかのような急なお願い。トラブルしかないだろこれ。
ラフィーII「ニーミも何か焦ってた。正直怪しかったけど、友だちだし聞いてほしそうじゃないから何も言えない…。」
指揮官「ま、良いさ。とりあえず聞いてみないことには判断できない。俺の力で何とかなる事ならする。それだけだ。」
ラフィーII「……指揮官が指揮官になってくれて良かった。」
指揮官「仕事だからな。」
俺にできるのは日々戦ってるKANSEN達の後顧の憂いを潰す事だけ。戦場は任せるしかない。
ラフィーII「…指揮官、一緒にお風呂入ろう…?」
指揮官「やだよ事案になるだろ。一人で入ってこい。」
ラフィーII「残念…。」トボトボ
ラフィーが浴室へ向かっていく。……あれ。普通にもう風呂貸しちゃってるな。遂に俺の無意識に侵食してきたか。慣れって怖いな。
たぶんそう遠くない未来に指揮官は喰われるでしょう。アッチの意味で。